自己批判ってのは、本当に嫌な思考のクセでして、いつまでも自信が持てなかったり、先延ばしが起きちゃったりしてメンタルがやられちゃうんですよね…。
なんで対策しておくに越したことはないんですが、オススメはやはり認知行動療法セルフコンパッションでしょう。
では他に良い方法はないのか…?ってことで、今回、新たなテクニックをご紹介します。



帰属バイアス(帰属エラー)・自己批判を防ぐ「直接抽象化テクニック」

2015年のオハイオ州立大学の研究によると、自己批判を持ちがちな人が成功体験から自信をつけるための新しいテクニックを作成してみたそうです。
そもそも自己批判を持ちがちな人ってのは、成功体験から根拠のある自信を持つことができない可能性があるんだとか。
どういうことかというと、自己批判を持ちがちな人は、

  • 成功した…!:今回はたまたま運が良かっただけだ…と思ってしまう
  • 失敗した…!:自分の責任だ…と思ってしまう

って感じになりやすいそうなんですよね。
いわゆる帰属バイアス(帰属エラー)ってやつでして、要は良い事は偶然で自分のおかげではない、悪い事は例え原因が自分になくても自分のせいだと思ってしまうような感じです。
こうなってしまうと成功体験をいくら積み重ねても自分を認められない状態が続き、結果、いつまでたっても自信がつかないといった悪循環が陥ります。何故か自信が身につかない方。身に覚えはありませんかね~?
ではどうしたらいいのかですが、一番良いのは成功体験は偶然と思わないようにすることでしょう。だいぶ前に話した、努力の結果、成果が出来たときは恥ずかしがらず、謙遜せず、自分を褒めよう、認めよう…!って話ですね。しかし、実際どうして自己批判を持ちがちな人はここんところが難しいんですよね。
そこで研究者たちは、自己批判対策として直接抽象化テクニックというものを推奨しておられました。んでこの直接抽象化テクニックが本当に役立つのか4つの実験を通して調べています。各実験の概要と結果は以下な感じでした。

  • 実験1:自己批判を持ちがちな参加者に、新しい課題に関する成功のフィードバックを行ってもらった。その時にプラスして直接抽象化テクニックで書くよう指示した。すると、将来の成功に対する大きな期待を持てると報告していた(=自信がついた)
  • 実験2:参加者に過去、人前でプレゼンしたときの成功体験を思い出してもらった(=ポジティブな感情)が、同じ効果が直接抽象化テクニックでも確認された。
  • 実験3:人前で話すことに強い恐怖心を持つ参加者に2パターンの方法でスピーチを行ってもらった。直接抽象化テクニックを使った参加者は、自分の成功から自分の能力についての自信、将来への期待、スピーチの自信をより持てるようになった。
  • 実験4:言語タスクの成功後に直接抽象化テクニックを行った。結果、その後の言語タスクで失敗に直面した時も持続性が高まった(=自信を失わずに持続できた)

いずれも帰属バイアスに飲みこまれて自己批判に陥ることなく、成功に対して正しく自信を持てた…!って感じですね。
では、直接抽象化テクニックとはどのような物なのでしょうか…?
通常、人は反省会をする際に、今までどうやってやってきたか具体的な手段について考え、そこで成功や失敗、偶然、努力の結果などを判断しているみたいです。しかし、自己批判になりがちな人はどうしても認知の歪みがあるので、そこを偶然で片づけたり、小さい失敗にフォーカスしてしまうみたいなんですよね。
そこで、直接抽象化テクニックの登場です。これは、結論→抽象的な理由について考える・書いてみるって方法でして、深く深く最初から最後まで具体的に考えるよりも、結果とざっくりとした理由を考えたり書いた方が変に細かいことに気が回らなくなり、自分の能力に意識がいって考えられるってなるそうな。その結果、成功したのは自分の○○な能力が理由だ…!となり、自信を持てて将来への期待も高まるみたい。また、失敗しても自信を失わずに持続できるようにもなるそうです。
確かに自己批判は深読みしすぎている傾向から出てくるもんなんで、

  • 結論→成功…!
  • 抽象的な理由→自分の○○が良かったから…!

ぐらいの見直しなら、深みにハマらずにすみそうですね。



個人的考察

精神障がいの方で帰属バイアスからの自己批判に陥っている方を見受けることがあります。
そんな時にいきなり、偶然じゃないよ…!っと声掛けしてもダメだと思いますんで、是非、直接抽象化テクニックを使っていただけたらと思います。併せて、冒頭でもお伝えした通り、認知行動療法セルフコンパッションも使ってもらえると尚よろしいかと思います。
それと最終的には、やはりコーピングレパートリーを作るのが良いかな~とも思いますねー。