【まとめ】不安や緊張に「落ち着け!リラックスだ!」は逆効果。ではどうすれば良いのか?
不安を感じやすい。緊張しやすい。そんな神経質な方が世の中多いのではないでしょうか。
ご多分に漏れず私も不安や緊張をしやすいのですが、こちらも対策をとるようになって以前より随分マシになったものです。
今回はそんな不安や緊張対策について書いてみたいと思います。
プロの方が一般人より緊張しやすい…!だけど…
2020年の東京オリンピックがもう間もなくということで、オリンピックに出場する人はさぞ緊張するんだろうな~と思いつつ、でも、4年に1度しかないあの大舞台で金メダルや新記録を出せる人は何が違うんだろうと思いました。
もしかしたら、使える不安対策や緊張対策があるのかも…!っと思い調べてみると面白い研究を発見。プロと一般人ってどっちが緊張するの…?っていうのを調べたそうで、結果はなんとプロの方が緊張していたそうなんですよね。でも、緊張と結果は比例しなかったそうで、何故かというと、
- プロは緊張をパワーにかえていた…!
- 一般人は緊張をパニックにかえていた…!
ということです。「パニックにかえていた…!」は思わず笑ってしまいそうですが、実際緊張しいであり笑えない身分である私はそんな暇はなく、だったら一般人(私)はどうすればいいのって感じです(泣)まさに不安をパニックにかえています(笑)
不安・緊張が出てきたらリアプレイジング(再評価)して興奮・ワクワクしてきた…!と捉え直そう…!
まずそもそも論として、不安や緊張を抑えるようなアドバイスは本当に良いのか…?ってところから見ていきます。
例えば、不安や緊張を感じた、感じている自分や他者に対して、
- 落ち着け…!
- リラックスだ…!
- 堂々と…!
- いつも通りに…!
といった感じで、とにかく不安や緊張を低くし、冷静になろうとするアドバイスですね。
このようなアドバイスは、かな~り良く聞きますが果たして本当に効果的なのか…?早速チェックしていきましょう…!
そもそも誰でも、たくさんの人の前で話すとか、上司と会うといった重要なタスクの前に不安を感じます。そして作業の直前や作業中に不安を感じると、
といったパフォーマンスへの悪影響が出るんですよね。更に不安を感じることで失敗した結果も予想してしまいます。
そこで皆さんが良くとる対策が、
- 落ち着こうとする
というもの。
落ち着け…!リラックスだ…!と思うことで不安を抑えようとするって感じですね。しかし実際のところ、不安を抑えたり隠したりしても効果がないことが多く、不安感情を減らすことは難しかったりします。
そこで今回研究者が考えた新たな対策が
という戦略です。
- 不安・緊張が出てきたらリアプレイジングして興奮・ワクワクしてきたと捉え直す…!
という戦略です。
リアプレイジング(Reappraising:再評価)は、見方を変える、別の角度から見てみるって方法で、不安状態を軽減する最も効果的な戦略と言われております。
ではなぜ研究者が不安・緊張→興奮・ワクワクに変換だ…!となったかと言いますと、不安・緊張と興奮・ワクワクってのは、パフォーマンスへの影響は真逆なんですが、起きる状況や体の反応が非常に似ているんですよ。
具体的に説明していきますと、まずパフォーマンスへの影響は、
- 不安・緊張:パフォーマンスが低下するネガティブな感情。ネガティブなイメージや不確実性、コントロールの欠如といった特徴がある。不安を感じる人は、未来の出来事のネガティブな面にフォーカスする傾向があり、それが実際に起こる可能性が高いと信じている
- 興奮・ワクワク:パフォーマンスが向上するポジティブな感情。ポジティブなイメージや楽観主義といった特徴がある。興奮している人は、未来の出来事のポジティブな面にフォーカスする傾向があり、それが実際に達成できると信じている
っと言った感じ。これは皆さんご存知の通りですね。
因みにこの研究者は不安の定義を、新しい状況や望ましくない結果の可能性を含む刺激に対して、苦痛や生理学的覚醒状態の反応をすることとしておりました。まぁ、難しく言っていますが、皆が思う不安のイメージですね。
それと、不安が出る場面ってのは大なり小なりありまして、生涯にわたってあるもんなんですよねー。例えば、
- 生後12ヶ月の乳幼児は、親と離れて不安になる
- 4歳前後の子どもは、怪物や幽霊が怖くて不安になる
- 10歳ぐらいの子どもから大人は、人前で話すことに不安になる
って感じです。
更にいえば、ほとんどの人は毎日何度も不安な状態を経験しています。まぁ、超小さい不安とかもカウントすれば、そりゃ毎日不安はありますな。
話しを戻しまして…。不安・緊張と興奮・ワクワクは、パフォーマンス面では真逆でしたが、起きる状況や体の反応については不安・緊張と興奮・ワクワクのどちらも
- 事前に起こるもの
- 高い覚醒状態(高い心拍数)であること
という共通点がございます。言われてみれば確かに…!って感じですよね。
そして不安・緊張・興奮・ワクワクと落ち着いた状態・リラックスした状態ってのもまた違っておりまして、
- 不安・緊張・興奮・ワクワク:高い覚醒状態(高い心拍数)という特徴がある
- 落ち着いた状態・リラックス状態:低い覚醒状態(低い心拍数)という特徴がある
って感じなんですよね。
以上から研究者は、不安・緊張は似た状況・体の反応である興奮・ワクワクに移行しやすく、不安・緊張と違う反応である落ち着いた状態・リラックス状態は移行しづらいんじゃないか…?と考えたみたいです。
じゃあこの仮説が正しいのか…?ってことで、パイロット研究+実験4つの合計5つの研究を行い確かめております。
不安対策に皆がどういった方法を使っているかパイロット研究で調べてみた…!
まず最初に行ったのがパイロット研究になりまして、これで何を調べたのかと言いますと、
- 皆がパフォーマンス前に行う不安対策ってどんなの…?
