【まとめ】自己アピール(自己PR)のタイミングと気を付けるべきポイント
就職活動で必ずと言っていい程あるものの一つが面接となります。そして面接でこれまた必ずと言っていい程聞かれるものとしてあるのが自己アピールです。自己アピールは直接、質問で「自己アピール(自己PR)をしてください」と聞かれることもありますし、質問の回答時に自己アピールをしつつ答えるって場面もあります。
ということで今回は自己アピールの仕方についてご紹介します。
就職活動の面接練習・面接対策(当事業所では面接対策シートとか面接受け答えシートの作成)で役立ちますし、日常生活からビジネスまでと、幅広く使えるんでここは押さえておくとよろしいかと思います。
自己アピール(自己PR)はどうやってすべきか…?
いきなりですが、自己アピール(自己PR)をするのは皆さん得意ですか…?
自分や会社のアピールが必要な場面は多々ありますが、実際どうしてなかなか難しいですよね~。
例えば、やり過ぎれば自慢になってしまい、果てはナルシストなんて感じにとらえられてしまうし、アピールしなければ誰にも気づかれずに終わってしまう…。
要はいつもと同じ結論で、どちらにしても過ぎるは良くないんですが、じゃあ妥協点はどこなんだと…。
ということで、今回参考にしていくのが1972年(古っ)の研究です。
これによれば、自己アピールのタイミングは話の流れが大事なんだそうな。
全体の大まかな話の流れとしては、
- 前半は相手への質問を中心にする。内面をほめる(なるべく具体的に)
- 後半になればなるほど自分が喋りたい事を質問していく
- その中で自己アピールをしていく
と言った感じが良いみたいです。最初は相手に興味をもって質問したり、内面をほめていくことによって相手に「自分の話をしっかり聞いてくれたから相手の話もしっかり聞かないと…。」と思ってもらいます(これを「返報性の原理」なんて言います)。そして、自分が話したい内容に徐々に質問を寄せていき、話す比重を少しずつ増やし、自己アピールをします。要は前半は相手の聞く姿勢作り、聞く姿勢作り完成後自己アピールって感じですね。
考えてみれば当たり前な話でどんないいアピールも相手が聞いてくれなければ意味はないし、中途半端に聞いてしまうと自慢に聞こえてしまう可能性がありますからね~。
そして、肝心の自己アピールですが、まず自己アピール=自慢ではないということを抑えておくのが重要です。では、自己アピールとは何かというと事実を述べる、提供することをいいます。
まとめると、
- 自己アピール≠自慢
- 自己アピール=事実を述べる、提供する
となります。じゃあ、事実ってなんだろう…?ってなる方もいるかもしれませんが、断定的な言葉を使わないものを選んだり、客観的な証拠のあるものを選ぶのがよろしいかと…。
断定的な言葉とは、「だろう」とか「思う」みたいな不確かな感じのする言葉です。つまり、はっきり言い切れるものが事実となります。
客観的な証拠とは、結果として現れた数字や第三者が評価したもの(資格とか、賞とか)となります。要は実績ですね。
この当たりを自分に上手く当てはめて使うとよろしいかと思います。
自慢(自己PR・自己アピール)はストレートにすべきか否か…?
当ブログで何度か登場しているフランチェスカ・ジーノ教授。
例えば、
で、ご登場しているのですが、まぁ、面白い研究をしているんですよね。
- 今初めて明かす「永年勤続表彰制度」ってなんであんなルールにしたのか?
- 他人からの意見で自分の考えを変えるべきか?変えないべきか?
- 困ったら、何をすれば良いだろうかと考えずにこう考えよう!っていう、ハーバードビジネススクールの話
- 他人を頼れる人は優秀な人なんだよ!って話
で、ご登場しているのですが、まぁ、面白い研究をしているんですよね。
そんなハーバードビジネススクールのフランチェスカ・ジーノ教授の2017年の研究によると、SNSや職場、日常生活などあらゆる場面で謙虚な自慢がしょっちゅう行われているけど、あれって効果的なのか…?について調べてみたそうです。因みに謙虚な自慢の例はこんな感じ。
- 自分をモデルと間違える人にうんざりしちゃう…!
