皆さんは決定や決断は得意でしょうか…?
当事業所でも苦手な人がいるということで、今回は決定力・決断力について書いてみたいと思います。


意思決定を惑わす4つの問題

何かを決定・決断しよう…!ってなったときになかなかどうして、うまく決められないことってありますよね。おそらく皆さんも一度は経験したことがあるのではないでしょうか…?
あれって何で起こるの…?ってことをしっかりと勉強することは少ないはず。
ということで、まずはなぜ意思決定がうまくいかないのか。それを惑わす4つをご紹介します。

  1. 視野の狭さ
  2. 確証バイアス
  3. 一時の感情
  4. 自信過剰

この4つが意思決定を惑わしているそうです。
一つずつ掘り下げます。


視野の狭さ

物事を決定するときにまず危ないのが視野の狭さです。これは想像がつくと思いますが、視野が狭いと物事が一辺倒になってしまい、他のいい決定方法が見えなくなってしまったり、まだ他にいい決定ができたのではないかと失敗や不安なんてものがでてくる可能性があります。まずは、視野を広げて決定するための安心感を得るのが必要ではないかと思います。


確証バイアス

確証バイアスとは、自分に有利な情報だけ集めて、反対意見をあえて集めないことを言います。確証バイアスは本当にその決定が正しいのかの判断を放棄し決定してしまうということにつながるため、決定した内容が失敗だったってパターンに繋がります。会議なんかのときは必ず反対意見がでるようにするといった対策が必要なのはこのことからも感じられるかと思います。


一時の感情

賭け事なんかでカッとなって財布の中のお金を全て使ってしまいあとで後悔した…。なんて話を聞いたことがありますがあれは典型的な決定のミスです。これが一時の感情ということになります。正しい決定を行うには冷静さが必須で更に冷静であれば客観視もできます。要は物事は落ち着いて決めようってことです。


自信過剰

決定には自信が重要と考える方もいますが、実は自信を過度に見積もるのは超危険。俺の考えに間違いないんだ…!という自信過剰は危険信号。よくドラマなんかででてくるワンマン社長にありそうなパターンを思い出すとわかりやすいかと…。近頃は自信なんてあってもなくても能力が変わらないし、むしろあった方がダメなんじゃないか、とか、自信は遺伝で決まっているからセルフコンパッション(あるがままを受け入れる)の方が重要だって研究が出てきていますので、自信がなくてもあまり気にする必要はないかと思います。まぁ私は自信がないタイプなので安心ですが(笑)
とはいえ、まったく自信が持てないのも困りものだし、やっぱり自信があるようになりたいっていうのは非常に納得できる話なので、もし、自信を少しでもつけたいという方はこちらをご覧ください。



WRAP(ラップ)

じゃあどうすればいいの…?ってことで、対策法としておすすめしたいのがハース兄弟の名著「決定力! 正解を導く4つのプロセス」で紹介されているWRAP(ラップ)です。なんでも、上手な決定をするには以下の4ステップを踏んでいくのがいいんだとか。

  1. 選択肢を広げる(Widen your options):2択にしない
  2. リアリティテスト(Reality test your assumptions):悪い部分も見る
  3. いったん距離を置く(Attain distance before deciding):衝動を抑える
  4. 失敗に備える(Prepare to be wrong):最高・最悪のパターンを考える

上記を踏まえた具体例を挙げてみますと、1万円のTシャツが欲しい…!ってなった時、どうするかの決断で、


選択肢を広げる(Widen your options):2択にしない

買う買わないの2択ではなく、例えば、1万円ならおいしいお寿司が食べられるな~とか5000円のTシャツを2つ買えるな~とか考えるのが大事ということ。


リアリティテスト(Reality test your assumptions):悪い部分も見る

1万円のTシャツって本当にそれだけの価値があるの…?とかGUやユニクロのTシャツとそんなに違いはないんじゃないかとかこの色は本当に1万円の価値があるのかとかこんな感じで嫌な奴になってみてみる感じです(笑)


いったん距離を置く(Attain distance before deciding):衝動を抑える

即決購入…!ではなく、いったんお店からでてほかの店を見たり、別の日に買いに行ったりする感じ。もっといいTシャツが見つかるかもしれないし、1日経つとそんなにいらないな~なんて思えたりしてくることがありますからね~。


失敗に備える(Prepare to be wrong):最高・最悪のパターンを考える

最高のパターンは着心地が良くて、友だちに褒められたとかを考えること。逆に最悪のパターンこのTシャツを買って1日で破けて捨てることになったみたいなこと。これらを比較衡量して、1万円の価値が本当に妥当か判断し、購入すべきか否かを決定する感じです。



ハース兄弟の「決定力! 正解を導く4つのプロセス」にはまだまだ使えるテクニックが載っている…!

