【まとめ】歩く・ウォーキングは体に良いは常識。ではどれぐらい歩けばどのような効果があるのか?効果を高める歩き方はあるのか?
今回はこの歩く・ウォーキングにフォーカスした内容を書いてみたいと思います。
歩数に応じた効果
まずは歩く・ウォーキングの歩数によってどのような効果があるかを調べた2013年の東京都老人総合研究所の研究を見ていきたいと思います。この実験は名前の通り高齢者を対象にしたものですが参考になるかと思います。1日の歩数に応じたそれぞれの効果を調べてくれたものになりまして、まとめますと、- 4,000〜5,000歩 メンタルヘルスの維持・初期の鬱症状の改善
- 7,000〜8,000歩 健康の維持・骨粗しょう症の予防・動脈硬化の防止
- 8,000〜10,000歩 肥満と糖尿病の改善
ということでした。つまり現状維持には1日7,000~8,000歩も歩くのが必要ということ。私もスマホを肌身離さず持ち歩き、歩数計で1日の歩数をチェックしているのですが、デスクワークということもあり、なかなか達成できない数字でした。今はジムでのトレッドミルによるウォーキングの習慣があるので達成していますが意識していかないと達成は難しいのではないかと思います。
話を戻して2006年のボール州立大学の研究によると、1日に10,000歩か8km歩くと肥満(体重や体脂肪など)がガッツリ改善したそうです。やはり、1日10,000歩のウォーキングが理想なのか~。
1日15分の軽い運動で寿命が3年のびる…!
2011年の研究によると1日15分の軽い運動をするだけで寿命が3年のびることがわかったそうな。軽い運動とはウォーキングやスロージョギングでOKということ。更に、運動時間が15分増えるごとに死亡リスクが4%ずつ低くなり、運動量が1日100分に達するまで効果が上昇し続けたそうです。1日15分で3年ってすごいですよね。歩くって歩数も大事ですが、時間から考えるのも良いのかも…。
1日20分歩けば頭が良くなって幸福度もアップする…!
最後にご紹介するのが2009年のイリノイ大学の研究。1日20分の軽いウォーキングで脳の活動がアップして幸福感が高くなったそうです。この実験は子どもを対象としていますが、おそらく大人にも当てはまるのではないかと…。つまり、頭をよくしたい、幸福度をアップさせたいなら1日20分は歩くことがオススメですね。歩く効果をより上げるならIWTがオススメ…!
もうウォーキングはしているんで更に歩く効果を高める方法はないんですか…?って方に紹介したいのがIWTです。IWTはインターバル・ウォーキング・トレーニングの略でして、簡単に説明すると、早歩きと普通に歩くことを交互に繰り返す方法になります。2019年の信州大学の研究によると、IWTを行うことで体力が向上したそうです。こちらも高齢者を対象とした実験ではあるのですが、おそらく高齢者でなくとも効果はあるかと思います。ぜひ普通のウォーキングより一歩グレードを上げたい方にオススメです。
1日20分の早歩きをしよう…!
2015年のケンブリッジ大学の前向きコホート研究によると、普段の運動頻度によって体全体やお腹の肥満、死亡率がどう変化するのかを調べてみたそうです。研究は1992年から2000年の間にスウェーデン、デンマーク、ノルウェー、オランダ、イギリス、フランス、ドイツ、スペイン、イタリア、ギリシャの10ヶ国、23のセンターから519,978人(年齢25〜70歳)の参加者を募ったとのこと。ここから、心臓病や脳卒中、癌の方や、エネルギー摂取量が非常に多い上位又は非常に少ない下位0.5%、身長と体重、アルコール、教育、喫煙などで極端な数値の人も除外していったらしい。つまり、なるべく例外的な人を除いて、平均が出るようにしていったってことですね。
んで、最終的な参加者は334,161人となりまして、男性が116,980人(平均年齢52.6歳)、女性が217,181人(平均年齢51.2歳)になったとのこと。平均追跡期間は12.4年で、年単位でみるとデータは4,154,915人分に相当するんだとか。因みに実験中に死亡した方は、男性が11,086人、女性が10,352人だったとのことです。
実験期間中は身長や体重、ウエストなどを測定しており、それらのデータを基に性別や教育、喫煙、アルコール摂取量なんかを調整しつつ、統計処理したみたい。
結果、
- 普段ちょっと運動している人は、普段全く運動しない人よりも、全ての死亡リスクが20〜30%減少していた…!
- 普段から運動している人は、普段全く運動しない人よりも、全ての死亡リスクが41%減少していた…!
