運動は不安対策になるのか?シリーズの続きです。
これまで、


と12回にわたってチェックしてきました。
これらの結果を一言でまとめると、

  • 運動は、有酸素運動・無酸素運動、子供や大人、障がいの有無、個人差に関わらず、不安の予防と改善に効果がある…!

って感じです。
但し今までの研究では、運動をどれぐらいの回数や期間を行えば、効果があるのかはわからない感じなんですよね。
そこで今回は、運動をどれぐらいやれば効果があるのか調べた研究を見ていきます。



パニック障害の患者さんにも運動は有効…!強度は高い程効果あり…!しかもたった一度の運動で効果が出る…!

2007年のマーストリヒト大学RCTによると、パニック障害の患者さんを対象に運動が効果的なのか調べてみたそうです。
まずパニック発作とは何も理由がないのに突然発作(動機や息切れ、めまいなど)が起こる病気のことを言います。そして原因は二酸化炭素の過敏性でして、体内の二酸化炭素量が増えると発作が起こるんですよね。んでこれが頻回するとパニック障害と診断されるんですな。
一方で先行研究により、健康な方(パニック障害ではない方)が運動を行うと、パニック発作の軽減に効果がある…!って出ております。
でもこれってちょっと矛盾した感じがしませんか…?だって有酸素運動とかすると息が上がって体内にいっぱい酸素を取り込もうとする、つまり体内の二酸化炭素量が増えている感じやパニック発作みたいな感じじゃないですか。にも関わらず、運動がパニック発作の軽減に役立つんですよ。
ということでパニック発作に運動が良さそうだけど、なんで良いのかってのを今回調べてみたそうな。併せて、パニック障害の方に運動が有効なのかもチェックしたそうです。
この研究は、パニック障害の患者さん18人(女性11人、男性7人、平均年齢29.6歳)が参加したというもの。因みに18人の中で複数の診断を受けていた方は、

  • パニック障害+軽度から中度のうつ病の方:11人
  • パニック障害+軽度から中度のうつ病+社交不安障害の方:1人
  • パニック障害+軽度から中度のうつ病+全般性不安障害の方:1人

のようになっております。
んで、参加者たちには、以下の2グループにランダムに分かれてもらったらしい。

  1. 運動グループ10人(平均年齢30.1歳):中~高強度の運動を行った。
  2. コントロールグループ8人(平均年齢29.1歳):非常に軽度の運動を行った。

この時、両グループの性別は同じ割合になるよう設定したとのこと。
運動後、参加者全員に、35%CO2チャレンジ(35%の二酸化炭素を吸ってもらいパニック発作が誘発するかチェックする検査。良く使われる方法)を行い、二酸化炭素に対する反応を見てみたみたい。
その結果、

  • 運動グループ(中~高強度の運動)は、コントロールグループ(非常に軽度の運動)よりも、二酸化炭素に対するパニック反応が小さかった…!
  • パニック率の増加は、高強度の運動によって一貫して減少していた…!

そうです。
サンプル数は小さいですが、どうやらパニック障害の患者さんにも運動は有効であり、強度が高ければ高い程効果があるみたいですね。しかもたった一度の運動で効果が出るなんて…。



個人的考察

パニック障害も不安からくるものなんで、障がいの有無に関わらず、たった一度の運動で不安に効果があると分かったのは大きいですね。



参考文献