ってこと。
このパイロット研究に参加したのは男女300人(男性159人、女性141人)でして、平均年齢は35.4歳だったそうな。まず参加者全員に、以下の2つの架空のシナリオを読んでもらったそうです。
- 明日、あなたは社長と取締役を含む社員全員の前で30分間のスピーチを行う予定です。あなたは非常に不安になると思います。
- 明日、あなたの同僚は社長と取締役を含む社員全員の前で30分間のスピーチを行う予定です。あなたの同僚は非常に不安になると思います。
次に以下の2つの質問に答えてもらったらしい。
- 自分にどのようなアドバイスをしますか…?(自由回答)
- 同僚にどのようなアドバイスをしますか…?(自由回答)
更に以下のアドバイスの中で、一番良いアドバイスはどれですか…?の質問にも答えてもらったそうです。
- リラックスや落ち着くようアドバイスする
- スピーチをキャンセルするようアドバイスする
- 他の人にスピーチを頼むようアドバイスする
- 不安になるのではなく興奮するようアドバイスする
合わせて、参加者の年齢や性別、スピーチの経験に関する質問に答えてもらったそうです。因みに参加者の自由回答の内容チェックは仮説と実験条件を知らない外部評価者2名にお願いしたとのこと。
結果、どのようなアドバイスをしますか…?の自由回答をジャンル別に分けてみると、
- リラックスや落ち着くようアドバイス→84.94%…!
- 不安を興奮として捉えるようアドバイス→21.45%…!
- 不安を受け入れるようアドバイス→0%…!
- 不安を隠すようアドバイス→0%…!
- 不安を怒りや悲しみとして捉えるようアドバイス→0%…!
のようになっておりました。実に85%の方がリラックスや落ち着くようアドバイスしていたみたいですね。
続きまして、一番良いアドバイスはどれですか…?の回答についてはこんな感じ。
- リラックスや落ち着くようアドバイスする→90.97%
- スピーチをキャンセルするようアドバイスする→1.29%
- 他の人にスピーチを頼むようアドバイスする→1.29%
- 不安になるのではなく興奮するようアドバイスする→7.74%
やはり、リラックス…!落ち着いて…!ってアドバイスがベストだと思っている方がほとんどでしたね。予想通りですな。因みにこの結果について、年齢や性別、スピーチの経験は関係なかったとのこと。
ということで90%以上の人が、不安を興奮としてリアプレイジングするというアドバイスよりも、落ち着こう、リラックスしようというアドバイスの方が効果的であると思っているみたいです。
歌のパフォーマンスで不安を興奮として捉え直す効果を確かめてみた…!
実験1では、セルフトークによるリアプレイジングが、プレッシャーのかかる場面でパフォーマンスにどう影響するのか調べてみたそうです。
セルフトークってのは、スポーツ心理学でおなじみの物でして、前向きな言葉を自分自身に投げかけるというものです。例えば、自分自身に対して、自分ならできる…!みたいな声掛けをすることですね。松岡修造とかが現役時代に良くやってましたな。
今回実験に参加したのは大学生113人(男性54人、女性59人)でして、平均年齢は20.30歳だったとのこと。まず参加者たちに任天堂WiiのKaraoke Revolution Gleeっていうゲームを使い、お互いの前で歌ってもらうことを伝えたそうです。
次に歌を歌う前に以下の6グループにランダムに振り分け、セルフトークを大声でしてもらったそうな。
- 次のセリフを大声で伝えてください。セリフを伝えるときは、本当にそれを信じて行ってください。私は不安になっている。
- 次のセリフを大声で伝えてください。セリフを伝えるときは、本当にそれを信じて行ってください。私は興奮している。
- 次のセリフを大声で伝えてください。セリフを伝えるときは、本当にそれを信じて行ってください。私は落ち着いている。
- 次のセリフを大声で伝えてください。セリフを伝えるときは、本当にそれを信じて行ってください。私は、怒っている。
- 次のセリフを大声で伝えてください。セリフを伝えるときは、本当にそれを信じて行ってください。私は悲しんでいる。
- 何も言わない(コントロール群)
大声でセルフトークを言った後、参加者は曲の冒頭のフレーズを歌ったそうです。合わせて、心拍数を休憩中、歌うことを知った後、セルフトーク後、歌った後にチェックしたそうな。最後に参加者に歌う前に不安と興奮をどの程度感じたかを7段階で評価してもらったみたいです。
結果は、
- 参加者全員歌う前は非常に不安を感じていた。
- 私は興奮していると言った参加者は、他の参加者に比べて、歌う前にかなり興奮していると報告した。
- 他のセルフトークや何も言わなかった参加者の主観的な興奮に違いはなかった。
- 参加者の平均心拍数は、休憩中~歌った後まで全て高いままだった。
- 私は興奮しているといった場合の歌の点数は80.52%で一番高かった…!
- 何も言わない場合の歌の点数は69.27%だった…!
- 私は不安になっているといった場合の歌の点数は52.98%で一番低かった…!
- これらは年齢と性別を調整しても結果は変わらなかった。
- 私は興奮しているといった場合の歌うことへの自信はM=3.48だった。
- 私は不安になっているといった場合の歌うことへの自信はM=2.29だった。
- 何も言わない場合の歌うことへの自信はM=2.19だった。
- 自信は実際の歌のパフォーマンスと関係がなかった。
とのこと。
皆、不安は感じているし、心拍数も高いままなんだけど、不安を興奮に捉え直してもらった参加者は主観的な興奮・ワクワクがアップし、歌のパフォーマンスもアップしたみたいですねー。しかも面白いのが、他者からアドバイスされて実践しただけで効果があったってことですね。それと自信もアップしたけど結果に影響がないってのは、以前に紹介した根拠のない自信やポジティブシンキングの罠の話に通じますな。
人前でのスピーチで不安を興奮として捉え直す効果を確かめてみた…!
実験2では、仕事で良くある人前でのスピーチで、落ち着こうというアドバイスと不安を興奮として捉え直すというアドバイスの効果を調べてみたそうです。仕事では人前で話すことが普通にあり、非常に不安になりやすい場面なんでより実践的な実験ですな。
この実験は、大学生140人(男性63人、女性77人)が参加したそうで、平均年齢は20.24歳だったとのこと。
まず参加者全員に、
- あなたが仕事をする上で、良いパートナーである理由について、説得力のある公開スピーチが出来るよう準備してください
と言われ、2分間与えられたそうです。
更に参加者に、
- この実験の参加者の前でスピーチを行い、その様子はビデオカメラに記録します。そのビデオは後で委員会によってチェックされます
と伝えたそうです。
これで、不安度マックスの参加者が完成です(自分は絶対この実験に参加したくないな…。想像しただけで死ぬ)
んで、スピーチの準備が出来たら、実際にスピーチを行う前に、参加者を以下の2つのどちらかにランダムに振り分けたそうです。
- 私は興奮している…!と言ってもらう
- 私は落ち着いている…!と言ってもらう
その後、実際にカメラの前で2~3分間、スピーチを行ったということでした。スピーチ後、参加者には、実験1同様、不安や興奮、自信がどうだったか自己申告してもらったそうです。
スピーチの評価は外部評価者3名が行ったそうで、スピーチのビデオを見て、各項目を7段階評価していったとのこと。因みに評価項目はこんな感じ。
- 説得力があったか…?
