そういや当ブログでたまにセルフコンパッションって言葉が出てきておりましたが、詳しく書いていなかったな~と思いまして…。
セルフコンパッションを一言で言うと、あるがままを受け入れるということなんですが、今回は更にセルフコンパッションについて掘り下げていこうと思います。



セルフコンパッションってなに…?

セルフコンパッションを説明するにあたって参考にしたいのが、「セルフ・コンパッション あるがままの自分を受け入れる」という書籍。こちらは以前に登場したテキサス大学オースティン校のクリスティーン・ネフ教授の名著であります。
本書によると、セルフコンパッションとは、

  • 自分への思いやり→友だちに優しくするように自分にも優しくすること
  • 社会的な生き物という自覚→周囲の人たちと色々関わりながら生きているということに目を向けること
  • マインドフルネス:今この瞬間に目を向けること

がポイントでこれらが混ざったような意味合いみたい。
因みにセルフコンパッションが出来ている人程、

  • うつ症状になりづらい
  • 人生への満足度が高い

そうな。
これは是非押さえておきたいですね~。



セルフコンパッションがあると摂食障害に苦しみづらくなる…!

摂食障害ってのは主に過食症や拒食症のことを言いまして、過食症ってのは吐くほど食べ過ぎてしまうって症状のこと。拒食症はその逆でほとんど食べられず食べてもすぐ吐き出してしまうなんてのがあります。カレン・カーペンターが後年苦しんだ症状としても有名ですよね。
過食症は過度なストレスのはけ口として、食べるという行為で逃げようとする回避行動の一種です。拒食症は過度なダイエットやスリムさを追い求めた結果、認知が歪んで起こる事が多いそうです。
一度なってしまうとなかなか食べるのが止められないor食べられなくなる辛い症状なんですが、2014年のウォータールー大学の研究によると、どうやらこの摂食障害にセルフコンパッションが有効みたいなんです。
この研究では女子大学生153人を対象にセルフコンパッションがBMI(ボディマス指数)や摂食障害、体のイメージについて効果があるのかを調べたんだそうな。
結果は以下の通りとなっております。

  • セルフコンパッションの低い女性の食事とBMIは関係があった
  • セルフコンパッションの高い女性の食事とBMIは無関係だった
  • セルフコンパッションの低い女性とボディイメージは関係があった
  • セルフコンパッションの高い女性とボディイメージは無関係だった

ってことで、つまり、まとめると

  • セルフコンパッションが高い女性ほど、BMIやボディイメージを受け入れており、摂食障害も起きづらい傾向にあった…!
  • セルフコンパッションが低い女性ほど、BMIやボディイメージを受け入れられず、摂食障害も起きやすい傾向にあった…。

のような感じとなっております。
セルフコンパッションという、自分への思いやりを持つことで否定的なボディイメージの経験を受け入れられるみたい。また、セルフコンパッションのレベルが高ければ高い程、摂食障害などのリスクも少なるため、保護するのに役立つ可能性があるみたいですね。摂食障害に苦しまず楽しい食事が送れるためにセルフコンパッションを鍛えるのは良いんじゃないでしょうか…?



セルフコンパッションの鍛え方

続きまして、気になるセルフコンパッションの鍛え方ですが、ネフ教授によると、まずは自分に優しくしてね…!とのこと。どういうことかと言うと、セルフコンパッションが低めな方は自己批判が非常に多いんですよね~。そのため、友だちに接するように、優しく、寄り添うように自己批判について理解するよう努めるのが良いみたい。実際本書でネフ教授も、自分の中にいる批判者に最も優しく親身にポジティブに接するのが良いよ…!っておっしゃっておりますんで、この当たりは基本になりそうですね~。
じゃあ、実際どうやればいいのかですが、ネフ教授は以下のようなトレーニングの実験をしたそうな。

  1. まず参加者に超安全地帯を想像してもらう
  2. 次に優しくて慈悲にあふれた理想的な人物を想像してもらう(偉人でもアニメやゲームのキャラでも何でもOK。この当たりは自信のところと似ている)
  3. その人物が優しく、寄り添うように聞いてくれるところを想像してもらう
  4. 上記の人物がすぐに対応してくれるよう、くり返していく(象を調教するように

つまり、安心できる環境下で理想的な人物に自己批判を都度、対応してもらうってことですね。このトレーニング実験の結果、

  • うつ症状が大幅に減った…!
  • 自己批判が大幅に減った…!
  • 劣等感が大幅に減った…!
  • 恥の気持ちが大幅に減った…!

らしい。
これは使えそうですね~。
ポイントは

  • ネガティブに気付く…!(特に自己批判が激しい人は自己批判に気付けない場合が多い。そこまでの方は気づきの訓練(瞑想とか)が効果的)
  • ネガティブな思考は否定しない…!(この当たりはRAINに似ている)
  • 非論理的な自己批判には論理的に反論…!(いつもダメだ→正しいときもあるよね?みたいな感じ。以前に紹介したSFAの例外を聞く質問のようなイメージ)
  • 代替案を提示…!

だったそうなんでぜひ、覚えておきたいところです。



セルフコンパッションのダイエットでの例

ネフ教授のダイエットの例が分かりやすいんでこれも書いときます。

  1. ダイエット中にお菓子を食べてしまった…!
  2. ここで架空のお婆ちゃんがこう言ってきた。
  3. あなたは悲しい気分を消すためにお菓子をたくさん食べちゃったのね。でも、罪悪感が出て、もっと気分が悪くなったみたいね。
  4. 悲しい気分を幸せに変えたいなら、これから散歩にでも行きませんか…?

みたいな感じ。分かりやすい例えですよね~。



その他のセルフコンパッションの鍛え方

その他のセルフコンパッションの鍛え方として、おすすめなのが、


になります。
いずれも手軽にできて効果も高いみたいなんでまずはこの辺から行い、自己批判をせずに自分に優しく寄り添いながらじっくりメンタルを鍛えていくのもよろしいかと思います。



セルフコンパッションの誤解

最後にセルフコンパッションで良くある誤解として、

  • ナルシストと同じ…?
  • 自己満足ってこと…?
  • 自己憐憫をしろと…?
  • 自尊心(自信)か…!

といったようなことが挙がることがあります。実は全て別物です。これらのようなものについてネフ教授は以前に紹介した2003年のロイ・バウマイスター博士の有名な研究を例に説明しております。この研究では自信が高くても、

  • 学校の成績
  • 仕事のパフォーマンス
  • リーダーシップ
  • 喫煙
  • 飲酒
  • 違法ドラッグ
  • 乱れた性行為

など、全てにおいて意味がなかった。むしろ、悪影響すら有り得る…!って結果だったんですが、それに比べセルフコンパッションはメリットが多く、副作用は少ないそうです。ただし、ここで勘違いしてはいけないのがセルフコンパッションと自信は相反するものではないということ。というのも、自分への思いやりを持てれば、自然と自信が高くなり、更にセルフコンパッションが高くなれば不安症状、うつ症状が減り、幸福感や楽観性が高くなるそうなんですよね。
是非この当たりは勘違いせずにいきたいところです。



個人的考察

セルフコンパッションはいかがでしたか…?
セルフコンパッションが高まればネガティブによる自己批判が軽減し、結果、メンタルに良い影響があるみたいなんで、焦らずじっくりと鍛えて行くのがよろしいかと思います。
中~長期的なメンタルトレーニング法としてコーピングレパートリー(自分なりの体調安定法)に加えるのもおすすめです。



参考文献