【まとめ】身近に潜む恐怖!「リーキーガット症候群・腸透過性」入門
1年ほど前のとある記事にチラッと登場したリーキーガット症候群。
今回はこちらについてまとめておきます。腸透過性が増加すると怖い…!
そもそも腸内にはいくつかのバリアが存在しておりまして、体内に入ってきたもの(食べ物から細菌まで)をまず胃酸などで分解します。次に腸内細菌が抗菌物質を作って細菌の定着を防ぐんですよね。んで、残った栄養素なんかが全身に運ばれるわけですな。この一連の流れで体内に毒素が入るのを防いでいるんですが、この腸のバリアの透過性を腸透過性と言います。んで、腸透過性が増加する、つまり腸のバリアがちゃんと機能せず毒素が入ってくると体に様々な不調が出てくるんですよね。
例えば、2012年のメイヨークリニックの研究によると、過敏性腸症候群(IBS)が起きやすくなる…!って結果が出ていたり、2014年のバルパライソカトリック大学の研究では、自閉症スペクトラムの子供が最大43%、統合失調症の患者さんが最大35%も腸透過性が高かった、つまり症状が悪くなったり、発症したりしたと報告があったんだとか。また、2011年のマクマスター大学の研究によると、不安行動も多くなるみたい。
更にいくつかの発現の減少と関係がありそうな感じでして、バーッと見ていくと、
- BDNF:2011年のマクマスター大学の研究や2010年のシックキッズ病院の研究によると、動物の脳、特に海馬におけるBDNF(脳由来神経栄養因子)の発現の減少していた。また、2011年のカロリンスカ研究所の研究により、BDNFの減少で運動量が減少、不安行動が増加していた
- トリプトファン:セロトニンの材料にもなるトリプトファンも関係があるとのこと。2013年のコーク大学の研究では、正常な腸内環境、腸内バリアにより血中のトリプトファンの濃度が高かった。そして不安行動も少なくなっていた
- セロトニン:トリプトファンが関係あるんで当然セロトニンも関係あり。2010年のセント・ジョゼフズ・ヘルスケア・ハミルトンの研究によると、腸内環境が悪化すると腸透過性が高まり、結果、セロトニンの発現が減少していたんだとか
- GABA:GABAはγ-アミノ酪酸のことで、ストレス低減や興奮した神経を落ち着かせる作用がございます。2011年のコーク大学の研究により、腸内バリア・腸内環境でGABAの増減も影響を受けていたんだとか。因みにGABAの発現の変化は、不安症やうつ病にも関係している感じだったりする
のようになっております。
つまり、腸内環境の悪化で腸透過性がアップ(腸内バリアが弱まる)、結果、毒素が体に入り込んで、不調が起きたり、一方で、神経受容体の発現に影響が出て、行動や感情にも不具合が起きてしまうって感じですな。
リーキーガット症候群(腸透過性)ってなに…?
リーキーガット症候群のリーキーは漏れるって意味で、ガットは腸のこと。つまり、リーキーガット症候群とは腸内バリアが壊れ消化器官の壁に穴が開き、毒素が漏れ出している状態のことを言います。食べた物は胃から腸に運ばれますが、その際、リーキーガット症候群だと、未消化の食べ物や老化・アレルギーを促進する毒素、バクテリアなんかが漏れ出して体内に吸収されてしまうみたいなんですよね(腸透過性)
これを聞いただけでも怖い感じがするんですが、実は結構身近に起きているらしく、例えば、
これを聞いただけでも怖い感じがするんですが、実は結構身近に起きているらしく、例えば、
- アレルギー(喘息・花粉症など)
- 過敏性腸症候群(IBS)
- 炎症性腸疾患(IBD)
- セリアック病
- 大腸炎
- その他のお腹の問題(膨満感やガスなど)
- メンタル問題(うつ病など)
- 睡眠問題(不眠症など)
- 慢性炎症
などなど、あらゆる不調の温床になっていたりするみたいなんですよ…。怖いですね~。
リーキーガット(腸透過性)から不調までの流れ
2008年のルーヴァン・カトリック大学の動物実験によると、抗生物質の使用によって腸内細菌が変化し、その結果、慢性炎症や肥満、2型糖尿病などが起きるけど、原因は何なのか…?をマウスを用いて調べてみたそうです。具体的には抗生物質の使用によって腸内細菌・腸内環境を変化させて原因を探ったとのこと。
結果、
- 高脂肪食を食べることによってリーキーガット(腸透過性)が大幅に増加した…!