- 仕事の良いパートナーになるだろうか…?
- 自信を持っていたか…?
- 自信を持っているようだったか…?
- 不安そうだったか…?
- 興奮していたか…?
- 頭が良さそう、能力が高そうか…?
- 自分が話していることを理解していたか…?
- 話の筋は通っていたか…?
- スピーチはどれぐらいの時間だったか…?
気になる結果はこんな感じとなっておりました。
- 私は興奮している…!と言った参加者は、私は落ち着いている…!と言った参加者に比べて、スピーチの評価が良かった…!
- 具体的には、より説得力がある…!能力が高そう…!自信がある…!と評価された…!
- 年齢と性別を調整しても結果は変わらなかった。
- 私は興奮している…!と言った参加者のスピーチは167秒だったのに対し、私は落ち着いている…!と言った参加者のスピーチは132秒だった。つまり長く話していた…!
- 私は興奮している…!と言った参加者は、私は落ち着いている…!と言った参加者に比べて、自己申告による興奮が高かった(興奮M=4.09、落ち着きM=4.75)
- 私は興奮している…!と言った参加者は、私は落ち着いている…!と言った参加者に比べて、自己申告による自信がわずかに高かった(興奮M=5.62、落ち着きM=5.27)
- 私は興奮している…!と言った参加者は、私は落ち着いている…!と言った参加者に比べて、自己申告による不安の有意差はなかった(興奮M=5.06、落ち着きM=5.27)。しかし、平均して不安は非常に高かった。
私は興奮している…!とリアプレイジングしたことで、落ち着こうとした人よりも、実際ワクワクし、粘り強さがアップ、更に説得力・有能さ・自信が高く評価されたってのはすごいですねー。
どうやら仮説通り、不安・緊張が出てきたらリアプレイジングして興奮・ワクワクしてきたと捉え直す…!が落ち着け…!リラックスだ…!ってアドバイスよりも良さそうですな。
数学のテストで不安を興奮として捉え直す効果を確かめてみた…!
実験3では、時間のプレッシャーを与えつつ難しい数学の問題を解いてもらい、落ち着こうというアドバイスと不安を興奮として捉え直すというアドバイスの効果を調べてみたそうです。これも実験2同様、不安あるあるなパターンですね。
今回、実験に参加したのは大学生の男女188人(男性80人、女性108人、平均年齢20.39歳)で、数学のテストが始まる直前に以下の3グループにランダムに振り分け、文字を読み上げたそうな。
- 冷静グループ:落ち着いてください、と伝えた。
- 興奮グループ:興奮してください、と伝えた。
- コントロールグループ:しばらくお待ちください、と伝えた。
次に時間のプレッシャーがかかる状態で、8つの問題からなる非常に難しいIQテスト(数学テスト)を行ってもらったそうです。流れとしては、問題ごとの解答時間を5秒間とし、その後、正解か不正解かを発表、次の問題にいくって感じだったそうな。
因みに不正解すればするほど、実験に参加した報酬が少なくなる感じだったそうです。そのため研究者から参加者に、頑張って報酬の減額を最小限に止めてください…!と伝え、更にプレッシャーを与えたとのこと。
それと研究者によれば、
というフレーズは、皆を非常に不安にさせる傾向があるんだとか。確かにこれらの言葉ってかなり不安になりますな。
次に実際の問題についてご紹介しておきます。
ここで扱われたIQテスト=数学テストってのは、問題の答えが整数か否かを答えると言うもの。例えば、
- (16-4)÷3
と問題が出たら、
- (16-4)÷3=12÷3=4
となります。
この例題の答え(4)のように整数の場合は「true」と答えたら正解です。もし答えが整数でない場合は「false」と答えたら正解になります。
このような問いを超プレッシャーがかかる中制限時間5秒で答えるってのはなかなか不安になりますね~。また合わせて心拍数もチェックしたらしい。
IQテストが終了したら、実験1~3同様、参加者に不安、興奮、自信について自己評価をしてもらいつつ、年齢や性別に関する質問にも回答してもらったそうです。
最後に参加者の心拍数とパフォーマンス(数学テストの正解数)をチェックした結果、
- 冷静グループのパフォーマンスは2.94だった…!
- コントロールグループのパフォーマンスも2.94だった…!
- つまり、落ち着こうとしても何もしなくてもパフォーマンスは変わらなかった…!
- 興奮グループは他の2グループに比べ、明らかに高い点数(3.60)を獲得していた…!
- この結果は年齢や性別を調整しても変わらなかった。
- 安静時に比べテスト発表後から平均心拍数が大幅に増加していた。
- 心拍数は数学のテスト開始からテスト終了まで高いままだった。
- 落ち着くように指示されても心拍数は高いままだった…!
- 冷静グループとコントロールグループの主観的な興奮は差がなかった。しかし興奮グループは、テスト中により興奮したと報告していた…!
- 主観的な不安については、興奮グループ(4.81)、冷静グループ(4.95)、コントロールグループ(4.92)ともにほぼ変わらなかった…!
- 主観的な自信については、冷静グループ(5.49)、コントロールグループ(5.17)ともにほぼ変わらなかった…!しかし、興奮グループ(5.66)は他のグループに比べ、より自信があると感じていた…!
- 数学テストの成績と自信の間には有意な正の相関があった…!また、数学のテストで高得点をたたき出した人は、その後、数学に自信がある…!と報告していた…!
そうです。
つまり不安に対して、落ち着こうとする・何もしないよりも、興奮として捉え直した方がテストにワクワクし、自信を持ち、その結果、実際のテストの点数も良くなった…!ってことですね。不安をパワーに変えていますねー。素晴らしい…!