- 私がグループの発表者になるだなんて信じられない…!
- 自分は仕事が出来るからすぐ終わっちゃって暇な時間が多いんだよね~
- なぜ、すっぴんでもモテちゃうのかな~?
…。
うあ~。どれも嫌な感じっすね(笑)
んで、こんな自慢をされて他人はどう思うのか、全部で7つの実験を行ったそうな。
実験のざっくりした内容と結果は下記な感じ。
- 日常生活での謙虚な自慢について調べた。結果、日常生活での謙虚な自慢は一般的であり、自慢を隠すために謙虚な自慢を皆していた…。
- ログから謙虚な自慢について調べた。結果、謙虚な自慢は一週間を通して普通に行われていた。具体的には、少なくとも1回以上、謙虚な自慢をみかけた人は45.09%だった…。
- 謙虚な自慢が行動に及ぼす影響について調べた。結果、謙虚な自慢をする人はストレートに自慢する人に比べ、ボランティアに参加してくれる可能性が低かった…。
- 謙虚な自慢をする人はどう思われるのか調べた。結果、能力が低い、不誠実だと思われた…。
- 苦情に対して謙虚な自慢をした時どうなるのか調べた。結果、より嫌な奴に見られた上に、不誠実にもみられた…。
- 謙虚な自慢と心の広さを調べた。結果、ストレートに自慢した人に比べ、謙虚な自慢者は不誠実と見なされ好かれなかった。また心も狭いように思われた…。
- 上記研究で、謙虚な自慢は人に嫌われ、不誠実であると思われたが、にもかかわらず、いたるところで謙虚な自慢をしていた。そこで、謙虚な自慢の前例を調べてみた。結果、人々は謙虚な自慢で皆の共感(同情や賞賛)をもらおうとしているけど、実際、その戦略は裏目に出ていた…。
う~ん。バイアスを強く感じる結果ですね~。
この結果に研究者曰く、謙虚な自慢は他に類を見ないほど効果的ではない。しかし、メディア、職場、そして日常生活などの社会における謙虚な自慢の急増は、人々がそれを効果的な戦略であると信じているからだ。それでも私たちは人々が謙虚な自慢を安易にすることを軽蔑したい。ストレートに自慢するか謙虚に自慢するかを選ぶ場合は、前者を選択する必要があり、少なくとも誠実に見えるからだ、とのこと。
どうやら自慢はストレートにした方が良さそうですねー。
上記を就職活動の場面に活かすのであれば、自己PR・自己アピールは小細工なしにストレートにすべし…!ってことになりそうですねー。
どうしても回りくどくやっちゃいたくなるのが人間なんで、意識して気を付けて行こうと思いました。
自己PR(自慢)は他人にその内容を決めてもらうと効果的…!
2009年のアムステルダム自由大学の研究によると、自分が書いた自己PRと他者が書いた自己PRの違いについて調べてみたそうです。
この研究は4つの実験からなりまして、全て、本人が書いた自己PRと第三者に書いてもらった自己PRにおける、その人の印象がどう影響するのかをチェックしております。
結果は、
- 自分で書いた自己PR(=自慢)は、良い印象につながらない可能性があったが、他者に書いてもらった自己PRはバイアスの影響の受けにくく、相手方に良い印象を与える可能性が高かった…!
