【まとめ】腸内細菌・腸内フローラは超重要!あらゆる不調や脳の支配率、精神障がい・発達障がいにも関わっている件
皆さんはこんな症状ありませんか…?
- 常にお腹の調子が悪い…。
- 食事のたびに胸やけがする…。
- 食事でしょっちゅう下痢や便秘になる…。
- 肥満になってしまい、なかなか痩せない…。
- メンタルの調子が悪い…。
- 自閉スペクトラム症(ASD)の症状が悪化した…。
- 統合失調症が悪化した…。
- あごやほほ、首、腕、背中がしょっちゅうニキビ、ぽつぽつ、赤くなる、湿疹が起きた…。肌荒れが悪化した…。
- アレルギーが起きた…。悪化した…。
- 関節リウマチ・乾癬性関節炎・皮膚乾癬対策が起きた…。悪化した…。
- 免疫が悪化、疾患が起きた…。
これらは、慢性ストレスなんかでも起きますが、意外と盲点なのが腸内環境です。
腸と脳はつながっている…!
まず、基本事項として、普段あまり意識したことはないかもしれませんが実は腸と脳はつながっているんですよね。この当たりは2008年のライデン大学のレビューに分かりやすくまとめられておりまして、なんでも、迷走神経を使って腸から脳へ様々な指令を出しているみたいなんですよ。などなど、たくさんの生理学的プロセスに関わっているそうです。
そして、研究者曰く、特に迷走神経の役割について、多くの証拠が得られている、とのことなんで、腸が脳に与える影響は思った以上に大きなご様子。
更に2013年の記事では、迷走神経は腸と脳をつなぐコミュニケーションの高速道路と呼んでおり、また、腸内細菌は、免疫系を調節したりするだけでなく、独自の神経伝達物質を生成して脳に指令を出す可能性もあるそうです。ここまでくると、腸内細菌の脳の支配率がハンパない…!って感じですよね…。
そして、ここからが本題で2010年ぐらいから、腸内細菌の量や腸内細菌の多様性(腸内フローラ)ってメンタルにも影響しているかも…!ってなってさー大変になったわけであります。腸内環境の悪化がうつ病などの精神障がいの発症や悪化の原因の可能性が出てきたってことですね。つまり、
- 腸内細菌・腸内フローラ(腸内環境)が悪化→脳への指令がおかしくなる→精神障がいの発症や悪化…!
ってことです。うぁーーー。
まだまだ謎なことが多い分野みたいなんですが、ここからはそれらの根拠をバーッと見ていきたいと思います。
腸・脳・腸内細菌の関係
2015年のオッペンハイマーストレス・レジリエンス神経生物学センター(CNSR)の研究によると、腸・脳・腸内細菌の関係についてレビューしてみたそうです。
そもそも腸と脳はつながっていて双方向に影響を与えている…!って話がございまして、その結果どちらかが崩れると腸と脳に影響を与える…!と考えられております。
例えば、
なんかですね。
そのメカニズムはまだまだ分からないことが多いんですが、どうやら腸内細菌とその代謝物が、
- 腸透過性
- 腸の粘膜免疫機能
- 腸の運動性
- 腸の感受性
などに影響を及ぼしているからみたいなんですよ。
また、
- 抗生物質による腸内細菌操作での実験
- 糞便移植による腸内細菌操作での実験
- 無菌マウスによる腸内細菌操作での実験
などにより、おそらく正常な腸内細菌がいないとストレスにやられちゃうこと、腸内環境(腸内フローラ)の改善によってある程度改善できそうな感じみたいです。
因みに腸内細菌の影響力は結構すごくて、
- 不安
- うつ
- 痛み
- ストレス反応
- 摂食行動
- 味の好み
- 代謝
にまで及ぼす可能性がありそうとのこと。
- 感情的な行動
- 学習と記憶力
- 社会的行動と自閉症スペクトラム障害のような行動
- 摂取行動
プロバイオティクスによる、それぞれの影響については以下な感じだそうです。
- 感情的な行動:不安行動の減少とうつ行動の減少がみられた。
- 学習と記憶力:糖尿病のラットの記憶機能障害が改善した。但し、場合によっては悪化したケースもあった。
- 社会的行動と自閉症スペクトラム障害のような行動:社会的行動をとるようになった。行動異常の一部が改善した。
- 摂取行動:研究数は少ないが摂取行動に影響を与える可能性がありそうだった。
期待できそうなのはやはりメンタルへの影響ですかね。
それと成人の腸内細菌とストレスの関係については、かなりの証拠がありそうなんで特に気にしておきたいところです。
ということで腸内細菌は腸と脳の双方向に影響を与えるかもよーというお話でした。
流れとしては、
- ストレスや腸の粘膜炎症(体内炎症・慢性炎症)が起きる
- リーキーガットが起きる(腸透過性で毒素が漏れ出す)
- 脳に影響が出てメンタル不調…!
腸脳軸(GBA)について
2015年のローマ・ラ・サピエンツァ大学の研究によると、腸脳軸についてレビューしてみたそうです。
そもそも腸と脳はコミュニケーションをとっておりまして、感情やモチベーション、高次の認知機能などに影響を与えております。このような腸と脳の相互作用を腸脳軸(GBA)って言うんですよね(2009年のカリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究)。
んでこの腸と脳のコミュニケーションは、中枢神経系(CNS)や脳と脊髄、自律神経系(ANS)、腸神経系(ENS)、視床下部-下垂体-副腎(HPA)軸も含まれており、健康を支える上で抑えておきたいポイントとなっております。
そしてこの腸脳軸を支える上で大事なのが腸内細菌です。様々な研究から腸内細菌が腸脳軸に重要な影響を及ぼしていることが分かっておりまして、特に最近はメンタルへの影響が注目されているんだとか。
例えば、
- 不安障害
- うつ病
- 発達障害(自閉症スペクトラム障害(ASD))
などですね。
特に気分障害(躁うつ病)と関連性が高い感じで、腸脳軸の乱れが深く関係していそうなんですな。また過敏性腸症候群(IBS)なんかもかなり怪しいなんて話も出ております。
更に記憶障害も報告されておりまして、原因はおそらくBDNFの発現変化なんじゃないかと言われております。
そんな腸内細菌は、
- GABA:γ-アミノ酪酸。ストレス低減、興奮した神経を落ち着かせる効果がある
- セロトニン:幸せホルモン。ドーパミン(喜び、快楽など)やノルアドレナリン(ノルエピネフリン)をコントロールする働きがある
- メラトニン:睡眠ホルモン。夕方から夜に向けて増え始め眠気を誘う効果がある
- ヒスタミン:食中毒を引き起こす原因物質。蕁麻疹やアレルギー反応、頭痛なんかが起きることがある
- アセチルコリン:神経伝達物質の一つ。記憶力や認知機能を調節する機能を持つ
などの神経伝達物質の生成に関わっているからが理由で、他にもカテコールアミンや硝酸塩と亜硝酸塩からの一酸化窒素の生成も関係がありそうな感じとのこと。そして腸内細菌は免疫の活性化にも寄与しているんだからすごいもんです。
そんな腸内細菌ですが、食事の影響をモロに受けます。
その話は次回からとして、ここではストレスに注目しておきましょう。様々な種類のストレスは腸内細菌に大きな影響を与えます。そして結構、敏感に反応してしまうみたいなんですよー。
例えば、
- 2014年のオハイオ州立大学の研究:社会的ストレスにわずか2時間さらされるだけで腸内細菌が変化し、乳酸菌の数が減っちゃった
- 1992年のカロリンスカ研究所の研究:ラットに長期的なストレス(慢性ストレス)を与えてみたそうなんですが、腸の粘液分泌が減ってしまった
- 1989年のINRA(INRAE)の研究:犬に食後1~3時間、80~90dBの騒音(騒々しい工場の中や地下鉄の車内、電車の車内ぐらいの音)を聞かせてストレスを与えたら、胃や腸の働きが大幅に遅くなった
ってことなんで、やっぱりストレス対策は必須ですねー。
腸と脳は迷走神経でつながっていて故に腸内環境・腸内細菌は超大事…!
