【まとめ】有酸素運動・無酸素運動(筋トレ)の効果を片っ端から挙げてみる!
運動・筋トレ(有酸素運動・無酸素運動)の効果って何があるんですかね…?
運動・筋トレは血糖値を上げて空腹を減らす効果がありますが、ダイエット目的で運動だけするのは非常に効率が悪いのは、まぁ当然というか常識かと思います。では、なぜ運動・筋トレをするのか、実際の効果を知っていないと継続するモチベーションは上がりませんよね~。
ということで今回は運動・筋トレの効果を挙げていきたいと思います。
あ、それと運動・筋トレの効果は様々な研究により、障がいのある方にも効果があることが分かっておりますので、万人が行うことをおすすめします…!
ストレス解消に効果的…!
運動や筋トレの効果で、まず最初に挙げておきたいのがストレス解消効果です。
運動のストレス解消効果は、
また、2006年のエストレマドゥーラ大学の研究によると、普段スポーツをしない男子大学生20名(平均年齢22歳)を対象に、月・水・金曜日の週3回、筋トレを行ってもらったそうです。
因みに筋トレは、1RM=70%〜75%で行ってもらったとのこと。つまり、10回~12回やったらもう限界…!って重さで筋トレをしたってことですね。
4週間行った結果は、
- 安静時のテストステロンの量が40%も増えた…!
- 安静時のコルチゾールの量が24%も減った…!
ってことで、週3回の筋トレで安静時のテストステロンの量はアップし、逆にコルチゾールの量が減っているのは嬉しいですね。24%も減るなんて、かなりストレス解消になっているんですなー。
因みにテストステロンの量が少ないと、筋肉がつかず、脂肪ばかりついてしまうので注意が必要です。筋トレと同時にタンパク質と脂肪を摂ると、テストステロンの量が増えやすくなりますんで合わせて覚えておくとよろしいかもしれません。また飽和脂肪酸は、テストステロンの生成に必要なんで積極的に摂取していきましょう…!
20代でも60代でも筋トレで成長ホルモンもテストステロンもアップする…!
1989年のボール州立大学の研究によると、20代と60代の参加者を対象に、運動で成長ホルモンやテストステロンの量がアップするのかを調べたそうです。期間は12週間で筋トレの前後に成長ホルモンやテストステロンを測定したとのこと。因みに激しい運動に対する反応も合わせて測定したみたい…。早速結果を見てみると、
- 筋トレで成長ホルモンやテストステロンがアップした…!
- 20代でも60代でもアップしていた…!
ってことで、年齢に関係なく運動でテストステロンは増えたそうです。
但し、20代と60代ではやはり違いはあったようで、テストステロンの増加は20代の方が大きかったそうです。まぁ、そうですよねー。
上記に紹介した研究にもあるようにテストステロンの量をアップするなら筋トレが一番良いのは間違いないかと思います。
また、定期的に筋トレをやっていれば、毎日行う必要はありません。安静時でもテストステロンは高い状態をキープしてくれますんで。
筋トレでうつ病予防+ストレスホルモンを無害化できるかも…!
2014年のカロリンスカ研究所の動物実験によると、運動はうつ病の患者さんの有効な治療法として行うことが多いですが、その効果のメカニズムは不明とされており、今回、マウスを使って調べてみたんだとか。
まず、遺伝子操作で骨格筋特異的PGC-1α1トランスジェニックマウスを作ったそうです。
なんだかすごそうなマウスさんなんですが、PGC-1α1ってのは筋肉が発達していると多くなる物質だそうで、つまり、人工的にタンパク質が多い、マッチョマウスを作ったって感じですね。
この遺伝子改変マウスさんにストレスを与えてどうなるかを調べたということで、気になる結果は、
- PGC-1α1が多いマウスほど、うつ病を発症しなかった…!
と言うことです。つまり、筋トレをしていればうつ病が発症しづらくなると…。
更に詳しくてみてみると、どうやら、ストレスホルモンを無害なものに変えていたそうなんですよ。運動をすると、ご存知、アドレナリンが出てきてそれがストレスやうつ病に効果アリと言われていましたが、どうやら、ストレスホルモンそのものを消してしまう効果もあるみたいなんです。これは面白いですね~。
研究者の方も、軽度の慢性ストレスやうつ病の発症に対して回復力があるよ…!とおっしゃっていますし、これは期待しても良いかもしれないですね…!
この研究はマウス実験なんで、可能性の一つにすぎないんですが、PGC-1α1を増やすなら筋トレして筋肉を増やせばいいんで、以前に紹介した初心者用筋トレメニューや7分間ワークアウトを自宅でやると良いかもしれませんね。
この研究はマウス実験なんで、可能性の一つにすぎないんですが、PGC-1α1を増やすなら筋トレして筋肉を増やせばいいんで、以前に紹介した初心者用筋トレメニューや7分間ワークアウトを自宅でやると良いかもしれませんね。
頭が良くなる…!幸福感がアップする…!
ストレス解消効果やテストステロンアップの次に挙げておきたいのが脳への影響です。名著「脳を鍛えるには運動しかない! 最新科学でわかった脳細胞の増やし方」によると運動でBDNFが分泌されるそうです。
BDNF(脳由来神経栄養因子)は、脳から分泌されるタンパク質の一種で、脳のシナプスや神経回路の発達スピードをあげてくれる物質となっております。簡単に言うと、BDNFの分泌が増える=脳神経の働きが良くなる=頭が良くなるって感じですね。因みにBDNFは長期記憶や新しいことを覚えるのに重要みたいです。
逆に言えば、BDNFが減ってしまうと記憶力の低下の可能性があるとも言えます。
そんな大事なBDNFですが、運動、しかも軽度の運動をくり返すことで増やせるんだそうな。
また2012年のダートマス大学の研究によると、運動で脳の機能と幸福感がアップしたそうです。更に、短期的に脳の機能を上げてくれる事も分かったそうです。
更に2019年のメリーランド大学の研究でも、記憶力を鍛えるのに運動が有効だ…!って話も出ているんで間違いなく運動は記憶力アップに超重要みたいです。
ということで、運動で頭が良くなり、幸福感もアップするみたいなんでこれは取り組んでいきたいですね…!
とのこと。
ってことで3倍弱もアスリートの方がBDNFレベルが高かったみたい。やっぱ普段から運動をした方が脳にも良さげですねー。
あたりの記事が参考になるかもしれません。
普段から運動をしている人は様々なセルフコントロール能力が高くなる傾向があるみたいですね。すばらしい…!因みに上記の効果は気付かないうちにジワジワ上がるそうなんで運動したらすぐに効果が…!なんて感じではないみたいです。やっぱ継続も重要なポイントですね。
って違いがございます。
更に2019年のメリーランド大学の研究でも、記憶力を鍛えるのに運動が有効だ…!って話も出ているんで間違いなく運動は記憶力アップに超重要みたいです。
ということで、運動で頭が良くなり、幸福感もアップするみたいなんでこれは取り組んでいきたいですね…!
RCTのメタ分析で運動の認知機能改善効果を調べてみた…!
2015年のアムステルダム自由大学医療センターのRCTのメタ分析によると、認知症の患者さんに運動をしてもらうと認知機能が改善するのか調べてみたそうです。また今回は、運動がもたらす認知機能への影響について以下の3点もチェックしてみたらしい。
- 認知症にはアルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症、血管性認知症、前頭側頭型認知症など色々な種類があるが、効果が同じようにあるのか…?
- 有酸素運動と無酸素運動で違いはあるのか…?
- 運動の頻度で認知機能への影響は変わるのか…?
ということで研究者たちは、まず1960年1月1日~2015年5月1日までに発表された該当する先行研究を、PubMed(MEDLINE)やWeb of Knowledge(science)、Science Direct、ALOISといったデータベースで検索してみたそうな。またその際査読済みであるかどうかもチェックしたとのこと。
次に検索したものの中から基準を満たしている研究を精査していったそうで、最終的にピックアップされたRCTは18件だったみたい。この18件の研究の総サンプル数は認知症患者さん802人でして、運動グループが433人、対照群が369人となっておりました。
これらのデータをまとめてメタ分析にかけてみたそうです。
その結果、
- 認知症の患者さんに運動をしてもらうと認知機能が改善(標準化平均差(SMD)=0.42)していた…!
- アルツハイマー病患者さんに運動をしてもらうと認知機能が改善(SMD=0.38)していた…!
- アルツハイマー病型認知症患者さん又は非アルツハイマー病型認知症患者さんに運動をしてもらうと認知機能が改善(SMD=0.47)していた…!
- つまり、認知症の種類に関係なく、運動で認知機能が改善していた…!
- 有酸素運動+無酸素運動をしてもらうと認知機能が改善(SMD=0.59)していた…!
- 有酸素運動のみをしてもらうと認知機能が改善(SMD=0.41)していた…!
- 無酸素運動のみをしてもらうと認知機能が改善(SMD=-0.10)していなかった…!
- つまり、有酸素運動+無酸素運動又は有酸素運動のみを行うと認知機能が改善していた…!
- 運動頻度が多い場合、認知機能が改善(SMD=0.33)していた…!
- 運動頻度が少ない場合、認知機能が改善(SMD=0.64)していた…!
- つまり、運動頻度に関係なく、運動で認知機能が改善していた…!
とのこと。
まとめると、
- 認知症の種類に関係なく、有酸素運動を行えば、頻度はそれほど多くなくても認知機能は改善する…!
ってことになりましょう。
まことに嬉しい話ですな。
やはり運動は認知症に効果があったみたいですねー。個人的にはおそらくポイントはBDNFなんじゃないかな~とか愚考しております。
それと、いろんな研究を見ていくと、知的障がい・発達障がい(自閉症スペクトラム障害)・精神障がいにも運動は効果がありそうなんで、障害福祉と高齢福祉、どちらにも取り入れていきたいですな。
まぁ、就労系のサービス(就労継続支援A型・就労継続支援B型・就労移行支援)なら手っ取り早いのが農福連携なのかもとは思いますがね。
運動は炎症を抑えBDNFを分泌し脳機能の正常化を図ってくれる…!
