【加筆内容】緑茶(お茶)の効果を見ていくよー その4「鉄分吸収編2」
ヘム鉄は緑茶の影響を受けづらいけど完全にゼロって訳ではない…!
2011年のペンシルベニア州立大学の生体外実験によると、ポリフェノールはヘム鉄の吸収を阻害するのか調べてみたそうです。そもそも2009年のペンシルベニア州立大学の研究なんかを見てみますと、食事に含まれる鉄分はヘム鉄と非ヘム鉄の2種類に分けることが出来るんだとか。んで、1983年の研究や1992年のユタ州立大学の研究から、一般的な西洋食(非ベジタリアン食)だと、
- ヘム鉄は食事中の鉄全体の3分の1を占める…!
- 吸収される鉄全体の3分の2はヘム鉄である…!
って感じだったらしい。食事からの鉄分のメインはヘム鉄ってことですね。
そして、1995年のカンザス大学の研究や1999年のスイス連邦工科大学チューリッヒ校の研究、2008年のペンシルベニア州立大学の研究、2008年のセントジョンズ国立健康科学アカデミーの研究といったような先行研究で、お茶や赤ワインなんかに含まれるポリフェノールが非ヘム鉄の吸収を阻害してしまうってことが分かっておりました。
んがしかし、ポリフェノールによるヘム鉄の吸収ブロック機能については研究があんま進んでいなくて、同研究チームが過去に行った2010年のペンシルベニア州立大学の研究によれば、
- 46mg/LのEGCGとGSE(ブドウ種子抽出物)の両方で、ヘム鉄の吸収をほぼ完全にブロックした…!
そうなんですよね。
つまり、緑茶なんかに含まれるポリフェノールは非ヘム鉄だけでなくヘム鉄も阻害する可能性があるみたい。
ただ、これだけでは、
- 低濃度のポリフェノールでもヘム鉄をブロックするのか分からない
- ビタミンCによってヘム鉄ブロック機能を無効化できるのか分からない
って感じだったんで、今回調べてみることにしたという経緯でございます。
ということで研究者たちは生体外実験を用いて、
- 高濃度のEGCG、GSE・ビタミンCなしでのヘム鉄ブロック機能
- 高濃度のEGCG、GSE・ビタミンCありでのヘム鉄ブロック機能
- 普通濃度・低濃度のEGCG、GSE・ビタミンCなしでのヘム鉄ブロック機能
- 普通濃度・低濃度のEGCG、GSE・ビタミンCありでのヘム鉄ブロック機能
をチェックしたそうです。
では気になる結果を見てみましょう…!
- ビタミンCなしでの高濃度(46mg/L)のEGCGでヘム鉄ブロック率が91.4±3.9%、GSEでヘム鉄ブロック率が91.4 ± 4.4%となっていた…!
- 100μmol/Lのアスコルビン酸(ビタミンC)をプラスして、高濃度(46mg/L)のEGCG、GSEでのヘム鉄ブロック機能を見てみたが、ブロック率はEGCGが91.1±1.9%、GSEが91.8±3.2%と意味がなかった…!
- ビタミンCなしでの普通濃度(4.6mg/L)、低濃度(0.46mg/L)でのEGCG、GSEのヘム鉄ブロック機能を見たが、やはり結果は同じで有意に鉄分吸収を阻害していた…!
- 低濃度(0.46mg/L)でビタミンCを摂取すると、完全に逆転し、鉄分の吸収率が28%も多くなっていた…!
- 普通濃度(4.6mg/L)だとビタミンCを摂取しても、無効化できず、鉄分吸収はブロックされてしまった…!
つまり、
- EGCGやGSEが46mg/Lや4.6mg/Lといった普通~高濃度だとビタミンCも無意味…!
- EGCGやGSEが0.46mg/Lといった低濃度だとビタミンCで無効化・吸収率アップが出来る…!
って感じですな。
う~ん。思った以上に緑茶でもヘム鉄は防がれてしまうみたいですね~。
個人的考察
但し、肉などに含まれる鉄分は非常に量が多いんで、緑茶を飲んだから即ヤバいのかは別の話です。特に西洋食なんかは肉の量が多いんで、ヘム鉄もブロックされるんだ~ぐらいの軽い感じで捉えておけばよろしいかと。やはりすごいのは非ヘム鉄のブロック機能ですからね~。