クリエイティブ性・コラボレーション・コミュニケーションの関係の続きです。
これまで、経緯定義・アイディア法・階層分析法(AHP)と確認してきました。
今回は実験内容です。それでは続きをどうぞー。



実験内容

では、本題の実験内容をチェックしていきます。
この研究は、12学部から33人の大学生が参加したもので、そのうち2名は下記アンケートに回答しなかったためデータから除外されたとのこと。そのため最終的なサンプル数は31人(男性15人、女性16人)の大学生になりまして、年齢は19~22歳、平均年齢20.26歳だったそうな。また、学部は外国語学部(39%)、商学部(39%)、工学部(22%)からの参加だったらしく、ほとんどの方は初対面だったらしい。
んで、実験の流れについては、

  • 第1週:グループ作り(1グループ4~5人)、ゲーミフィケーションの導入、6つのアイディア法の説明
  • 第2週:拡散的思考
  • 第3週:バルーンコンテスト
  • 第4週:焦点オブジェクト方法(MFO)
  • 第5週:強制関係法
  • 第6週:SCAMPER法
  • 第7週:マンダラ思考
  • 第8週:プレゼンテーション、賞品、アンケート

って感じ。
因みに6つのアイディア法はそれぞれ週2時間ずつ実施したらしい。
では実際に第2週から第7週まで行われた6つのアイディア法の内容をチェックしておきましょう。

  1. 拡散的思考:1つ目は「ペンの他の用途を考える」、2つ目は「プラスチックカップの他の用途を考える」と言うものだった。各チームは付箋にアイディアを書き込み(KJ法みたいな感じですな)、各課題に約30分かけて取り組んだとのこと。最も汎用性が高いものを見つけたチームが優勝としていた。
  2. バルーンコンテスト:水のボトル1本(約600g)の重さに耐えられる風船の構造物を30分かけて作った。1回目は、各チームに2つの丸型風船と20個の縦長風船が渡され、これを使って作ったとのこと。因みに風船が割れた場合の交換は受け付けておらず使用できるのは風船のみ。なんで他の材料は使えない感じ。2回目は、1回目の結果に基づいて材料が追加された(最下位のチームが最も多く材料が追加された)。材料の交換も自由に出来た。水のボトル1本(約600g)の重さに耐えられる風船の構造物を作り、テーブルから一番高い場所にその水のボトルがあるチームが優勝としていた。
  3. 焦点オブジェクト方法(MFO):チームはメインとなるオブジェクトを自由に選択し、新しいアイディアで出した無関係なオブジェクトを最低5つランダムに選択する。チームは全ての新しいアイディアを話し合い、評価、スケッチする2つの候補に絞っていく。最後に参加者全員がオンラインで投票し(各自が最大3回投票できる)、最も多くの票を獲得したチームが優勝としていた。
  4. 強制関係法:チームは2つの無関係なものを自由に選択し、想像力を使ってできるだけ多くの新しいアイディアを出した。チーム内で話し合い、評価、スケッチする2つの候補に絞っていった。最後に参加者全員が投票し、最も多くの票を獲得したチームが優勝としていた。
  5. SCAMPER法:各チームはワークシートを使用して、できるだけ多くのアイディアを出した。約60分を使い、SCAMPERの各アルファベットの手順に従い話し合い評価した。最もクリエイティブなアイディアを出したチームと投票で最も多くの票を獲得したアイディアを出したチームが優勝としていた。
  6. マンダラ思考:各チームは9つの正方形とその各正方形の中に更に9つの正方形があるワークシート(一般的なマンダラチャートですな)を使用し、ワークシートの中央の9つの正方形を書き込んだ。次に周囲の8つの正方形を使用してアイディアを考えた。その中からチーム内で話し合い、評価、スケッチする2つの候補に絞っていった。最後に参加者全員が投票し、最も多くの票を獲得したチームが優勝としていた。

いや~どれも面白そうなグループワークですな~。
次にアンケートについても見ておきます。
アンケートでは、自己評価の質問票の回答と階層分析法(AHP)の質問票の回答を行ったそうです。
この2つのアンケートによって、

  • 自己評価の質問票:参加者のクリエイティブ性、コラボレーション、コミュニケーションの3つのスキルとゲーミフィケーションに関する認識を測定した。答え方は1(全く同意しない)から7(すごく同意する)の7段階から選ぶ形式で平均点を出したそう
  • 階層分析法(AHP)の質問票:参加者が目標を達成するためにより効果的であると考えるベストなアイディア法を特定した

みたい。こちらも丁寧に調べている感じで良いですな。
ついでに取り入れたゲーミフィケーションもチェックしておきます。

  • チーム競争型のシミュレーションとした。
  • チーム練習時間は、それぞれのアイディア法でほぼ同じ(合計約60分)
  • 公平性と競争性を保つため、獲得できる最大ポイントとポイント間隔は毎週同じとした。1位は14ポイント、2位は12ポイントなど。
  • 各チームのポイント数は毎週発表した。
  • クリエイティブ性教育の実施結果とゲーミフィケーションポイントを計算し、学生に確認した。
  • 賞品は現金の入った赤い封筒とした。

いや~色々なゲーム化を取り入れていますが、結構基本的なテクニックを使っている印象ですね。
こんな感じで実験を行い、最後に集められたデータを分析したそうです。



個人的考察

ということで今回はここまで。



参考文献

最後にまとめて掲載します。
気になる方は各リンクからどうぞ。