ジョージア大学は、腸と脳は迷走神経でつながっているんで、腸内環境や腸内細菌は大事だよ…!ってことをずーっと調べております。
ってことで早速バーッとジョージア大学の研究を見ていきます…!
- 2017年のジョージア大学などの研究では、高脂肪・高炭水化物食を用いて、ラットの腸内環境変化を4週間見続けております。すると、IL-1(インターロイキン1)やIL-6(インターロイキン6)、TNF-α(腫瘍壊死因子)などの炎症性サイトカインが発現しまくったとのこと。結果、腸内環境における腸内細菌の変化によって肥満にもなったんだとか。腸内環境・腸内細菌と炎症、肥満は関係あるってことですね。
- 2018年のジョージア大学の研究によると、マウスを使って腸内細菌と迷走神経の関係を調べてみたそうです。腸内細菌を増やしてみると、メンタル面、特に不安感が減少したとのこと。またこの効果は迷走神経を切除することによってなくなってしまったということで、腸内細菌とメンタル、腸内細菌と迷走神経は関係あるってことですね。
- また2018年のジョージア大学の研究では上記内容をまとめておりまして、慢性的な高脂肪食(加工食品の摂取)は、迷走神経・カロリー摂取量の増加とかかわりがある…!としています。またこれらは、腸内環境の悪化による炎症によって引き起こるとも述べられておりますね。そのため、腸内細菌を考えた食事にすることによって炎症を予防し、ひいては代謝障害(肥満など)や行動障害(不安感の減少など)の両方の潜在的な治療に役立つ可能性があるとしています。全て相互に関係しており、つながっているんで、そこを対策することによって健康になれると…。そのためには腸内環境改善の食事に取り組むのがベストだ…!ってことみたいですね。
- 更に2018年のジョージア大学の研究では腸と脳のコミュニケーションと摂食行動の調整に腸内細菌が重要な役割をしているよーとも書かれております。肥満や不安などは腸内細菌が迷走神経を使って脳に指令を出しているみたいなんで大事にしてやらんといかんですな。さすが人類最古のお友達…。
う~ん。すごいですね~。
んで、これらの結果を踏まえて2020年のジョージア大学の研究を見ていきたいと思います。
この研究の冒頭では、まず上記の挙げた内容を簡単にまとめております。慢性的な高脂肪食を食べ続けると、迷走神経を使って満腹感を得られなくなり結果、食べ過ぎ・体重増加につながる…!ってことや、腸内環境・腸内細菌の異常を引き起こすって話ですね。
その上で、じゃあ食事を関係なしにしても、腸内細菌は迷走神経を使って腸と脳を支配するのか…?ってのを調べてみたみたいです。
では実際どうやったかというと、ラットを2グループに分けて
- 45or60%の脂肪を含む高脂肪食
- 13%の脂肪を含む低脂肪食
を食べさせたそうな。
次にそれぞれの腸内細菌を取り出して交換してみたとのことです。これによって食事の影響をなくしつつ、良い腸内環境の腸内細菌、悪い腸内環境の腸内細菌の影響のみ分かるようになりました。
3週間後、12週間後にラットを見てみた結果は、
- 高脂肪食を与えられていた腸内細菌を移されたラットは、明らかに過食と体重増加が進んでいた…!
とのこと。
この結果に研究者曰く、
- 腸内細菌の異常は、腸と脳の迷走神経を変化させる可能性がある
としています。
食事に関係なく腸内細菌が悪化するだけで、腸と脳の迷走神経に影響が出るみたいですね~。腸内細菌はストレス等によっても変わりますんで注意が必要ですね。
腸内細菌の減少でメンタルに悪影響が…!
2012年のマクマスター大学のレビューによると、腸内細菌の役割をまとめてみたそうです。すると、動物実験が多いものの、腸内環境の悪化は、腸の機能や炎症状態を引き起こし、メンタルにはっきりと悪影響を及ぼしていたそうな。
また、2011年のユニバーシティ・カレッジ・コークの研究によると、腸内細菌の減少は胃や腸、メンタル、免疫の悪化、最終的には病気につながる可能性があるそうで、やはり、健康だけでなく、メンタルにもダメージを与えてしまうみたい…。
腸内細菌を変化させたり、交換してみると、メンタルと行動に影響が…!
また、2013年のマクマスター大学の動物実験によると、不安症のマウスと活発なマウスの腸内細菌を交換してみたそうです。すると、不安症のマウスの不安が少なくなり、他のマウスと一緒にいることが多くなったんだとか。逆に活発なマウスは徐々に不安が大きくなり、臆病になっていったとのこと。つまり、腸内細菌によってメンタルと行動の両方に変化があったってことですね。
因みに研究者曰く、食事を変えたり、プロバイオティクス(腸内細菌のこと)を与えたり、抗生物質を投与したりして、腸内細菌に変化を与えると、攻撃的なマウスは落ち着いたりもしたそうな。
やっぱ、腸内細菌のメンタルへの影響はヤバいですね~。
人間を対象とした研究でも腸内環境悪化でメンタルに影響が出ている…!