そしてもう一つのポイントは心拍数が一度上がると、何をしても結局元に戻すのはほぼ無理ってこと。これは冷静・落ち着こう・リラックスと言った方法でもダメだったそうなんで、このアドバイスがムダみたいですね。残念。
なんで不安を興奮として捉え直すと良いのか理由を調べてみた…!
実験1~3によって、不安を興奮として捉え直すと様々なパフォーマンス(人前で歌を歌う、人前で話す、数学のテスト)がアップすることが分かりました。
そこで実験4では、なんで不安を興奮と捉え直すと良いのか、その理由を調べてみたそうです。
そこでまずご紹介したいのが2010年のニューヨーク大学の研究になります。
この研究は、数学のテストを、脅威ではなく挑戦として捉え直すことを指示したもので、結果、ステレオタイプ(数学って嫌だな~という固定概念や先入観)を減らし、その後の数学の成績がアップしたというんですよね。
つまり不安を興奮として捉え直すと似たような研究があり、効果も出たそうで、この共通点が効果がある理由につながると研究者は考えたみたいです。
これらを調べるために、研究者は実験3同様の数学テストを行ったそうです。参加したのは大学生218人(男性94人、女性124人、平均年齢21.85歳)で、基本的に実験の流れは同じ感じなんですが、参加者に数学テストを開始する前に
- 落ち着いてください
- 興奮してください
の2つを伝えつつ、更に数学のテスト前、又はテスト後に以下の質問について1まったくそう思わない~7非常にそう思うの7段階で答えてもらったそうな。
- IQテスト(数学テスト)は楽しむ機会です。
- IQテスト(数学テスト)は脅威というよりも挑戦です。
これでテストへの脅威(不安への脅威)とテストを受けるという機会の考え方(不安になることへの捉え方)も測定したんだとか。
まとめると全部で以下の4パターンになります。
- 落ち着いてください→脅威と機会の考え方の測定→数学テスト
- 興奮してください→脅威と機会の考え方の測定→数学テスト
- 落ち着いてください→数学テスト→脅威と機会の考え方の測定
- 興奮してください→数学テスト→脅威と機会の考え方の測定
結果、
- 不安を興奮として捉え直した参加者(3.42)は、不安に対して落ち着こうとした参加者(2.80)よりも数学のテストの点数が明らかに高かった…!
- 不安を興奮として捉え直した参加者(3.75)は、不安に対して落ち着こうとした参加者(3.36)よりも楽しむ機会・挑戦と捉えていた…!
- 数学テストの後に脅威と機会の考え方の測定をした参加者は、数学テストの前に脅威と機会の考え方の測定をした参加者よりも、数学テスト(不安)の脅威が少ないと感じていた…!
とのこと。
つまり、
- 不安を興奮として捉え直す
- 不安になる機会が楽しむ機会と捉え直す
- 不安への脅威を挑戦と捉え直す
- 結果、数学の成績(パフォーマンス)がアップする…!
ってのがメカニズムだってことですね。
自分自身の内面のリアプレイジングを行い、続いて状況のリアプレイジングを行うって感じです。
まとめ・実践への活かし方
では最後にこの研究のポイントをまとめておきましょう。
- ほとんどの人は不安や緊張を感じた時、落ち着こう・リラックスした方が良いと思っているし、一番効果的だとも思っている。しかし、実際は効果がほとんどない…!
- それよりも不安を興奮・ワクワクとして捉え直す(リアプレイジングする)と良い…!
- 不安・緊張を感じた時に興奮・ワクワクとして捉え直すとパフォーマンスがアップする…!
- 興奮・ワクワクとして捉え直す効果は、人前で歌を歌う、人前で話す、数学のテストを受けるなど様々な不安・緊張に対して有効である…!
- 理由は、不安を興奮として捉え直すことによって、不安になる機会を楽しむ機会・不安への脅威を挑戦と捉え直せるから…!
これら全ての結果から研究者曰く、
- 「落ち着こう」ではなく「わくわくしている」と思うことが、成功への道の第一歩ではないだろうか
とおっしゃっております。う~ん。良い言葉。
続いて、この研究結果を踏まえた実践方法をご紹介しておきます。
- 不安・緊張を感じたら、興奮・ワクワクとして捉え直すセルフトークを行う(あらかじめif-thenプランニングにしておくと良い)
- より具体的には「不安・緊張を感じたら、私はワクワクしている」と声に出す。難しければ心の中で言う。
是非皆さんも、不安をパワーに変えてパフォーマンスアップを目指してみてください…!
因みに不安に対してリラックスが効かない理由ですが、個人的には、不安をリラックス状態に持っていこうとするのは反対の状態に持っていこうとする行為であって、これはおそらく1987年のハーバード大学のダニエル・ウェグナー博士の研究であったシロクマのリバウンド効果(考えないようにするとかえって考えてしまうこと)が働いてしまうのではないかと思います。そのため、より不安が強調されてしまい、結果、落ち着くこともできず、パフォーマンスも上がらないのかと…。
それに対して、不安と興奮状態は反対ではなく、似た状態であるため、パフォーマンスアップに繋がったのかな~と思います。
いずれにしても、不安に限らずネガティブなメンタル対策として、リアプレイジングは非常に有効な戦法です。是非コーピングレパートリーに加えたり、if-thenプランニングに落とし込んでおきたいですねー。
不安はあり過ぎてもダメ…!なさ過ぎてもダメ…!ではベストはどこなのか…?
ということで、ここまでは主にベストな不安対策をご紹介してきましたが、次は不安をパワーに変えて最もパフォーマンスを上げる状態(バランス)に着目していきたいと思います。
というのも、不安も興奮もあり過ぎてもなさ過ぎてもダメなもんなんですよね~。
これはなんとなくわかると思うんですが、例を挙げておきますと、
- 不安・興奮しすぎ:頭が真っ白、パニック、混乱状態。
- 不安・興奮なさすぎ:ボケーっとしてやはり頭が真っ白、だらけて、なんでもめんどく感じる。ぐでたま状態。
って感じで、どちらもベストパフォーマンスが発揮できるとは思えれませんよね…?