2007年のカリフォルニア大学の研究によると、運動と脳の健康についてレビューしてみたそうです。
早速ですが、レビューのポイントをバーッと挙げていくと、
- 運動は脳機能や脳の健康に幅広く影響を与える。これはヒトや動物実験によって証明されている
- 運動の脳力アップ効果は特に高齢者が顕著である。学習能力や記憶力のアップ、うつ病の改善などが期待できる
- 運動はシナプスの構造に直接影響を与える。シナプスを強化することで、神経や代謝、血管機能などの基礎システムが強化される
- 運動は糖尿病や高血圧、心血管疾患(CVD)などの脳や神経の健康リスクを減らす効果がある
- 運動は炎症を抑え、BDNFを分泌し、脳機能の正常化を図ってくれる
って感じ。
つまり、運動を行えば、まず間違いなく脳機能は上がるみたいですね。
全力の50%ぐらいの力で有酸素運動を行うと認知機能がアップする…!
2010年の筑波大学の研究によると、運動と認知能力の関係性について調べてみたそうです。今回実験に参加したのは健康な20名のボランティアの方々。
まず、参加者全員を実験室に集めて、機能的近赤外分光法(fNIRS:脳の活動を見ることが出来る装置)を装着。次に用意したエアロバイクを漕いでもらったそうな。
エアロバイクを漕ぐ強度(運動強度)は中程度とのことで、具体的にはpeak VO2(最高酸素摂取量:持久力のこと)の50%にしたとのこと。つまり全力の半分のパワーで運動してもらったってことですね。
合わせてストループテストを行ってもらい、脳内の活動をチェックしたとのことです。
結果、
- 中程度の運動を行うとストループテストの点数が良くなった…!つまり認知能力がアップした…!
- 脳内を見た結果、背外側前頭前野が活性化していた…!特に左背外側前頭前野が活性化していた…!
とのこと。
どうやら全力の50%ぐらいの力で有酸素運動を行うと、背外側前頭前野が活発化して認知機能がアップするみたいですね。
どうやら全力の50%ぐらいの力で有酸素運動を行うと、背外側前頭前野が活発化して認知機能がアップするみたいですね。
単純な運動よりも頭を使う複雑な運動の方がBDNFが多く分泌されるみたい…!
2004年のベックマン研究所のレビュー論文の中には、BDNFの分泌をより良くするための運動のヒントが書かれております。その研究はラットを使った動物実験なんですが、そもそもの話として、ラットも運動をするとBDNFの分泌、シナプスが増加します。
んで、この前提を踏まえて、ラットを以下の3グループに分けて運動をさせてみたそうです。
- 学習運動グループ:頭を使う複雑な運動をしてもらう。
- 普通運動グループ:トレッドミルで自由に運動してもらう。
- コントロールグループ:実験中座りっぱなし。
期間は10~38日間だったのですが、いずれの期間においても、
- 学習運動グループが最もシナプス数が多かった…!
- シナプス数の増加は少なくとも4週間は継続した…!
とのこと。
つまり単純な運動よりも頭を使う複雑な運動の方がBDNFが多く分泌されるみたいです。また4週間は持続したみたいですが、維持のためにずーっと運動する必要もありそうですね。
どんな人でも運動(有酸素運動・筋トレ)でBDNFはアップする…!但し一時的な効果なため続けるのが大事…!
2010年のブリュッセル自由大学の研究によると、ヒトを対象としたBDNFと運動の研究を系統的レビューしてみたそうです。
まず研究者たちは、ヒトを対象としたBDNFと運動の研究をピックアップ、結果、RCTが9件、ランダム化試験が1件、非RCTが5件、非ランダム化非対照化試験が5件、後ろ向きコホート研究が4件あったそうな。
それらの研究をまとめてみたポイントがこちら。
- 健康な方を対象とした研究の69%で、有酸素運動後、短期的にBDNFがアップしていた…!
- 慢性疾患や障がいを持つ方を対象とした研究の86%で、有酸素運動後、短期的にBDNFがアップしていた…!
- 1回の運動効果を調べた2件の研究では、BDNFに有意な効果はなかった…!
- 有酸素運動又は筋トレに関する研究10件のうち3件で、基礎BDNF濃度がアップしていた…!
- 有酸素運動又は筋トレ前後のBDNFを比較した研究6件のうち2件で、BDNFが明らかにアップしていた…!
- 後ろ向きコホート研究(質の低い研究)では、普段運動をしていない又は中程度の運動を行った健康な人の方が、普段運動している人よりも基礎BDNFがよりアップしていた…!
どうやら健康な人でも慢性疾患や障がいを持つ人でも、運動でBDNFはアップしそうですね。しかも有酸素運動でも筋トレでもどちらでも良さそうな感じ。但し、運動でのBDNFアップは一時的な効果しかなさそうなんで続けていく必要がありそうですねー。
普通の有酸素運動でも安静時・運動誘発でのBDNFレベルはアップする…!普段から運動している人のBDNFレベルは高い…!
2008年のクラクフの体育大学の研究によると、中程度の強度の有酸素運動でBDNFがアップするのか調べてみたそうです。
この研究は健康で普段からアクティブな男性13人(平均年齢22.7±0.5歳、身長180.2±1.7cm、体重77.0±2.5kg)を対象に中程度の強度の有酸素運動を5週間続けてもらったらしい。
因みにトレーニング前の情報はこんな感じだったそうです。
- 安静時のBDNFレベルは10.3±1.4pg/ml(-1)だった。
- VO2maxまでの最大負荷でのサイクリングは、BDNFレベルに影響を与えなかった(10.9±2.3pg/ml(-1))
これが中程度の強度の有酸素運動を5週間続けた結果、
- 安静時のBDNFレベルが16.8±2.1pg/ml(-1)と1.5倍以上もアップした…!
- 運動によるBDNFレベルも68.4±16.0pg/ml(-1)と6倍以上もアップした…!
とのこと。
普通の有酸素運動でも安静時・運動誘発でのBDNFレベルはアップするみたいですねー。嬉しい…。
また、トレーニング前(1.40±0.13)よりもトレーニング後(1.15±0.13)の方が、インスリン抵抗性がわずかに改善されていたそうです。
更に、アスリート16人と普段運動をしない13人の基礎BDNFレベルを比べてみると、
- アスリートの基礎BDNFレベルは29.5±9.5pg/ml(-1)だった…!
- 普段運動をしない人の基礎BDNFレベルは10.3±1.4pg/ml(-1)だった…!
持久力トレーニングでBDNFはアップするのかランダム化比較試験のメタ分析・系統的レビューで調べてみた…!
2023年の上海体育学院の研究によると、ランダム化比較試験のメタ分析・系統的レビューを用いて、持久力トレーニングでBDNFがアップするのか調べてみたそうです。
そもそも持久力トレーニング(一般的な有酸素運動)を行うことによって、脳の健康を効果的に促進し、加齢に伴う認知機能の低下を防ぐことができるということが何度も先行研究で証明されております。そしてこのプラス効果の理由の1つがBDNF(脳由来神経栄養因子)の発現の増加です。BDNFが増加することによって脳の構造そのものが変わったり、機能がアップしたりするみたいなんですよね。
そもそも持久力トレーニング(一般的な有酸素運動)を行うことによって、脳の健康を効果的に促進し、加齢に伴う認知機能の低下を防ぐことができるということが何度も先行研究で証明されております。そしてこのプラス効果の理由の1つがBDNF(脳由来神経栄養因子)の発現の増加です。BDNFが増加することによって脳の構造そのものが変わったり、機能がアップしたりするみたいなんですよね。
では、たった1回の持久力トレーニングでもBDNFの発現がアップするのか…?ってことで、神経疾患のない若年や中年、高齢者など様々な年齢の方を対象にランダム化比較試験のメタ分析・系統的レビューを行ったのが今回の研究になります。
まず研究者たちは2000年1月~2022年6月までに発表された1回の持久力トレーニングとBDNFの関係を調べた先行研究をPubMedやElsevier、Web of Scienceを使って検索してみたそうな。
上記3つのデータベースで検索した結果、335件の研究がヒットしたとのこと。次にこの中から、重複している物や質の低い研究などを除外していったそうで、最終的には8件のRCTが基準を満たしていたとのこと。この8件のRCTを用いて系統的レビューとメタ分析を行ったみたそうです。
因みに総サンプル数は323名でして、持久力トレーニンググループが170名、対照群が153名という内訳でした。また、女性の割合が46.43%で、平均年齢は54.41±16.30歳(20~73歳の範囲)という感じだったので、老若男女のデータをまとめた感じとなっております。
次に今回持久力トレーニングとして行ったトレーニングジャンルについて見てみましょう。
今回ピックアップされた8件の研究で行われた持久力トレーニングは、
だったそうです。
また1回の運動時間については4分~60分の範囲だったとのことで、強度については最大心拍数の50%~100%の範囲だったみたい。一般的な方法、時間、強度の持久力トレーニングって感じですな。
では、結果をバーッとご紹介。
- 全体的にみると、持久力トレーニングをたった1回行っただけで、BDNFの発現が明らかにアップしていた…!
- 1回の持久力トレーニングによるBDNF発現のアップ効果は血清のBDNFでも確認された…!
- 1回の持久力トレーニングによるBDNF発現のアップ効果は血漿のBDNFでは有意ではないが傾向が観察された…!
- 血清・血漿のBDNFレベルは、年齢に関係なく明らかにアップしていた…!
一応、血漿と血清の違いを書いておくと、
- 血漿(けっしょう:血液に抗凝固剤を混ぜて遠心分離器で分離した際にできたもの。フィブリノゲン(血液凝固に関わるタンパク質)を含む)
- 血清(けっせい:血液をそのまま放置して分離してできたもの。フィブリノゲンを含まない。つまり血清=血漿-フィブリノゲン)
感じなんですが、まぁ、細かいことはどうでもいいでしょう(笑)
兎に角、ここで分かったことは、持久力トレーニングをたった1回行うだけで、BDNFの発現が軽度~中程度アップするということ、そしてこの効果は、年齢に関係なく受けられるってことですね。いや~実にすばらしい結果ですな…!
ということで、頭を良くしたい人、認知症予防をしたい人は、たった1回から効果が出る持久力トレーニングを試してみるとよろしいのではないでしょうか。
運動は楽んだ方が脳に良い…!
名著「脳を鍛えるには運動しかない! 最新科学でわかった脳細胞の増やし方」によれば、ただ運動するよりも、楽しんで運動した方が脳には良いそうな。理由はドーパミンなどの活性化がポイントとのこと。これは「運動や筋トレはダイエットに使えるのか?」の記事でも紹介しましたね。楽しめる運動をチョイスする、又は楽しめるように運動を工夫するのも大事そうですな。因みに私はRPGゲームのように思って運動していますね。経験値を貯めてステータスを強化するみたいな感じで楽しんでおります。
同じように試してみたい方は、
- 就職や転職、社内でも活躍できるようになる考え方、比較優位とそれを見極めるために使えるゲーム化(ゲーミフィケーション)
- ゲームの考え方を現実に活かす!「ゲーム化・ゲーミフィケーション」入門
- ACTのコアプロセス図(OS、六角形)は心のステータス画面!ゲーム化してパラメーターを見よう!上げよう!