とのこと。
自慢する内容は他人に決めてもらったり、書いてもらったりした方が効果的…!ってのは面白いですね~。
では具体的に他人に自分の自慢を決めてもらうと、どのような部分で印象が良くなるのかと言いますと、
- 社交性関係(コミュニケーション面)
- ポジティブな能力関係
というところだったらしい。
これらの良い効果について、男女の影響は関係ないそうで、また、ネガティブな部分を自分で書いた場合、他人に書いてもらったような良い効果はなかったそうです。
ではなぜ自己PR(自慢)を自分で考えるとダメで他人に考えてもらうと良いのかですが、研究者曰く、
- 自慢の評価の基礎となる関連情報を持っていないから
とのこと。
他人はその人の自慢部分について基礎情報がないんでバイアスを受けづらいみたいですね。それに対して、自分で自慢を考えた場合、いろんな情報を持っていてついついバイアスに飲まれちゃうみたい。これは確かにありそうですな。
過去の実績vs未来の可能性
自己アピールをするときよく話す代表的な内容が、過去の実績と未来の可能性です。
過去の実績とは例えば、
- ○○大学卒業
- ○○の資格取得
- ○○の賞を受賞
- 社内で○○の成績をとった
- ○○の役職・責任者に抜擢された
と言ったものが挙げられるかと思います。
まぁ、よく面接で話す、聞く内容ではないかと…。
続いて未来の可能性とは例えば、
- 入社後○○したい
- 5年後○○できるようになります
- ○○が得意なので、入社したら活かしていきたい
- ○○で役立てられると思います
- ○○になれるよう○○をしていきたい
みたいな感じ。
こちらも良く聞く内容ですね。
っとここで疑問なのがどちらのアピールが良いのかということ。
どちらも両方良く聞く内容ですがぶっちゃけ面接で受かりやすくなる回答はどっちなんだと。そこんところを調べてくれたのが、2012年のスタンフォード大学・ハーバード大学の共同研究になります。早速結論を書いてしまうと、過去の実績より未来の可能性を感じさせる自己アピールをする方が良いということです。理由は一言でいうと有能にみえるからなんだとか。
確かに、「昔○○の資格を取得しました」とアピールされるより「現在○○の資格取得に向けて勉強しており、取得後資格を活かして御社の役に立ちたい」って方が入社しても頑張ってくれそう…!って感じがしますもんね~。
更に面接ではないですが営業の人の話や投資の話なんかは未来の可能性を感じさせる方が説得力がありますもんね~。そういえば前に生産活動のところで具体的に幸せになっている所を想像させるよう話すと商品が売れる可能性が高まるよ…!っていうのを書きましたがあれも未来の可能性を感じさせる言い方と言えますね。
更に面接ではないですが営業の人の話や投資の話なんかは未来の可能性を感じさせる方が説得力がありますもんね~。そういえば前に生産活動のところで具体的に幸せになっている所を想像させるよう話すと商品が売れる可能性が高まるよ…!っていうのを書きましたがあれも未来の可能性を感じさせる言い方と言えますね。
今回の内容は学歴がアピールできるほどではない、資格がない、就労経験がない(職歴がない)と言ったアピールポイントに困っている方には朗報ではないかと思います。特に新卒や中退、学校卒業後、就労支援事業所に通所した方なんかは自己アピールで困っている場合が多いので参考になるかと思います。
今回の研究を踏まえて個人的には過去の実績にとらわれることなくそれを活かして未来の可能性をアピールするってのがベストな気がしています。良ければお使いください。
質問からの自慢が良い印象を呼ぶ…!
2009年のハイファ大学の研究によると、自慢話(自己PR)とその印象について調べてみたそうです。
なんでも先行研究によれば、相手の質問に答えた自慢ってのは良い印象を与えるみたいなんですよね。なんで、
- 相手から質問があったか…?
- 自分が上手く会話を持って行って相手に質問させたか…?
に関係なく、質問に続く自慢は総じて良い印象を与えるんじゃないか…?と研究者は仮定したみたい。
この仮説を検証する為、2つの実験を行っております。
まずは一つ目の実験から見ていきます。
この実験はイスラエルの大学生105人(平均年齢23.64歳、女性72%男性26%2人は性別未回答)を対象に行われたそうで、参加者は以下の4つの実験条件にランダムに割り当てられたそうな。
- 自分から会話を始めた+質問ありパターン
- 自分から会話を始めた+質問なしパターン
- 相手から会話を始めた+質問ありパターン
- 相手から会話を始めた+質問なしパターン
それぞれの詳しい内容は以下のようになっておりました。
自分から会話を始めた+質問ありパターン
参加者には以下の話を想像してもらったそうです。
アヴィとダニーは数年前からの知り合いで、同じ大学に通っています。講義と講義の間の休憩中にカフェで二人は出逢いました。コーヒーを飲みながら、前の週に何をしたか、週末の計画はどうかについて話しました。
その時の会話がこちらです。
- アヴィ:最近、勉強の調子はどう…?
