【まとめ】性別によってダイエット効果に違いはあるのか?
そこで疑問なのが、性別(性差)によってダイエット効果に違いはあるのか…?ということ。つまり、同じダイエット法を実践した場合、男性と女性で痩せやすい、痩せにくいってのがあるのかってことですね。
男女における脂肪の付き方に違いはあるのか…?
男女における脂肪の付き方の違いを調べた最初の研究として1956年の研究というものがあります。
この研究により、
- 閉経前の女性:お尻と太ももに脂肪が付きやすい…!
- 男性:お腹周りに脂肪が付きやすい…!
って特徴が分かったんですよね。
そして1988年のヨーテボリ大学の研究によると、成人の男女における脂肪の付き方の違いについて調べてみたそうです。
この研究は様々な男女27人(男性17人、女性10人)が参加したもので、まずは全員にCTスキャンを行ったそうな。続いて体重や身長、様々な部位の直径なんかから総脂肪量(皮下脂肪量=全身の脂肪量)と内臓脂肪量(=ウエスト周りの脂肪量)を測定してみたらしい。
結果、
- 女性は総脂肪量が多かった…!つまり全身にまんべんなく脂肪が付きやすかった…!
- 男性は内臓脂肪量が多かった…!つまりお腹周りに集中して脂肪が付きやすかった…!
とのこと。
性差によって脂肪の付く傾向が違うみたいですねー。
また、1993年のラヴァル大学の研究でも似たような実験をしております(いわゆる追試ですな)
こちらは、男性89人と女性75人の164人が参加しておりまして、およそ6倍のサンプル数です。
流れは先程とほぼ同じ感じでして、結果、
- 女性の方が男性よりも、総脂肪として蓄積することが多かった…!
- 男性の方が女性よりも、内臓脂肪として蓄積することが多かった…!
とのこと。
サンプル数を増やしても結果は同じだったみたいですねー。
更に2004年のメイヨークリニックの研究では、肥満における内臓脂肪の分解について調べております。
この研究は、様々な体型の男女が参加したもので、
- 健康な痩せ型(非肥満体型)の男性:12人
- 健康な痩せ型(非肥満体型)の女性:12人
- 様々な肥満体型をした男性:20人
- 様々な肥満体型をした女性:24人
が参加したと言うもの。
実験は参加者全員の遊離脂肪酸量、全身の脂肪量、各部位の脂肪量なんかをDXA(二重X線吸収法)でチェックしているんですな。因みにDXAは精度が高いチェック法となっております。
結果、
- ウエスト周りとヒップ周りの比率は、肥満女性だと0.86±0.02(範囲0.74~1.00)、肥満男性だと0.99±0.01(範囲0.93~1.09)だった…!
- ウエスト周りの長さは、肥満女性だと100±2cm(範囲88~113cm)、肥満男性だと109±2cm(範囲97~121cm)だった…!
とのこと。
DXAで調べてみても、やっぱり結果は同じだったみたいですねー。
ということで、女性の場合は、全身に脂肪が付きやすい、つまり、下半身、特にお尻や太ももなんかに多くの脂肪が蓄積しているように見える傾向があります。それに対して、男性は内臓に脂肪が付きやすい、つまり、ウエストに脂肪が集中して蓄積しているように見える傾向があります。確かに、男女における各体脂肪率の写真を見てみるとこの傾向がはっきりと見えますな。
そのため、もし上記に当てはまらない範囲まで脂肪が付きだした時は注意が必要です(因みに例外もあって、女性ホルモンの減少(閉経後の女性など)は男性のような脂肪の付き方になってしまう)
男女における脂肪の減り方に違いはあるのか…?
1999年のラヴァル大学の研究によると、体重減少に伴う体脂肪の減る場所の男女の違いについて調べてみたそうです。
この研究は、健康な白人男女32名(男性14名、閉経前女性18名)が参加したもので、参加者の平均年齢が43±5歳(年齢範囲36~50歳)、BMIが30~42kg/m2の肥満体型だったそうな。
まず実験開始の三日前から食事記録を付けてもらい、それを確認、考慮したカロリー制限ダイエットを15週間行ってもらったらしい。併せて実験開始前後にウエストと太ももの脂肪もチェックしたんだとか。
その結果、
- 女性は、ウエストと太ももの両方の脂肪が減っていた…!