リスクの高い運動をした方が脳に良い…!
どのような運動でもBDNFが出るのは間違いないそうなんですが、なんでも失敗したときのリスクが高まるほど分泌量が多くなるらしい。
つまり、ケガのリスクが高い運動の方が脳には良い…!ってことですね。
例えば、
- トレッドミルや町中を歩く・ウォーキングよりも山の中を歩く・登山
- トレッドミルや町中を走るよりも山の中を走る・トレイルランニング
- プールで泳ぐよりも湖や海で泳ぐ
- ボルダリングよりもロッククライミング
みたいな感じですね。
こちらもぜひ意識して取り入れていきたいですなー。
最もBDNFの分泌に良い運動はHIIT…!
2ヶ月間運動プログラムに参加した結果、
普段から運動をしている人は様々なセルフコントロール能力が高くなる傾向があるみたいですね。すばらしい…!因みに上記の効果は気付かないうちにジワジワ上がるそうなんで運動したらすぐに効果が…!なんて感じではないみたいです。やっぱ継続も重要なポイントですね。
また上記の研究によると定期的な運動は週1回のジム通いでOKみたいです。週1回のジム通いでOKなら別にジムにこだわらなくても十分自宅などで実践可能ですよね。この当たりもハードルが低そうで良い感じではないかと思います。
有酸素運動と筋トレはがん治療に役立つのか…?
2014年のメイヨー・クリニックの研究によると有酸素運動と筋トレが、がん治療を受けた人のその後の死亡率に関係があるのか調べたんだそうな。この研究では、テキサス州ダラスのエアロビクスセンターの縦断研究中に在籍していた人であり、且つ、1987年4月8日から2002年12月27日までの間にがん治療を受けた男女2863人(18歳から81歳)のデータを基にコックス比例ハザードモデル(統計手法)を用いて生存率を調べたとのこと。
気になる結果はこんな感じ。
- 有酸素運動と筋トレの両方ともがん治療後の生存率をアップさせるわけではなかった…。
- しかし、定期的に筋トレをしている人の死亡率は33%も下がっていた…!
- 有酸素運動は死亡率とあまり関係がなかった…。
つまり、がん治療後の生存率アップには筋トレが大事で有酸素運動はあまり意味がないってことですね。筋トレと有酸素運動に違いが出るのは面白いですね~。因みにこの研究によれば、週1回の筋トレで良いそうです。そんなにハードルが高くなくてこれならできそうな感じがしますね~。
ってことで、まとめると、実験の品質は低評価な物が多いけど、筋トレや有酸素運動で線維筋痛症の痛みが改善する可能性はあるよ…!って感じでした。
有酸素運動と筋トレは線維筋痛症の治療に役立つのか…?
2013年のコクラン共同計画のレビュー論文によると、有酸素運動と筋トレが線維筋痛症の症状改善に役立つのか、過去の論文をレビューしてみたらしい。線維筋痛症ってのは四六時中、全身に痛みがある病気で慢性疼痛の一種と考えられております。また、女性に多い病気としても有名で、昔、利用者さんでこの病気をお持ちの方がいたんですがなかなか辛そうでしたね…。
では、さくっと結論を見ていきましょう…!
- 中度・中~高強度の筋トレで線維筋痛症の痛みが改善した
- 中~強度の筋トレよりも8週間の有酸素運動の方が線維筋痛症の痛みを改善する効果があった
- 12週間の低~強度の筋トレの方がストレッチよりも線維筋痛症の痛みを改善する効果があった
- 中~強度のトレーニングを線維筋痛症の女性は安全に行えることが分かった
- いずれの研究もエビデンスレベルは低かった
ってことで、まとめると、実験の品質は低評価な物が多いけど、筋トレや有酸素運動で線維筋痛症の痛みが改善する可能性はあるよ…!って感じでした。
更に似たようなことを2015年のオレゴン健康科学大学のレビュー論文でも行っておりまして、こちらでは筋トレを週2回、15週間続けたら線維筋痛症の痛みが大幅に改善したそうです。
有酸素運動や筋トレなどの運動で線維筋痛症が良くなる…!とはまだまだ言えませんが、お困りの方は、試してみてもよろしいかもしれませんね~。
内臓脂肪はヤバい!ではどのような運動をすべきか…?
2019年のハーバード大学の記事によると、内臓脂肪は代謝の障がいや心血管疾患、2型糖尿病のリスクの増加と関連しているそうで、更に女性だと、乳がんなんかも関係しているそうな。原因は内臓脂肪が炎症性サイトカイン(TNF-αやIL-6)を排出するからで、つまり、慢性炎症により心血管疾患等のリスクがアップするってことですね。んで、対策は食事と運動になるんですが、もしかしたら、食事よりも運動の方が重要かもしれないとのこと。では、どんな運動が内臓脂肪に効果的なんですかね~?
一般的にまず思いつくのが有酸素運動だと思います。が、しかし、どうやらもっといい方法があるみたいなんですよ…!というのも2014年のハーバード大学のコホート研究によると、筋トレや中~高強度の有酸素運動がお腹の脂肪に効くのかを調べてみたそうです。…っとここまでだと、同じような研究はいくつもあるんですが、この研究は先行研究と違いがあるんですよね。
以前の研究は、太りすぎな人とか2型糖尿病患者さんなど特定の人を対象としていることが多かったり、期間が短かったりして、結果もまちまちだったんですよ。それに対して今回の研究は、健康な男性を対象とし、広範囲のBMI(ボディマス指数)の人を選出、更にサンプル数・期間も大幅に増やした大規模実験となっております。これはありがたいですね~。
それでは具体的に見ていきましょう…!
この研究は1996年から2008年にかけてHealth Professionals Follow-up Studyに参加した、40歳以上の健康なアメリカ人男性10,500人を対象としております。男性のウエストラインに最も影響を与える運動は何なのかを確認する為、日ごろの運動頻度やお腹周りのサイズ、体重なんかをチェックしたそうな。その後、集められた12年間のデータを線形回帰モデルを使って解析し、関連性を調べてみたとのこと。
結果、1日20分間の運動でウエストラインの増加が少なかった順に並べてみると、
- 筋トレ(-0.67cm)
- 中~高強度の有酸素運動(-0.33cm)
- ガーデニングや昇降運動など、その他の活動(-0.16cm)
だったそうです。
つまり、ウエストラインの増加を抑えるなら、1日20分間の有酸素運動よりも1日20分間の筋トレが良い…!ってことになりますね。有酸素運動よりも筋トレの方が良いってのは意外ですね~。因みにテレビ視聴などで座りっぱなしの人はウエストラインが大きく増加したそうな。まぁ、これは以前と同じ結果ですし、予想通りですね(笑)それと、体重は中~高強度の有酸素運動が最も減少したとのこと。
以上の結果から研究者も、様々な活動の中で筋トレはお腹の脂肪増加を抑えるのに最も効果的だよ…!でも、健康的な体重とウエストラインをキープするなら、筋トレと有酸素運動を組み合わせるのが最も理想的だよ…!ってことです。
筋トレと有酸素運動の両方を行った方が良いっていう普通な結論なんですが、内臓脂肪にはどうやら筋トレが優勢みたいですねー。気になる方は筋トレをしてみてはいかがでしょうか…?
わずか1週間でアディポネクチンが260%もアップ…!
2004年のガーヴァン医学研究所の研究によると、運動によってアディポネクチンがどれぐらいアップするのかを調べてみたそうです。アディポネクチンってのは、心血管疾患や2型糖尿病、肥満などに関連している抗炎症特性があるホルモンで、脂肪細胞から出るんですよね。また、アディポネクチンレベルとインスリン抵抗性は反比例の関係がありまして、長期的なアディポネクチンの上昇は、ダイエット(体重減少)効果もあるんだとか。んで、実験は、太りすぎの男性26人(平均年齢37.1±1.3歳、実験開始前の平均BMI30.7±0.7)を対象にエクササイズプログラムを10週間行ってもらったそうです。プログラムを最後までやり遂げた人は19人だったそうで、その方たちのスタート時、運動後やプログラム終了後のデータ(DXA(二重X線吸収法)やBMI、インスリン感受性など)を基に、血液採取で調べたアディポネクチンレベルと比べてみたとのこと。
因みに運動プログラムは、1セッション当たり40分間で、フルパワーの55~70%ぐらいの有酸素運動(早歩きと軽いジョギング)を週4〜5日で行ったそうです。
気になる結果は、
- 週2〜3回の運動を1週間続けただけで、アディポネクチンレベルが260%もアップした…!
- 10週間後まで上昇したままだった…!
とのこと。
週2,3回をわずか1週間行っただけで、260%アップってのはものすごい効果ですね…!
実験をベースとするなら週2,3回40分間早歩きをすれば良いので、そんなに難易度が高くなくていいですね~。
これは運動するモチベーションが上がりますな…!
運動すると収入が上がる
2013年のユヴァスキュラ大学の研究によると普段から運動をしている人はそうでない人に比べ収入が上がる傾向があったんだとか。因みにどれぐらい上がったかというと、運動している人はそうでない人に比べ年収が17%も上がっていたらしい。17%とはすごい差ですね~。こりゃまた一つ運動したくなる要素が増えましたね…。
年齢に関係なく運動で実行機能はアップする…!しかも速攻性+持続性アリ…!
2014年のアムステルダム自由大学の研究によると、運動と実行機能の関係をメタ分析してみたそうです。実行機能ってのは冷静に物事を判断し、目標達成する能力みたいな感じで、詳しくは下記の記事をご覧ください。
今回のメタ分析はPubMedやEmbase、SPORTDiscusを使って、実行機能と運動の研究を検索、結果19件の研究をピックアップしたそうな。
今回のメタ分析はPubMedやEmbase、SPORTDiscusを使って、実行機能と運動の研究を検索、結果19件の研究をピックアップしたそうな。
また、年齢による効果の違いを比べるために、
- 6~12歳の子ども(思春期前)
- 13~17歳の子ども(未成年の若者)
- 18~35歳の成人(成年の若者)
に分けてチェックしたのこと。
結果はこんな感じとなったそうです。
- 運動をすると実行機能が明らかにアップしていた…!