ここまでは、主にマウス実験が多かったのですが、もちろん人間を対象とした実験も結構おこなわれております。
例えば、2013年のカリフォルニア大学の研究によると、うつ病ではない健康な20名と、抗うつ薬治療後の(薬を服用していない)大うつ病性障害(MDD)の20名を比較したそうです。結果、うつ病の方はIL-6(インターロイキン6)の濃度が高く、インターロイキン10(IL-10)の濃度が低かったとのこと。
つまり、炎症性サイトカインが多く、抗炎症性サイトカインが少ないってことで、これは腸内環境が悪化しているってことです。う~ん。これをみると、うつ病と慢性炎症や酸化ストレスが関係している感じですね~。
また、大うつ病性障害と酸化・抗酸化の反応を調べた2012年のヴァンダービルト大学の研究でもうつ病と酸化ストレスの関係は出ております。
更に2012年のピッツバーグ大学の研究では、炎症は大うつ病の発症の原因の1つである可能性が高いとのことです。
そして2010年のトロント大学のメタ分析では、大うつ病は人口の4.4%~20%で発症するけど、これって特定のサイトカインの濃度と関係あるの…?ってことについてまとめてみたそうです。研究は2009年8月までに出ている研究と参考文献を手動で検索していったそうで、最終的に24の研究をピックアップし、メタ分析をかけてみたとのこと。
以上を踏まえると、腸内環境悪化と密接に関係ある慢性炎症や酸化ストレスが精神障がいの人は高いということで、やっぱ関係あると言わざるを得ないですね~。
ジャンクフードなどで腸内環境が悪化、リーキーガット(炎症)が起きると不安やうつ症状に陥る…!
2013年のウィメンズ病院&医療センターの研究によると、うつ病や不安(感情障害や気分障害、不安障害)と様々な関係性についてまとめられております。
ポイントをざっくり抜き出していくと、下記な感じ。
- うつ病や不安に悩む人は、炎症マーカーが高かった。つまり、CRP(C反応性タンパク)、酸化ストレス、炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1、IL-6)のレベルが高かった。
- うつ病や不安に悩む人は、腸透過性が高かった。つまり、リーキーガットが起きていた。
- うつ病や不安に悩む人は、バクテリアが繁殖していた。
- うつ病や不安に悩む人は、細菌の多様性が失われていた。つまり、腸内フローラが悪化していた。
- うつ病や不安に悩む人は、近代的な食事(ジャンクフード)が多かった。対して、そうでない人は伝統的な食事(発酵食品、野菜、魚メイン)をしている人が多かった。
因みに2008年のベルギーの研究でも、リーキーガット(腸透過性)の増加と大うつ病の関係を調べておりまして、やっぱ腸の粘膜が弱って毒素が漏れちゃうとうつ病の可能性が高まるみたいです。う~ん。食べ物って大事…!
自閉スペクトラム症(ASD)の症状にも関係が…!
実は精神障がいだけでなく、自閉症などの発達障害とも腸内細菌は関係があるみたいな話があります。例えば2013年のバーリアルドモロ大学の研究によると、健康な子どもと広汎性発達障害・自閉症の子どもの腸内細菌を比較したところ、腸内細菌の種類や数に明らかな違いがあったとのこと。
また2011年のコロンビア感染・免疫センターの研究でも、自閉症の子どもとそうでない子どもを調べてみたそうですが、やはり、腸の遺伝子と腸内細菌・腸内フローラと関係があったそうです。
更に自閉症と腸内細菌が関係していそうな話として、自閉症の患者さんはリーキーガットを起こしていることが非常に多いそうなんですよね。参考になるのが2010年のナポリ第2大学の研究でして、これはリーキーガット(腸透過性)と自閉症の患者さんとその一親等のご家族を調査しております。
早速結果をみてみると、
- 健康な人:4.8%
- 自閉症の患者さん:36.7%
- 自閉症の患者さんの親族:21.2%
って、感じで明らかに自閉症とその親族の方はリーキーガットの可能性が高かったそうです。
また、胃や腸に不快を感じる自閉症の子どもたちは46.7%もいたそうで、
- 便秘:45.5%
- 下痢:34.1%
- その他(便秘と下痢が交互の起こる、腹痛など):15.9%
といった症状に悩まされていたそうです。
これは1996年のローマ・ラ・サピエンツァ大学の研究でも、似たような結果がみられておりまして、こちらは21人の自閉症の子どもに協力をお願いし、腸透過性(リーキーガット)や腸の粘膜損傷の発生(腸内バリアの強度)を調べたみたいです。結果、腸透過性の変化は、21人の自閉症患者のうち9人(43%)に見られたそうですが、対照群の40人には全く見られなかったとのこと。
これらをみると、やはり自閉スペクトラム症(発達障害)と腸内細菌・腸内環境の関係性を疑ってしまいますね~。それと、自閉症の症状の重さも腸内環境の状況によって変わる可能性があるみたいなので、その当たりも気になります…。
自閉症と腸内細菌の関係をレビューしてみた…!
2013年のハーバード大学の研究によると、自閉症と腸内細菌に関する研究を見直しして、症状を安定させる様々な対策をまとめてみたそうです。では早速ポイントを見ていきましょう…!
- 腸内環境がリーキーガット状態だと、普通の腸内環境に比べ、脆弱である可能性があった。そのため、腸内細菌の変化は、自閉症の症状において重要な役割を果たす可能性があった。
- 腸内環境や腸内細菌の状況は、初期の発達に異常を起こす証拠が増えている。
- 元々いた腸内細菌と外から入ってくる腸内細菌は、抗生物質の使用によってさらに悪化する可能性がある。
- 腸内細菌が関わっている発達の異常は、腸と脳の発達の両方に影響を及ぼし、自閉スペクトラム症(ASD)の原因になる可能性もある。
- 脳や腸の異常は、自閉症における社会的報酬と食事報酬の両方の発達に更に異常を起こす可能性がある。
- 自閉症と腸内細菌の関係は、個人差や様々な要因、感受性、性別なんかを考慮に入れる必要がある。
- これらの研究成果から、自閉スペクトラム症(ASD)を理解し、新たな治療法を見つけられる可能性がある。
ってことで、やっぱり腸内環境と自閉症には関係がありそうな感じなんですよねー。
まぁ、食事に気を付けて損はないかと思いますんで、気になる方はお試しいただいてもよろしいかと思います。
統合失調症にも関係が…!