- 男性は、ウエストの脂肪のみ減っていた…!
とのこと。
どうやら脂肪の付きやすい場所から減っていくみたいですねー。
男性の方が女性よりも脂肪も筋肉も減りやすく、付きやすい…!
2005年のピッツバーグ大学の研究によると、高齢者を対象に体重の増減と筋肉量・体脂肪の変化を調べてみたそうです。
この研究は、70~79歳の男女2,163人(男性1,027人、女性1,136人)が参加したもので、4年に亘って、体重と体組成の変化を追跡調査したと言うもの。因みに筋肉量と体脂肪はDXA(二重X線吸収法)を使って測定したんだとか。
結果、
- 体重の増減に男女の違いはなかった。
- 体重が増減した男女において、筋肉量は体脂肪よりも維持されていた…!
- 筋肉量の変化と体脂肪の変化の差は、体重減少よりも体重増加のほうが顕著であり、特に男性で顕著だった…!
- 体重減少は、男女ともに筋肉量の減少と強く関係しており、特に男性で顕著だった…!
とのこと。
体重の増減は男女一緒なんだけど、男性の方が女性よりも脂肪も筋肉も減りやすく、付きやすいみたいですねー。
性別に関係なく脂肪は同じぐらい減る…!但し男性は内臓脂肪が減りやすく、女性は皮下脂肪が減りやすい…!
2009年のヨーク大学の研究によると、食事や運動によるダイエットの性別の影響について調べてみたそうです。この研究は、カナダのクイーンズ大学で様々な食事ダイエットや運動ダイエットに参加した方を対象にしたそうで、参加者は肥満体型の男性81人と女性72人となっております。
具体的には、参加者全員の体重やウエストの減り具合を調べつつ、またMRIにかけて、
- 総脂肪
- 皮下脂肪
- 内臓脂肪
もどれぐらい減ったか見てみたらしい。
最後に性差の違いがあるのかデータを照らし合わせてみたそうな。
その結果、
- 男女とも体重・ウエストの減少と総脂肪・皮下脂肪・内臓脂肪の減少は有意な相関関係があった…!
- 男性は女性よりも体重が減少するとウエストが有意に大きく減少していた…!また体重が減少すればするほど、ウエストもより大きく減少していた…!
- 男性は女性よりも体重又はウエストが減少すると内臓脂肪が有意に大きく減少していた…!
- 女性は男性よりも体重又はウエストが減少すると全身及び下半身の皮下脂肪が有意に大きく減少していた…!また体重又はウエストが減少すればするほど、全身及び下半身の皮下脂肪もより大きく減少していた…!
- 体重又はウエストの減少に対する総脂肪の減少に性差はなかった…!
そうです。
つまり食事ダイエットでも運動ダイエットでも、兎に角、体重が減ったりウエストが引き締まれば、性別に関係なく脂肪は同じぐらい減る…!ってことですね。
但し、男女によって脂肪の付きやすい場所・減りやすい場所が違って、男性の場合は付きやすく減りやすいのがお腹周りなんで、内臓脂肪が減りやすく、女性の場合は付きやすく減りやすいのが腰やお尻、太ももなんで、皮下脂肪が減りやすいと。
但し、男女によって脂肪の付きやすい場所・減りやすい場所が違って、男性の場合は付きやすく減りやすいのがお腹周りなんで、内臓脂肪が減りやすく、女性の場合は付きやすく減りやすいのが腰やお尻、太ももなんで、皮下脂肪が減りやすいと。
男性は女性よりも体脂肪とウエストの脂肪が減りやすい…!
