【加筆内容】運動は不安対策になるのか? その14「続 回数や期間編」
前回、障がいの有無に関わらず、たった一度の運動で不安に効果があるよーって研究を見てみました。
しかしこれまで見てきたように、こういったもので使われる運動は有酸素運動がほとんどなんですよ。つまり筋トレ(無酸素運動)が不安に効果がある…!ってのは分かっているものの、その回数や期間については謎なんですな。
筋トレも1回行うだけで抗不安効果がありそう…!ポイントは低~中強度(1RM=70%未満)で行うこと…!
2014年のデイビッドソン大学のレビュー論文によると、筋トレの抗不安効果について調べてみたそうです。
今まで見てきたように数多くの研究で定期的な運動は、認知機能や気分、生活の質の向上など、メンタルにプラスの影響を与えることが分かっております。そして、これらの研究の多くは有酸素運動を用いておりますが、無酸素運動(筋トレ)も多くの研究によりメンタルの安定や改善に効果があることが分かっているんですよね。
では具体的にどれぐらい筋トレすれば不安改善効果が得られるのか…?ってことで研究者は先行研究の結果を見直ししてみたらしい。
んでまず結論から言ってしまうと、
- 1回の筋トレの抗不安効果は、複数の研究で実証されている…!
とのこと。
つまりたった一度の筋トレで効果が出ると…。有酸素運動もそうでしたが運動の不安軽減効果は即でるみたいですな。但し、有酸素運動と違って強度は低めの方が良いみたいなのがポイント。
具体的には、高強度(1RM=70%より大きい )は、低~中強度(1RM=50~70%)に比べて不安軽減効果が低かったらしい。因みに1RM=40~55%にすると不安感が急激に減少するって研究結果が多いそうで、1RM=10%っていう超低強度でも抗不安効果が確認されたんだとか。
例えば、
- 1993年のアリゾナ州立大学の研究:1RM=45%で筋トレを1回行うと不安感が減少した。更に運動後120分までこの効果は持続した。しかし1RM=30%や1RM=60%だと同様の効果は出なかった
- 1999年のフロリダ大学の研究:1RM=50%で運動を行うと不安感が減少した。しかし1RM=80%だと不安感は減少しなかった。更にこの効果は普段筋トレをしているかどうかは関係なかった
- 2010年のメリーランド大学の研究:1RM=50~55%でセット間の休憩90秒(低強度)と1RM=80~85%でセット間の休憩30秒(高強度)を比べてみると、低強度の方が大幅に不安感が減少した
- 1998年のテキサス大学オースティン校の研究:1RM=50%で筋トレを行うと不安感が減少した。しかし1RM=85%を超える筋トレを行うと不安感が逆に増えてしまった
って感じ。
まとめると、
- 筋トレは1回行うだけでも抗不安効果がありそう…!
- しかも運動後、少なくとも120分は効果が持続しそう…!
- 筋トレ歴に関係なく抗不安効果を受けられそう…!
- 低~中強度(1RM=70%未満)で筋トレすると抗不安効果を最も確実に受けられそう…!
となります。
因みにこのレビューでは性差による効果の違いが出るのかもチェックしておりまして、
- 2002年のウェイクフォレスト大学の研究:自分で選んだ強度又は1RM=75%の強度のどちらかで筋トレしてもらったら、女性の方が大幅に不安感が減少した
- 1997年のウィスコンシン大学マディソン校の研究・2009年のオハイオ州立大学の研究・2011年のアンジェロ州立大学の研究:男性に1RM=70%を超える強度で運動してもらったが、不安感が確実に減少しなかった
そうなんで、筋トレによる抗不安効果は女性の方が男性よりも受けやすいっぽいみたいです。
個人的考察
ということで有酸素運動だけでなく、無酸素運動(筋トレ)もたった一度行うだけで抗不安効果が受けられそうな感じでした。