今回は良いニュースと悪いニュースの伝える順番について考えていきたいと思います。


どちらを先に言うべきか…?

障がい者支援をしていく中で良いニュースや悪いニュースを伝える場面は結構多いと思います。まずは良いニュースと悪いニュースについて考えてみます。

良いニュースとは主に褒めるようなことです。例えば、遅刻をしなかった時や、あいさつをしっかりできていた時、指示通り作業ができた時や課題をクリアした時などです。

反対に悪いニュースとは主に注意するようなことです。例えば、遅刻した時や指示を聞かない時、トラブルを起こした時などです。

これらを伝えるときに困ることはありませんかね~?
因みに私は結構ありました(笑)

例えば、こだわりの強い方、精神的に不安定の方、プライドの高い方、家族支援等の時などなかなか思うように伝わらない、聞いてくれない、分かってくれないなどあり、結構困ったことがありました。
他にも企業さんと就職や仕事の依頼のお話をする際も伝えるときに困った経験があります。

実際、良いニュースだけ伝える、悪いニュースだけ伝えるということで困るパターンは少なく、大概上記のような難しいパターンの場合は両方伝える時が多いか、又はバランスを取ろうとして両方のニュースを用意して伝えようとすることが多いと思います。

では、良いニュースと悪いニュース、どちらを先に伝えた方が良いのでしょうか?



目的や期待する効果によって順番が違う…!

どちらを先に伝えた方が良いのかを考えるにあたって、参考になるのがカリフォルニア大学リバーサイド校の論文です。
この論文によると、どちらを先にした方が良いというわけではなく目的や期待する効果によって伝える順番を変えた方が良いということです!

良いニュースと悪いニュースの順番による効果をまとめると、


  • 良いニュースを言ってから悪いニュースを伝える→効果:相手の行動を改めさせる場合
  • 悪いニュースを言ってから良いニュースを伝える→効果:信頼関係を重視する場合(自分を良くみせる場合

となるようです。

例としてわかりやすいのが健康診断です。例えば、健康診断の結果を医師から伝えられるときに、


  1. 「基本的に問題ないけど、血圧が少し高いから注意してね~」と言われた。
  2. 「血圧が少し高いけど、基本的に問題ありませんよ~」と言われた。


どうですか?1だと「少し気を付けるか~」って気になりませんか?逆に、2だと「問題ないって言われて良かった~」って感じで気を付けようと思わない感じがしませんかね。


これを知っていて支援に使用すると結構うまく伝わります。
例えば、良いニュース→悪いニュースの例だと


  • 作業は一生懸命取り組んでいて問題ないけど、遅刻は注意しましょう
  • 作業は問題なくできているので、次は、継続できるようにしていきましょう
  • トラブルがないのは素晴らしいですが、ストレスを溜めすぎないよう注意しましょう


などがあると思います。
悪いニュース→良いニュースの例だと


  • 遅刻はしているけど、仕事は集中できていていいですね
  • 波はあるけど、今日は調子が良くていいね
  • 作業を覚えるのに時間はかかりますが、家でのご家族の協力もあり少しずつ覚えてきています


といった感じです。


サンドイッチ・アプローチはあまり有効な方法ではない…!

サンドイッチアプローチとは良いニュース→悪いニュース→良いニュースとサンドイッチの具のように悪いニュースを挟む方法です。
研究者のレッグ氏曰く、「相手の気分を良くしたいなら、有効な方法だが、一般的に良い戦略とは言えない。悪いニュースが軽く扱われ、聞き手を混乱させてしまうことになる」ということ。やはり、大まかな流れは良いニュース→悪いニュースか悪いニュース→良いニュースのどちらかでいった方が良いみたいです。




良いニュースがない!そんなときは…?

悪いニュースしかどうしてもなくて良いニュースが全くない!
そんなときはどうすべきかも回答がでております。内容をまとめると、


  • はっきりとしたことが分かるまで悪いニュースを伝えるべきではない
  • 悪いニュースを伝える会話は1度限りで終わらせるべきではない

ということです。悪いニュースが本当に悪いニュースなのかをしっかり見極め、その上で悪いニュースを複数回伝えていくことは重要みたいです。



個人的考察

このテクニックは非常に汎用性が高く、使いどころの多いのが魅力だと思います。
話す内容を作っていくときの流れとしては、


①伝えたい内容が行動を変えるのが優先か、信頼関係の構築が優先かを考える

良いニュース→悪いニュースか悪いニュース→良いニュースでいくのかを先に決めることによって、話していく流れの骨格を作れるので非常に便利です。また、話の流れも骨格ができているため、散らばることが少なく、スムーズになるので何が言いたいのか伝わりやすくなります。


②紙にまとめる

紙の真ん中に線を引いて、左を良いニュース、右を悪いニュースとして話したい項目を書いていき、できた骨格に肉付けするよう書き足していくと非常にわかりやすい資料、話す内容が出来上がります。


③良いニュース・悪いニュースの両方を用意する

悪いニュースしかないときもやはり良いニュースをなんとか探して良いニュース・悪いニュースの両方を用意するのが良いかと思います。


覚えておいて損のないテクニックだと思いますので、是非お使いください。




参考文献

https://www.researchgate.net/publication/258214517_Do_You_Want_the_Good_News_or_the_Bad_News_First_The_Nature_and_Consequences_of_News_Order_Preferences