- 普段全く運動しない人が1日当たり約20分の早歩き、又は同等レベルの運動をするだけで、全ての死亡リスクを大幅に減少させ、健康的に暮らせる合格点を達成できる…!
そうです。
更に研究者曰く、死亡リスクの最大の減少は、お腹周りの脂肪量の減少だったそうで、その対策として1日20分の早歩きが有効みたいです。
15分間早歩きするとお菓子の誘惑に強くなる…!
2015年のインスブルック大学の研究によると、運動で食欲を抑えられるのか…?について調べてみたそうです。今回実験に参加したのは高カロリーのお菓子をやめられない太り過ぎの47人(うち女性は29人で、平均年齢が28歳)で、まず最初にお菓子への欲望を高めるため、3日間お菓子禁止令を発令したとのこと。次にお菓子への渇望が高まったところで、
- 運動グループ:2分間のウォームアップをし、その後、トレッドミルで15分間早歩き(中程度の運動)をしてもらう(因みに論文のここの表現がなかなかウィットに富んでいて「参加者には、まるで急いでバスに乗ろうとしているかのように歩くよう指示した」と表現している(=息切れするほどではないスピードとのこと)。う~ん。この表現センス好きだな~)
- 対照群:実験室に15分間静かに座り続ける
という2グループに分かれてそれぞれ行ってもらったそうな。その後、全員にストループテストを行ってもらったみたいです。
ストループテストは注意力テストのことで文字に色がついておりその色を声に出して出来るだけ早く読んでいくみたいなテストのこと。
例えば、
- 青→黄→赤→紫→黒
と書いてあれば、
- 黄→赤→青→緑→紫
と読むって感じです。当然アベコベになりやすいんで、文字に囚われず如何に色に注意を向けられるかがポイントとなります。
ストループテストにより参加者に認知的負荷をかけ、ストレスをアップ、脳も疲弊し、いよいよお菓子しか考えられなくなる人の完成です(笑)
最後は、このよだれダラダラ状態の参加者の目の前に待ちに待ったお菓子のご登場です。チョコレートなどの高カロリーな砂糖を使ったお菓子が提供されます。そこから参加者はそれぞれ自分で好きなお菓子を一つ選び開封し…ってところで、ストップさせられそのまま食べずに約30秒間耐えるよう指示されたらしい。まさに地獄。う~ん。地獄…。
んで、この極限状態での結果が、
- 運動グループ(中程度の強度で15分間歩く)は、お菓子への渇望が減少していた…!
そうです。
この結果に研究者曰く、たった1回の運動でストレスによる渇望を減らすことができるだろう、とのことでなかなか良い感じですね。
普段から歩く・立つことは超大事!座りがちな人は1時間の運動じゃリカバリーできないみたいだよ!
2013年のマーストリヒト大学医療センターのRCTのクロスオーバーデザインによると、運動強度と健康リスクの関係について調べてみたそうです。
つまり、活動時間を同じにして、座りがち・短時間だけガッツリ運動・長時間歩く立つを比べた場合、どれがベストなのかを調べたってことですね。
この研究は、健康なマーストリヒト大学の大学生18人(女性16人・男性2人、平均年齢21±2歳、BMI22.6±2.6)を対象に行ったそうで、以下の3つのグループにランダムに振り分けたそうな。
- 座りっぱなしグループ:1日14時間座る、1時間歩く、1時間立つ、8時間睡眠で過ごしてもらう。
- 1時間運動グループ:1日14時間座る、1時間中程度~激しい運動(サイクリング)を行う、1時間立つ、8時間睡眠で過ごしてもらう。
- 歩く立つグループ:1日8時間座る、5時間歩く、3時間立つ、8時間睡眠で過ごしてもらう。
つまり、活動時間を同じにして、座りがち・短時間だけガッツリ運動・長時間歩く立つを比べた場合、どれがベストなのかを調べたってことですね。
期間は、4日間続けられたそうで、その後、最低10日間のウォッシュアウト期間(インターバル期間)を設けつつ、別のグループの行動も順次試してもらったみたい。因みにウォッシュアウト期間中は普通に過ごしてもらうよう頼んだとのこと。
また、食事については、お酒を控えること以外特に制限はしなかったそうです。それと食事日記をつけてもらい、カロリー摂取量なんかをチェックしたそうな。その他、健康状態の変化や服薬、研究が日常活動に与える影響についてはアンケートを記入してもらったとのこと。
気になる結果は、
- 歩く立つグループは、1時間運動グループに比べて、1日のカロリー消費量が238kcal多かった…!
- 座りっぱなしグループは、1時間運動グループ・歩く立つグループに比べて、1日のカロリー消費量が約500kcal少なかった…!
