認知行動療法(CBT)の効果を調べた研究を片っ端から見てみる! その16
「認知行動療法(CBT)の効果を調べた研究を片っ端から見てみる!」シリーズの続きです。
うつ病患者を対象に市販のスマホアプリのマインドフルネス介入の効果を初めてRCTで調べてみた…!
2024年のバーゼル大学の研究によると、うつ病患者を対象に市販のスマホアプリのマインドフルネス介入の効果を初めてRCTで調べてみたそうです。
そもそもうつ病に対するネットベースの介入は、有効で、気軽に出来て、コスパも良いと言われておりました。また治療を受けられない、受けたくないっていう、うつ病患者にとっても良い選択肢となり得ると期待されているんですよね。
一方でアプリベースの介入も期待されておりまして、例えば2022年のIdISBaのメタ分析を見てみると、アプリベースの介入でうつ病の重症度が中程度に軽減した…!って感じだったんですよ。
そしてマインドフルネスストレス低減法(MBSR)やマインドフルネス認知療法(MBCT)のようなマインドフルネス介入も、うつ病治療に効果的とここ数十年に亘って注目を集めております。また、マインドフルネス介入はアプリで行うものが色々出ているんですな。
その中でもよく研究で使われる代表的な市販のアプリが「Headspace」ってやつです。先行研究によれば、ストレスレベル、マインドワンダリング、ポジティブ感情やネガティブ感情といったものが改善されるみたいなんですな。但し、こういった研究はまだ始まったばかりで数が少なく実際あんまり効果は分かっていないとのこと。
そこで今回RCTを用いて調べてみることにしたんだとか。
この研究はうつ病と診断された患者さん83名が参加したもので、うち47名が再発性うつ病と診断され、36名が主な診断としてうつ病エピソードを持っていたというもの。また18名が1つ以上の精神疾患を併発していたんだとか。
んで、まず最初に参加者全員を以下の2グループにランダムに振り分けたそうな。
- アプリグループ:「Headspace」+通常の治療を行う(41名)
- コントロールグループ:通常の治療を行う(42名)
併せて、スタート時と30日後の実験終了時にメンタルの状態(ベックうつ病尺度とハミルトンうつ病評価尺度を使用)や心拍数、血圧をチェックしたみたい。
因みにアプリグループについてもうちょい詳しく見てみると以下な感じでした。
因みにアプリグループについてもうちょい詳しく見てみると以下な感じでした。
- 使ったアプリは「Headspace」。これを毎日30日間使用した。
- ガイド付き瞑想/マインドフルネスセッションを10回行う基本コースを使用した。
- 参加者は基本コースを3周した(毎日30日間やったので)
- 各セッションの時間は、3分、5分、10分。1周目は1セッションあたり3分、2周目は5分、3周目は10分で行った。
- 参加者全員は、1日に1セッション、自分の好きな時間で行った。
- 毎日アプリを使用し続けられるように、参加者には毎週メールでリマインダーが届いた。
それでは結果を見てみましょう。
- スタート時の参加者全員のうつ病の重症度は軽度相当だった。
- アプリグループは、コントロールグループよりもハミルトンうつ病評価尺度のスコアが有意に低下していた=より大きくうつ病症状が改善していた…!
- アプリグループは、コントロールグループよりも収縮期血圧が低かった…!
スマホアプリでのマインドフルネス介入でもうつ症状が改善したんですね。また収縮期血圧も下がっていたんでストレスも減っていたんじゃないでしょうか…?
ということでこの結果に研究者曰く、
- スマホアプリによる短期のマインドフルネス介入(30日間)は、うつ病患者に対する通常の治療の補助治療として良い可能性がある
としております。
