ひきこもりで困っているご家族や支援者が知るべきテクニック「若者はばたけプログラム」と「CRAFT」
前置きが長くなりましたが、今回は、全然ひきこもりをサポートする人(支援者など)や当事者(ひきこもりの方)の家族が使えるテクニックが広まっていないので自分が知っている情報を記載していこうと思います。おそらく、ひきこもりの方がご自身で行ってみてもいいと思います。
①若者はばたけプログラムってなに…?
高知県の教育委員会が作成した「若者はばたけプログラム」は素晴らしいもので非常にオススメです。「若者」と題名にありますが中高年にも使えると思います。中身をざっくり説明すると行動活性化療法から認知行動療法(具体的にはSST)を用いてサポートする感じです。指導書も用意されており、イラストや図も多くわかりやすいのが好印象でとにかく使いやすいと思います。また、研究で効果が高いテクニックを使っているのもすばらしいです。
そして、一番の魅力はこれが無料のPDFで配布されていること!高知県すごい!
と、いうことで下記に高知県や若者はばたけプログラムのURLを貼っておきます。
133ページもの大作となっているので、印刷するとまぁまぁ分厚いです。
厚さに圧倒されないよう先に言っておきますが、カリキュラムの全てを使う必要はないと思います。
中身を見て自分ができそうなところだけ部分的にやってみるぐらいでもいいと思います。
高知県のホームページ
https://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/310401/2015050700198.html
若者はばたけプログラムhttps://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/310401/files/2015050700198/file_20155100103515_1.pdf
若者はばたけプログラム 指導書
https://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/310401/files/2015050700198/file_2015511195541_1.pdf
このCRAFTをなるべくわかりやすく紹介したいと思います。
高知県のホームページ
https://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/310401/2015050700198.html
若者はばたけプログラムhttps://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/310401/files/2015050700198/file_20155100103515_1.pdf
若者はばたけプログラム 指導書
https://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/310401/files/2015050700198/file_2015511195541_1.pdf
②CRAFTってなに…?
家族が使えるテクニックとしては「CRAFT」がおすすめです。「若者はばたけプログラム」の著者でもある境泉洋教授と野中俊介教授が発表した2015年の10件の論文をまとめたメタ分析によるとCRAFTを使った結果、病院受診に至った割合は物質乱用ケースで64.9%(元々アルコール依存症患者へのテクニック)で、ひきこもりケースでは30.8%だったそうですが、ひきこもりケースでは、社会参加に至ったケースを含めた割合は61.5%であったそうです。6割が病院受診や通所施設への通所、就労などの社会参加ができたのはすばらしい!このCRAFTをなるべくわかりやすく紹介したいと思います。
そもそもCRAFTってなに?
CRAFT(Community Reinforcement and Family Training)とは本人自らが治療や社会参加を望むように環境整備をしていくことです。週1回行っていくのが基本になります。ステップは全部で7つ
ステップは全部で7つあります。
習慣についての論文(2013年南カリフォルニア大学のレビュー論文)には悪い習慣をやめるためには悪い習慣に入る前の行動を見直すといいと書かれているので効果は期待できると思います。
そして一番大事なのが「健康で生きていてありがとう」という承認を絶対に忘れないことだと思います。
是非お試しください。
https://ci.nii.ac.jp/naid/110010006208
ステップ1:家族の動機づけを高める
とにもかくにも家族が諦めていると解決は難しいです。家族の協力は必須だということをまず知ることが大事です。ステップ2:問題行動の分析
まずは観察して問題行動を調べます。特に暴力など危険が伴う行動があるときは注意深く観察します。個人的に観察や調査をするという気持ちで見ることによって家族もメタ認知(自分自身を客観視すること)ができるようになり、その場の感情に流されないですむような気がします。そのため、メンタル的も少しはいいような気がします。ステップ3:家庭内暴力の予防
ステップ2で調べた問題行動(暴力など)に至る「前の」サインに気付き予防していきます。たとえば、何時になると暴力がある、特定の人(父親とか)と顔を合わせると1週間部屋からでてこなくなるなど事前のサイン(トリガー)がわかるとそれを対策できます。習慣についての論文(2013年南カリフォルニア大学のレビュー論文)には悪い習慣をやめるためには悪い習慣に入る前の行動を見直すといいと書かれているので効果は期待できると思います。
ステップ4:家族のコミュニケーションスキルの改善
否定せず「承認」欲求を満たしていきます。承認とは、簡単に言うと「まだ何もしていない(成果がない)けど今ある状況について認めてあげること」を言います。例えば働いていなくても健康に生きていてくれることに感謝し「ありがとう」と言うといったことです。因みに成果が出た時に伝える言葉は「褒める」となります。「承認」について詳しく知りたい方はマズローの欲求5段階説の記事をみてみるといいかもしれません。ステップ5:望ましき行動を増やし望ましくない行動を減らす
「承認」から徐々に「褒める」に移行していきます。このステップは行動活性化療法という方法を使っているのでいつか詳しく紹介したいと思います。ステップ6:家族自身の生活を豊かにする
家族自身のことなんて後回し、精一杯だもん!なんて声が聞こえてきそうですが、家族が家族自身にケアをし不安を減らし余裕が持てるようになるのは超重要です。ラドバウド大学の研究によると不安はIQを下げるということです。不安や余裕がないといいアイディアも思いつきません。また、感情的にもなりやすくなるのでまずは余裕を持つのが大事だと思います。ステップ7:本人に受療や社会参加を勧める
ポイントはあくまで「自分から望み発信させる」ということです。また「無理させない」、「長期戦なんだ」ということを意識しておくといいと思います。そして一番大事なのが「健康で生きていてありがとう」という承認を絶対に忘れないことだと思います。
個人的考察
若者はばたけプログラムとCRAFTは様々な支援に応用ができると思います。例えば、ひきこもりでなくてもメンタル的に落ち込んでいる方に若者はばたけプログラムなんかは使えると思います。またCRAFTもひきこもりでなくとも家族関係がうまくいっていない障がいのある方には試してみる価値があると思います。是非お試しください。
参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjbt/41/3/41_KJ00010090704/_article/-char/ja/https://ci.nii.ac.jp/naid/110010006208