うつ病に関係がありそうという話は上記で書いた通りなんですが、どうやら統合失調症にも関係していそうな話があります。2012年のジョンズ・ホプキンス大学の研究によると、コホート研究を2つ行ったみたいで、一つ目のコホート研究では、最近発症していない統合失調症の方193人と最近発症した統合失調症の方67人、健康な方207人を対象に調べたそうで、二つ目のコホート研究では統合失調症の方103人(うち40人が抗精神病薬を未使用)を対象に調べたとのこと。
結果、胃や腸の炎症は統合失調症と関係していたそうです。更に健康な方と比較して、最近発症していない統合失調症の方、最近発症した統合失調症の方は、抗精神病薬がない場合には発症、再発の可能性が高まったとのこと。因みに抗精神病薬を服薬することによって状態は良くなる可能性があるそうです。
結果、胃や腸の炎症は統合失調症と関係していたそうです。更に健康な方と比較して、最近発症していない統合失調症の方、最近発症した統合失調症の方は、抗精神病薬がない場合には発症、再発の可能性が高まったとのこと。因みに抗精神病薬を服薬することによって状態は良くなる可能性があるそうです。
また、同研究チームは1年後の2013年のジョンズ・ホプキンス大学の研究にも同じようなことを調べておりまして、一つ目のコホート研究では、141人の統合失調症の方、75人の双極性障害の方、78人の健康な方を対象に調べたそうで、二つ目のコホート研究では統合失調症で抗精神病薬を未使用の方78人と服薬中の方38人を対象に調べたとのこと。
C反応性タンパク(CRP)やボディマス指数(BMI)や食べ物を調べてみたら、結果はやはり同じで、炎症を起こしていることが多かったみたいです。
やっぱ、腸内細菌との関係性の可能性が濃厚ですね~。
食事・肥満と腸内細菌の関係
2014年のカリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究によると、腸内細菌が人間の食事(満腹感や食欲など)をコントロールしている可能性があるけど、これらは腸内細菌が生存し続けるために必要なことをしているだけであり、人間の健康面については考えていないみたいなんですよね。つまり場合によっては人間に悪影響をもたらすこともしてしまうそうです。例えば2013年のテキサス工科大学の研究によると、私たちがいつも食べている食べ物の内容によって、腸内細菌はすぐ変化してしまい、迷走神経を使って腸から脳へダイレクトに満腹感や空腹感に働きかけてしまうとのこと。結果、暴飲暴食になってしまうんだとか。
更に同じ研究者の2013年のテキサス工科大学の研究によると、食欲と食べたい食べ物には腸内細菌が関わっている可能性があるって話もあったりします。
これらをみると、食事や肥満と腸内細菌はかかわりがありそうですねー。
レビューのポイントをまとめてみると、
そうです。
もうここまでくると腸内細菌の機嫌をしっかり取っておかないと…!と思いますね~。
関節リウマチ・乾癬性関節炎・皮膚乾癬対策にも腸内フローラが大事…!
2013年のニューヨーク大学の研究によると、遺伝と環境要因の組み合わせによって起こる自己免疫疾患である関節リウマチと腸内細菌の関係を調べてみたそうです。実験は、患者から114の糞便サンプルを採取して調べたらしい。結果、
- Prevotella copri(プレボテラ・コプリ)が多く存在した人は、関節リウマチの発症と強く相関していた…!
とのこと。
更に、
- プレボテラ・コプリの量が多くなると、バクテロイデス(痩せ菌)の量が減少していた…!
- 関節リウマチの患者さんで報告されている良い微生物の量の減少と相関していた…!
そうです。
つまり、プレボテラ・コプリが多い人は関節リウマチになりやすく、また、肥満にもなりやすいし、良い腸内細菌も減っていた…!ってことですね。因みにこの研究は、サイエンス誌の2013年の10大ニュースの1つにも選ばれたそうな。う~ん。腸内細菌(腸内環境)はリウマチとも関係しているっぽいですね~。
また同じニューヨーク大学の研究チームの2015年の研究によると、乾癬性関節炎の患者と腸内細菌の多様性について調べてみたそうです。
実験は、乾癬性関節炎の患者さん16名、皮膚乾癬の患者さん15名、対照群(健康な方)17名に協力をお願いし、糞便と血液サンプルをとったそう。
結果、
- 乾癬性関節炎の患者さんと皮膚乾癬の患者さんは、健康な方に比べ、明らかに腸内細菌の多様性が少なかった…!
- 乾癬性関節炎の患者さんと皮膚乾癬の患者さんは、何種類かの腸内細菌の量が少なかった…!
とのこと。
つまり、関節炎だけでなく、皮膚や肌荒れも腸内環境の多様性が関係していそうってことです。う~ん。やっぱ腸内フローラは意識しておきたいですねー。
ニキビの人の二人に一人が腸内環境に問題あり…!通常治療+腸内環境改善で治療スピードが2倍以上にアップ…!
2001年の研究によると、腸内環境と尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう=にきび)の関係について調べてみたそうです。
この研究は、にきびに悩んでいる患者さん114人を対象に行ったもので、参加者全員の腸内細菌をチェックしたものとなっております。
早速結果を見てみますと、
- 114人中61人(54%)の患者さんは、腸内細菌が悪化していた…!
- ニキビの種類と腸内細菌の種類に大きな違いはなかった…!
- 通常のニキビ治療にプラスして腸内環境改善の取り組みをすると、ニキビの治療期間が2倍以上も短くなった…!
とのこと。
肌荒れの代表的な問題としてニキビが挙げられますが、二人に一人が腸内環境の問題があり、そこにも手を付けると治療が2倍以上スピードアップするのはすごいですね~。
やっぱお肌を考えるなら内側の対策も必須ですな…。
腸内環境悪化と皮膚問題をレビューしてみた…!
2004年のヘルシンキ大学の研究によると、腸の炎症(腸内環境の悪化)と皮膚問題についてレビューしてみたそうです。なんでも腸と皮膚の関係を調べた先行研究を見直ししてみた結果、
- 潰瘍性大腸炎の患者さんのうちの14%が、皮膚問題を抱えていた…!
- クローン病(消化管全体・腸に炎症を起こす病気)の患者さんのうちの24%が、皮膚問題を抱えていた…!
- 乾癬(かんせん:皮膚が赤く少し盛り上がり白くなって崩れ落ちる病気)は、健康な方よりもクローン病の患者さん方がより多く発症する傾向にあった…!
- 疱疹状皮膚炎(ほうしんじょうひふえん:赤い水泡とかゆみを伴う自己免疫疾患)は、セリアック病の患者さんの4分の1が発症しており、また、口腔粘膜病変(頬の粘膜や舌、歯肉が白くなる)、脱毛症、尋常性白斑(じんじょうせいはくはん:皮膚の色が白くなる病気)が起きやすくなっていた…!
