この記事は、当事業所の社内研修で行いたかったが時間の都合上出来なかった内容を載せている物になります。
具体的には認知行動療法マップ(CBTマップ)の「認知行動療法の共通基盤マニュアル」を私なりにまとめたものです。
それでは続きをどうぞー。



ソクラテス式問答法(ソクラテス式問答・ソクラテス的質問法・導かれた発見)

ソクラテス式問答法(ソクラテス式問答・ソクラテス的質問法・Socratic questioning)とは、導かれた発見(guided discovery)とも言われ、自己発見を促す(自分で気付いてもらうよう促していく)支援者のあり方や質問の仕方の事を言う。他人から一方的に教わったことよりも、自分自身が考えたり体験したりしたことから得た(発見した)ことの方が、すんなり入りやすく、深い学びをもたらし、行動変容につながりやすい(実際に行動に移してくれる)。
例えば、活動記録表を支援者がみて利用者に「あなたは〇〇な傾向があるようですね」と言ってしまうのではなく、支援者と利用者が一緒に見て、

  • 活動記録表を書いてみてどう思いましたか…?
  • 活動記録表を書いてみて何か気づいたことはありますか…?
  • 活動記録表を見直ししてみた結果、気分が上がるのはどういった時ですか…?

などと質問しながら、気づきを促していくのがソクラテス式問答法である。
利用者が気づいていないものに気付かせる質問の仕方としては、

  • 利用者の考えの根拠をたずねる
  • その時に感じたことや考えたことを具体的に聞く
  • 別の解釈ができないかを話し合う
  • 長所と短所を比較・評価する

といったことが効果的。
また、質問の大まかな流れとしては、オープンクエスチョン(例:何ラーメンが好きですか…?のような複数の答え方が出来る質問)から始め、徐々にクローズドクエスチョン(例:醤油ラーメンは好きですか…?のような、はいかいいえで答える質問)に移行していくと良い
具体的な流れの例は下記となる。

【最初:オープンクエスチョンを使った広い質問】
  • 趣味は何ですか…?
  • その時、何を考えていましたか…?
  • 治療の目標は何でしょう…?
  • どうなりたいですか…?
  • その時、どんな気分になりましたか…?

【中間:ちょっと狭めた質問】
  • 何をしている時が楽しいですか…?
  • その時、あなたの頭にどのような考えが浮かんでいましたか…?
  • 何ができるようになったら、あなたは病気が治ったといえるでしょうか…?
  • そのように考えると、どのような気分になりますか…?

【最後:クローズドクエスチョンを使った狭い質問】
  • ○○をしている時も楽しいですか…?
  • ○○の時、○○が頭に浮かんでいましたか…?
  • ○○をやってみて、あなたは病気が治りつつありますか…?
  • ○○を考えて気分がネガティブになりましたか…?

更に、問題点(うまくいっていない点)だけでなく、長所やうまくできていることも話題にしながら、問題にどう対処していくとよいかを話し合うと良い。個人的にここはポイントでして、前に書いた通りどうしても支援をしていると問題点に目がいきがちになるんですよね。また人間はネガティブに目がいきやすいので(ネガティブバイアスがあるので)、意識しないとついつい問題点・悪い所ばかり目がいってしまいます。だからこそ、長所・良い所にも目を向けて話題に挙げて褒めます。
因みに理想は「良い:悪い」が「5:5」ぐらいになるようにする、つまり良い事と悪い事が同じぐらいになるように本人や家族等に伝えていくことですが、上記に挙げたように問題点・悪い所が多くなりがちなんで、長所・良い所を気持ち多めにしておくと、着地点が「5:5」になる印象です。



個人的考察

以上「ソクラテス式問答法(ソクラテス式問答・ソクラテス的質問法・導かれた発見)」でした。
私もついつい忘れがちなんで定期的に思い出して、意識し直しております。繰り返しになりますが基礎基本は大事…!
次回は「行動活性化と行動実験」のご紹介です…!



参考文献