ではバランスが大事だ…!ってことで、じゃあベストなバランスはどこか考えていきたいと思います。
不安とパフォーマンスのバランスを考える上でもっとも大事なのがヤーキーズ・ドットソンの法則(Yerkes-Dodson law)になります。
ヤーキーズ・ドットソンの法則は1908年の動物実験で明らかになったもので、マウスを使い、不安とパフォーマンスの関係を調べて分かったんですよね。
んで早速結論を申しますと、不安とパフォーマンスは逆U字型の関係だったんですよ。
つまり、
- 不安レベル0%:パフォーマンスが超低い
- 不安レベル25%:普通のパフォーマンス
- 不安レベル50%:パフォーマンスが高い…!
- 不安レベル75%:普通のパフォーマンス
- 不安レベル100%:パフォーマンスが超低い
ってイメージです。
大舞台で実力以上の力を発揮する人、つまり不安をパワーに変えて、自分の力に上乗せし良い結果を出す人ってのは不安・興奮が50%ぐらいの状態なんですよ。
更に2007年のロンドン大学ロイヤル・ホロウェイ校の研究によると、不安によって確かに注意力がダウンしたり、脅威刺激への注意バイアスが起きちゃったりするんだけど、不安・興奮が50%ぐらいの時は、粘り強さ(≒グリット)を必要とする困難な課題に対してモチベーションがアップしたとのこと。
どうやら不安・興奮を50%にすると、パフォーマンスアップ以外のメリットも受けられそうですね。
ということで、不安はあり過ぎてもなさ過ぎてもダメで、ベストは不安50%ぐらいってことでした。是非、不安・緊張を興奮・ワクワクと捉え直して、更にそれが50%ぐらいになるよう調整してみてください。
因みにあんま不安・緊張・興奮・ワクワクしないな~って時、私は周りを見渡して、この試験の合格率はこれぐらいで、この部屋には何人ぐらいいるから、この中で受かるのは何人か…少な…!みたいな感じで上げてますね(笑)
逆に下げるのは2013年のハーバードビジネススクールの研究では意味なし…!って出ちゃっていますが、一方で、
による日々の訓練や対策である程度はコントロール可能かと思います。
まぁ、テストとかが始まっちゃえば不安・緊張・興奮・ワクワクといった感情は自然と50%ぐらいになっていくような気もしますが、始まる前までの調整には使えるかと…。
是非、
- 不安→興奮・ワクワクとして捉え直す→コントロールして50%を目指す…!
って流れを練習してみてください…!
不安や緊張を正しく使うにはどうすべきか…?
不安や緊張ってのは兎角嫌われ者ですが、ヤーキーズ・ドットソンの法則然りで実は良い面もたくさんあるんですよね。つまり、不安を興奮やワクワクと捉え直すのも良いけど、不安をそのまま利用していく…!って考え方もある訳ですな。
しかしここでかなり注意しなければいけないのが、根拠のないことで無理矢理不安は良い物…!と思い込もうとすることです。
だって、無理矢理思い込もうとすればするほど、心のどこかで、これって意味ないんじゃ…とか、不安は良い物って思いこんでも実際何が良いのか分からない…って思っちゃいますからね。その上、不安は良い物…!と思い込んでも本当にメリットを感じる作用がどこにあるのか分からなければ納得しようもありません。それこそ不安になりますよね(笑)
更にいえば、シロクマのリバウンド効果が発動してより不安が強調される上に、
といったバッドステータスを喰らうハメにもなります。
そのため、根拠のある不安のリフレーミングが必須と申しましょう。
では根拠のある不安のリフレーミングを具体的にどうすれば出来るのかと言いますと、ここで活躍するのがエビデンスのある研究結果です。こちらは一定以上認められた結果の為、大多数の方に効果のある、信じて良い、不安のメリットと言えます。
ということで、ここからは正しく不安・緊張を使えるよう、エビデンスのある不安のメリットを見ていきたいと思います。
不安のおかげで一生懸命努力する・徹底的に準備する・反省点を受け止められるので、目標達成率がアップし成功する可能性が高まる…!モチベーションもアップする…!
名著「ネガティブだからうまくいく」で有名なジュリー・ノレム博士の2002年の研究によると、不安ってのは嫌な感情だけど、行動にプラスの影響を与える可能性があるんだとか。例えば、防衛的悲観主義の方なんかは不安を感じやすい代表例なんですが、そのおかげで不安になる機会があると、
- 失敗しないよう一生懸命努力する
- 失敗しないよう徹底的に準備する
- メリットのあるネガティブなフィードバックを受け入れやすい
とのこと。まさに不安をエネルギーにして準備や対策などの行動に変えていますな。
不安な人は将来についての出来事をネガティブに捉えるため、少しでも失敗しないよう努力や準備をしてネガティブなフィードバックもしっかり受け止めるみたいです。結果、目標達成率がアップし、成功する可能性が高まるそうな。
不安な人は将来についての出来事をネガティブに捉えるため、少しでも失敗しないよう努力や準備をしてネガティブなフィードバックもしっかり受け止めるみたいです。結果、目標達成率がアップし、成功する可能性が高まるそうな。
因みに2009年のライデン大学の研究や2011年のライデン大学の研究によれば、不安が常にパフォーマンスダウンをさせる訳ではなく、単純作業や十分に学習したタスクについての努力が増加するそうです。つまり、不安のメリットである一生懸命努力するってのは、特に簡単な作業や慣れた作業で起こりやすいみたい。そのため、不安になったらまず簡単な雑務か慣れた作業をして弾みをつけていくのも良いかもしれませんね。
また努力するというメリットはモチベーションアップに欠かせない要素なのも重要なポイント。是非、合わせて覚えておきたいですね…!
不安は無駄なリスクをとらないため起こる…!つまり良い決断(意思決定)を下すのに役立つ…!