上記で紹介したハース兄弟の「決定力! 正解を導く4つのプロセス」にはまだまだ使えるテクニックが載っておりますので、それらをご紹介しておきます。


選択肢を捨てず、掛け合わせて検討するORよりAND法

例えば、AかBから選ぶだと、選択の幅がどうしても狭くなります。そこで大事なのが、アイディアとアイディアを掛け合わせて考えるという方法です。これだと思いもよらない良いアイディアが出たり、効率がアップしたりするみたい。
では、これを実践で行うコツについてですが、以前に紹介した


あたりが役立つのではないかと思います。


選択肢の数が少ないときは…。

トラブルの解決や会議などで案を募っても出ない、又は1、2個出て終わりってことがあります。これだと選択肢の幅が狭すぎるので、もうちょいアイディアが出るようにするにはどうすれば良いんでしょうか…?
ってことで、載っていたのが、思いついたアイディアが使えないって考えてみるという方法。どういうことかというと、

  1. アイディアを挙げまくる…!
  2. 挙げたアイディアが全て使えないと想像する
  3. まだ挙げていないアイディアを検討する

という手順を行うと、新たなアイディアや解決策が思いつくそうな。考え方一つで確かに変わるのがアイディアなんで良いかもしれませんね~。
他にも個人的におすすめなのが、個人で考えて会議で持ち寄る方法や個人で考えるを応用したブレインライティングという会議方法。これは結構良いと思いますねー。


冷静さを取り戻す10-10-10法

良いアイディアだ…!と思いついたときでも一晩経ってみると、やっぱあんま良くないアイディアだな…っと思うことがあります。つまり、一時的な感情に左右されやすいのが人間なんで、これを回避する方法を身に付けておくと良い決定が出来るみたい。
では、具体的にどうしたらいいのかというと、10-10-10で考えてみるという方法。
やり方は、

  1. 10分後の未来の自分はどう思うかを考える
  2. 10ヶ月後の未来の自分はどう思うかを考える
  3. 10年後の未来の自分はどう思うかを考える

って感じで、未来の自分がどう思うか自問自答していくって方法です。これにより、客観視ができて冷静さを取り戻せるんだとか。


先に反省会をする

普通はプロジェクトがひと段落ついてから反省会を行うものですが、上記の通り、一時的な感情に左右されやすいんで、どうしても選択を誤りがち。そこで、先に反省会を開催してしまおうというテクニック。
これは事前に最悪を想定してその対策を講じておこうということで、当ブログで紹介した


でもご紹介した通りで、メリットが多くかなり良い方法みたいです。


悪い面のリフレーミングのしやすさ、大きさを見てみる

どのようなアイディアもメリットだけってことはなく、必ず、メリットがあればデメリットがあります。ベストな選択を考える際はどうしてもメリットの大きさで選びがちですが、デメリットにも目を向けることが大切だということ。具体的には、デメリットをリフレーミングしたとき、つまり、

  • デメリット(弱み)をメリット(強み)として活かせるのか…?
  • デメリット(弱み)をメリット(強み)として変換(リフレーミング)しやすいか…?
  • デメリット(弱み)をメリット(強み)として変換(リフレーミング)したとき、そのメリットの大きさは大きいか、小さいか…?

と考えてみると、良い選択を選べる可能性が増すらしい…。
この方法は面白い視点ですよね~。



選択肢が多い場合はどう絞るべきか…?

2015年のジョージア工科大学などの研究によると、選択肢が多い場合、どうやって絞っていくとベストな選択になりやすいのか調べてみたそうです。実験は参加者111人を対象に車や携帯電話のプランなど各16種類から選んでもらったらしい。その際、参加者をランダムに振り分けて以下の方法を使ってもらったそうな。

  1. 16種類から一度の選択でベストチョイスをする
  2. 16種類からランダムに4種類を選ぶ。その中でベストチョイスをする。これを繰り返していく
  3. 16種類をトーナメント形式でチョイスしていく。具体的には、まずは1回戦としてランダムに4グループ(A,B,C,Dグループ)に分ける。各グループでベストチョイスを行う。2回戦として、Aグループで選ばれた選択肢とBグループで選ばれた選択肢からベストチョイスをする。同様にCグループで選ばれた選択肢とDグループで選ばれた選択肢からベストチョイスをする。決勝戦として、ABグループで選ばれた選択肢とCDグループで選ばれた選択肢からベストチョイスをする

んで、結果が、

  • 車でも携帯電話プランでもどのようなものでもトーナメント形式でチョイスするとベストチョイスしたと思うことが多かった…!

そうです。
この結果に研究者曰く、選択肢が多いと高負荷がかかる可能性がある。そして、なかなか決断できず大きな後悔をもたらす。そこで選択肢を制限する必要がある、とのこと。
どうやら選択肢が多いと目移りして優柔不断になって後悔も起きてしまうみたいなんで、あえて選択の幅を狭めることによって良い選択ができる可能性が高まるみたいですね。その方法としてトーナメント形式によるチョイスが良いみたい。これは分かるな~。
因みに「選択の科学」によれば、人間は選択肢が多い程、優柔不断になるってのがデフォルトらしいので、困る方は多いはず…。ぜひ、お困りの際は、トーナメント形式でお考えください。



個人的考察

今回の内容は決定・決断する際に非常に参考になるのではないかと思います。
特に客観的なプロセスがあることによって、迷ったらWRAPにとりあえず当てはめれば正しい決定ができる可能性が上がる…!って覚えておくと苦手な方はかなり楽かと思います。
因みに私はamazonなんかで物を買う際は必ず、いくつかの商品と比較したり、評価の低いレビューをみたり、カートに入れて別日で購入と日にちを分けたり、最高最悪パターンをカートに入れてあるときに考えたりします。
ぜひ、皆さんも決定で困ったときはWRAPをお使いください。



参考文献