最近研修が多かったこともあり、その内容のブログも必然と多くなったのですが、今回からはまたいつも通りの内容に戻っていきたいと思います。

ペンシルベニア大学ウォートン校で史上最年少で終身教授になった天才、組織心理学者アダム・グラントさんの著書「GIVE&TAKE「与える人」こそ成功する時代」から、親切について紹介していこうと思います。



10年にわたって調べた結果…。

グラントさんによると組織の人間を10年間調べた結果、ギバー、テイカー、マッチャーに分類できるそうです。ギバーは言葉の通り、人から何かをもらうより与えることが多い人を指します。テイカーはその逆で奪う人、つまり、人からもらう方が多い人です。マッチャーはもらう量と与える量が同じぐらいの人を言います。
それぞれについて簡単にまとめると、

  • ギバー   与える>もらう
  • テイカー  与える<もらう
  • マッチャー 与える=もらう

のようになります。自分はどれに当てはまりますかね~。
ギバー、テイカー、マッチャーのうち、組織の中で誰が大成し誰が損をするのか、つまり、どのようなタイプを目標にすればいいのかっていうのが今回のポイントになります。
気になりますよね~。


一番損をするのは…。

ではまず、ギバー、テイカー、マッチャーの中で一番損をする人、組織で下の方にいる人を挙げてみたいと思います。医学生や販売業での実験結果から分かったそうですが、それは…。

  • ギバーです…!

ギバーの損の度合いは半端なくて例を挙げると、

  • ギバーはテイカーに喰われている人が多い
  • 上司・社会の評価も低い
  • 収入も低い(14%他より低い)
  • 詐欺の被害に遭いやすい(2倍)
  • インフルエンス(影響力)が22%低い
  • 営業などの場合、売り上げが2.5倍低い

という感じだったんだとか。「え、じゃあ親切とかアホらしい…!正直者がバカを見るんじゃん…!」って気持ちになりそうですが、事はそう簡単ではなかったそうな。
どういうことかというと、ギバーの中には、

  • 成績が11%他の人に比べ高かった
  • 人に教えたり、与えているのに年収が50%多い人がいた

ということです。ギバーの中に真逆の結果が出た人がいたんですよね~。これは不思議。更にこの真逆の結果が出たギバーはテイカーやマッチャーよりも上で組織ではトップにいたんですよね。

つまり、まとめると

  • トップギバー>>>>テイカー=マッチャー>>>>ボトムギバー

という図式になるということです。最下位(ボトム)の人はギバーが多く、また、トップもギバーが多いという違いが気になりますね~。

因みにボトムギバーをテイカーは喰いますが、それを良しとしないのがマッチャーでだからテイカーがトップにはこないのだとか。そのマッチャーもプラスマイナスゼロを考えるため、トップにはならないらしい。う~ん複雑。



トップギバーとボトムギバーは何が違うの…?

トップギバーを目指すのは分かったとして、それじゃあトップギバーとボトムギバーは何が違うの…?っていうのは気になるところ。
先に結論を言ってしまいますが、その違いは、

  • 自己犠牲であるか否か

というのがトップギバーとボトムギバーの分かれ道ということでした。つまり、

  • トップギバーもボトムギバーも「皆の利益」の為に与える
  • テイカー、マッチャーは「自分の利益」の為に与える
  • ボトムギバーは「皆の利益」の中に自分が入っていない
  • トップギバーは「皆の利益」の中に自分が入っている

ということ。自己犠牲のギバーではなく価値を生み出すギバーになるのが重要ってことですね。また、トップギバーになるには性質を理解することが大切であることやギバーとは長期投資であることを理解しておくことが大事なんだとか。これはかなり納得であります。また、ギバーは長期的に人が集まるそうでこれはドラッカーが言っていることと符合していますね。



じゃあ、どれぐらい与えればいいの…?

無制限に与えていればもちろんボトムギバーの仲間入りをしてしまうので、じゃあ、どれぐらい与えればいいの…?って感じですが、そのあたりもさすが天才でしっかりとポイントを挙げてくれています。ポイントは4つで、

  • 自己犠牲にならない
  • 一気に助ける
  • 1年に100時間まで(週2時間でOK)
  • 意味のある人助けをする(イヤイヤはダメ)

とのこと。指針が凡人の私でもわかりやすいのでかなり助かります。これらを守って是非トップギバーの仲間入りをしたいと思いますね~。



具体的な目標を最初に設定して完遂する親切(与える)を行うのが幸せへの近道

2013年のスタンフォード大学の研究によると親切をするときあることに気を付けないと逆に不幸になってしまうことがあるんだそうな。これは押さえておきたいですね~。
んで、気になる注意点は、人に親切にする(与える)ときは目標を具体的に設定しないと不幸になるとのこと。
具体的な目標ってのは、


みたいな感じ。
逆に抽象的な目標ってのは誰かの為になりそうな、ならなさそうな、ぼんやりした感じと言いますか…。まぁ、下記みたいな感じですね。

  • 誰もやらないから仕方なくこの業務をする
  • 誰の為になるかわからん募金をする
  • なんとなく道端のごみを拾う

研究に参加した人たちは抽象的な目標設定が幸せになると思ったそうなんですが、実際は差に非ず、具体的な目標設定じゃないと不幸になってしまうそうなんですよ。なんだかバイアスがありますね~。
理由については抽象的な目標だと現実感が薄くなり、どこまで親切にしていいか(与えていいのか)分からなくなってしまって、結果、自己犠牲に走っていってしまうからなんだそうな。自己犠牲ではボトムギバーの仲間入りなんで当然不幸にもなっていきますよね~。
だから親切(与える)を行う時は上記で挙げたような具体的な目標を最初に設定して完遂する親切(与える)を行うのが幸せへの近道なんだそうです。



個人的考察

「情けは人の為ならず」という言葉は科学的に見てもやはり正しくて親切は自分の為にするんですね~。効果は、幸福度が上がる、長期的に成功するということで申し分ないし、是非親切が報われる(成功する)ためにもトップギバーを目指していきたいと思いました。
もし親切に興味をお持ちでまだまだ詳しく知りたい…!って方がおりましたら、下記をご覧いただくとよろしいかと思います。


合わせて、今回の内容はグラントさん本人が解説しているTED動画もありますので、気になる方は下記をご覧ください。
それでは、自己犠牲にならない親切をしてトップギバーを一緒に目指しましょう…!








参考文献

https://www.ted.com/talks/adam_grant_are_you_a_giver_or_a_taker?utm_source=twitter.com&utm_medium=social&utm_campaign=tedspread