2009年のゲーテ大学の研究によると、不安と意思決定の関係について調べてみたそうです。
今回の実験は大人と子どもを対象に調べておりまして、まず大人のサンプルはこんな感じ。
- 23~80歳の成人30人(男性9人、女性21人、平均年齢48歳)が参加した。普段から不安や心配が多い方たちだが、うつ病などは持っていない。実験後、女性1名のデータは除いた。
- 上記とは別で普段、不安や心配のない成人7人も参加した。
続いて子どものサンプルはこんな感じ。
- 7~14歳の子ども67人(男性34人、女性33人、平均年齢10.43歳)が参加した。普段、不安や心配のない子ども達だった。
- 子ども達は以下の2グループに分けられ2つのバージョンのギャンブルタスクを異なる順序で行った。
- オリジナル版を最初に行うグループ:34人(男性16人、女性18人、平均年齢10.35歳)
- もう一方のグループ:33人(男性16人、女性17人、平均年齢10.52歳)
んで、参加者にはアイオワギャンブリング課題ってのをやってもらったんですよね。
アイオワギャンブリング課題は、カードを一枚ずつ引いてそこに書いている賞金をもらうor罰金を払うというシンプルなゲームなんですが、カードを引く山札(デッキ)が4つ用意されているんですよね。
そのデッキの内訳が、
- ハイリスクハイリターンの山札A(もらえる賞金は多いが払う罰金も多い)
- ハイリスクハイリターンの山札B(もらえる賞金は多いが払う罰金も多い)
- ローリスクローリターンの山札A(もらえる賞金は少ないが払う罰金も少ない)
- ローリスクローリターンの山札B(もらえる賞金は少ないが払う罰金も少ない)
って感じなんです。
因みにハイリスクハイリターンの山札は、ローリスクローリターンの山札よりも罰金を支払うカードが多く入っている為、こればっか引いていると、最後は負け確定となっております。
ゲーム終了後の手持ちのお金を如何に多くできるかを競うゲームでして、この実験では大人にはゲーム終了後、交通費+ギャンブルで勝ったお金を(5~20ユーロの範囲内で)実際に渡したそうな。子どもには、ギャンブルゲームで獲得したポイントの量に応じて、小さなおもちゃが入った3つの箱の中から好きな物を選べるようにしたらしい。
このギャンブルを行った結果は、
とのこと。
- 不安・心配な大人・子供は、ゲームで良いパフォーマンスを発揮していた…!
- 4つの山札の相対的なメリット・デメリットをしっかり踏まえてカードを引いていた…!
とのこと。
つまり、
- 適度な不安・心配は、状況をより客観的に見られるようにしてくれていた…!
- 良いことだけに注目するのではなく、可能性としてあり得る全てのメリットとデメリットを比較衡量するのに役立っていた…!
- 以前に強化された行動(例えばハイリスクハイリターンの山札からカードを引いて賞金をゲットしたなど)から、別の行動に上手く切り替えることが出来るなど、状況の変化にも柔軟に対応していた…!
- その結果、無駄なリスクをとらないようになり、良い決断(意思決定)を下せるようになっていた…!
ってことですね。
そのため、不安・心配がある人は総じてゲームの結果が良かったみたいです。
2002年の研究と合わせて考えてみると、不安のおかげで事前に努力し、準備・対策が徹底され、本番には無駄なリスク回避&上手い意思決定をするんで、最終的には良い結果を得られるご様子。是非、長所として活かしていきたいですねー。
不安な人はヤバい事態に対して素早く助けを求めるのが上手
2012年のIDCヘルツリーヤの研究によると、愛着スタイルの不安型の強みについて調べてみたそうです。
愛着スタイルの不安型ってのは人との距離感が苦手なタイプで、相手に嫌われないようにしようとし過ぎる傾向のあるタイプのことです。
んで研究者たちは、その愛着スタイルの不安型の人は、
- 脅威(トラブル)に対する警告を素早く伝える(助けを求める)のが得意なんじゃないか…?
って仮説を立てたそうで、それを実際に調べたのが今回の研究になります。
実験は大学生80人(男性52人、女性28人)を対象にしておりまして、流れはこんな感じとなっておりました。
- まずは全員の愛着スタイルと性格(ビッグファイブ)に関するアンケートに答えてもらい、不安型かどうかをチェックした。
- 2週間後、参加者全員にもう一度集まってもらい、芸術の趣味についての研究であると嘘を伝えた。
- 参加者全員にパソコンの前に座ってもらい、画面に表示された様々な絵画を評価してもらった。
- しかし、3番目の絵画を見た後、パソコン画面にエラーメッセージが表示され、OKボタンをクリックすると、突然、パソコンのハードディスクを全消去するというコンピューターウイルスが起動し始めた。
- そこで研究者がヤバい感じを装って、コンピューター技術者にすぐ助けを求めてくるよう頼んだ。
- 参加者が助けを求めに行く途中の数分間で、4つの障害物を用意し、助けを求める目的から参加者の気を逸らさせようとした。4つの障害物は以下な感じ。
- ①助けを呼びに行く途中の廊下で短い調査を手伝うよう声をかけられた。
- ②助けを求めに入った研究室で、まずプリンタでコピーをとるよう頼まれた。
- ③コンピューター技術者がいるドアには、訪問者に待つよう求める張り紙があった。
- ④コンピューター技術者の部屋に案内された後、参加者は床に大量の書類を落とした学生の横を通り過ぎなければいけなかった。
如何に素早くコンピューター技術者にトラブルを伝えられるかを見てみた…!ってことですね。
では愛着スタイルと性格(ビッグファイブ)との関係についてどうだったか見てみましょう…!
- 愛着スタイルの不安型傾向が高い人ほど、周りを気にせず、すばやく助けを求めに行くことが出来た…!
- 上記結果は愛着スタイルの回避型、外向性や神経症傾向と関係がなかった…!
とのこと。
この結果に研究者曰く、
- 2011年のIDCヘルツリーヤの研究により、愛着スタイルの不安型の人は、一般的な不安気質の人と同様、脅威に対して素早く気付くことができるようだ。この新しい結果は、不安を抱く人は他人に助けを求めたり、警告を発するのが必要なとき、素早く反応できることを裏付けている
としています。
どうやら不安な人はヤバい事態に対して素早く助けを求める警戒機能に優れているみたいですねー。
人との距離感に不安がある人は嘘を見抜く力が高い…!
