ポケモンGO(位置情報ゲーム)の研究を見てみよう!その18「ポケモンGOで仕事のストレスを解消できるのか東京大学が調べたお話」
前回の記事の冒頭で記事タイトルをしくじった…!みたいな話を書いたと思います。ということで、今回から記事タイトルを「ポケモンGO(位置情報ゲーム)の研究を見てみよう!」に改めてみました…!これでちょっとは中身が分かりやすいかと…。
んで今回ご紹介するのは東京大学とか北里大学の先生方が、ポケモンGOについて研究したという非常に興味深い内容となっております。というか東大がポケモンGOの研究とかするんですね(笑)
もちろん参加者は日本人でして、調べた内容はこれまた日本だな~と思う内容なんですよ。
ポケモンGOは日本の社会人のストレス解消になる(但し小さい効果)…!
2017年の東京大学などの後ろ向きコホート研究によると、ポケモンGOで成人労働者のメンタルや体の不調の改善、仕事のパフォーマンスアップに役立つのか調べてみたそうです。
そもそもポケモンGOがメンタルにどのような影響を及ぼすのかは意外とわかっていなかったりします。実はポケモンGOとメンタルの関係って症例の報告や事例ばっかなんですよね。つまり科学的証拠が当時はまだなかったんですよ。
そこで研究者たちは、日本の成人の働く人を対象にポケモンGOと心理的苦痛の改善などとの関係性についてこの度チェックすることにしたんだとか。因みに研究者曰く、
- これはポケモンGOと精神的健康との関係性を調べた初めての科学研究であり、位置情報ゲームが公衆衛生に及ぼす影響を理解するのに役立つだろう
としています。
また研究者の見立てでは、
- ポケモンGOをすると心理的苦痛が減るんじゃないか…?
って仮説を立てたみたい。
それでは実験の具体的なデザインを見ていきましょう…!
まず研究者たちは調査に協力をしてくれる人を日本のアンケート調査の最大手であるマクロミルに依頼したそうな(そういや昔登録してアンケートに答えていたな~懐かしい)。因みにマクロミルは47都道府県に200万人を超える登録者を抱えておりまして、今回その中からランダムに選ばれた人にオンラインアンケートを実施したみたい。期間はスタート時である2015年11月26日~2016年2月18日とフォローアップ時である2016年12月1日~4日でしてスタート時のサンプル数は3,915人だったそうです。
アンケートの最初に性別(男性or女性)と年齢(18~29歳or30~39歳or40~49歳or50歳以上)をチェックしてグループ分けしたそうで、また、以下の参加者基準を満たしているかどうかも見てみたそうな。
- 日本在住の労働者か…?
- 民間企業や公務員、フリーランスで働いているか…?
- フルタイムで働いているか…?
つまり、日本でフルタイムで働いている人に的を絞った感じでして、働いていない方やパートの方は除かれております。
それとポケモンGOプレイヤーとするかどうかの判断基準は、
- 過去1年間にポケモンGOを1ヶ月以上プレイし続けたか…?
にしたんだとか。
続いて健康のチェック方法について見ていきましょう。
主にメンタルの不調と体の不調を調べた感じでして、職業性ストレス簡易調査票(BJSQ:Brief Job Stress Questionnaire)を使って測定したそうです。これは日本ではかなり有名なストレスチェック法ですよね(うちの事業所でもスタッフは毎年行っている)
仕事のパフォーマンスについては、WHOの健康と作業パフォーマンス質問票(WHO-HPQ)
ってのを日本語短縮版としてアレンジした「世界保健機関 健康と労働パフォーマンスに関する質問紙(短縮版)日本語版(WHO Health and Work Performance Questionnaire (short form) Japanese edition)」を使って測定したみたい。
スタート時のアンケートに回答してくれた3,915人のうち、フォローアップ時のアンケートにも協力してれたのは2,599人でして、更にここから失業した方69人を除いたんで、最終的なサンプル数は2,530人となりました。
因みに2,530人中、ポケモンGOを1ヶ月以上プレイし続けた方は246人でして9.7%の方が該当していたらしい。およそ10人に1人がポケモンGOにハマっていたってことですな。
またポケモンGOプレイヤーの特徴としては、
- 若い人が多い(ポケモンGOプレイヤーの平均年齢37.09±10.85歳、非ポケモンGOプレイヤーの平均年齢42.66±10.65歳)
- フルタイムで日勤者が多い(フルタイム84.9%、日勤者87.5%)
って感じ。
最後に性別や年齢、喫煙や飲酒習慣といった変数を調整したとのこと。
それでは、気になるポケモンGOのメンタルと仕事のパフォーマンスへの影響を見てみましょう…!
- チェック項目:ポケモンGOプレイヤーのスタート時:ポケモンGOプレイヤーのフォローアップ時:非ポケモンGOプレイヤーのスタート時:非ポケモンGOプレイヤーのフォローアップ時
- メンタルの不調:42.00:39.86:40.38:40.40
- 体の不調:20.85:20.32:20.29:20.26
- 仕事のパフォーマンス:59.70:57.87:58.11:57.76
う~ん。ちょっと見づらいですね~。
ということで以下に表にして挙げておきます。
つまり、ここから言えることは、
- ポケモンGOはメンタルの不調に効く…!
- 体の不調には効かない…!
- 仕事のパフォーマンスはアップしない…!
って感じですね。
研究者の読み通り、ポケモンGOをすると心理的苦痛が改善されておりますな。但し、効果量は-0.20ってことで小さい効果しかないんで、劇的な改善は望めないところ。まぁ、こんなもんでしょう。
ということで研究者曰く、
- ポケモンGOをしても目に見えるような心理的苦痛の改善はないかもしれない。しかし絶大な人気から公衆衛生に重大な影響を及ぼし人口全体に影響を与える可能性がある
としています。塵も積もればって感じですね。
それとなぜポケモンGOが社会人のストレス解消になるかですが研究者によれば、
- 運動するようになるから
- 人と接する機会が増えるから
が理由なんじゃないのかな~ってことでした。
個人的考察
ということで、長期的な効果は不明なものの、ポケモンGOで仕事のストレスが解消できるって話は嬉しいですな。