2023年11月から毎週木曜日に、知的障がいの方やダウン症の方の運動効果の研究をご紹介しております。
これまでご紹介したものについては、


をご覧いただきたいのですが、ざっくり申しますと、別に障がいがあろうがなかろうが同じ効果がありそう…!って感じなんですよね。しかし、これまでご紹介してきた研究はいずれもサンプル数が少ないのが心もとないところ。
そこで今回は、これらの研究をまとめたメタ分析・系統的レビューを見ていきます…!



運動が障がいのある方の不安軽減に役立つのか初めてメタ分析・系統的レビューしてみた…!

2021年のコインブラ大学などの研究によると、障がいのある方が運動をすることによって不安感を軽減できるのかメタ分析・系統的レビューで調べてみたそうです。
そもそも運動がメンタルにプラスの影響を与えるのはほぼ間違いなく、もちろんそれは不安感や不安症状の改善にも効果がございます。んがしかし、それは障がいのない方を対象にした研究の話でして、障がいのある方における効果はまだはっきりしていなかったんですよね。そこで今回、運動は障がいのある方の不安症状を軽減できるかはっきりさせるべく、初のメタ分析・系統的レビューを行うことにしたんだとか。
まず研究者たちは、PubMedやWeb of Science、Scopus、SPORTDiscusといったデータベースを用いて該当する研究を検索してみたそうです。因みに今回の研究では身体障がいの方と知的障がいの方の研究がヒットするようにしたかったみたいで、検索キーワードには、脳性麻痺や運動障害、身体障害、視覚障害、知的障害、精神遅滞、聴覚障害といったものが使われたみたい。その結果、330件の研究がみつかったそうな。
続いて、基準を満たす研究かどうかをチェックしていったそうで、最終的に選ばれた研究は4件だったとのこと。この4件の研究のうち、1件が複数の障がいを持つ方を対象にしており、特に重度の身体障がいの方がメインっぽい感じでした(因みにボッチャの研究)。残り3件の研究は知的障がいの方を対象にしていましたんで、このメタ分析・系統的レビューは主に知的障がいの方の運動による不安軽減効果を調べたといって良いのではないでしょうか…?
次に4件の研究のまとめた情報ですが以下のようになっておりました。

  • 合計サンプル数は124人、そのうち53人がコントロールグループだった。
  • 参加者の年齢層は若者から成人までだった。
  • 運動期間は8~24週間の間だった。
  • 運動頻度は週2~3回の間だった。
  • 1回の運動時間は60~180分間の間だった。

では、これらをメタ分析にかけてみた結果を見てみましょう。

  • 障がいのある方(主に知的障がいのある方)が運動することによる不安軽減効果は1.875だった…!
  • つまり、運動した障がいのある方はそうでない方に比べて、不安感・不安症状が改善する可能性が1.9倍ぐらい高いことを示していた…!

障がいの有無に関わらず、やっぱり運動は不安感に良い効果があるんですね~。しかもそれが何もしない人よりも2倍弱ある…!って言うんだからすごいですな。
但し注意点として、この研究はメタ分析としてかなり小規模でして先に書いた通り4件しか基準を満たした研究がなかったんで、その辺は踏まえておきたいところです。とはいえ、運動の不安軽減効果は障がいのない方の研究でほぼ確立されておりますんで、信じてよろしいのではないのかな~と思います。



個人的考察

小規模のメタ分析・系統的レビューではありますが、運動の不安軽減効果が障がいのある方にもあると分かったのは大きいですねー。



参考文献