2013年のIDCヘルツリーヤの研究によると、不安と嘘を見抜く力の関係について調べてみたそうです。
そもそも全ての人の90%以上が嘘をつくといった感じで、人間は嘘をつくのが普通なんですよね。それにもかかわらず、人間は嘘を見抜くのが超苦手で、プロですら平均54%ぐらいなんですよ。しかし不安な人はその嘘を見抜く力が長けている可能性があるというんですな。それを実際に調べたのが今回の研究になります。実験は全部で3つ行っておりまして、まず一つ目の実験と二つ目の実験を見ていきます。
一つ目の実験では、男女202人が参加したそうで、まずはじめに参加者全員の愛着スタイルをチェックしたそうな。
続いて、参加者全員に2人の女性がチャットをしている様子を見て貰ったそうです。2人の女性のうち1人は嘘をつくというもので、その嘘はチャットの様子を良く見ていると見抜けるようになっていたとのこと。
最後にどちらが嘘をついていたかを参加者に確認して、不安と嘘を見抜く力の関係を見てみたそうです。
二つ目の実験では、男女58人が参加したそうで、最初の実験と同じように、まずはじめに参加者全員の愛着スタイルをチェックしたそうな。続いて、参加者全員に1人の人物が話をしている動画を見て貰ったそうです。
最後にどちらが嘘をついていたかを参加者に確認して、不安と嘘を見抜く力の関係を見てみたそうです。
二つ目の実験では、男女58人が参加したそうで、最初の実験と同じように、まずはじめに参加者全員の愛着スタイルをチェックしたそうな。続いて、参加者全員に1人の人物が話をしている動画を見て貰ったそうです。
この動画の話は、話し手が実際に体験した内容のものと嘘の体験話しのものの2つがあったそうで、最後に話しが嘘かどうかを参加者に聞いたみたい。
2つの実験の結果、分かった事は、
2つの実験の結果、分かった事は、
- 愛着スタイルの不安型の傾向が高い人は、嘘や作り話を見抜くのが上手かった…!
- この傾向は単なる不安ではなく、人間関係の不安がある人特有の物だった…!
とのこと。
不安型は、他人に見捨てられたらどうしよう…とか、この人のそばにいたい…みたいな人間関係の距離感に対する不安があるんで、それを素早く察知するために嘘を見抜く力が高いみたいですね。
2つの実験で愛着スタイルの不安型は嘘を見抜く力が高いと出ました。しかし、これが実生活でも役立つのか不明だったので、それを調べてみよう…!となったのが三つ目の実験になります。
具体的にどうやったかと言いますと、ポーカー(トランプゲーム)のセミプロ35人に協力をお願いし、ポーカーのトーナメント戦を行ったそうです。合わせて、セミプロの愛着スタイルもチェックしたらしい。
最後に愛着スタイルとポーカーの獲得賞金の関係を見てみたら、
- 愛着スタイルの不安型の傾向が高いセミプロは、ポーカーの獲得賞金が多かった…!
- 平均して不安型のスコアが1ポイント高くなると、448チップも多く稼いでいた…!
とのこと。
ポーカーにとって相手の嘘を見抜くのは重要なポイントなのであり得る話ですな。因みに過去の研究によれば、不安な人は自分の感情を隠すのが苦手だったりするそうです。そのため、不安な人は相手の嘘を見抜く力が高い一方で嘘(特に感情の嘘)を見抜かれることも多いみたいです。
仕事をする仲間やチームには、冷静沈着な人、ポジティブな人、度胸がありプレッシャーに強い人などが必要なのは言うまでもありません。しかし、トラブルをすぐに察知しチームの為に素早く皆に知らせることが出来る人、仲間の小さな変化や悩みなどを隠す嘘にすぐ気付ける人も必要です。
是非、人間関係に不安を感じている人もチームに加えてみる、人間関係に不安を感じている人はチームでその能力を発揮してみるとよろしいのではないでしょうか…?
不安で素早く見る力がアップする…!
2012年のアメリカ国立衛生研究所の研究によると、不安とパフォーマンスの関係について調べてみたそうです。この研究は、22~34歳の健康な男女17名(男性10人、女性7人、平均年齢27歳)を対象に不安にさせつつ、混合サッケードタスクを行ってもらったそうな。
んで、混合サッケードタスク(サッケードタスクはサッカードタスク、サッケード課題などとも呼ばれる)は、プロサッケードとアンチサッケードと組み合わせたもので、それぞれについてはこんな感じ。
- プロサッケード:画面に表示されたターゲットを素早く見る…!
- アンチサッケード:画面に表示されたターゲットから素早く目をそらす…!
つまり、あっち向いてホイで示した方を素早く見るのがプロサッケード、示していない方を素早く見るのがアンチサッケードって感じですね。
このタスクを不安にさせつつ行ってもらったらしい。因みに不安にさせる具体的な方法は、
というもの。
バラエティー番組でお笑い芸人がやるゲームみたいですな(笑)
気になる結果が、
とのこと。
これは不安がもたらす長所と短所が出たからで、不安だとすぐにパッと見られるけど、一方で本当に見た物があっているかが不安になっちゃって目が離せなくなるって感じです。
- 参加者を(軽い)電気ショックで脅してみた…!
というもの。
バラエティー番組でお笑い芸人がやるゲームみたいですな(笑)
気になる結果が、
- 不安な場合、画面に表示されたターゲットを素早く見る力がアップした…!
- 不安な場合、画面に表示されたターゲットから素早く目をそらす力がダウンした…。
とのこと。
これは不安がもたらす長所と短所が出たからで、不安だとすぐにパッと見られるけど、一方で本当に見た物があっているかが不安になっちゃって目が離せなくなるって感じです。
とりあえず不安で瞬間的な観察力がアップするみたいなんでぜひ活かしていきたいですね…!
不安の長所である素早く見る力のアップはそのまま生かすとして、短所である素早く目をそらす力のダウンはどう対策すべきか…?
ここで重要なのが不安の長所でもある練習・準備です。練習や準備をしっかり行う事によって、本能、つまり無意識で動けるようになるんですよ。
例えば、救急隊員は、あらゆる事態を想定して日々訓練(練習・準備)をしています。またスポーツのプロなんかは、不安(高ストレス)にさらされると、あえて自動操縦(自動化)に切り替えます。
どちらも毎日の積み重ねで、体が覚えているのでごちゃごちゃ考えるより、任せてしまった方が勝手にいい動きをしてくれるんですよね。そのため、色々不安があっても無意識に任せちゃう、任せられるように練習・準備をしておくと良いのではないでしょうか…?
そうすれば根拠のある自信も持てますしねー。
不安の長所である素早く見る力のアップはそのまま生かすとして、短所である素早く目をそらす力のダウンはどう対策すべきか…?