- リーキーガットによって毒素が漏れ出し、結果、耐糖能異常や体重・体脂肪の増加、体内炎症、酸化ストレス、内臓脂肪の増加が起こっていた…!
そうです。
つまり、流れとしては、
- 抗生物質やストレス等により腸内細菌・腸内環境が悪化する
- 高脂肪食等を食べる
- リーキーガット(腸透過性)が起きる…!
- 様々な不調が起きる…!
と言った感じ。
ぜひとも注意していきたいですね~。
なぜリーキーガット症候群が起きるのか…?
そんな怖いリーキーガット症候群がなぜ起こるのか…?その答えは多岐にわたるそうで、その中でもやっぱ一番の原因なのが食事。つまり、加工食品を筆頭とした体に良くない食べ物が腸にダメージを与え、ひいては全身の不調につながっていくといったところです。
腸にダメージを与える物を具体的に挙げていきたいのですが、セットポイントで挙げたものとかなり被っておりまして、
と言った感じ。
また、慢性ストレスも腸にダメージを与えますんで対策していきたいところです。
食事の炎症性によって体内炎症・リーキーガットが起きていた…!
2010年のニューヨーク州立大学バッファロー校の研究によると、食事とリーキーガットの関係について調べてみたそうです。
というのも、高脂肪高炭水化物食(=加工食品・ファストフード)を食べることによって、酸化や炎症が起きますが、一方で、高食物繊維と果物の食事は起きません。どちらも高炭水化物であるにも関わらず、これは一体どういうこっちゃ…?ってことで、調べてみたのが今回の研究になります。因みに研究者たちは、食事の炎症性があやしいのでは…?と仮説を立ててたみたい。
実験は健康な48人(BMI=21.5~24.4、平均年齢=25~47歳)を対象に行われたそうで、以下の4つのグループ(各12人ずつ)にランダムに振り分けたそうな。
- ブドウ糖75g(=300kcal)入りジュースを飲む(Glucola drinkを使用したらしい)
- 生クリーム(飽和脂肪70%、不飽和脂肪28%、タンパク質2%未満、炭水化物0%)33g(=300kcal)を食べる(gourmet heavy whipping creamを使用したらしい)
- 炎症性が抑えられたスペシャルオレンジジュースを飲む
- 300mlの水を飲む
前日の晩飯を断食後、上記を10分以内で摂取してもらったそうです。
データ取りの為の採血については、上記の摂取前、摂取1時間後、摂取3時間後、摂取5時間後に行ったとのこと。
結果がどうなったかと言いますと、
- ブドウ糖ジュースや生クリームを摂取した後、TNF-α(腫瘍壊死因子)やIL-1(インターロイキン1)などが大幅に増加、体内炎症が進んだ…。
- オレンジジュースや水では変化がなかった…!
とのこと。
つまり、糖質そのものが悪者ではなく、食事の炎症性によって体内炎症・リーキーガットが起きていた…!ってことですね。
リーキーガット症候群に有効な食事
リーキーガット症候群に良さそうな食事は基本的に先程挙げた項目を気にすればよろしいかと思います。目安としましては、1ヶ月程、上記を完全に取り除いた食事が望ましいみたいです。また、糖質については1日約100gまでとすると良いみたいなんで、気になる方は1ヶ月間試してみてもよろしいかもしれません。それと元々アレルギー体質の方は他にも注意した方が良い食材があるそうで、ナスやナッツ類、シード類、卵も除いた方が良い感じ。優良食品である卵もアレルギーの人は注意が必要ってことですね。
逆に積極的に食べたい物としては、
などなど。腸内環境を良くするもの全般が良い…!ってことですね。また、高FODMAP食を避け、低FODMAP食を意識する…!ってのも有効となります。
リーキーガットにはオメガ3脂肪酸が良さそう…!