- ダニー:すんごい大変。アヴィは…?
- アヴィ:すんごい大変。統計学の成績が貼り出されていたけど見た…?(自分から会話を始めた)
- ダニー:見た見た。掲示板の前を通りかかった時にね。成績はどうだった…?(質問あり)
- アヴィ:実は最近、学校の成績が良いんだよね…!今回の成績はA+だったの…!
- ダニー:そうなんだ、あ、講義が始まるからいかないと…!
- アヴィ:行こう…!
自分から会話を始めた+質問なしパターン
参加者には以下の話を想像してもらったそうです。
アヴィとダニーは数年前からの知り合いで、同じ大学に通っています。講義と講義の間の休憩中にカフェで二人は出逢いました。コーヒーを飲みながら、前の週に何をしたか、週末の計画はどうかについて話しました。その時の会話がこちらです。
アヴィとダニーは数年前からの知り合いで、同じ大学に通っています。講義と講義の間の休憩中にカフェで二人は出逢いました。コーヒーを飲みながら、前の週に何をしたか、週末の計画はどうかについて話しました。その時の会話がこちらです。
- アヴィ:最近、勉強の調子はどう…?
- ダニー:すんごい大変。アヴィは…?
- アヴィ:すんごい大変。統計学の成績が貼り出されていたけど見た…?(自分から会話を始めた)
- ダニー:見た見た。掲示板の前を通りかかった時にね。(質問なし)
- アヴィ:実は最近、学校の成績が良いんだよね…!今回の成績はA+だったの…!
- ダニー:そうなんだ、あ、講義が始まるからいかないと…!
- アヴィ:行こう…!
相手から会話を始めた+質問ありパターン
参加者には以下の話を想像してもらったそうです。
アヴィとダニーは数年前からの知り合いで、同じ大学に通っています。講義と講義の間の休憩中にカフェで二人は出逢いました。コーヒーを飲みながら、前の週に何をしたか、週末の計画はどうかについて話しました。その時の会話がこちらです。
- アヴィ:最近、勉強の調子はどう…?
- ダニー:すんごい大変。アヴィは…?
- アヴィ:すんごい大変。
- ダニー:統計学の成績が貼り出されていたけど見た…?(相手から会話を始めた)成績はどうだった…?(質問あり)
- アヴィ:実は最近、学校の成績が良いんだよね…!今回の成績はA+だったの…!
- ダニー:そうなんだ、あ、講義が始まるからいかないと…!
- アヴィ:行こう…!
相手から会話を始めた+質問なしパターン
参加者には以下の話を想像してもらったそうです。
アヴィとダニーは数年前からの知り合いで、同じ大学に通っています。講義と講義の間の休憩中にカフェで二人は出逢いました。コーヒーを飲みながら、前の週に何をしたか、週末の計画はどうかについて話しました。その時の会話がこちらです。
- アヴィ:最近、勉強の調子はどう…?
- ダニー:すんごい大変。アヴィは…?
- アヴィ:すんごい大変。
- ダニー:統計学の成績が貼り出されていたけど見た…?(相手から会話を始めた)(質問なし)
- アヴィ:見た…!実は最近、学校の成績が良いんだよね…!今回の成績はA+だったの…!
- ダニー:そうなんだ、あ、講義が始まるからいかないと…!
- アヴィ:行こう…!
上記の話を読んでもらった後、参加者にアンケートを実施し、アヴィの印象を5段階で評価してもらったそうです。因みに評価項目は社交的か、傲慢か、操作的か、深く考えるタイプか、自慢好きか、利己的か、良好な社会的関係かだったとのこと。
更に参加者はアヴィとダニーの新密度も5段階で評価してもらったらしい。
合わせて、参加者はアヴィに
- どのぐらい良い印象を思ったか…?
- どの程度友達になりたいか…?
も聞いてみたそうです。
結果、
- 質問なしよりも質問ありの方が、自慢が少なく、好感が持てると思われた…!
- 自分から会話を始めた場合は、質問ありの時のみ効果的だった…!