とのこと。
やはり腸内環境・腸内細菌といった内側の問題が外に漏れだしている感じですねー。
他にも関係がありそうなことが…。
他にも腸内細菌と関係がありそうなこととして、
- 注意欠陥多動性障害(ADHD)
- アルツハイマー
なんかがあるみたいです。
抗生物質が腸(腸内細菌)に与える影響
抗生物質は細菌感染による病気の際に使われるとても重要なお薬となっております。しかし、悪い細菌を殺してくれる一方で良い菌も殺してしまわないのか、気になりますよね…?
2015年のオレゴン州立大学の動物実験によると、マウスを使って抗生物質が腸に与える影響について分析してみたそうです。
実験に使われた抗生物質は、
- アンピシリン
- バンコマイシン
- ネオマイシン
- メトロニダゾール
で、これらをマウスに4〜5週間、飲み物に混ぜて飲ませたそうです。
んで、早速結果を見てみると、
- 腸内細菌が明らかに減っていた…!
そうです。
更に、
- 肥満
- アレルギー
- 大腸炎
- 敗血症
- うつ病
なんかの発症や悪化の可能性も増していたそうな。
この結果に研究者曰く、抗生物質は腸内細菌を殺すことによって、その主要な効果が出ると一般的に考えられてきた。しかし、これは抗生物質による副作用の約3分の1を占めるにすぎないことが分かった、とのこと。怖いですね~。
この結果に研究者曰く、抗生物質は腸内細菌を殺すことによって、その主要な効果が出ると一般的に考えられてきた。しかし、これは抗生物質による副作用の約3分の1を占めるにすぎないことが分かった、とのこと。怖いですね~。
更に恐ろしいのが、なんでも抗生物質によるダメージはミトコンドリアの発現とミトコンドリアの活性化を阻害し、腸の上皮細胞の細胞死を増加させていたそうなんですよね。
腸の上皮細胞と言えば、栄養素の吸収や免疫機能などを行っている健康に重要な細胞なんで、これが死んでしまうってことは一大事。腸内環境が悪化し、様々なバッドステータスが降りかかってきますからねー、嫌ですわ~。
もちろん今回の研究はマウス実験ですし、抗生物質の使用=即ヤバい…!って話ではないので注意は必要です。しかし、Gut(腸専門の医学雑誌)に掲載されたことや、上記の件を踏まえると、やはり完全に無視はできない感じ。
となれば、とりあえず、むやみやたらに抗生物質は使わず、必要な際に使っていくのが良さそうですねー。
抗生物質はどのぐらい使い続けると腸内環境に影響を与えるのか…?
2012年のバレンシア大学の研究によると、抗生物質と腸内環境の関係について調べてみたそうです。なんでも、抗生物質の使用は腸内細菌に強い影響があるそうで、人間の健康にも関係があるとのこと。ただ、メカニズムが不明ってことで調べたのが今回の研究になります。
研究者たちは、現在抗生物質で治療中の人に協力をお願いし、糞便サンプルを採取、腸内細菌がどう変化しているのかをチェックしてみたらしい。
抗生物質の治療期間は14日間で、変化はこんな感じ。
- 6日目:良い腸内細菌が減少した…!
- 11日目:腸内フローラ(腸内細菌の多様性)が全体的に崩壊した…!
- 14日目:悪い腸内細菌が増殖しだした…!
とのこと。
つまり、抗生物質は11日間使い続けると腸内環境がはっきりと悪くなるみたいですね。
上記の結果から、即、抗生物質は悪…!絶対使うな…!ってわけではありません。
実際、太古の昔、乳幼児の死亡数が高かったりしたのは抗生物質がなく感染症への対策がなかったのが大きいとも言われておりますし…。そのため、必要な際は抗生物質は使った方が良いのは間違いなしです。
つまり、この結果を踏まえるならむやみやたらと抗生物質を乱用しないというのが大事なのではないでしょうか…?
腸内細菌・腸内フローラ・腸内環境対策
とにかく、従来は、メンタルの病気=脳が原因…!って形だったのが、その脳を混乱させているのは腸内細菌じゃない…?って感じになりつつあるということは皆さんに伝わったのではないでしょうか…?
では、どのように対策するかですが、腸内細菌を増やして元気にしてやる、腸へのダメージを回避するのが基本になります。
具体的には、
- 慢性炎症を回避…!
- 酸化ストレスを回避…!
- リーキーガットを回避…!
となります。
更に具体的に言うと、
- セットポイントの記事で書いた食事法を積極的に取り入れる
- 発酵食品(ぬか漬け)を食べる
- レジスタントスターチを摂る
- ダークチョコレートを食べる
- 腸を労る食事を行う
- プロバイオティクス(腸内細菌のこと)を飲む
- プレバイオティクス(腸内細菌のエサのこと)を飲む
- シンバイオティクス(腸内細菌+腸内細菌のエサのこと)を飲む
- ストレス対策を行う
- ファスティングやチートデイを取り入れる
- 砂糖を避ける
- 人工甘味料を避ける
と言った形でしょうか…?
出来るところから一つずつ取り入れていきたいですねー。
腸内細菌たちを元気にする…!食べ物たち
キングス・カレッジ・ロンドンのティム・スペクター教授の書籍は、腸内細菌が様々な食事習慣と関わっており、相互的作用をもたらして健康や寿命へ大きな影響を与えているということをまとめた一冊になります。
そして腸内細菌は多様性が大事だから、以下の物を積極的に食べよう…!とのことです。
基本的にはポリフェノールと水溶性食物繊維の含有量が大事みたいで、他にも生鮮食品を推奨しております。つまり、生野菜なんかはかなり良さそうですね。
逆にスペクター教授曰く、避けた方が良い食べ物は、
- ジャンクフード
- 加工食品
とのこと。
当ブログおなじみの食べ物たちですね。
これらを意識し、腸内細菌、腸内フローラの多様性を高めることが腸内環境を改善し、健康に暮らすためには非常に重要だということです。
アフリカンスタイルの食事と西洋スタイルの食事を交換すると2週間で効果が出る…!