- 年齢による有意差はなかった…!(つまりどの年齢でも実行機能は等しくアップした…!)
- 運動を10分ぐらい行うだけで実行機能はアップしていた…!
- 運動直後でも実行機能はアップしていた…!
- 運動による実行機能アップ効果はしばらく続いた…!
年齢に関係なく運動により実行機能はアップ…!しかも効果はすぐ出るしアフターバーンみたいに持続する…!ってことですね。
これは素晴らしい結果ですな…!
やっぱ脳力アップに運動は良さそうですね。
大事な決断の時は運動してから行うと良いかもしれません。
1日21分以上早歩きからマラソンを10週間以上続けると不安感が減少する…!
1991年のアリゾナ州立大学の研究によると、運動で不安感が軽減するのかメタ分析してみたそうです。まず研究者たちは運動と不安について調べた研究を104件ピックアップしたそうで、最終的なサンプル数が3,048人、平均年齢が34.16±13.95歳になったとのこと。
次に男性と女性を分けて別々で効果量を計算しようとしたそうなんですが、男女が混ざっている研究が多く断念したとのこと。
では結果を見ていきましょう…!
- 3つのメタ分析の全てで運動により不安感は減少するという結果が出た…!
- 但し、運動の不安解消効果は瞑想やリラクゼーションなど他の治療法よりも特段優れているわけではなかった(同程度の効果があったともいえる)
- 運動は早歩きレベルからマラソンレベルで効果が出ていた…!
- 有酸素運動(ウォーキングやジョギング、ランニング、水泳、サイクリング)と、無酸素運動(筋トレ)の効果量の差は有酸素運動の方が高かった…!しかし有意差があるほどではなかった…。
- 21~30分間の運動をした方が、0~20分間の運動をした時よりも効果が高かった…!
- つまり運動で不安感対策をするには、少なくとも20分以上行う必要がありそうだった…!
- 運動を習慣化している人は不安感が低かった…!
- 16週間以上運動を続けた人は9週間以下の運動を続けた人に比べ、不安感の減少効果が高かった…!
つまり、運動で不安対策をすることは有効であり、その効果を得るには、
をクリアする必要がありそうですねー。
- 1日21分以上の運動をする
- 10週間を超えられるようにする
- 早歩きレベルからマラソンレベルの強度でできれば有酸素運動、厳しければ筋トレを行う
- 習慣化を目指す
をクリアする必要がありそうですねー。
1日21分以上早歩きからマラソンを10週間以上続けると不安感が減少する…!ってのは良い指標だと思います。
是非、お心当たりのある方は試してみてはいかがでしょうか…?
週92分又は1日15分以上運動するだけで健康リスクダウン・寿命が延びる・がんの死亡率が低下する…!
2011年の台湾国家衛生研究院の前向きコホート研究によると、週150分未満の運動でもメリットがあるのか…?について調べてみたそうです。この研究は、1996年~2008年の間に台湾で行われたアンケート調査を基に行われたそうで、参加者は台湾の男女416,175人(男性199,265人、女性216,910)だったとのこと。
アンケートは自己記入式を採用したそうで、毎週の運動量を以下の5つから選んでもらったそうな。
- 運動しない
- 少し運動する
- まぁまぁ運動する
- かなり運動する
- 非常に運動する
集められたデータから、普段運動しない人と運動する人の死亡リスクに差があるのかを統計処理し、平均余命を導き出したらしい。
因みに平均追跡期間は8.05年とのことなんで、なかなかの規模の研究で良い感じですね。
では結果を見てみましょう…!
- 普段運動しない人に比べ、毎週平均92分、又は1日15分の運動をしていた人は、全死亡リスクが14%も減少しており、寿命が3年も延びていた…!
- 1日15分の最低運動量を超えるごとに、死亡率は4%減少、がんの死亡率は1%減少していた…!
- 普段運動しない人は少し運動すると答えた人に比べて、死亡リスクが17%も高かった…。
週92分又は1日15分以上運動するだけで健康リスクダウン・寿命が延びる・がんの死亡率が低下ってのはすごい効果ですねー。逆に運動しないと死亡リスクが結構高まるってのは怖いですね…。
因みに上記の結果は、年齢や性別、心血管疾患のリスクを持つ人などの変数を調整しても変わらなかったらしい。
更に1日15分か1週間90分の中~強度の運動をすれば、心血管疾患のリスクがある人でも効果的…!ってことなんで、手遅れってことはなく誰でもやる価値はありそうですね…!
運動の習慣化がなかなかうまくいかなくて…って方は、まずは、週92分か、1日15分以上運動するのを目標にしてみてはいかがでしょうか…?
因みに心血管疾患のリスクがある人でなければ、運動強度はウォーキングでOKなんで、まずは通学や出退勤で毎日15分歩くことを目指してもよろしいかと思います。
どのような方でも運動したら睡眠が良くなるみたい…!
2011年のベラミン大学の研究によると、様々な年齢の成人アメリカ人を対象に運動と睡眠の関係を調べてみたそうです。
具体的には、2005年から2006年にかけて行われたアメリカ国民健康栄養調査(NHANES=アメリカ国民の代表的な健康調査)のデータを解析したとのことで、年齢幅は18歳から85歳まで、総サンプル数3,081人だったとのこと。参加者には7日間、右股関節に加速度計を付けてもらい運動量をチェック、合わせて面談による睡眠の質問に回答してもらったそうな。
最後に年齢やBMI、健康状態や喫煙の有無、うつ病なんかの変数を調整した結果、- 週150分以上運動をしている人はそうでない人に比べ、睡眠の質が0.65倍もアップしていた…!
- 普段運動している人は、すぐ眠りについていた…!(=入眠潜時が短かった…!)
- 普段運動をしている参加者はしていない参加者に比べて日中すごく眠いと感じることが0.65倍も下がっていた…!
- 疲れていると集中できない…!ということが0.45倍も改善した…!
- 寝ているときに足がつるということが0.68倍も改善した…!
朝から夕方にかけて1日30分運動すると睡眠の質がアップする…!但し寝る前は避けるべし…!
2003年のフレッドハッチンソンがん研究センターの研究によると、運動量と睡眠の質の関係について調べてみたそうです。
この研究は、太りすぎ又は肥満であり、普段運動を行っていない女性173名を対象にして行われたそうで、年齢は50~75歳の方々だったとのこと。
参加者には以下の2グループに分かれてもらったそうです。
- 中~強度運動グループ:87名
- 低強度ストレッチグループ:86名
上記の運動又はストレッチをしつつ、合わせて運動頻度やBMI、外で過ごす時間が変わったか、睡眠の質が変わったかを調べたそうな。
期間は1年間で結果はこうなったとのこと。
つまり、朝から夕方にかけて中~強度の運動や低強度、ストレッチなんかを週225分、つまり1日30分行うと睡眠の質が上がるってことですね。しかし、寝る前に激しい運動をしてしまうと逆に興奮して眠るのに苦戦すると…。
睡眠を良くしたいなら寝る前以外で1日30分運動しよう…!ってのは分かりやすい指標で良さそうですねー。
お困りの方は試してみてもよろしいかと思います。
認知症の予防・対策には運動が良い…!
誰しもなりたくない病気の一つに認知症というものがございます。
認知症はアルツハイマー型認知症や血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症といったようにいくつかの種類がございまして、その中で最も多いのがアルツハイマー型認知症となります。
その割合について、2011年のコロンビア大学の研究なんかを見てみると、アルツハイマー病による認知症が全体の60~70%を占めているんだとか。
そんな認知症予防に運動が使えそうだよ~って研究があるんですよね。
2014年の青島大学の研究によると、薬を使わないで軽度認知障害を予防、改善する方法はないのか調べてみたそうです。
まず研究者たちは、MEDLINEやEMBASE、コクラン、BIOSISプレビューといったデータベースを用いて該当する先行研究を検索してみたそうな。またその際、認知的な介入と運動療法を用いた介入のRCTをピックアップしていったとのこと。
気になる結果はこんな感じ。
- 認知症に認知的介入は有意な効果(SMD=0.37)があった…!
- 特に実行機能に有意な効果があった…!
- 運動療法による介入は全体的な認知機能に有意な効果(SMD=0.25)があった…!
どちらも効果があったけど、運動はどの認知機能にも効果的だったのはすごいですね~。
軽度認知障害や認知症に認知トレーニング+運動は効果的…!
2017年のラドバウド大学の研究によると、軽度認知障害や認知症のある高齢者を対象に認知トレーニング+運動が効果的なのかメタ分析を用いて調べてみたそうです。
ということでまず研究者たちは、1976年6月から2017年2月までに発表された該当研究をデータベースを用いて検索してみたそうな。すると1,687件もの研究がヒットしたとのこと。
ということでまず研究者たちは、1976年6月から2017年2月までに発表された該当研究をデータベースを用いて検索してみたそうな。すると1,687件もの研究がヒットしたとのこと。
次にこの中から質の高い研究をピックアップしていったそうで、最終的に基準を満たしたものは10件だったとのこと。
この10件は全てランダム化比較試験だったそうで、これらを用いてメタ分析にかけてみたらしい。
その結果、
- 軽度認知障害や認知症のある高齢者が認知トレーニング+運動を行うと小~中程度のプラスの効果(SMD=0.32)があった…!
とのこと。
やっぱり運動は脳に良いみたいですねー。
細かく見てみますと、
- 認知症の方が認知トレーニング+運動を行うとプラスの効果(SMD=0.36)があった…!
- 軽度認知障害の方が認知トレーニング+運動を行うとプラスの効果(SMD=0.39)があった…!
そうです。
認知症の人はもちろん、認知症になりかけている人にも効果があったのは嬉しいですな。
更に認知トレーニング+運動の介入後には、
- 日常生活動作(ADL)に中~大程度のプラスの効果(SMD=0.65)があった…!
- 気分に小~中程度のプラスの効果(SMD=0.27)があった…!
みたい。
日常生活に最低限必要な動作が大きく改善し、気分も良くなったってのは嬉しいですね~。
因みに2006年のマギル大学の研究によると、軽度認知障害は、正常な認知機能から認知症に移行している段階を指すそうで、日常生活動作(ADL)に目立った支障はないものの、加齢による認知機能の衰えを考慮しても明らかに大きく認知機能が低下しているって特徴があるんだとか。つまり、狭間な状態・認知症一歩手前な状態、認知症予備軍って感じです。
この状態でも認知トレーニングと運動を組み合わせることで改善するって言うんだから、やっぱり日ごろから意識して行っていきたいですなー。
運動で実行機能がアップする…!