- 相手から会話を始めた場合は、質問あり・なしに関わらず、本人(=アヴィ)は比較的ポジティブに捉えられていた…!
とのこと。
つまり、自分から会話を始めた+質問なしパターンの場合のみ、自慢は嫌な感じに受け取られた…!ってことですね。確かに上記の4パターンで一番嫌な自慢に感じましたな。
それ以外の自分から会話を始めた+質問ありパターンや相手から会話を始めた+質問ありパターン、相手から会話を始めた+質問なしパターンは大丈夫っと…。
ではなぜこのような結果になったかと申しますと、研究者曰く、
- 相手から会話を始めた場合の後の自慢は、おそらく謙虚の範囲に含まれるから
- 相手から会話を始めたことは、質問をすることと同等であると認識されるから
- 質問に答えて自慢することも、おそらく謙虚の範囲に含まれるから
だそうです。
二つ目の実験は、基本的に一つ目の実験と同じ感じなんですが、今回は、後で思い出すよう指示したという違いがございます。
この実験はイスラエルの大学生61人(平均年齢22.78歳、女性68%男性30%1人は性別未回答)を対象に行われたそうで、先程と同じように参加者を4つの実験条件にランダムに割り当てたそうです。その後もおんなじ感じで、割り当てられた1パターンの内容を読んでもらったみたい。但し、この時点では後でこの会話を思い出すように言われると参加者は知りませんでした。
参加者が読み終わった後、会話の最初の一行が書かれた紙が配られ、残りを思い出して書くよう指示されたそうです。会話の内容を思い出して書いてもらった用紙は、2人の独立した審査員がチェックしたそうで、
- アヴィの今回の成績がA+だったことが書いているか…?
- アヴィが今回の成績を答える前に、質問があったか…?
- 会話を始めた(試験の成績について話し始めた)のは、アヴィとダニーのどちらだったか…?
を確認したとのこと。
結果、
- アヴィの今回の成績がA+だったことを思い出すことについて4パターンに違いはなかった。
- 質問ありパターンの場合、質問を思い出せることが多かった…!
- しかし、自分から会話を始めた+質問ありパターンと相手から会話を始めた+質問なしパターンに有意差はなかった…!
- 自分から会話を始めた+質問なしパターンの時が、自分(アヴィ)から会話を始めたことを思い出す唯一の条件だった…!
- 他の3パターンでは、相手(ダニー)から会話を始めた時を思い出す傾向にあった…!
だったそうです。
自分から会話を始めた+質問ありパターンと相手から会話を始めた+質問なしパターンに有意差がないのは、一つ目の実験にあった、相手から会話を始めることと質問をすることは同等と認識されるってのを裏付ける感じですね。
自分から会話を始めた+質問ありパターンと相手から会話を始めた+質問なしパターンに有意差がないのは、一つ目の実験にあった、相手から会話を始めることと質問をすることは同等と認識されるってのを裏付ける感じですね。
また自分から会話を始めた+質問なしパターンという、謙虚の範囲に含まれない場合にのみ、会話の詳細に注意が向いたのも面白いところ。自分からこの話題を出しといて、聞きもしない自慢話をされりゃ~嫌な感じとして注意が向く(記憶に残る)ってのは分かりますな。
この2つの実験の結果から、研究者は最後にこう述べております。
- 初デートから就職の面接に至るまでの色々な状況で、人々は自慢話として受け取られることなく、相手に自己アピールできないかとジレンマに悩む。今回の研究は、このジレンマの解決策を提示した。研究結果によれば、私たちのベストな行動は、相手に私たちの自慢できることに関する質問をしてもらえるよう促すことだ。
つまり、自慢したいことを相手から質問してもらえるよう上手く会話を持っていくのが、自己アピールで良い印象を与えるベストな方法ってことですね。こりゃ、自慢するときはなかなか戦略的にいかんといけませんな。
他人との比較による自慢は最も嫌われる…!自慢するならストレートに過去の自分と今の自分を比較してアピールすべし…!