- 歩く立つグループは、座りっぱなしグループ・1時間運動グループに比べて、インスリン感受性が良かった…!
- 歩く立つグループは、座りっぱなしグループに比べて、中性脂肪やコレステロールなどが大幅に改善していた…!但し、歩く立つグループと1時間運動グループの関係は微妙だった…。
そうです。
この結果に研究者曰く、
- 1日中座って過ごしている人は、1時間の運動をしても、インスリンや脂質の悪影響はリカバリーすることはできない。また、普段からウォーキングや立つ時間を増やすことは、1時間の運動よりも効果的であった
とのことです。
以前に座り過ぎのメンタルダメージは運動してもリカバリーが難しい…!って話をご紹介しましたが、ダイエットの方も同様みたいですねー。
う~ん。これらを見ると、やっぱりウォーキング、スタンディングデスクの導入やトレッドミルデスクの導入は良さそうですねー。
お菓子を食べ過ぎた時も歩こう…!
2014年のミズーリ大学の研究によると、果糖や砂糖がたくさん入ったものを食べると肥満になるけど、これって自分で決めたペースでウォーキングすることによってある程度改善できるんじゃないか…?ってのを調べてみたそうです。この研究は、平均年齢18歳の男女7名を対象に行われたそうで、皆肥満体型だったとのこと。参加者には以下のグループに分かれてもらい15日間過ごしてもらったそうな。
- 通常食+果糖グループ:座りがちな生活をしつつ、普通の食事に毎日果糖50gを追加したものを食べてもらう
- 通常食+砂糖グループ:座りがちな生活をしつつ、普通の食事に毎日砂糖50gを追加したものを食べてもらう
- 通常食+果糖+歩くグループ:普通の食事に毎日果糖50gを追加したものを食べてもらいつつ、ウォーキングを行ってもらう
- 通常食+砂糖+歩くグループ:普通の食事に毎日砂糖50gを追加したものを食べてもらいつつ、ウォーキングを行ってもらう
1日50gの果糖や砂糖を増やすってのはすごいですね~。
んで気になる結果は、
- ウォーキングをしても食後のインスリン濃度に違いはなかった…。
- インスリン分泌が、通常食+果糖+歩くグループの場合、34%減少した…!
- インスリン分泌が、通常食+砂糖+歩くグループの場合、25%減少した…!
- 総インスリン濃度は、通常食+果糖+歩くグループの場合でのみ大幅に減少した…!
とのこと。
砂糖や果糖をたくさん摂取したけど、ウォーキングで糖代謝が改善したのは良いですね~。
注意点としては、サンプル数が少ない小規模実験であること、対象が若者だったこと、皆肥満体型だったことです。
もしかしたら、若者以外や標準体型の場合、同様の結果が出ないかもしれないので悪しからず。
夕食後30分間ウォーキングをすると血糖値が改善する…!
2014年のオールド・ドミニオン大学の研究によると、食後の血糖値や心拍変動、夕食後の気分の変化における運動の影響度について調べてみたそうです。この研究は2型糖尿病の患者さん12名(女性9名、男性3名、平均年齢58.7歳)を対象に行ったそうで、参加者全員に一般的な夕食(約300kcal)を食べてもらったそうです。
次に夕食を食べ終わってからの30分後に、以下の3グループにランダムに分かれてもらったそうな。
- ウォーキンググループ:トレッドミルで30分間歩いてもらう
- 卓球グループ:ロボットと30分間卓球をしてもらう
- コントロールグループ:休憩を30分間とる
これを1週間のうちに3回行ったとのこと。
血糖値のチェックについては、夕食直前、30分後、60分後、90分後、120分後、150分後、180分後と測定したそう。また、気分の変化については、グループに分かれる行動の前後にチェックしたそうな。そして心拍変動については、食前と実験終了30分後にチェックしたとのこと。
それでは結果を見てみましょうか。
- ウォーキンググループは、卓球グループ・コントロールグループに比べ、食後の血糖値が明らかに低かった…!
- ウォーキンググループは、卓球グループよりも平均心拍数が高かった…!
つまり、
夕食後に30分間、自分のペースでウォーキングすると、血糖値が改善する…!ってことですね。
注意点としては、サンプル数が少ない事、参加者が2型糖尿病患者さんなので、健康な人の場合、同じ効果が出るのか謎な事でしょうか…。
但し、ウォーキングは手軽に始められるんでやはり運動としてはおすすめですねー。
週5で夕方に30分以上ウォーキングすると、ダイエットと炎症対策に良い…!