まず研究者たちは、2010年1月1日から2022年3月1日までに発表された該当する先行研究をPubMedやWeb of Science、Cochrane Library、Embaseで検索してみたそうな。すると7,836件もの査読済み論文があったとのこと。
続いてこの中から質の高い研究を選んで行ったそうで、最終的に18件の研究が基準を満たしていたらしい。この18件の研究は全てランダム化比較試験だったそうで、総サンプル数は1,366人だったみたい。
このデータを使ってメタ分析をかけてみたそうです。
その結果、
とのこと。
運動はやっぱ脳に良いみたいですねー。
ではどれぐらい運動すれば実行機能がアップするのかですが研究者たちはそこんところもチェックしておられました。ありがたい…!
ってことで早速見てみますと、
- 強度:中程度が良さそう
- 期間:24週間ぐらいは入りそう
- 頻度:週1~2回が良さそう
となっておりました。
これで全体的な実行機能がアップするらしい。早歩きやスロージョギングぐらいのペースで週1~2回を半年ぐらい続けると良いみたいなんで、これならそんなに難しくなさそうですな。
因みに今回の研究は高齢者やアルツハイマー病、認知症の方を対象としており、特にその方々へのメリットが大きかったみたいなんで、予防・改善にも運動が良さそうです。
運動と長寿のポイントは継続・有酸素運動・無酸素運動…!
2012年のモントリオール心臓研究所の研究によると、長寿の為の運動メリットについてレビューしてみたそうです。そもそも健康的な食事、社会的幸福、定期的な運動は、死亡率や慢性疾患の予防、平均寿命、生活の質に影響を与えることが分かっております。今回その中の定期的な運動のメリットをまとめてみたそうな。
ということで早速ポイントをバーッと見ていきましょう。
- 運動は老化の影響を部分的に逆転させることが出来る(=アンチエイジング効果がある)
- 最小限の運動でも継続することによって、死亡リスクの低下、特定のがんの発症予防、骨粗鬆症リスクの低下、寿命が延びる。これは数多くの研究で示されている。
- 運動は柔軟性やバランス感覚をアップさせることだけするのではなく、心肺機能(=有酸素運動)や筋肉機能のアップ(=筋トレ・無酸素運動)も行う必要がある。
- 運動のメリットはトレーニング量と強度が重要そうに見えるが、一番大事なのは長期的に続けることである。
今までも書いてきたとおり、続けるのが大事、有酸素運動も無酸素運動もした方が良いってことですね。そしてこれが運動で長寿を得るためのポイントとのことでした。
運動を行うと不安を予防できるのか…?
2003年のコロンビア大学の研究によると、運動と精神障害の発症リスクについて調べてみたそうです。
この研究は、15〜54歳のアメリカ人を対象にしたもので、参加者は8,098人となっております。実験の流れはシンプルでして、参加者にアンケートを実施し、定期的な身体活動を行っていると答えた人とそうでない人を分けて、精神障害の発症率を比べたみたい。
この研究は、15〜54歳のアメリカ人を対象にしたもので、参加者は8,098人となっております。実験の流れはシンプルでして、参加者にアンケートを実施し、定期的な身体活動を行っていると答えた人とそうでない人を分けて、精神障害の発症率を比べたみたい。
そこでまず分かったのが、
- 定期的な運動を行っている人は60.3%だった…!
ということ。
これが多いのか少ないのかと言われると微妙な感じなんですが、とりあえず6割ぐらいは運動をしている様子。
次に本題である運動と精神障害リスクの関係ですが、まず大枠として、
- 定期的な運動を行うと、大うつ病や不安障害の発症リスクが大幅に低かった…!
とのこと。
運動を行っていると精神病の予防になるんですな。
更に詳しく見てみますと、
- 大うつ病の発症リスク→0.75…!
- パニック障害の発症リスク→0.73…!
- 社交不安障害(社交不安症・社交恐怖症)の発症リスク→0.65…!
- 限局性恐怖症(特異的恐怖症)の発症リスク→0.78…!
- 広場恐怖症の発症リスク→0.64…!
って感じ。
大体25~35%リスクが減るみたいですね。
それと余談ですが限局性恐怖症(特異的恐怖症)と広場恐怖症はかなり似ているんですが、
- 限局性恐怖症(特異的恐怖症):1つの物や事、場所なんかに極度の不安や緊張が出る
- 広場恐怖症:2つ以上の物や事、場所なんかに極度の不安や緊張が出る
って違いがございます。
限局性恐怖症は、虫だけは無理…!とか飛行機だけは勘弁…!みたいな感じですね。それに対して広場恐怖症は、大勢の人が無理…!だから朝の通勤ラッシュの電車内もぎゅうぎゅうのエレベーターも勘弁…!みたいな感じですな。
更に余談ですが、私はこの辺がいつもごっちゃになるんで限局性恐怖症は「限」が入っているから1つ、広場恐怖症は「広」が入っているから2つ以上って感じで覚えております。
定期的な運動は不安やうつ病の予防になる…!
2006年のアムステルダム自由大学の研究によると、定期的な運動が不安やうつ病、性格と関係しているのか調べてみたそうです。
この研究は、オランダの双子登録簿(オランダツインレジスタ)っていう有名なデータセットを使ったもので、これは双子とその家族のライフスタイルや健康をずーっと追跡調査したものとなっております。
今回の研究では1991年から2002年までのオランダの双子登録簿のデータを使ったそうで、サンプル数は19,288人ということでした。因みに運動頻度や不安、うつ病、性格についてはアンケートでチェックしたそうです。
それでは結果を見てみましょう。
皆、年とともに運動をしなくなるってのは分かりますね…。それとやっぱ運動はメンタルに良い影響があるみたいですな。
また運動する人はメンタルが安定して活動的な性格の人が多かったってことでまぁ、これは想像通りといった感じですね。
因みに上記結果は、性別や年齢はほとんど関係なかったってことなんで、やはりいくつになっても男性でも女性でも運動した方が良さそうです。
余談ですが、METs(代謝当量)ってのは普段の代謝量から何倍の代謝量で運動しているかを示す運動強度のことを言います。つまりMETsの数字が高くなればなるほど、きつい運動(高い強度の運動)ってことですね。
んでざっくり目安を書いておきますと、
- 1〜2METs:ゆっくり歩くぐらい
- 3〜5METs:早足で歩くぐらい
- 6METs:ゆっくり走るぐらい
- 7METs:普通に走るぐらい
- 8~9METs:速く走るぐらい
- 10以上METs:全力で走るぐらい
って感じ。
なんで上記の研究の「4METs(代謝当量)で週60分以上運動していた人」ってのは、早足で歩くことを週60分以上していた人ってことになります。
更に詳しいMETsの目安については、健康長寿ネットのMETsページをご覧ください。
薬物療法には劣るかもだけど運動は不安障害の方の症状改善に効果がありそう…!
2013年のリーズ大学の系統的レビューによると、不安障害の方を対象にした一般的な治療法と運動効果を比較してみたそうです。
そもそも不安障害の患者さんは通常、抗うつ薬と心理療法で治療するのが一般的です。しかし代替的なアプローチとして運動なんかの方法を取り入れることもあるんですよね。じゃあ効果はどうなのか…?ってことで今回チェックしてみることにしたんだとか。
最初に2011年7月までに発表された先行研究を6つのデータベースを用いて検索してみたそうな。併せて多くの学術誌も手作業でチェックしてみたらしい。因みにこの時、ランダム化比較試験(RCT)の研究に絞って探したそうです。
その結果、良い感じのRCTが8件見つかったそうな。それらを見てみると以下のことが分かったそうです。
- 1件のRCTからパニック障害の場合、運動により不安症状は改善するが、抗うつ薬ほどの効果はなかった…!
- 1件のRCTから抗うつ薬+運動で不安症状が改善していた…!
- 1件のRCTから作業療法+ライフスタイルの変更+運動でベック不安尺度(Beck Anxiety Inventory:BAI:21問からなる自己記入式の不安評価尺度)が減少した…!
- 1件のRCTから認知行動療法(CBT)+運動で社交恐怖症が改善した…!
- 1件のRCTから有酸素運動と無酸素運動のどちらを行っても不安症状が改善していた…!
- 2件のRCTから中~高強度の運動と非常に軽度~軽度の運動のどちらが不安軽減に効果的なのかは不明だった…!
つまり、薬物療法には劣るかもだけど、運動は不安障害の方の症状改善に効果がありそう…!ってことですね。薬物療法は副作用などデメリットが気になりますが、運動はデメリットを気にする必要がなかったり費用をかけずに始められるんで気軽さが良い感じかと思います。
運動は不安に効く…!その効果は不安軽減治療よりも上で認知行動療法と同程度…!
2008年のアリゾナ州立大学の研究によると、運動が不安の改善に効くのか調べてみたそうです。
同様の研究はいくつもあるんですが、今回の研究のポイントはランダム化比較試験(RCT)のみを使ったメタ分析というところ。つまり質の高い研究ってことですな。
んで、今回使われたRCTは全部で49件だったそうで、それらをメタ分析にかけてみた結果、以下のようになったんだとか。
- 運動グループは、コントロールグループに比べて、不安が大幅に軽減(効果量=-0.48)されていた…!
- 運動グループは、他の不安軽減治療グループに比べて、不安が軽減(効果量=-0.19)されていた…!
つまり、何もしないよりも運動した方が不安感が少ないし、不安治療よりも運動の方がちょっとだけど効果的だった…!ってことですね。因みにここでの不安軽減治療は、ストレッチやヨガ、グループセラピー、リラクゼーションや瞑想だったらしく、これよりも運動の方が良かったみたい。恐るべし、運動…。
更に余談ですが、運動は認知行動療法と効果が同じくらい、薬物療法のみは運動よりわずかに大きな効果があったそうです。
なんで効果の高い順にまとめると、
- 薬物療法
- 認知行動療法・運動
- 不安軽減治療(ストレッチ・ヨガ・グループセラピー・リラクゼーション・瞑想)
- 何もしない
って感じ。
薬物治療が基本なのは変わりませんが、金がかからず気軽にできる運動が2位につけているのは素晴らしいですよね。
一方で、運動は不安に効かない…って研究もある(但し何もしないより効果はあった)
2013年のCMHCの研究によると、不安障害の治療法としての運動が有効なのかRCTのメタ分析で調べてみたそうです。
まず研究者たちは、PubMed(1965年~2013年1月)とPsycINFOというデータベースと用いて、不安障害と運動の研究を検索してみたそうな。
まず研究者たちは、PubMed(1965年~2013年1月)とPsycINFOというデータベースと用いて、不安障害と運動の研究を検索してみたそうな。
続いてその中から、
で質の高い物をピックアップしていったらしい。
最終的に基準を満たした研究は7件でして、総サンプル数は407名だったそうな。
また対照群の内容は、
- 有酸素運動以外の運動を行ってもらう
- 何もしない
- プラセボを行ってもらう
- 認知行動療法を行ってもらう
- 心理教育を行ってもらう
- 瞑想を行ってもらう
って感じだったみたい。
これらの結果から分かったことは、
- 不安障害の患者さんに有酸素運動は効果がなかった(SMD=0.02)
- 研究結果のばらつきが大きかった…。
- 有酸素運動は何もしない場合やプラセボの場合と比べ、不安が軽減していた…!
