毎月恒例の月1社内研修が令和2年7月14日にありましたので、例によって例の如く、内容を備忘録としてブログに残しておきます。
因みに過去の月1社内研修は下記となります。気になる方はご覧ください。




前回のおさらい

動画の開始から終了まで1.5倍速で視聴しつつ、第一世代の行動療法、第二世代の認知行動療法、第三世代の認知行動療法(新世代の認知行動療法)について概要を押さえました。また、どういった歴史的経緯があるのかも学習しました。



認知行動療法の基礎と展開 第3回目「レスポンデント学習と行動療法」

今回の月1社内研修では第3回目「レスポンデント学習と行動療法」を皆で視聴しました。
下記動画ですね。因みに講義資料はこちらからダウンロードできます




いかがだったでしょうか…?
今回の動画は前回とほぼ同じく1時間20分ぐらいあり、1時間では当然終わらないため、1.5倍速で動画を視聴しました。



しせつちょうのメモ帳

いつも通り、今回の講義内容のポイントを私なりにまとめておきます(タイトル回収)
参考程度にどうぞ。

  • レスポンデント条件付けとは、刺激強化子随伴性と言われ、条件刺激が無条件刺激の機能を獲得する学習形式のこと。
  • レスポンデント条件付けを使った代表的な治療法が「エクスポージャー法による情動反応の消去」
  • エクスポージャー法→苦手な物・事・場所にあえて挑戦・継続させる方法。
  • レスポンデント条件付けは、19世紀末パブロフがみつけた。古典的条件付け、パブロフ型条件付けと呼ばれる。パブロフの犬の実験が有名。ベルの音(中性刺激NS)の後、犬に食べ物(無条件刺激UCS)を与えると唾液が出る(無条件反応UCR)これらを繰り返すと音で(条件刺激CS)食べ物がなくても唾液が出る(条件反応CR)
  • 上記が促進されるには、条件刺激(CS)と無条件刺激(UCS)の回数を増やす。
  • 条件刺激(CS)と無条件刺激(UCS)を一緒に提示すると下記より早く形成されるが、下記より消去しやすい。
  • 条件刺激(CS)がなく、無条件刺激(UCS)を一緒に提示すると上記より形成されにくいが、上記より消去されにくい。
  • 条件刺激(CS)→無条件刺激(UCS)の順の方が逆よりもレスポンデント条件付けが成立しやすい(例:ウサギが逃げる→穴に逃げ込みほっとするはあるが、逆だと穴を見ただけで逃げないといけなくなるため)
  • 条件刺激(CS)と無条件刺激(UCS)の時間の間隔が短い程、レスポンデント条件付けが成立しやすい。
  • 但し、時間の間隔が長くなっても条件刺激(CS)によって条件反応(CR)が起きるとレスポンデント条件付けが成立しやすくなる(例:食べる→数時間後腹痛になるとその食べ物を食べたり考えるだけで腹痛になる。味覚嫌悪学習)生物の生死にかかわるようなものは強い準備性があるといえるため、レスポンデント条件付けが成立しやすい。
  • 般化(汎化とも書く)は人間にも起こるということが分かったのが行動療法の始まり。1920年に行動主義心理学の創始者であるジョン・ワトソンが「アルバート坊やの実験」を行った。アルバート坊やは実験的に恐怖症を形成した(人でもレスポンデント条件付けが起こると初めて証明された)がその際に般化が起きた。
  • アルバート坊やの実験→アルバート坊やは最初、小動物と遊ぶのに何も問題なかった。遊び始めたところで大きな音を鳴らし、小動物と遊ぶ→嫌なことが起きると学習させた。結果、小動物を怖がり逃げる、泣くようになった。
  • その時、実験で使った小動物と似たような小動物でも怖がり逃げる、泣くようになった(般化が起きた)
  • アルバート坊やの実験↓