2015年のピッツバーグ大学などの研究によると、アフリカンスタイルの食事と西洋スタイルの食事を比べてみたそうです。
元々大腸がんの発症率は、南アフリカの農村部のアフリカ人は5/100,000未満であるのに対し、アフリカ系アメリカ人は65/100,000と明らかに高い傾向にあったそうです。そして主な原因は動物性の高タンパク質と高脂肪、低食物繊維ではないか…?となっていたそうで、今回はここを更に深掘りしたそうな。
まず実験に参加したのは、健康な20人のアフリカ系アメリカ人と20人の南アフリカの農村部に住むアフリカ人。この方たちにそれぞれ普段と逆の食事スタイルを試してもらったそうです。具体的には下記な感じ。
- アフリカ系アメリカ人:アフリカンスタイルの食事をしてもらった。具体的には平均食物繊維摂取量を1日14gから1日55gに増やしつつ、脂肪を総カロリーの35%から16%に減らした。
- 南アフリカの農村部に住むアフリカ人:西洋スタイルの食事をしてもらった。具体的には平均食物繊維摂取量を1日66gから1日12gに減らしつつ、脂肪を総カロリーの16%から52%に増やした。
つまり、アフリカ系アメリカ人には高食物繊維・低脂肪の食事を南アフリカの農村部に住むアフリカ人には低食物繊維・高脂肪の食事を試してもらったってことですね。
この食事法の交換は2週間続けたそうで、その間に糞便サンプルを採取、腸内環境がどのように変化したかを見てみたそうです。
結果がどうなったかと言いますと、
結果がどうなったかと言いますと、
- 実験前の南アフリカの農村部に住むアフリカ人は腸内細菌が非常に多種多様で、酪酸を生成する能力も非常に高かった…!
- しかし、西洋スタイルの食事に切り替えると、腸内フローラが悪化、酪酸の生成が抑制されてしまった…!
- 逆にアフリカ系アメリカ人は元々酪酸生成が低かったが、アフリカンスタイルの食事をすることによって、腸内環境が改善、酪酸生成スピードがアップした…!
とのこと。
つまり、2週間、健康or不健康な食事をするだけで腸内環境は良くも悪くも変わるし、これはそれまでの生活スタイルと関係ない…!ってことですね。昔の生活を守っている人はそもそも特別な人たちなんじゃなくて誰でも食事で変われるってのは良いような悪いような話ですねー。でも貴重な研究結果だな~。
2週間、健康的な食事法に切り替えれば腸内環境が変わり良い効果が出そうなんで、まずはそこまで続けてみてはどうでしょうか…?
MACsが少ないのが原因…!
では、なんで西洋スタイルの食事はそんなにダメなのでしょうか…?
この問いについては2014年のスタンフォード大学の研究が参考になります。
この研究によると、西洋スタイルの食事には腸内細菌のエサになる炭水化物(MACs)が非常に少ないそうです。まぁ、そうなれば当然摂取量も少なくなるわけですよ。
それに対してアフリカンスタイルの食事(伝統的な食事)には非常に多くのMACsが含まれているらしい。
んで、西洋スタイルの食事はMACsが少ないので、腸内細菌の働きが低下し、機能も悪くなってしまうんだとか。
その結果として免疫系の低下や慢性炎症などの健康リスクに影響を及ぼすみたいです。
となれば、腸内細菌のエサがポイントになるということでプレバイオティクスやレジスタントスターチを気にしていくのが当面の対策になりそうですねー。
昔の人の腸内環境(腸内細菌)って今とどう違うのか…?
2012年のオクラホマ大学などの研究によると、昔の人の腸内環境(腸内細菌)って今とどう違うのか…?について調べてみたそうです。
そもそも現代は加工食品や抗生物質、公衆衛生の向上などにより、感染症の蔓延が減少しましたが、一方で微生物との関係が崩れてきており様々な問題が出てきています。じゃあ、昔の人と微生物との関係、つまり腸内細菌はどうだったのかを明らかにしてみよう…!となったのが今回の研究です。
んで、古代の人々の腸内環境をよりよく知るために異なる環境の3つの遺跡から糞便サンプル(糞石)を回収して分析してみたそうな。
因みに3つの回収場所の概要はこんな感じとなっております。
- アメリカ南西部にあるハインズ洞窟:8000年前のサンプルを回収。ハインズ洞窟は何千年もの間、人間の居住地として使われた岩のシェルターとのこと。糞石は無傷で非常に豊富にあるそうな。
- チリ北部にあるカセロネス:1600年前のサンプルを回収。ミイラの腸から直接糞石を回収したため、土壌の影響を受けていなかったらしい。
- メキシコ北部にあるリオザペ:1400年前のサンプルを回収。ラ・クエバ・デ・ロス・チキトス・ムエルトスという深く乾燥した洞窟から糞石を回収したとのこと。洞窟内の砂やごみなどの貝塚の中から糞石が見つかったらしい。
これらを分析した結果がこちらとなります。
- アメリカ南西部にあるハインズ洞窟の糞石、つまり8000年前の人の腸内細菌の大部分は、未知の細菌ばかりだった…!
- チリ北部にあるカセロネスの糞石、つまり1600年前の人の腸内細菌は堆肥とかなり高い割合で一致していた…!
- メキシコ北部にあるリオザペの糞石、つまり1400年前の人の腸内細菌はアフリカの田舎の村の子供たちの腸内細菌と似ていた…!
- ハインズ洞窟とカセロネスの糞石を比べると、腸内細菌はほとんど類似していなかった…!
これらの結果から研究者は、
- 古代の糞石により腸内細菌を調べることができるが、当時の腸内細菌と現代の腸内細菌は異なっている。但し、古代の生活を続けている人たちの腸内細菌は似ていた。私たちの結果は、ヒトの腸内細菌の最も劇的な変化は現代生活への変化であることを示している
としています。
「新石器時代の子どもの食事は今に比べ食物繊維が約2倍!なのにカロリーは3分の2!腸内細菌がめっちゃ豊富!痩せ菌が多くデブ菌が少ない!」って話にも通じるところがありますね。やはり考古学的観点から見ても、現代に生きる狩猟採集民の視点から見ても同じような結論になりそうですな。
狩猟採集民であるタンザニアのハッザ族(Hadza・ハヅァ族)の腸内細菌はどうなのか…?