そうです。
つまり上記の研究結果と対照的にこちらでは、有酸素運動は不安に効かない…って感じだったみたい(まぁ、何もしないより効果はあったのは同じでしたが)
高レベルの不安又は不安障害を持つ成人が運動を行うと何もしないよりも明らかに症状が改善していた…!
2015年のデューク大学医療センターの研究によると、高レベルの不安又は不安障害を持つ成人に運動が効果的なのか系統的レビューを行ってみたそうです。
結果、
- 12件のRCTにより、高レベルの不安又は不安障害を持つ成人が運動を行うと何もしないよりも明らかに症状が改善していた…!
とのこと。
やっぱプラセボよりも良い結果だったんですね~。
但し注意点もございまして、ほとんどの研究が小規模だったり、他の治療法+運動で試していたりしていたこと。なんで、はっきりと結論を出せたわけではないということでした。
不安障害やストレス障害の方に対して、運動は通常の治療やプラセボよりも抗不安効果がある…!しかも効果量が中程度もある…!
2017年のキングス・カレッジ・ロンドンの研究によると、不安症やストレス障害を持つ人に運動が効果的なのかRCTの系統的レビュー・メタ分析を用いて調べてみたそうです。
ということでまず研究者たちは、2015年12月までに発表された、不安障害やストレス障害を持つ人々を対象に通常の治療やプラセボと比較した運動の効果の研究をデータベースで検索してみたそうな。次のその中から質の高い研究をピックアップしていったとのこと。
最終的に基準を満たした研究は6件のランダム化比較試験(RCT)だったそうで、
- 合計サンプル数:成人262人
- 総運動グループ数と年齢:132人、34.74歳
- 総対照グループ数と年齢:130人、37.34歳
って感じだったみたい。
良い感じのRCTが6件なので小規模のメタ分析になってしまいますが、仕方ないでしょう。
んで、結果が、
- 運動は対照グループよりも不安症状を有意に改善していた…!
- その効果量は中程度(SMD=-0.582)だった…!
とのこと。
不安障害やストレス障害の方に対して、運動は通常の治療やプラセボよりも抗不安効果がある…!ってのはすごいですな。しかも効果量が中程度もあるなんて…。
健康な人、身体的疾患のある人、精神疾患のある人に関わらず筋トレ(無酸素運動)で不安症状が改善する…!
2017年のリムリック大学の研究によると、不安に筋トレが有効なのかRCTのメタ分析で調べてみたそうです。
そもそも有酸素運動はメンタルにプラスの影響がある…!不安軽減に効果がある…!って先行研究で分かっていたんですが、筋トレの効果についてはよく分かっていなかったんですよね。そこで今回調べてみることにしたそうな。
まず研究者たちは、2017年2月までに発表された筋トレとメンタル、筋トレと不安の効果を調べた先行研究を、Google ScholarやMEDLINE、PsycINFO、PubMed、Web of Scienceを使って検索してみたそうです。続いてこの中から質の高い研究をピックアップしていったらしい。
その結果、16件の研究に絞り込むことが出来たんだとか。
この16件の研究は、
- 論文の種類:全てランダム化比較試験
- 総サンプル数:922人(平均年齢43±21歳、女性68%、男性32%)
- 筋トレグループの合計人数:486人
- 上記以外のグループの合計人数:436人
って感じだったらしく、また不安については、実験開始時、実験中、実験終了後にチェックしていたみたい。
これらのデータをメタ分析にかけてみた結果、
- 筋トレは不安症状を有意に改善(0.31)していた…!
- 健康な参加者(0.50)は、身体的疾患・精神疾患のある参加者(0.19)よりも筋トレの不安軽減効果が高かった…!
とのこと。
つまり、筋トレも精神障がいの有無に関わらず、不安感に効果的だと。但し、精神障害を持っていない人の方がより効果が大きいみたいですねー。
因みにこの研究では他の要因で効果が変わるのかチェックしているんですが、性別や年齢、対照グループの条件、運動時間、運動期間、運動頻度、運動強度、不安になる時間、実際に筋力がアップしたかで、有意な効果量の変化はなかったらしい。そのため、誰でも、どんな筋トレでも、やれば不安軽減効果が得られそうってことですね。
ということで、健康な人、身体的疾患のある人、精神疾患のある人に関わらず筋トレで不安症状が改善するみたいです。やっぱ有酸素運動・無酸素運動のどちらもメンタルに良いんですな~。
不安障害の患者さんや不安レベルが高い患者さんに運動は効果的だった…!この効果はトレーニング後も3~7ヶ月続きそう…!もしかしたら高強度が良さそう…!
2018年のマンチェスター大学の研究によると、運動が不安に効くのか幅広い不安レベルの方を対象にしつつ、強度の違いもあるのかRCTの系統的レビュー・メタ分析で調べてみたそうです。
そもそも不安症の一般的な治療法は、薬物療法(SSRIなどの抗不安薬)又は心理療法(認知行動療法など)になりますが、多くの患者さんは薬物療法をしたがりません。理由は簡単で吐き気などの副作用が生じる可能性があるためです。そのため、まずは生活習慣の見直しと改善から行うことを望んでいたりします。
一方で、治療として運動を行う場合、副作用が比較的少ない上に、健康効果(体重減少や血圧低下など)がアップするというメリットがございます。また、病院を予約してわざわざ受診する必要がなく、治療プログラムに参加する必要もない為、費用対効果が高いだけでなく、患者さんにとっても気軽にできるという可能性があるんですよね。
んで、以前に見たとおり、診断を受けていない方が運動すると不安軽減効果を得られることが分かっております。
そこで今回は、不安障害の診断基準を満たす患者さんと不安レベルが高い患者さんを対象にして運動の効果を調べてみたらしい。また、高強度の運動と低強度の運動を比較してどちらがより効果的なのかも見てみたそうな。
そこで今回は、不安障害の診断基準を満たす患者さんと不安レベルが高い患者さんを対象にして運動の効果を調べてみたらしい。また、高強度の運動と低強度の運動を比較してどちらがより効果的なのかも見てみたそうな。
ということでまず研究者たちは、該当する先行研究をコクランやMEDLINE、EMBASEで検索してみたそうです。またその時、ランダム化比較試験であることや実験期間が2週間以上のものなどに絞って検索してみたそうな。
すると3,821件もの研究が見つかったみたい。続いてこの中から質の低い研究を除外していったそうで、最終的には15件の研究がピックアップできたんだとか。この15件の研究の総サンプル数は675人でして、これらのデータを基に系統的レビュー・メタ分析を行ったそうです。
気になる結果は、以下のようになっておりました。
- 運動グループは何もしないグループに比べて、不安スコアが改善(効果量-0.41)していた…!
- 高強度の運動グループは低強度の運動グループに比べて、不安スコアが改善(効果量-0.38)していた…!
つまり、不安障害の患者さんや不安レベルが高い患者さんに運動は効果的だった…!ってことですね。しかも運動強度は高い方が良いと…。
但し注意点として、高強度の運動グループに参加した人はドロップアウトの確率が高かったらしいんで、個人的には、強度よりも運動の継続に主眼を置いた方が良さそうな感じ。
そして、この研究では運動の効果の持続性についてもチェックしているんですが、
- 高強度の運動グループも低強度の運動グループも、運動による不安軽減効果はトレーニング後も3~7ヶ月にわたって維持されていた…!
- 2件の研究では、高強度の運動グループは低強度の運動グループに比べて、長期的にみた場合、より大きな不安軽減効果があった…!
- 1件の研究では、高強度の運動グループも低強度の運動グループも、長期的にみた場合、同じぐらい不安軽減効果があった…!
- 上記3件の研究の総合効果量は-0.30だった…!
とのこと。
研究数が少ないものの、とりあえず運動を止めても運動による不安軽減効果は続きそうですね。また、強度は高い方が良いのかも…?って感じでした。
では最後に、不安障害の患者さんと不安レベルが高い患者さんの効果量の違いも見ておきますかー。
不安レベルが高い患者さんの方が運動の効果がありそうですが、グループ間の有意差はないそうなんで、ここは気にしなくて良さそうですね。
- 不安レベルが高い患者さんの効果量:-0.46
- 不安障害の患者さんの効果量:-0.32
不安レベルが高い患者さんの方が運動の効果がありそうですが、グループ間の有意差はないそうなんで、ここは気にしなくて良さそうですね。
因みに高強度の運動グループと低強度の運動グループがどんな感じなのか見てみると、
- 高強度の運動グループ:最大心拍数の60~70%で、ジョギングやトレッドミル運動、ウォーキングなどの有酸素運動を行っていた
- 低強度の運動グループ:快適な状態ぐらいの負荷でのウォーキングやストレッチ、柔軟性運動など、それほど激しくない有酸素運動を行っていた
ってことなんで、運動習慣がない方はウォーキングから始めて徐々にランニングに移行していくとよろしいのではないでしょうか。
有酸素運動・無酸素運動のどちらでも不安軽減効果はあったし、個人差もなし…!
2022年のルーヴェン・カトリック大学の研究によると、運動の抗不安効果に個人差があるのかRCTのメタ分析で調べてみたそうです。
ということでまず研究者たちは、CINAHLやEmbase、Medlineといったデータベースを用いて該当研究を検索してみたそうな。またこの時、ランダム化比較試験(RCT)に絞ってチェックしていったらしい。
次に検索した物の中から質の高い研究をピックアップしていったそうで、最終的には7件の研究が選ばれたとのこと。この7件の研究の総サンプル数は成人322名とのことで、これらを用いてメタ分析を行ってみたんだとか。
結果、
- 有酸素運動と無酸素運動(筋トレ)は、有意な抗不安効果があった…!