2012年のジョージア大学の研究によると、高タンパク質低炭水化物食と高炭水化物低タンパク質食を食べてもらい、男女のダイエット効果に違いが出るのか調べてみたそうです。この研究は40歳から56歳までの肥満な男女130人(男性58人、女性72人)が参加したもので、平均BMIは32.5±0.5kg/m2だったそうな。
実験は参加者全員の1日のカロリー量を必要カロリーのマイナス500kcalとしつつ、以下の2グループに年齢や性別を踏まえながらランダムに振り分けて食事を取ってもらったらしい。
- 高タンパク質低炭水化物食グループ:1日のタンパク質摂取量(g)=体重(kg)×タンパク質1.6g又はタンパク質30%、炭水化物40%、脂肪30%の食事
- 高炭水化物低タンパク質食グループ:1日のタンパク質摂取量(g)=体重(kg)×タンパク質0.8g又はタンパク質15%、炭水化物55%、脂肪30%の食事
因みにグループ間の食事の違いは、
- 高タンパク質低炭水化物食グループは下記の炭水化物を肉や乳製品、卵、ナッツに置き換えた
- 高炭水化物低タンパク質食グループは上記のタンパク質をパンや米、シリアル、パスタ、ジャガイモに置き換えた
って感じ。
併せて、参加者全員の体重と体組成(筋肉量と体脂肪)を0ヶ月(スタート時)、4ヶ月後、8ヶ月後、12ヶ月後(終了時)に測定したそうで、4ヶ月が積極的な減量期、8ヶ月が体重維持期としたみたい。それと今回の研究ではDXA(二重X線吸収法)っていう精度の高い測定法を採用しているのもポイントですね。
残念ポイントとしては、リタイア者が結構多いことでして、
- 高タンパク質低炭水化物食グループの女性36人のうち14人がリタイアした…。
- 高タンパク質低炭水化物食グループの男性28人のうち9人がリタイアした…。
- 高炭水化物低タンパク質食グループの女性36人のうち18人がリタイアした…。
- 高炭水化物低タンパク質食グループの男性30人のうち18人がリタイアした…。
となっておりました。
ダイエットはどのような方法であれ、やっぱ一番大事なのは続けられるかだな~と改めて思いましたね。
それでは結果を見てみましょう…!
- 男性は-11.2±7.1%体重が減少していた…!
- 女性は-9.9±6.0%体重が減少していた…!
- 高タンパク質低炭水化物食グループは-10.7±6.8%体重が減少していた…!
- 高炭水化物低タンパク質食グループは-10.1±6.2%体重が減少していた…!
- 男性は-18.0±12.8%体脂肪率が減少していた…!
- 女性は-7.3±8.1%体脂肪率が減少していた…!
- 高タンパク質低炭水化物食グループは-14.3±11.8%体脂肪率が減少していた…!
- 高炭水化物低タンパク質食グループは-9.3±11.1%体脂肪率が減少していた…!
- 男性は女性よりもスタート時、お腹周りの脂肪が7.0±0.9%多く、ダイエットで女性よりもより多く(男性-3.0±0.5%に対して女性-1.8±0.3%)お腹周りの脂肪が減少した…!
- 女性は男性よりもスタート時、太ももの脂肪が7.2±0.9%多く、ダイエットでの減少は男女とも同じぐらいだった…!
つまり、高タンパク質食はやっぱり痩せやすい…!ってことと、男性は女性よりも体脂肪とウエストの脂肪が減りやすい…!ってことですな。
女性よりも男性の方が体重が大きく減っているけど体脂肪よりも筋肉量が多く減る…!時間の経過で最終的には体重減少の性差はなくなる…!