  • 1924年にジョーンズが実験的に恐怖症を形成→消去に成功した。
  • 般化は似ていれば似ているほど引き起こしやすい(般化勾配)
  • 系統的脱感作で用いられる不安階層表も般化勾配の概念を基に作られている。
  • 系統的脱感作→不安階層表を作る。作り方は、不安になるものをリストアップ→ランキング付けする。ランキング上位が元々のレスポンデント条件付けがされたもの。ランキング下位が般化勾配によるレスポンデント条件付けがされたもの。ランキング下位から介入していく。リラックスして不安な場面を思い浮かべてもらう→その場で不安反応が起きない(重要)→もう一度リラックスして次の不安な場面を思い浮かべる→少し不安になる→一度中断、リラックスしてもらう(必要なければやらなくてOK)→再び不安な場面を思い浮かべる→中断、リラックス…を繰り返す→その場で不安反応が起きない→次の不安へ…。徐々に上位の不安にステップアップしていく。
  • 上記は逆制止と言われる現象。逆制止とは不安と相容れない心身の状態を利用して、特定の刺激によって不安反応が起きないようにする方法。
  • 弁別→般化と反対のプロセスで刺激感の違いに反応する能力のこと。弁別強化をすることによって特定の刺激のみ反応するようになる。
  • レスポンデント条件付けの消去は条件刺激(CS)のみ繰り返す(例:音を聞かせて何もしない)
  • 但し、完全に元に戻る訳ではない。消去は時間が空くと前回より反応が低くなるが反応はしてしまうので繰り返して消去する必要がある。また消去しても再度レスポンデント条件付けを行うと初回より早く形成される。
  • 理由は、一旦学習されたものに消去学習が上書きされるから。つまり、上書きして一旦学習されたものはごみ箱に入っている状態。まだ残っているので復元可能。
  • 消去の部位は腹内側前頭前野
  • 条件刺激(CS)と無条件刺激(UCS)をランダムにだす、条件刺激(CS)が少ないと消去がされにくい。
  • 複合刺激によるレスポンデント条件付けでは隠蔽・阻止・感性予備条件付け・高次条件付けがある。
  • 隠蔽・阻止は条件刺激(CS)が複合刺激の場合、付随的な刺激は無視され簡略化が起きる。
  • 感性予備条件付け・高次条件付けは反応に関与しない他の刺激を追提示することによってその両方でレスポンデント条件付けが形成される。
  • ストレスとリラクゼーションは対極にある。ストレスを生み出すものをストレッサーという。
  • リラクゼーションとはストレスがない状態以上のもので、リラクゼーションを繰り返すことでストレス耐性がアップする。
  • ストレスもリラクゼーションも貯まる。貯められる。
  • リラクゼーション状態は睡眠状態以上。
  • 自分で意図的に作り出さないといけないのがリラクゼーション。
  • リラクゼーションの方法→自律訓練法・自己統制法・瞑想・腹式呼吸・座禅・ヨガ・漸進的筋弛緩法、末梢からのインプットによる中枢制御(自然にでかける)など。
  • 患者は不安にピークがないと思っている。但し、実際は不安にピークはある。エクスポージャー中は始まりに一気に不安が上昇、ピークに達する。しかしその後、不安は下がっていく。これを何回か経験することによってレスポンデント条件付けを消去できる。高所恐怖症の実験では参加者に我慢できるところまで行ってもらい、2分ごとに恐怖の推移をグラフに書いてもらった。不安や恐怖を感じた時に現実に目を向ける(手すりをつかんでいる手に集中するなど)と不安が下がるのが早くなる。
  • ルール支配行動→前もって理解しておけばできるという学習方法



次回の講義資料・全講義資料

次回の講義資料のダウンロードページは下記となります。


全講義資料のダウンロードページは下記となります。


講義資料まで用意してくれているなんて熊野先生に感謝です…!



個人的考察

「アルバート坊やの実験」でアルバート坊やは恐怖症を形成したんですが、その後、恐怖症を消去する計画が当初あったそうです。しかし、結局消去されなかったそうな。本人不幸すぎる…。自分がアルバート坊やだったら知らんうちに恐怖症を植え付けられるとか最悪…。
あと、熊野先生の耳ウォーミングを寝る時やった話が面白い…!


今回のポイントをまとめつつ、足りない部分を加筆したものが下記になります。合わせてご覧ください。




参考文献