- 有酸素運動も無酸素運動も抗不安効果に個人差はなかった…!
そうです。
有酸素運動・無酸素運動のどちらでも不安軽減効果はあったし、この効果に個人差はなかったみたい。誰でも効果がある…!ってのは嬉しいですな。
しかもこの研究は、不安障害やストレス障害のある成人を対象にしていますんで、障がいの有無に関係なく、運動はオススメできる感じ。いや~素晴らしいですね。
子どもを対象にした場合でも運動はメンタル安定・改善に効果的…!
2019年のグラナダ大学の研究によると、18歳以下の子ども達の精神的健康に運動が効果的なのか系統的レビューとメタ分析を用いて調べてみたそうです。
まず研究者たちは、2013年1月から2018年4月までに発表された該当する先行研究を、PubMedとWeb of Scienceというデータベースを用いて検索してみたそうな。またこの時、未就学児(2~5歳)、小学生(6~11歳)、中高生(12~18歳)を対象にしたものを選んで行ったらしい。更に運動頻度と座りがちな行動におけるメンタルへの影響については、1個以上の心理的不調(うつ病や不安、ストレス、ネガティブな感情)又は心理的幸福(自尊心や自己効力感、自己イメージ、ポジティブな感情など)を含む研究を選んだとのこと。
最終的に選ばれた研究は114件でして、その内訳は、
- ランダム化比較試験:4件
- 非ランダム化比較試験(準実験):14件
- 縦断研究:28件
- 横断研究:68件
って感じでした。
このランダム化比較試験と非ランダム化比較試験のうちの12件(ランダム化比較試験3件・非ランダム化比較試験9件)を使ってメタ分析を行ったそうです。
その結果、
- 6歳から18歳までの子ども達の精神的健康に対する身体活動の全体的な影響は小さいながらも有意(効果量0.173)だった…!
- 小学生(6~11歳)、中高生(12~18歳)を別々に分析した結果、中高生では有意だったが、小学生では有意ではなかった。
- 観察研究(縦断研究・横断研究)の結果、身体活動と心理的不調(うつ病や不安、ストレス、ネガティブな感情)の低さ、心理的幸福(自尊心や自己効力感、自己イメージ、ポジティブな感情など)の高さには有意な関係があった…!
- 小学生(6~11歳)と中高生(12~18歳)では、座り時間が増えると、心理的不調が増加し、心理的幸福が低下するという有意な関係があった…!
- 未就学児(2~5歳)に関する証拠はほとんど存在しなかった。
とのこと。
つまり、運動することによって青少年の精神的健康が改善できるみたいですな。また運動を増やし、座り時間を減らすことがポイントだと。
子どもが運動すると不安感改善…!レジリエンスアップ…!幸福度アップ…!ポジティブがアップしメンタルが健康に…!
2020年のカロリンスカ研究所の研究によると、学校で行われる運動は子どものメンタルに良い影響をもたらすのか系統的レビュー・メタ分析で調べてみたそうです。
具体的には、
- 4~19歳の子ども達における、学校で行われる身体活動や座位行動が、ポジティブ・ネガティブにどのような影響を与えるのか…?
- 年齢や性別、家庭の経済状況などの変数は関係あるのか…?
についてチェックしてみたらしい。
ということでまず研究者たちは、2009年1月~2019年10月の間に発表された査読済みの関係研究をデータベースを用いて検索してみたそうな。またこの時、4歳から19歳の幼稚園や小学校、中学校、高校なんかに通う子供たちを対象にした研究に絞って検索したみたい。
その結果、14,821件の研究がヒットしたんだとか。
次にこの中から、重複したものや質の低い研究を除外していったそうで、最終的に31件の研究が選ばれたそうです。この31件の研究は12ヶ国で行われておりまして、内訳を見てみますと、
- アメリカ:8件
- オーストラリア:6件
- イギリス:5件
- アイルランド:2件
- ドイツ:1件
- 中国:1件
- 韓国:1件
- カナダ:1件
- デンマーク:1件
- スペイン:1件
- ノルウェー:1件
- トルコ:1件
って感じです。残念ながら日本の研究は入っていない感じですな。
続いて、これらの研究の概要についてですが以下のようになっておりました。
- サンプル数:19人~2,797人
- 平均年齢:8歳~17歳
- 女性の割合:31%~100%
- 家庭の経済状況:ほとんどの研究で様々だったか、低い人を対象にしていた。
- 学校で行われた運動方法:通常の学校の体育の授業、レクリエーション、ヨガなどなど多岐にわたる。
- 実験期間:4週間~4年
上記のデータを基にメタ分析を行ってみた結果、4~19歳の子ども達が運動することによって、
- 不安感が有意に改善していた…!
- レジリエンス(逆境力)が有意にアップしていた…!
- 幸福度が有意にアップしていた…!
- ポジティブが有意にアップしメンタルが健康になっていた…!
とのこと。
子どもを対象にしたメタ分析でも運動がメンタルにプラスの効果をもたらすことが分かったのは大きいですねー。しかも体育の授業みたいなものでも効果があるなんて…。
この結果に研究者も、
- 学校関連の身体活動介入は、不安感を軽減し、レジリエンスを高め、幸福感を改善し、子どもや青少年の精神的健康を向上させる可能性がある
としています。
運動はうつ病や統合失調症の患者さんにも効果アリ…!
2014年のシドニー大学ジョージ国際保健研究所の研究によると、精神疾患の患者さんに身体活動が有効なのか系統的レビューとメタ分析で調べてみたそうです。
まず研究者たちは、MEDLINE、コクラン、PsycINFO、CINAHL、Embase、PEDro(Physiotherapy Evidence Database)というデータベースを用いて、2013年までに発表された先行研究を検索してみたそうな。
次にその中から、ランダム化比較試験(RCT)やDSM-IV-TRやICD-10、医師の診断などで気分変調症や摂食障害以外の精神疾患(うつ症状や統合失調症など)と診断された成人の研究をピックアップしていったらしい。また質の低い研究なんかも除外していったみたい。
最終的に選ばれたのは39件の研究でして、これらを用いてメタ分析にかけてみたそうです。
その結果、
- 身体活動はうつ症状の軽減に大きな効果(SMD=0.80)があった…!
- 質の高い研究の効果(SMD=0.39)は、質の低い研究の効果(SMD=1.35)よりも小さかった。但し、統計的な有意差はなかった…!
- 身体活動は統合失調症の症状の軽減に大きな効果(SMD=1.0)があった…!
- 心肺機能アップ(SMD=0.63)や生活の質の向上(SMD=0.64)にも中程度の効果があった…!
とのこと。
運動はうつ病や統合失調症の患者さんにも効果アリ…!って感じですな。
因みにこのメタ分析で使われた研究の運動方法を見てみると、
- プログラムによる運動
- 運動のカウンセリング
- ライフスタイルへの介入
- 太極拳
- ヨガ
だったそうで、有酸素運動なら強度はそんなに気にしなくて良さげな感じ。
これはハードルが低くて大変よろしいですな。
パニック障害の患者さんにも運動は有効…!強度は高い程効果あり…!しかもたった一度の運動で効果が出る…!
2007年のマーストリヒト大学のRCTによると、パニック障害の患者さんを対象に運動が効果的なのか調べてみたそうです。
まずパニック発作とは何も理由がないのに突然発作(動機や息切れ、めまいなど)が起こる病気のことを言います。そして原因は二酸化炭素の過敏性でして、体内の二酸化炭素量が増えると発作が起こるんですよね。んでこれが頻回するとパニック障害と診断されるんですな。
一方で先行研究により、健康な方(パニック障害ではない方)が運動を行うと、パニック発作の軽減に効果がある…!って出ております。
でもこれってちょっと矛盾した感じがしませんか…?だって有酸素運動とかすると息が上がって体内にいっぱい酸素を取り込もうとする、つまり体内の二酸化炭素量が増えている感じやパニック発作みたいな感じじゃないですか。にも関わらず、運動がパニック発作の軽減に役立つんですよ。
ということでパニック発作に運動が良さそうだけど、なんで良いのかってのを今回調べてみたそうな。併せて、パニック障害の方に運動が有効なのかもチェックしたそうです。
この研究は、パニック障害の患者さん18人(女性11人、男性7人、平均年齢29.6歳)が参加したというもの。因みに18人の中で複数の診断を受けていた方は、
のようになっております。
んで、参加者たちには、以下の2グループにランダムに分かれてもらったらしい。
- 運動グループ10人(平均年齢30.1歳):中~高強度の運動を行った。
- コントロールグループ8人(平均年齢29.1歳):非常に軽度の運動を行った。
この時、両グループの性別は同じ割合になるよう設定したとのこと。
運動後、参加者全員に、35%CO2チャレンジ(35%の二酸化炭素を吸ってもらいパニック発作が誘発するかチェックする検査。良く使われる方法)を行い、二酸化炭素に対する反応を見てみたみたい。
その結果、
- 運動グループ(中~高強度の運動)は、コントロールグループ(非常に軽度の運動)よりも、二酸化炭素に対するパニック反応が小さかった…!
- パニック率の増加は、高強度の運動によって一貫して減少していた…!
そうです。
サンプル数は小さいですが、どうやらパニック障害の患者さんにも運動は有効であり、強度が高ければ高い程効果があるみたいですね。しかもたった一度の運動で効果が出るなんて…。
パニック障害も不安からくるものなんで、障がいの有無に関わらず、たった一度の運動で不安に効果があると分かったのは大きいですね。
筋トレも1回行うだけで抗不安効果がありそう…!ポイントは低~中強度(1RM=70%未満)で行うこと…!
2014年のデイビッドソン大学のレビュー論文によると、筋トレの抗不安効果について調べてみたそうです。
今まで見てきたように数多くの研究で定期的な運動は、認知機能や気分、生活の質の向上など、メンタルにプラスの影響を与えることが分かっております。そして、これらの研究の多くは有酸素運動を用いておりますが、無酸素運動(筋トレ)も多くの研究によりメンタルの安定や改善に効果があることが分かっているんですよね。
では具体的にどれぐらい筋トレすれば不安改善効果が得られるのか…?ってことで研究者は先行研究の結果を見直ししてみたらしい。
んでまず結論から言ってしまうと、
- 1回の筋トレの抗不安効果は、複数の研究で実証されている…!