2011年のルーヴェン・カトリック大学の研究によると、露骨な自慢話(自己アピール)を伝える人を周囲は嫌うかどうか、またその理由は何なのか調べてみたそうです。この研究は7つの実験を行ったとのこと。それぞれの実験で参加者が読んだ自慢話はこんな感じとなっておりました。
- 他人より自分は優秀だ…!って自慢話
- (他人と比較せず)自分は優秀だ…!って自慢話
- 自分はあの人と同じぐらい優秀だ…!って自慢話
- 過去の自分よりも今の自分の方が優秀だ…!って自慢話
- あの人は他の人よりも優秀だよね…!って他人の自慢話
- 否定しつつの自慢話(謙虚な自慢)
その後参加者は、
- 自慢話をした人の話についてどう思うか…?
- 自慢話をした人は自分をどう思っているか…?
- 自慢話を聞いた人は自慢話をした人をどう思うか…?
- 自慢話をした人をどれぐらい信じてもらえるか…?
を考えてもらったらしい。
結果、
- 他人より自分は優秀だ…!という自慢話は、他のどの自慢話よりも好ましくない評価を受けた…!
とのこと。
つまり、他人との比較による自慢は最もしてはいけない嫌われる方法だと…。
ではなぜこの方法が一番まずいのかですが理由は、
- 他人と比較した自慢話をした人は、他人、特に第三者に対して見下した見方をしていると思われるから…!
ということみたい。
確かにドラマや映画で出てくる典型的な嫌な奴ってこんな感じですな。そのため、他人比較の自慢は当然対人関係でもめること請け合いなのですが、一方で、
- (他人と比較せず)自分は優秀だ…!って自慢話
- 過去の自分よりも今の自分の方が優秀だ…!って自慢話
つまりストレートな自慢と自分を改善して少しはマシになった自慢は嫌な印象を与えずに済む様子。確かに分かりますね。
他人より自分は優秀だ…!って自慢話は、シャーデンフロイデの競争系に近い考え方だな~と思いました。そう考えると納得できる結果ですね。
逆に就職活動で履歴書・職務経歴書等で自己PR文を作る場合、面接等で自己アピールする場合なんかは、
- ストレートに過去の自分と今の自分を比較してアピールする…!
が良い印象を受けそうな感じ。
例えば面接なんかで、
- 事業所に通い出した当初は、週2日出勤が限界で遅刻や欠席もありましたが、今は1年以上、週5日無遅刻無欠席で仕事が出来ており安定して働くことができます…!
とか言われると、おぉ…!良い感じだな…!努力したんだな…!ってなりますし、更にじゃあ、どうやってそこまで成長したのか更に詳しく聞きたいな…!ともなりますよね。
そんで質問してくれたら、更にアレコレしてこうなってこんなに出来るようになりました…!みたいな自己アピールをして、相手に良い印象を与えられますよね(質問からの自慢は良い印象を呼びますからね)
上記が上手くいくよう、面接練習なんかしておくとよろしいのではないでしょうか…?
相手が認知・時間に余裕がない、集中できない時に自慢すると良い印象をもたれる…!
これまで見てきた、自己アピールで良い印象を与えるコツはいずれもアピールする側に焦点を当てていました。今回はその逆で聞く側の状況の違いで印象が変わるのかを見ていきます。
GIVE&TAKEの記事や天職・仕事のやりがいの記事など当ブログでも何度も登場しているアダム・グラント教授の2015年の研究によると、自慢をされる人たちはその状況によって受け取り方が変わるのか調べてみたそうです。
そもそも自慢(自己PR・自己アピール)ってのは、自慢をする側にフォーカスして調べることが多いんですが、今回はそれを聞かされる側にフォーカスしたんですよね。
んで、なぜ聞かされる側の状況によって印象が変わるかも…!と考えたかと言いますとグラント教授曰く、
- 自慢の効果は聴く側の認知リソースに依存する可能性がある
- 聴く側が認知的に忙しい場合、情報を誤って判断する可能性が高く、礼儀正しさや謙虚さなどがなくても気づかない可能性がある
- つまり、自慢は相手が忙しくて認知リソースを避けない時にすると良いのかもしれない
ということでした。
つまり相手が話に集中できない時に自慢すると良いかも…!ってことですね。これは面白い視点ですな。
ではこれが本当なのか調べた実験を2つ見ていきましょう…!
