「認知行動療法の共通基盤マニュアル」のポイントを抑えよう!その9「段階的暴露」
具体的には認知行動療法マップ(CBTマップ)の「認知行動療法の共通基盤マニュアル」を私なりにまとめたものです。
段階的暴露の基礎理解
回避行動は不安や恐怖が軽減するため、短期的には楽になる。しかし、長期的には、対象に対する不安や恐怖は消えないし、回避する状況や場所も増えて日常生活に支障をきたすことになる。その結果、不安の対象に接すると不安が高まる(不安が不安を呼ぶ)。しかし、それは一時的であり、そのまま対象に接し続けている(不安な状態のままでいる)と不安は時間とともに下がってくる(馴化:慣れてくること)。この馴化を利用した治療法が暴露療法(エクスポージャー)である。
そして不安は、
- 時間の経過とともに下がる(セッション内馴化)
- 不安の暴露を繰り返すことによって下がる(セッション間馴化)
のようになっていく。
イメージは下記画像となる。
注意点としては、不安強度の高すぎる場合で暴露療法を行うと、圧倒されて馴化が生じる前にその状況から逃げ出してしまう可能性がある。そのため、小さくて取り組みやすい(容易な)課題から段階的に暴露していくのが望ましい。これを段階的暴露と言う。
段階的暴露では、不安を誘発する刺激の表「不安階層表」を作成し、それを基に、不安レベルの低いものから、1ステップずつ段階を追って、不安レベルの高い刺激に暴露していく。
また、段階的暴露の前に、不安や恐怖の仕組みと、暴露療法の仕組みについての理論的根拠を十分に説明する必要がある。
また、段階的暴露の前に、不安や恐怖の仕組みと、暴露療法の仕組みについての理論的根拠を十分に説明する必要がある。
段階的暴露の手順と実施のポイント
実際に段階的暴露を行う場合の手順は下記となる。- 不安階層表の作成
- 暴露の実施
- 暴露の仕方
次に各手順の実施ポイントを見ていく。
1. 不安階層表の作成
まずは不安階層表を作成する。ポイントは以下となる。- 具体的な内容にする:「人混みの中でも普通でいられる」や「遠くに旅行に行く」のような抽象的な内容にせず、「近所のショッピングモールで20分間過ごす」や「空いている時間に一人で電車に3駅乗る」のようになるべく細かく状況を決める。
- 不安レベル(不安度)をつける:最大の不安を感じる場合を100点、全く不安を感じない場合を0点として不安レベル(不安度)の点数をつけていく。
- 不安レベル(不安度)でリストアップする:不安レベル(不安度)が低い物から高い物まで、異なる段階(通常、8~12段階で設定)を網羅するようにリストアップする。
- 実際に行う予定を決める:リストの一番下(不安レベル・不安度が一番低い項目)から、実際に行う予定を決めていく。この時、利用者メインにしつつ支援者も一緒に考えていく。
不安階層表のイメージは下記となる。因みにSUD(subjective unit of disturbance:主観的障害単位尺度)とは不安レベル・不安度のこと。
2. 暴露の実施
暴露の実施中は、
- 実際の不安レベルはどの程度であったか…?
- その不安レベルが時間とともにどう変化したか(どの程度弱まったか)…?
の点数を5分おきぐらいに記録してもらう。その時、暴露を繰り返すごとに少しずつ不安が減少するということを経験してもらい、最終的にその状況が不安や恐怖を引き起こさなくなるまで繰り返していく。
3. 暴露の仕方
暴露の仕方には、イメージ暴露と現実暴露の2つがある。【イメージ暴露】
イメージ暴露では、問題の場面に実際にいるかのようにイメージしてもらい、自分がどのような反応をとると思うかを想像してもらう。その際、不安に関連する刺激をできるだけ鮮明に体験できるように、きっかけとなる合図を出すようにする。イメージ暴露を行う際の流れは以下となる。
PTSDではトラウマに関連した出来事を考えることを回避しているため、イメージ暴露が有用となる可能性がある。また、現実に再現することが難しい場合(例:血への接触恐怖など)にもイメージ暴露は役に立つ。
【現実暴露】
- 不安階層表の一番下の状況をなるべく鮮明にイメージする。
- 認知再構成、リラクゼーション、思考停止などの認知行動療法テクニックを使い、不安を和らげる。
- もう一度同じ状況をなるべく鮮明にイメージする。
- 認知行動療法テクニックを使い、不安を和らげる。
- 最小限の不安(不安レベルが30%ぐらい)しか呼び起こさなくなるまで繰り返す。
- 不安が出なくなったら、次の不安レベルの状況に移行する。
PTSDではトラウマに関連した出来事を考えることを回避しているため、イメージ暴露が有用となる可能性がある。また、現実に再現することが難しい場合(例:血への接触恐怖など)にもイメージ暴露は役に立つ。
【現実暴露】
現実暴露とは、利用者が恐怖を呼び起こす刺激に実際に直面してもらい、その不安と対峙する方法のことを言う。
現実暴露を行う際の流れは以下となる。
現実暴露を行う際の流れは以下となる。
- 不安階層表の一番下の状況に実際になってみる。
- 認知再構成、リラクゼーション、思考停止などの認知行動療法テクニックを使い、不安を和らげる。
- もう一度同じ状況になってもらう。
- 認知行動療法テクニックを使い、不安を和らげる。
- 最小限の不安(不安レベルが30%ぐらい)しか呼び起こさなくなるまで繰り返す。
- 不安が出なくなったら、次の不安レベルの状況に移行する。
個人的考察
以上「段階的暴露」でした。
次回は「リラクゼーション(リラクセーション)」をご紹介します…!