とのこと。
つまりたった一度の筋トレで効果が出ると…。有酸素運動もそうでしたが運動の不安軽減効果は即でるみたいですな。但し、有酸素運動と違って強度は低めの方が良いみたいなのがポイント。
具体的には、高強度(1RM=70%より大きい )は、低~中強度(1RM=50~70%)に比べて不安軽減効果が低かったらしい。因みに1RM=40~55%にすると不安感が急激に減少するって研究結果が多いそうで、1RM=10%っていう超低強度でも抗不安効果が確認されたんだとか。
例えば、
- 1993年のアリゾナ州立大学の研究:1RM=45%で筋トレを1回行うと不安感が減少した。更に運動後120分までこの効果は持続した。しかし1RM=30%や1RM=60%だと同様の効果は出なかった
- 1999年のフロリダ大学の研究:1RM=50%で運動を行うと不安感が減少した。しかし1RM=80%だと不安感は減少しなかった。更にこの効果は普段筋トレをしているかどうかは関係なかった
- 2010年のメリーランド大学の研究:1RM=50~55%でセット間の休憩90秒(低強度)と1RM=80~85%でセット間の休憩30秒(高強度)を比べてみると、低強度の方が大幅に不安感が減少した
- 1998年のテキサス大学オースティン校の研究:1RM=50%で筋トレを行うと不安感が減少した。しかし1RM=85%を超える筋トレを行うと不安感が逆に増えてしまった
って感じ。
まとめると、
- 筋トレは1回行うだけでも抗不安効果がありそう…!
- しかも運動後、少なくとも120分は効果が持続しそう…!
- 筋トレ歴に関係なく抗不安効果を受けられそう…!
- 低~中強度(1RM=70%未満)で筋トレすると抗不安効果を最も確実に受けられそう…!
となります。
因みにこのレビューでは性差による効果の違いが出るのかもチェックしておりまして、
- 2002年のウェイクフォレスト大学の研究:自分で選んだ強度又は1RM=75%の強度のどちらかで筋トレしてもらったら、女性の方が大幅に不安感が減少した
- 1997年のウィスコンシン大学マディソン校の研究・2009年のオハイオ州立大学の研究・2011年のアンジェロ州立大学の研究:男性に1RM=70%を超える強度で運動してもらったが、不安感が確実に減少しなかった
そうなんで、筋トレによる抗不安効果は女性の方が男性よりも受けやすいっぽいみたいです。
ということで有酸素運動だけでなく、無酸素運動(筋トレ)もたった一度行うだけで抗不安効果が受けられそうな感じでした。
運動が効く理由の一つは、不安への耐性アップと感受性ダウン…!
1998年のゲッティンゲン大学の研究によると、パニック障害の患者さんを対象に有酸素運動の効果を調べてみたそうです。
実験は以下の手順に従って行われたそうな。
- 実験開始前に参加者38人の心肺機能をエアロバイクで測定する。
- 次に10週間のランニングを行ってもらう。
- 実験終了後、再度、参加者10人の心肺機能をエアロバイクで測定する。
また参加者については、以下の3グループがあったようです。
これで運動の効果が本当にあるのか分かる感じですね。
では結果を見てみましょう。
- 実験開始前のパニック障害の患者さんのpeak VO2(=VO2max:最大酸素摂取量)と乳酸濃度は、健康な方に比べて、有意に低下していた。つまり、パニック障害の患者さんは健康な方に比べて、心肺機能や疲れやすさが高かった…!
- しかし10週間のランニングを行ったパニック障害の患者さんは、乳酸濃度(≒疲れやすさ)が有意に改善していた…!
- パニック障害の患者さんの持久力(体力)もアップしていた…!
- 実験終了後、ランニング(有酸素運動)は、プラセボよりも、パニック症状の改善に効果的だった…!
- 抗うつ薬の治療はパニック症状の改善に効果的だった…!
- 実験開始前の個人の持久力は、不安感と相関していなかった…!また、持久力のアップとパニック症状の改善も相関していなかった…!
パニック障害の患者さんは体力が低く、疲労感も貯まりやすい感じだったけど、運動でその辺が改善したみたいですね。また、運動により、パニック発作や不安感も改善していたけど、それは個人の持久力や持久力アップとは関係なかったらしい…。
つまり、運動により体力アップや疲れにくくなったのがパニック発作や不安感改善の原因ではないみたい。
では何が原因なのかと言いますと、
- パニック障害などの方は、不安な感情を引き起こし、これが運動を行うことを消極的にしている…!
- 運動プログラムを受けると、これらの症状や感情に対する耐性が高まる…!
- 結果、不安への敏感さが低下する…!
みたいな感じ。
パニック障害だけでなく、うつ病なんかもそうですが、不安になるとついつい億劫になったり、不安に対して過敏になっちゃったりします。しかし運動することによって、これらの症状に慣れて、結果、不安感受性が低下するみたいです。
なるほどこれは納得な理由ですね。
運動が不安に効く理由はいっぱいある…!
2013年のVAノーステキサスヘルスケアシステムの研究によると、運動の抗不安効果のメカニズムに焦点を当ててレビューしてみたそうです。
ということで早速、ポイントを見ていきましょう…!
まずは生理学的メカニズムからです。
- HPA軸(視床下部-下垂体-副腎(HPA)軸):運動はHPA軸の変化と深く関係している。そしてHPA軸は、身体的・心理的ストレス要因に対する適応反応の発達において重要な役割を持っている。慢性ストレスがあるとHPA軸が上手く機能しなくなり、結果、うつ病や不安症状に陥る。しかし運動により、HPA軸のホルモン分泌が変化する。これはヒトのストレス反応や不安に対して調節している様子。
- モノアミン系:モノアミン系とは、セロトニン(幸せホルモン)、アドレナリン(エピネフリン:興奮、闘争ホルモン)、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン:恐怖、驚きホルモン)、ドーパミン(やる気ホルモン)などのこと。うつ病や不安障害の方はこれらの放出が減少していたり枯渇していたりして、需要と供給のバランスが崩れている。運動はこれらの脳内物質を抗うつ薬と同程度増やす効果がある。
- オピオイドシステム:うつ病と診断された方は中枢・末梢のエンドルフィン(俗に脳内麻薬と呼ばれるホルモン。鎮痛効果がある)のレベルが異常な場合がある。そして運動は中枢神経系と末梢神経系のエンドルフィンを増やす効果がある。そのため、運動を行うと気分が高揚したり幸福感がアップしたり、不安感が軽減したりする(ランナーズハイもこれ)
- 神経栄養因子:BDNF(脳由来神経栄養因子)は、脳内で最も豊富な神経栄養因子であり、不安とうつ病の両方に関係している。特にストレスによるうつ病や不安はBDNFレベルを低下させる。それに対して運動はBDNFレベルを増加させる。BDNFが増えることによって、セロトニン作動系の機能を高め、神経細胞の成長を促進する可能性がある。
- 神経新生:神経新生とは新たな脳内神経細胞が作られることを言う。2002年のテキサス大学の研究によれば、成人の脳、特に海馬における新しいニューロンの成長は、うつ病や不安などの精神疾患の治療に関係していそうとのこと。慢性ストレスはこの神経新生のプロセスを壊す可能性がある。一方で、運動はエンドルフィンや血管内皮増殖因子(VEGF:血管新生を促すタンパク質)、BDNF、セロトニンなど、成人の海馬神経新生にプラスの影響をもたらすことが示唆されている。
ざっくりまとめると、運動により脳内物質やニューロン成長が正常に戻るため、不安に効果がある…!って感じですな。
では次に心理的メカニズムのポイントもチェックしておきましょう…!
- 不安に対する感受性と耐性:不安の感受性と運動頻度の間には逆相関関係があることが分かっている。運動を行うことにより不安の感受性が低くなる。また不安の感受性の高い人が運動を行うと心拍数の上昇などに慣れてきて耐性が高まる。更に運動を繰り返すことにより、不安への怖れにも慣れてくる。
- 自己効力感:自己効力感が高い人、つまり潜在的な脅威に対して自分は管理できると自分を信頼できる人は心配に悩まされることなく不安レベルも低い。運動を行うことによって、運動によるストレス対処が上手くなる。また体力が向上すると、持久力の向上や痛みの軽減(筋肉痛が起きにくくなるなど)、継続力の向上などのフィードバックが得られる。更に筋肉がついたり姿勢が変わって見た目も変わってくる。結果、自己効力感がアップする。因みに自分にあったレベルで運動することが自己効力感を最もアップさせるコツとのこと。
- 気晴らし:運動の不安軽減効果のメカニズムとして、気晴らしになるという理由も考えられる。瞑想やまったり過ごす時と運動の気晴らし効果が同程度という研究結果もある。
こちらもざっくりまとめると、運動で不安に鈍くなり耐性がアップ、更に自信がついて、気晴らしにもなっている…!って感じですな。
ということで運動が不安に効く理由ははっきり分かっていないものの、色々な可能性がありそうな感じでした。更にいえば、運動には不安に効く要素がいっぱいあってその相乗効果で良くなっている可能性もあるとも言えますね。
いずれにしても運動を行うのはメンタルに良さげなのは間違いなさそうです。
ウォーキング・HIIT・SITなどの効果
ウォーキングやHIIT、SITなどのトレーニングの効果については、下記からご覧ください。
- 歩く・ウォーキングは体に良いは常識。ではどれぐらい歩けばどのような効果があるのか?効果を高める歩き方はあるのか?
- 超効率重視で心肺機能を上げる「HIIT(ハイ・インテンシティ・インターバル・トレーニング)」入門
- HIITはきつい?だったら「SIT(スプリント・インターバル・トレーニング)」だ!って話
運動・筋トレ+自然にすると良いかも…!
運動や筋トレを室内で行っても、もちろん良いのですが、更に自然環境で行うと良さそうなんですよね。つまり運動や筋トレはなるべく外で行った方が良いってことです。詳しくは下記をご覧ください。
個人的考察
運動の継続のためのモチベーション維持にご参考にしていただけたらと思います。
それと、運動や筋トレとダイエットの関係については下記をご覧ください。
また、何事も過ぎるは良くない…!ってことで、過度な運動のデメリットも合わせてどうぞ。
最後に運動をしたい方には、
また、何事も過ぎるは良くない…!ってことで、過度な運動のデメリットも合わせてどうぞ。
最後に運動をしたい方には、
ぜひ、無理せず出来るところから行ってみてください。
参考文献
https://www.health.harvard.edu/staying-healthy/abdominal-fat-and-what-to-do-about-it
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/oby.20949
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-12/hsop-wta121914.php
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/oby.20949
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-12/hsop-wta121914.php
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