2014年のサリー大学などのRCTによると、肥満体型の成人男女を対象に性差によるダイエット効果の違いについて調べてみたそうです。
まず研究者たちはイギリスの5つの都市(ギルフォード、ノッティンガム、アルスター、ブリストル、エディンバラ)にある大学センターに協力を依頼。各大学センターから60名ずつ参加者を募ったそうな。すると、BMIが25~40未満の肥満体型な男女300名がOKしたとのこと。因みに年齢範囲は21~60歳だったそうな。
次に以下の4つの食事ダイエットのうち、ランダムにどれか一つを割り振り実践してもらったらしい。
- アトキンスダイエット:アトキンス博士が考えた1日の糖質摂取量を20g以下に抑えるダイエット
- スリムファーストダイエット:1日1回の適切な食事、2回の食事の置き換え、3回のスリムファーストの製品を食べるというダイエット
- ウェイトウォッチャーズダイエット:各食品に割り振られたポイントを見て、1日の合計ポイント内に収められるよう食べていくダイエット
- ローズマリー・コンリーの「Eat yourself Slim」ダイエット&フィットネス:低脂肪食ダイエットに運動をプラスしたダイエット
併せて、実験開始時、2ヶ月後、終了時の6ヶ月後にDXA(二重X線吸収法:精度の高い測定法)を用いて、体重や体脂肪、筋肉量をチェックしたらしい。因みに男女それぞれでドロップアウトの方がいたんで、最終的には287名(女性210名、男性77名)が半年後のゴールを迎えられたんだとか。
最後に集まったデータを統計処理した結果、以下のことが分かったそうです。
- 半年間にわたって4つのダイエット法を試したが、体重と体脂肪の減少に差はなかった…!
- 2ヶ月後の時点での体重減少は女性(3.80kg)よりも男性(7.34kg)の方が有意に高かった…!
- 6ヶ月後の時点での体重減少は女性(6.27kg)よりも男性(10.3kg)の方が有意に高かった…!
- 性差の体重減少にダイエット法は関係なかった…!
- 男女の体脂肪について、2ヶ月後には平均で3.5kg、6ヶ月後には平均で6.1kgも減っていた…!
- 2ヶ月後の時点での体脂肪の減少は女性(2.95kg)よりも男性(4.99kg)の方が有意に高かった…!
- 6ヶ月後の時点での体脂肪の減少は女性(5.38kg)よりも男性(7.68kg)の方が有意に高かった…!
- 筋肉量について、2ヶ月後、6ヶ月後ともに男性は女性よりも3倍も多く減っていた…!
つまり、女性よりも男性の方が体重が大きく減っているけど、その原因は、体脂肪よりも筋肉量が多く減るからって感じみたいですね。
特にダイエット2ヶ月後の時点では、男性は女性よりも2倍も体重が減っているものの、体脂肪は2倍に届かず(女性3kgに対して男性5kg減る)、筋肉量に至っては3倍も減っているんで、これをダイエット成功とするかはかなり微妙ですね(短期的には成功かもだけど中長期的には失敗と言えるんで)
更に研究者によれば、時間の経過とともに差は縮まり、最終的には体重減少の構成における性差がなくなるってことでして、ずっとダイエットを成功していたいなら気にする必要はなさそうです。
男性の方が女性よりも筋肉や脂肪が付きやすいってのは分かっていましたが、減りやすいってのも分かりましたね。しかもそれが男性が女性よりも体重が減りやすい原因であり、最も大きな原因が筋肉が減るからって言うんだから悲しいもんです。しかもこれは短期的な話で、体重減少は長期的には変わらんってのも分かったんで、一般の方はまず気にしなくて良いんじゃないかと。
それとどんなダイエット法でも長くやれば結果は同じってのがまた証明されましたな。やっぱダイエットは自分が続けられるものを選ぶのが一番大事ですね。
個人的考察
まとめると性差の違いとしては、
- 落ちやすい脂肪の場所が違う
- 男性の方が脂肪が多く減るけど筋肉も多く減る
ってところでしょうか。
ダイエットを体重が減ると考えるか、体脂肪が減ると考えるか、また短期的に痩せたいのか、長期的に痩せたいのかで違ってきそうですが、とりあえずざっくりみたら対して変わらないイメージですな。
とはいえ、性差の違いが大きくないにしても全くない訳ではございません。例えば、女性がダイエットを行う際に女性ホルモンを気にすることは重要であるのは間違いありません。そして男性も筋肉・脂肪が付きやすいという特徴を活かすことが大事というのもあります。
参考文献
リンク