2013年のアイオワ州立大学の動物実験によると、腸内の毒素と食用油との関係性について調べてみたそうです。なんでも研究者は、飽和脂肪酸(SFA)が豊富な油は腸内の毒素が増加して体中に運ばれやすく、反対にオメガ3脂肪酸が豊富な油は、腸内の毒素が減り、体中に運ばれ辛くなると予想したみたいです。実験は24頭の豚を対象に行われまして、一晩断食させた後、以下の4グループにランダムに振り分けたそうな(各グループ6頭)
ブタさんたちはお粥を10分以内に平らげたそうで、その後、食後の直後、1時間後、2時間後、3時間後、5時間に採血し、エンドトキシンをチェックしたそうです。
結果は、
- 飽和脂肪酸が豊富な食事をした後はエンドトキシン濃度が増加した…。しかし、オメガ3脂肪酸の摂取量が増えると減少していた…!
- 魚油のお粥グループは水のお粥グループと比較して、リーキーガットが50%も減少していた…!
- 逆に飽和脂肪酸はリーキーガットを60%も増加させていた…。
とのこと。
オメガ3脂肪酸はリーキーガットを抑え、体内に毒素が漏れ出すのを防いでくれるみたいですね。これは良いですな~。
腸内細菌・腸内環境の改善とプロバイオティクス・プレバイオティクスが良さそう…!
2009年のカリフォルニア大学サンディエゴ校のレビュー論文によると、腸内細菌とプロバイオティクスによる腸管上皮細胞への影響について見直ししてみたそうです。
ということで、腸内細菌・腸内環境と各栄養素のポイントをバーッと見ていきましょう。
ということで、腸内細菌・腸内環境と各栄養素のポイントをバーッと見ていきましょう。
- 窒素バランス:人間は食事により毎日約6~18gの窒素を含む食品が腸に到達するそうな。そして腸内細菌によって代謝され、最終的に約15gの窒素物質が糞便として体外に排出されるらしい。この際、腸内細菌はアミノ酸や尿素を分解し、アンモニアをリサイクルして、アンモニアや硫化水素、短鎖脂肪酸・分岐鎖脂肪酸、アミン、フェノール、インドール、ニトロソ化合物などの代謝物を蓄積するそうです。つまり、窒素を含む食品は腸粘膜の保護に役立つとのこと。因みに肝不全や腎不全になり窒素バランスが乱れた状態でプレバイオティクス(腸内細菌のエサ)やプロバイオティクス(腸内細菌その物)による治療を行うと腸内細菌による代謝が改善される可能性があるみたい。
- 炭水化物の代謝:腸内細菌は、炭水化物を短鎖脂肪酸に発酵させ、慢性炎症や弱った腸を改善する効果がある。また予防対策としても使えるそうで、プロバイオティクスの有無にかかわらず、プレバイオティクスを用いた食事で効果があったそうな。
- 脂質の代謝:肥満ってのは、カロリー摂取量、カロリー消費量、カロリー貯蔵量の身体の調節の変化によって生じる現象。実は腸内細菌は食事からのカロリー貯蔵量を調節できるんですよね。つまり、乱れた食生活(加工食品や超加工食品を食べるなど)は、異常な腸内細菌活動を呼び、結果として体内の脂肪蓄積量が増加してしまう原因となるんだとか。因みに食事中のコレステロールの34~57%がヒトの腸から吸収されるそうなんで、如何に腸内細菌の活動で肥満を呼ぶかが分かるかと。
- ビタミンとミネラルの代謝:そもそも腸内細菌は様々なビタミンを生産しております。その中でも非常にポイントになるのが、ビタミンKとビタミンB12です。これらは腸内細菌が不可欠なんですな。また、ミネラルについても腸内細菌は超大事とのこと。なんでも銅、コバルト、鉄、亜鉛は、腸内で細菌とヒトとの間で交換できる元素らしい。またカルシウムの吸収と代謝は、腸内細菌・ヒトの両方で適応変化を引き起こし生涯にわたってバランスを保つようにしているそうな。
上記を見ると、腸透過性を正常に保つ・腸のバリア機能をアップさせるには、腸内細菌・腸内環境の改善とプロバイオティクス・プレバイオティクスの摂取が役立ちそうですねー。
また2010年のカルガリー大学の研究では、特にプロバイオティクスに的を絞って調べており、腸内バリア機能をアップさせるのに有効だと言っております。また免疫調節も期待できるとのこと。
上記を踏まえて腸内バリアを正常に保っていきましょう。
個人的考察
色々な記事とつながる内容が多いんですが、気にしておいて損はないかと思います。