2014年の南京医科大学の研究によると、ウォーキングと脂質・炎症の関係について調べてみたそうです。まず研究者たちは、2011年9月~2012年11月の間に南京市で冠動脈疾患(CAD)をお持ちの方で参加者を募集。結果、普段座りがちな330名が参加してくれることになったそうな。
次に、患者さん全員を以下の3グループにランダムに振り分けたそうです。
- コントロールグループ(110名):いつも通り過ごしてもらう。
- 朝にウォーキンググループ(110名):週5日、朝に30分以上歩く。これを12週間続けてもらう。
- 夕方にウォーキンググループ(110名):週5日、夕方に30分以上歩く。これを12週間続けてもらう。
つまり、週5で夕方に30分以上ウォーキングすると、ダイエットと炎症対策に良い…!ってことですね。
注意点としては、健康な方を対象とした場合、同じ結果が出るのか不明ということ。
しかし、ウォーキングを行っておいて損はないかな~と思います。
ウォーキングが慢性疼痛改善に役立つ…!
2014年のクイーンズ大学ベルファストなどの研究によると、筋肉や骨、関節、腱や靱帯などの慢性的な痛み(慢性疼痛)に対するウォーキングの効果について系統的レビュー・メタ分析を行ってみたそうです。まず研究者たちは、MEDLINE、CINAHL、PsycINFO、PEDro、SPORTDiscus、Cochrane Central Register of Controlled Trialsの6つのデータベースを用いて、1980年1月~2014年3月までの該当研究を検索してみたそうな。
因みにピックアップの条件は、
だったとのこと。
結果、26件の研究(サンプル数2,384名)が該当し、更にメタ分析に適切な17件の研究が選び出されたそうです。また実験期間は、短期間(8週間以下)、中期間(2~12ヶ月)、長期間(12ヶ月以上)の3つに分けられたみたい。
気になる結果は、
- ウォーキングを短期間から中期間行うと、痛みが軽度から中程度改善した…!
- 機能の改善は、短期間(-6.47)、中期間(-9.31)、長期間(-5.22)ともに改善していた…!
とのこと。
やっぱり慢性疼痛にウォーキングは効くみたいですねー。
この研究によればウォーキングを8週間行うと効果があったみたいなんで、慢性疼痛にお悩みの方は、まずは2ヶ月間歩いてみてはどうでしょうか…?
1日11分の早歩きで脳機能がアップする…!
2015年のカンザス大学の研究によると、有酸素運動量と認知機能の関係について調べてみたそうです。
今回実験に参加したのは少なくとも65歳の方であり、且つ普段から座りっぱなし又は運動不足な人101名だったとのこと。この参加者たちを以下の4グループのどれかにランダムに振り分けたそうな。
- 何もしない(コントロール群):25名
- 週75分の運動を行う:25名
- 週150分の運動を行う:27名
- 週225分の運動を行う:24名
因みに実験期間は26週間(6か月)を設定したとのこと。
また今回の運動種目はトレッドミルを使ったウォーキングがメインだったそうで、強度についてはこんな感じ。
- 1~4週間:心拍数40~55%(≒普通に歩く)
- 5~18週目:心拍数50~65%(≒やや早歩き)
- 19~26週目:心拍数60~75%(≒がっつり早歩き)
また認知機能については、言語記憶、視空間認知(物の位置などの認識力)、単純注意力なんかをチェックしたらしい。
気になる結果はこんな感じ。
- コントロール群と比較して、週75分、週150分、週225分のウォーキングを行った人は皆同じぐらい単純注意力がアップしていた…!
- ウォーキングを行った人は視空間認知もアップしていた…!
つまり1日11分の早歩きで脳機能を維持・改善できそうってことですね。また時間を増やせばもっと効果はありそうな感じとなっております。
因みに視空間認知は実行機能に大きく関係している脳力なんで是非鍛えておきたいですね~。
個人的考察
ウォーキングは農福連携のブログでも書いた通り効果が他にもあって非常にオススメです。
ぜひ、最低1日15分からでもよろしいので行ってみてください。もし、続けるのが苦手で…。という方は習慣のブログをご覧いただければと思います。
ぜひ、最低1日15分からでもよろしいので行ってみてください。もし、続けるのが苦手で…。という方は習慣のブログをご覧いただければと思います。
最後にウォーキングの弱点とプラスアルファのお話を…。
ウォーキングは筋肉がつきづらく、また、心肺機能が上がりづらいという弱点があります。
そのため、合わせて筋トレとHIITなんかを行うとよろしいかと思います。
参考文献
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23312568
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17152246
https://news.illinois.edu/news/09/0331activity.html
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31477320
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17152246
https://news.illinois.edu/news/09/0331activity.html
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31477320