ここで重要なのが不安の長所でもある練習・準備です。練習や準備をしっかり行う事によって、本能、つまり無意識で動けるようになるんですよ。
例えば、救急隊員は、あらゆる事態を想定して日々訓練(練習・準備)をしています。またスポーツのプロなんかは、不安(高ストレス)にさらされると、あえて自動操縦(自動化)に切り替えます。
どちらも毎日の積み重ねで、体が覚えているのでごちゃごちゃ考えるより、任せてしまった方が勝手にいい動きをしてくれるんですよね。そのため、色々不安があっても無意識に任せちゃう、任せられるように練習・準備をしておくと良いのではないでしょうか…?
そうすれば根拠のある自信も持てますしねー。
不安の長所を更に生かすには誠実性をアップさせるのが良いみたい…!
2013年のロチェスター大学医療センターの研究によると、性格と健康の関係について調べてみたそうです。そもそもなぜこのような研究をしようかと思ったかですが、ロチェスター大学医療センターのニコラス A. トゥリアーノ博士によれば、性格(ビッグファイブ)の誠実性と神経症傾向の両方が高いと、自分の行動の結果を比較検討する力が高く、不安になって危険な行動をとらないんじゃないか…?と思ったからみたい。
この仮説を検証する為、トゥリアーノ博士たちは、アメリカの中年の発達についての全国調査(MIDUS)のデータベースを使ったそうで、サンプル数は1,054人だったとのこと。
結果、
- 誠実性と神経症傾向の両方が高い人は441人いた。
- 誠実性と神経症傾向の両方が高い人ほど、インターロイキン6(IL-6:体内炎症)レベルが低かった…!
- 更に誠実性と神経症傾向の両方が高い人ほど、BMIも低く、持病を持っている人も少なかった…!
とのこと。
つまり仮説通り、誠実性と神経症傾向の両方が高い人、つまり真面目にコツコツやるのが得意+不安・緊張しやすい人は健康的な人が多いみたい。
ではなぜこういった方々が健康的かと言いますと、
- 神経症傾向が高いために、病気などの不安から健康的な食事や定期的な運動を行う。
- 誠実性が高いために、健康的な食事や定期的な運動をまじめにコツコツ続ける。
- 結果、健康的になる…!
っていうことらしい。不安の長所を誠実性の高さが後押ししている感じですな。
トゥリアーノ博士たちはこのような誠実性+神経症傾向の両方が高い人たちのことを「健康的な神経症傾向」と呼んでおりました。まさに不安を更に活かすヒントになる話ですね。
つまり、不安の長所を更に生かすには誠実性をアップさせるのが良いみたいです。
これまで色々な不安のメリットをご紹介してきました。
不安な場合の注意点は、不安による恐れがその人自身の向上心をも台無しにしかねないことです。そして不安になること自体にネガティブになり悩んでしまう事も気をつけなければなりません。
そのため、不安による恐れが出たらまず調査・準備という行動を開始し、しっかり準備が出来たら挑戦しましょう。すると不安がワクワクに変わり、パフォーマンスもアップしますよー。
不安や緊張は悪い物ではない…!良い効果がたくさんある…!
上記以外にも不安のメリットは様々な物がございます。
詳しくは、
をお読みいただければ幸いですが、兎に角不安はメリットがめちゃくちゃ多いんすよね。
またこの他にも、
- 不安や緊張はこれから大事なことがあると理解しているから起こる
- 不安は悪い物ではないということを知っているのが大事
- 気付いていない何かを教えてくれようとしている。よりリサーチするための信号を発している
- 不安は脳が新しいことに適応させようとしているため(但し、リスクは減らした方がいい)
ってのもあります。
更に、不安と準備について詳しく調べてくれたのがノックス大学の研究でして、不安を感じるからこそ、
- 次を考え
- 準備をし
- 分析をして前に進んでいき
- 結果、準備のモチベーションになる
そうです。
前にも紹介しましたが、スティーブ・ジョブズも何度もプレゼン練習していたそうなのでそのモチベーションは不安や緊張からきていた可能性があるといえますね~。
また、2016年のマラガ大学などの研究によると、
これらができているとモチベーションアップにつながるそうです。
もうみなさん不安はいい効果があると知りましたのであとはご自分で不安を細かく認識してみてください。
- 不安はいい効果があると知っているか?
- 不安を細かく認識できているか?
これらができているとモチベーションアップにつながるそうです。
もうみなさん不安はいい効果があると知りましたのであとはご自分で不安を細かく認識してみてください。
不安や緊張には良い効果がたくさんあるんだけども…。
ここまで読んでくださった方は不安や緊張には良い効果がたくさんあるんだ…!っというのをご理解いただけたのではないでしょうか?しかし、実は弱点が一つだけございまして…。
でもご安心下さい。ここまで読んでくださった方は皆弱点をクリアしています!
どんな弱点なんだって気になる方だけ続きをお読みください(笑)
クイーンズ大学の研究によると不安や緊張の良い効果を知っていないと効果が発揮されないそうです。
また「成功するにはポジティブ思考を捨てなさい 願望を実行計画に変えるWOOPの法則」で有名なガブリエル・エッティンゲン博士の2015年の研究でもリフレーミングをして欠点=強み・短所=長所ということに気付き、信じることが出来れば、強み・長所として活かし、実際にパフォーマンスを向上させることが出来ると結果が出ております。
これは実体験からも納得できることで、私もこれらを知る前と後では全然考え方、認識が変わり不安や緊張に対するネガティブな印象が消えて、むしろ不安や緊張がきたー!ってポジティブに捉えられるようになりました。
個人的考察
不安や緊張は使う、使い方が重要だとみなさん納得いただけたでしょうか…?
そもそも不安や緊張は、太古の昔、危険をすばやく察知し生存率をアップする為に備わった能力です。そのため、不安や緊張になると、周囲の話し声や表情など色々きになっちゃうんですよね。そのため、不安や緊張がきたら自分に良い感じだと言い聞かせる、頑張ったからこそ緊張するし不安になるんだ…!って否定せずに受け止めてください。
私も今は不安や緊張を感じると「お!良い感じだわ~」とニヤニヤしてしまいます(不気味)そもそも不安や緊張は、太古の昔、危険をすばやく察知し生存率をアップする為に備わった能力です。そのため、不安や緊張になると、周囲の話し声や表情など色々きになっちゃうんですよね。そのため、不安や緊張がきたら自分に良い感じだと言い聞かせる、頑張ったからこそ緊張するし不安になるんだ…!って否定せずに受け止めてください。