狩猟採集民は古代の生活を今も続けている人たちのこと。
世界には未だにわずかですが狩猟採集民は残っております。ですが、年々近代化が進んでおりまして減少傾向にあったりします。そのため狩猟採集民のデータは非常に貴重なんですよね(現地に行かないといけないし)。
更にその狩猟採集民の中でも特に重要なのがタンザニアに住むハッザ族(Hadza・ハヅァ族)という部族です。
ハッザ族は今でも古代の生活をほぼそのまま維持している超珍しい部族で、当時の暮らしや健康状態、腸内環境などを知るうえで非常に貴重なデータがとれるんですよね(これ以外は糞石サンプルなどから予想するしかない)
ということで今回はハッザ族の腸内細菌を調べた研究をご紹介します。
2014年のマックス・プランク進化人類学研究所などの研究によると、狩猟採集民であるタンザニアのハッザ族(Hadza・ハヅァ族)の腸内細菌は、先進国の人とどう違うのかについて調べてみたそうです。
まずハッザ族の概要はこんな感じとなっております。
- 今回実験に参加したハッザ族は2つのキャンプから集められた27人で、年齢は8〜70歳で平均年齢は32歳だった。
- 2つのキャンプは、タンザニアの北西部にあるエヤシ湖近くのデダウコキャンプとセンゲレキャンプ。
- 27人は200~300人いるハッザ族の一部だそう。
- ハッザ族は小さな移動キャンプに住んでいて、通常30人程のグループとなっている。
- 暮らしはほぼ狩猟と採集の両方で、在来の野生生物・食物を対象としている。
- ハッザ族は現在もいる部族だが、人類の進化の研究にとって重要な地理的場所に住んでおり(初期のヒト族が住んでいた場所と同じ東アフリカ地域に住んでいる)、人類の祖先が利用したものと同じ資源を使っている。
- つまり、ハッザ族の暮らしは旧石器時代の暮らしに最も近い。
- ハッザ族の食事は、肉、蜂蜜、バオバブ、ベリー類、根菜類の5つのカテゴリーに分けることができた。
- ハッザ族は農耕・畜産を一切せず、外部からは最小限の量の農産物(カロリーの5%未満)しか受け取っていなかった。
- デダウコキャンプとセンゲレキャンプの違いと性別の違いについて調べたが有意差はなかった。
- ハッザ族の女性は根菜類や野菜・フルーツを主に採取しつつ、キャンプで子どもや家族、親しい友人と多くの時間を過ごしていた。
- ハッザ族の男性はたくさん移動をして中央のキャンプ場から遠く離れた場所に行き、動物の狩猟と蜂蜜を手に入れていた。
- 食べ物は全てキャンプに持ち帰って共有していた。
因みにタンザニアのハッザ族がすんでいるところのイメージは下記画像みたいな感じです。
ということで27人のハッザ族に協力をお願いし、2013年1月に2週間にわたって糞便を採取、分析して腸内細菌について調べてみたそうな。
また比較対象として、この研究では以下の3つを用意したそうです。
- イタリアのボローニャの都市部に住む16人の成人イタリア人(年齢は20〜40歳で平均年齢は32歳だった)で、糞便サンプルは2013年3~4月の間に収集した。
- アフリカのブルキナ・ファソの農村グループに関する以前に公開されたデータ(「新石器時代の子どもの食事は今に比べ食物繊維が約2倍!なのにカロリーは3分の2!腸内細菌がめっちゃ豊富!痩せ菌が多くデブ菌が少ない!」で紹介したデータ)。ブルポン村のモシ族の5〜6歳の子ども達11人と、イタリア人の3〜6歳の子ども達12人のデータを使用した。
- アフリカのマラウイの農村グループに関する以前に公開されたデータ(2012年のワシントン大学などの研究)。マラウイの4つの農村(チャンバ、マクワラ、マヤカ、ムビザ)に住む20〜44歳の若年成人22人のデータと、アメリカに住む24〜40歳の成人17人のデータを使用した。
さてと…。概要は以上です。
では気になる結果を見ていきましょうか。
まずはハッザ族とイタリアのボローニャの人を比べたものはこうなっておりました。
これらをみるとハッザ族の食事スタイルは地中海式ダイエットを上回る可能性がありそうですね。すごい…!
続いてハッザ族と他のアフリカの農村グループの人を比べたものはこんな感じ。
- ハッザ族の腸内細菌は他のアフリカの農村グループと似ている部分があった…!
- またハッザ族には特有の他の特徴もあった…!
- 但し今回1回だけの比較研究では、ハッザ族、ブルポン村のモシ族、マラウイ族の間で見られた違いははっきりそうだとは言えなかった…。
つまりはっきりとは言えない結果だったみたいですね。
更に研究者によると、
- ハッザ族の腸内細菌はファーミキューテスやバクテロイデスの他にもたくさんの種類の腸内細菌が住んでおり、また分類されていない腸内細菌も豊富にいた…!
- ハッザ族の年間の食事の大部分(カロリーの約70%)は野菜やフルーツ、根菜類だった…!
- 残りの約30%の食事は鳥や小中大型のジビエ肉だった…!
- ハッザ族の腸内には何故かビフィズス菌が存在していなかった(ビフィズス菌は一般的な成人には 1~10%いるが、全く存在しないのは他のどのグループでも報告されていないらしい)
- この研究ではハッザ族の全腸内細菌のうちの33%以上が未知の物だった…!
ってことで、まだまだ謎な部分も多そうな感じです。
現代に生きる狩猟採集民であるハッザ族は、腸内フローラがかなり充実している様子ですし、未知の腸内細菌もかなりいるみたいです。それだけ腸内細菌の多様性があるってことですね。
酒さと小腸の細菌増殖の関係について調べてみた…!
2008年のジェノヴァ大学の研究によると、酒さと小腸の細菌増殖の関係について調べてみたそうです。因みに酒さ(しゅさ)ってのは、顔の中央部(鼻や頬)の皮膚が赤くなる病気でして赤ら顔とも呼ばれたりします。
この研究は、酒さの患者さん113人(男性31人、女性82人、平均年齢52±15歳)と、健康な対象者60人が参加したもので、まず初めに全員の小腸の細菌増殖(SIBO:小腸内細菌異常増殖)についてチェックしたみたそうな。続いて、酒さ患者さんを以下の2グループにランダムに振り分けたとのこと。
- リファキシミン療法を試す:1日1200mgのリファキシミンを10日間試す。
- プラセボを試す:コントロール群。
治療終了から1ヶ月後に再び症状を評価したそうで、最後に治療の前後で酒さがどれぐらい変わったか比べてみたそうです。
結果は、
- 酒さの患者さんの中で小腸で細菌が異常増殖していた人は113人中52人もいた…!
- 健康な対象者の中で小腸で細菌が異常増殖していた人は60人中3人だけだった…!
- リファキシミン療法を試したグループの28人中20人が顔の赤みがなくなり、28人中6人が大幅に改善した…!
- プラセボグループは20人中18人が変化なし、20人中2人が悪化した…。
- プラセボグループをリファキシミン療法に変更すると20人中17人が良くなり、15人は酒さが完全になくなった…!
- SIBOがなくなり皮膚が良くなる効果は少なくとも9カ月続いた…!
とのこと。
酒さという皮膚トラブルが起きている方は、小腸の細菌が異常増殖している傾向が強かったみたいですね。やっぱり皮膚トラブルと腸内環境は関係ありそうですな。
腸内環境悪化→皮膚状態悪化・皮膚状態悪化→腸内環境悪化と双方向に成り立つ…!