就職面接で調べてみた…!
一つ目の実験は、自己アピール(自慢)をする可能性が非常に高い就職面接での実験です。
この実験は大学生130名を対象に行われたそうで、以下の4パターンで面接を行ってみたそうな。
- 応募者:自己アピール・面接官:認知的忙しさが高い
- 応募者:自己アピール・面接官:認知的忙しさが低い
- 応募者:他者アピール・面接官:認知的忙しさが高い
- 応募者:他者アピール・面接官:認知的忙しさが低い
以上で、自慢の内容と認知的リソース状況の関係についてチェックしてみたそうです。
使えなかったデータを取り除いた125名の結果は仮説通りで、
- 面接官が認知的に忙しい時はそうでないときに比べて、自慢内容を良い印象と捉えていた…!
とのこと。
やっぱ深く考える余裕がないときは、自慢がすんなり入っていくみたいですね~。
自己アピールの強さを変えてみた…!
二つ目の実験は、基本一つ目の実験と同じ感じなんですが、自己アピールの強さを変えてみたという違いがございます。
この実験に参加したのは大学生116名でして、以下の4グループに分けて面接を行いました。
- 応募者:弱めの自己アピール・面接官:認知的忙しさが高い
- 応募者:弱めの自己アピール・面接官:認知的忙しさが低い
- 応募者:強めの自己アピール・面接官:認知的忙しさが高い
- 応募者:強めの自己アピール・面接官:認知的忙しさが低い
結果はやっぱり同じで、
- 自己アピールの強弱に関係なく、面接官が認知的に忙しい時はそうでないときに比べて、自慢内容を良い印象と捉えていた…!
そうです。
二つの実験から、自慢を聞かされる側が認知的に忙しいかどうかで良い印象になるかどうか決まる…!ってことが分かりました。
では、認知的に忙しい時の他に同じく、自慢をして良い印象をもたれる状況はあるのでしょうか…?…ってことでその辺もこの研究では調べておりまして、結論を書いておきますと、
- 注意が分散しているとき(注意の分割状態やマインドワンダリング状態、マルチタスク状態の時)
- 時間のプレッシャーがあるとき(時間に余裕がないとき)
も認知的に忙しいときと同じ効果が見られたそうです。
よくカフェで面接や商談なんかするときがありますが、あれは周りがガヤガヤしているんで、自己アピールが良い印象を持たれやすい状況といえますね。
これを求職者側が現実の面接で活かすのは難しそうですが、もし面接の時間を指定できるなら昼前や繁忙期など少しでも時間のプレッシャーがありそうな時を選ぶと良いのかも…。同じく場所を選べるときはシーンと静まり返った場所ではなく、雑音がある場所が良いのかもしれませんね。
逆に面接官側は、認知・時間に余裕があり、集中して面接できるときに面接した方が良さそうな感じです。
…。
そういえば、私が今の会社の面接を受けた時は、まだ事業所が工事中で、木を電動ノコなんかでガンガン切っているときでした。めちゃくちゃ騒音ある中での面接で、どちらも正直話した内容を聞き取るのも大変といった状況だったのですが、もしかしたら、あの時私が受かったのは、上記の効果があったからなのかもしれませんね…。
個人的考察
以上を踏まえると、自慢・自己アピール・自己PRをする場合、内容は、
- 自己アピール内容は他人に決めてもらうべし…!
- 自慢せず、事実を述べるべし…!
- 客観的な証拠を提示してはっきり言い切るべし…!
- 過去の実績より未来の可能性を示すべし…!
仕方は、
- 前半は聞き手に徹し、聞く姿勢完成後、自己アピールすべし…!
- 相手に質問させてからの自己アピールをすべし…!
- ストレートに過去の自分と今の自分を比較してアピールすべし…!
- 相手が認知・時間に余裕がない、集中できない時にすべし…!
絶対にしてはいけない方法は、
- 他人との比較による自慢はするべからず…!
って感じとなりましょう。
やっぱ何事も戦略って必要ですね。