先週の続きです
今回も2023~2024年にかけて発表されたドイツ栄養学会のアンブレラレビューを見ていきます。



ドイツ栄養学会がタンパク質の摂取と尿路結石・腎疾患リスクの関係についてアンブレラレビューしてみた…!

2023年のドイツ栄養学会の研究によると、タンパク質の摂取と尿路結石・腎疾患リスクの関係についてアンブレラレビューで調べてみたそうです。
そもそもタンパク質の摂取は腎機能に影響を及ぼしますが、長期間高タンパク質を摂取した場合の腎機能への悪影響ってのはよく分かっていなかったんですよね。そこで今回、2019年のドイツ栄養学会の研究の高タンパク質基準に則り、尿路結石・腎疾患リスクをチェックしてみたんだとか。
因みにこの基準での高タンパク質の摂取量は、

  • 1日のタンパク質摂取量(g)=体重(kg)×タンパク質0.8g以上

となっております。それでは実験を見ていきましょう。
まず研究者たちは、2008年2月から2022年12月までに発表された該当する系統的レビューをPubMed、Embase、コクランで検索してみたそうな。すると合計7,486件の研究がヒットしたらしい。
続いてこの中から、重複している物や質の低い研究を除外していったそうで、最終的に9件の系統的レビューが基準を満たしていたみたい。
この9件の系統的レビューの内訳は、


って感じ。
それと実験期間はRCTが4日~24か月、観察研究は6~26年の間だったそうです。また参加者は健康な男女の場合が多く、年齢は18歳以上だったそうな。
これらのデータを基に系統的レビューをまとめてみた結果、

  • アルブミン尿(タンパク質が尿として排出される量):上昇しない、つまり関係ない…!
  • 尿PH:低下しない、つまり関係ない…!
  • GFR(糸球体濾過量):低下しない、つまり関係ない…!
  • 尿中カルシウム排泄量:生理学的に(調節するために)上昇していた。但し、それ自体は病気とは関係ない…!
  • 血清尿酸値:生理学的に(調節するために)上昇していた。但し、それ自体は病気とは関係ない…!

とのこと。
つまりまとめると、

  • 高タンパク質食は、尿路結石や腎疾患リスク(慢性腎臓病(CKD))と関係がない可能性が高い…!
  • 腎機能のパラメータに変化があっても、それは生理学的に(調整するために)反応しているだけ…!

ってことになりましょう。
やっぱブレナー仮説はヒトには当てはまらないみたいですな。



個人的考察

因みに2003年のボン大学の研究2012年のカリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究なんかを見てみますと、一般人口における尿路結石の発症率は4.7%~8.8%とのこと。まぁまぁな確率でなる人がいるみたいなんで、食事や生活習慣には気を付けていきたいですな。



参考文献