2023年のソウル大学校の研究によると、酒さと炎症性腸疾患(IBD)の関係について系統的レビュー・メタ分析を行ってみたそうです。
まず酒さと炎症性腸疾患について軽く触れておきますと、
- 酒さ:顔の皮膚が赤くなる、毛細血管が拡張し皮膚の表面から見えるようになる、皮膚が軽く盛り上がる、膿が溜まって盛り上がるなどの症状が出る慢性炎症性の皮膚疾患
- 炎症性腸疾患(IBD):胃や腸内の慢性炎症性の疾患。クローン病と潰瘍性大腸炎という2つの主要な異なる形態で構成されている
って感じ。つまり皮膚トラブルと慢性炎症状態の腸内環境ってことですね。
んで、先行の観察研究からこの2つが関係がありそう…!ってのは分かっているんですが、
- 炎症性腸疾患が発生(腸内環境悪化)→酒さが発生(皮膚状態悪化)…!
- 酒さが発生(皮膚状態悪化)→炎症性腸疾患が発生(腸内環境悪化)…!
のどっちが起こっているのか、つまり因果関係はどうなのかが分からなかったんですよね。
そこで研究者たちは酒さと炎症性腸疾患の関係と因果関係を系統的レビュー・メタ分析でチェックしてみたそうです。
まず研究者たちは、2021年8月3日までに発表されている酒さと炎症性腸疾患の先行研究をOvid MEDLINE、Embase、コクランライブラリーというデータベースを用いて検索しまくったそうです。結果、Ovid Medlineが242件、Embaseが383件、コクランライブラリーが19件ヒットしたとのこと。
次にこの合計644件の研究から重複した研究や質の低い研究を除外していったそうで、最終的に8件の研究をピックアップできたそう。因みに8件の研究はアジアのものが多いんですが、残念ながら日本の研究はありませんでした。
この8件の研究をメタ分析にかけたとのことで結果は以下のようになっておりました。
- 健康な方よりも炎症性腸疾患の方の方が酒さの発症リスクが高かった(オッズ比1.86)…!
- 健康な方よりもクローン病の方の方が酒さの発症リスクが高かった(オッズ比1.74)…!
- 健康な方よりも潰瘍性大腸炎の方の方が酒さの発症リスクが高かった(オッズ比2.00)…!
- 健康な方よりも酒さの方の方が炎症性腸疾患(IBD)の発症リスクが高かった(オッズ比1.37)…!
- 健康な方よりも酒さの方の方がクローン病の発症リスクが高かった(オッズ比1.60)…!
- 健康な方よりも酒さの方の方が潰瘍性大腸炎の発症リスクが高かった(オッズ比1.26)…!
まとめると、腸内環境が悪化して皮膚状態も悪化するし、皮膚状態が悪化して腸内環境も悪化するってことですね。つまり因果関係は双方向に成り立つと…。
ということで、皮膚トラブルを避けたいなら腸内環境改善が最善の一手になりましょう。
心理的ストレス→皮膚の抗菌バリアが破壊→皮膚トラブルに…!
2007年のテネシー大学の研究によると、ストレスと皮膚トラブルについて調べてみたそうです。
んで早速ポイントを見ていきますが、まず人間は心理的ストレス状態にある時、皮膚のバリアが弱まるんだとか。例えば、アトピー性皮膚炎や乾癬などの皮膚疾患は、心理的ストレスによって発症や悪化をすることが分かっているとのこと。
もうちょい具体的に言うと、
- 心理的ストレスによって角質層の構造と機能の変化が起こる。
- これはストレス要因に対抗しようとして免疫系を抑制しているからである。
- つまり、心理的ストレスで皮膚の自然な抗菌バリアが破壊される…!
って感じ。
心理的ストレス→皮膚の抗菌バリアが破壊→皮膚トラブルに…!って流れですな。
まとめ:皮膚トラブルの原因と流れ
- 腸内環境悪化と皮膚トラブルは双方向に成り立つ…!
- ストレスで皮膚の抗菌バリアが破壊され皮膚トラブルになる…!
っていう二つのことが分かったところで原因とその流れについてまとめておきましょうか。
これらをまとめるにあたって参考にしたいのが2011年のニューヨーク州立大学の研究になります。これは皮膚トラブルの代表である尋常性ざ瘡(ニキビ)と腸内環境の関係について調べたものなんですが、この中で出てくる図が非常にわかりやすいんですよね。
ということでその図を見てみましょう(クリック又はタップで拡大できます)
次に図を踏まえた上で皮膚トラブルの原因と流れをまとめておきます。
- ストレスを受ける。
- ストレスにより高脂肪食や食物繊維を含まない加工食品(お菓子やファストフード、ジャンクフードなど)を食べる。
- ストレス又はストレス+加工食品でSIBO(腸内のバクテリアの異常増殖)が起きる。
- 腸内細菌・腸内環境が悪化する。
- 腸透過性(リーキーガット)が起きて毒素が体内に漏れ出す。
- 体内炎症と酸化ストレスの増加、サブスタンスPの上昇により皮膚の抗菌バリアが破壊される…!
- 過剰な皮脂が出る、肌荒れなどの皮膚トラブルに…!
- 皮膚トラブルによってストレスを感じ1に戻る…!
負のスパイラルに陥るって感じで、嫌~な流れですな…。
因みにプロバイオティクスと抗菌薬はどちらともこの負のスパイラルを断ち切るのに役立つ可能性があるとのこと。確かに腸内環境悪化を防げればこの流れにはなりませんもんね。
因みに1987年の研究によると、ビフィズス菌と乳酸菌は通常のスキンケアよりも肌荒れに効いた…!ってことなんで、やはりプロバイオティクスは良さそうな感じです。
まとめると、腸内環境と皮膚トラブルは関係があり、お肌にはストレス対策と食事が重要という普通な結論になってしまいましたね。
それと2013年のハーバード大学の研究によると、食事を変化させると腸内細菌もそれに適用しようとすぐさま対応してくれるみたいなんで、まずは今日からでも少しずつ取り組んでみてはいかがでしょうか…?
個人的考察
私もできるところから少~しずつ取り組んでおりますので、皆さんも取り組んでみてはいかがでしょうか…?
…。
参考文献
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18542016
https://www.npr.org/sections/health-shots/2013/11/18/244526773/gut-bacteria-might-guide-the-workings-of-our-minds
https://www.npr.org/sections/health-shots/2013/11/18/244526773/gut-bacteria-might-guide-the-workings-of-our-minds
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