毎月恒例の月1社内研修が令和3年5月6日にありましたので、内容を備忘録としてブログに残しておきます。過去の社内研修内容を確認したい場合は下記からご覧ください。




認知行動療法の基礎と展開 第12回目「アクセプタンス&コミットメント・セラピー」






しせつちょうのメモ帳

今回の講義内容のポイントを私なりにまとめておきます。
参考程度にどうぞ。

  • アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)とは、思考や感情を抑制しようとする行動(体験の回避)や思考と現実や自己を混合する行動(認知的フュージョン)を減らし、向社会的行動の動機づけを高めて(価値の明確化)、実際にそれを生起させていく(コミットメント)臨床行動分析に基づく介入法のこと(=頭でっかちな自分は置いておいて、目の前の現実に注意を向けよう、そして、やりたいこと、やるべきことを今から始めようという治療法のこと)
  • ACTのコアプロセス図(下図)は、望ましい行動パターンを表している。


  • 「体験の回避」の逆が「アクセプタンス
  • 「認知的フュージョン」の逆が「脱フュージョン
  • 「価値づけられた方向性を定義すること」=「価値の明確化」
  • 「コミットメントされた行為」=「価値にコミットされた行為」
  • 「「今、この瞬間」に存在すること」=「プロセスとしての自己」
  • 「文脈としての自己」=「観察する自分・文脈全体を感じ取ること」=「注意の分割
  • 「「今、この瞬間」に存在すること」と「文脈としての自己」はマインドフルネスに近い行動。
  • これら6つの行動パターンを増やしていくことをACTの目標にしている。そのため、今上記6つがどれぐらいできるかアセスメントし、足りない物を増やしていく。
  • ACTは機能分析をしなくても使える。ACTで対応できなくなったときに機能分析を使っていくのが効果的。
  • ACTのポイントは外顕的行動(外から見える行動のこと)を変えること。内潜的行動(言語行動のこと=外から見えない行動のこと)を変えることではない。つまり、ACTは行動療法のため、行動活性化療法に重なる部分が重要であるということ。
  • ACTに外顕的行動と内潜的行動が併記されている理由は、言葉に表裏一体に含まれる機能であるフォースとダークサイドの双方に注目しているから。
  • フォースとは、価値を明確化しコミットメントを進める面のこと。
  • ダークサイドとは、行動変容を邪魔する認知面のこと。
  • ダークサイドへの対策を考える際、言語行動の象徴性と生成性は非常に強力なため、認知再構成は困難を極める(≒思考のクセ、考え方を変えるのは難しい)
  • そこで、文脈(=言葉全体が機能する前提)に働きかけ、象徴性や生成性を弱め、ダークサイドを減らそうとする(=そもそも言葉って何だっけ…?ってところまで遡って介入する)のがアクセプタンス脱フュージョンのような介入法。
  • 体験の回避は結果的にネガティブな私的出来事を強く感じさせる機能がある(いわゆるシロクマのリバウンド効果が働いてしまう)。例としては、不安や緊張があるときに「大丈夫…!、落ち着け…!、リラックスだ…!」と考えてしまうともっと不安や緊張が大きくなる、お化け屋敷で「怖くない…!」と思うと怖くなる(逆にマインドフルになると怖くなくなる)
  • 言葉の象徴性(フォース)を利用して、人生の方向性(文脈)を選択し、行動活性化を図る(=言葉で上手く表現できれば自分にとって影響力を持つものになる)のが、価値の明確化とコミットメントによる介入法。文脈≒環境のこと。文脈の選択(例:卒後、就職するのか、進学するのかなど)は機能分析できない。文脈を選んだ後に機能分析ができる。
  • 外顕的行動は現実と接点がないとできない。故に行動すれば現実が少し変わる。少し変わればその変わった中で次の行動をとればまた変わる。すると新しい可能性が開けてくる。
  • それに比べ、内潜的行動は本人の中で完結している為、現実は何も変わらない。
  • つまり、頭でっかちで考えていても現実は何も変わらないが外顕的行動を起こせば必ず現実はちょっとだけでも変わる。
  • 「「今、この瞬間」に存在すること」と「文脈としての自己」はマインドフルネス瞑想に関係している。
  • マインドフルネス瞑想は前段(サマタ瞑想=フォーカストアテンション)と後段(ヴィパッサナー瞑想=オープンモニタリング)からなる。
  • アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)のまとめ図(下図)




個人的考察

今回で1年かけて社内研修で行ってきた「認知行動療法の基礎と展開」は終了となります。
お疲れ様でした…!認知行動療法を基礎からしっかり学びたい方には、かなり良かったのではないかと思います。
今回の講義内容は当ブログで今まで紹介した内容とも重なる部分が多く、例えば、価値は設定するがそれが本当に自分の価値に沿っているかはやってみないと分からないという話の部分では、天職は偶然見つかる…!情熱を持ってやっていたら結果、天職になっていた…!ってところと通じているように感じます。同様に、モチベーションが上がったら行動するのではない…!行動していたらモチベーションが上がってくるのだ…!というところと共通しております。
こうみると実は非常に認知行動療法は汎用性が高く、さすがゴールドスタンダードと言えますね~。皆さんも当ブログを見直して認知行動療法に該当する記事を探してみても面白いかもしれません。
話しが変わって、動画の途中、簡単なヴィパッサナー瞑想の方法や脱フュージョンの方法の一つである葉っぱのエクササイズが出てきましたが、こちらについては今後、ご紹介していこうかと思います。


今回のポイントをまとめつつ、足りない部分を加筆したものが下記になります。合わせてご覧ください。




参考文献