今回はストレスについて書きたいと思います。
因みにストレスと密接に関わりのあるコルチゾールについては下記からご覧ください。




ストレスパラドックス

「ストレス」と言う単語を聞くと兎角ネガティブな印象を受けると思いますが、皆さんはいかがでしょうか…?
悪者にされることの多いストレスですが、ギャラップ社(アメリカの調査会社)の調査によると、ストレスが高い程、国民の幸福度が高く満足度も高かったということです。更にGDPも高く、平均寿命も長いという結果だったそうです。これは以外…!一般的に考えるとストレスが高い程、幸福度は低くなるイメージですし、満足度も低そう…。結果、元気がない感じだからGDPも低く、もちろん寿命も短いイメージですよね~。う~ん。バイアスあるな~。

では、なぜストレスでこのような結果が出たのかというと、やりがいはストレスを感じるものだかららしいです。これは言われてみると納得のいく話で、苦労したもの(ストレスを感じるもの)ほどできた時の喜びや達成感(やりがい)は大きいですよね。でも、一方でストレスは悩みや苦しみも上がるということで、これは説明しなくても皆さんご存知の通りです。

つまりストレスは諸刃の剣ということで、なさ過ぎてもあり過ぎてもダメ。適度なストレスが重要ってことですね。何事も過ぎるは良くないってことです。

では、具体的にどうすればいいのかと言いますと、プラスになるストレスを取っていくように心がけるのが重要ではないかと思います。あまりにストレスがないとストレス耐性が低くなってしまいますからね~。筋トレと同じく少しの負荷がいるという感じになります。



ストレスから逃げ続けた果てに何が待ち受けているのか…?

適度なストレスは必要…!と分かってはいるものの、人間は自分に甘く弱い生き物。実際にストレスから逃げる、嫌なことから逃げる人は多いのではないでしょうか…?そこで興味深いのがストレスを避け続けた人の人生がその後どうなるのかを調べた研究結果。
10人を10年間追跡調査した結果、ストレスから逃げ続けた人は、

  • うつになる傾向が強い
  • 人生に対する意義・幸福感も感じ辛くなった

ということだったそうです。ひえ~。最悪。逃げることで更にハードルが上がってしまいまた逃げてしまうという負のスパイラルに陥ると結局上記のようなストレスを感じてしまうんですね。避けたはずが一番のストレス原因になるなんて、トカゲの例ではないですが、やっぱり小さいストレスのうちに片付けて大きなストレスを背負いこまないように気を付けつつ、自分のストレス耐性の経験値を積み、レベルアップしておくのが重要ってことですかね。



急性ストレスを受け入れ、慢性ストレスは避けよう…!

ではストレスは避け続けてもいいことがないとわかったところで、プラスになるストレスってなんなの…?ってことですが、そもそもストレスには急性ストレスと慢性ストレスの2種類があるみたいです。その違いを分かりやすくまとめますと、

  • 急性ストレス:短期的に交感神経が活発化=短期的な戦闘(緊張)モードになるストレスのこと。原因が分かりやすく、すぐに解決できるストレス。一時のストレスの為、元気になる(ホルミーシスが働く為)
  • 慢性ストレス:常に交感神経が活発化=いつも戦闘(緊張)モードになるストレスのこと。原因が分かりづらく、すぐに解決できないストレス。悪いストレスであり、解決すべきストレス

って感じになります。急性ストレスは一時のストレスでこれははるか昔から存在するストレスらしいです。旧石器時代に獣に襲われそうになって全力で走って逃げて助かった…!みたいな感じで、一時のストレスがあってもその後の助かったという安堵や喜びが元気になる、つまり、やりがいや達成感になります。こういったストレスは積極的に取り入れたいところ。

逆に、慢性ストレスは現代急速に広まった新しいストレスで毎日の学校が嫌だ…。あの人に会いたくない…。あの職場の雰囲気をこれから毎日味わうのか…。みたいな感じのことを言います。まさに皆さんがよく悩むストレスはこちらですよね…!これは解決すべきストレスです。なぜこのストレスに喜びなどがないかというと、人類の歴史から見て新しいストレスの為、人間の対処対応機能が追い付いていないのが原因みたいです(逆に急性ストレスは昔からあったので対処するのが得意)
そのため、現代で問題になるストレスは、慢性ストレスであり、解決すべきストレスと言えます。



慢性ストレスはバッドステータスのオンパレード…!

2008年のマイアミ大学の研究によると、ストレスはメンタルや幸福、行動や健康に大きな影響を与えるけど、具体的にどのようなデメリットがあるのか…?について調べてみたそうです。まず、この研究では大前提として、急性ストレスは基本的に健康上のデメリットがなく、慢性ストレスは健康上のデメリットがある、としています。
その上で、じゃあ、慢性ストレスでどのようなヤバいことが起きるのか…?について挙げておりました。
では、早速要点を見ていきましょうか…。


子ども時代の慢性ストレスによるバッドステータス

子ども時代の慢性ストレスによるバッドステータス一覧はこんな感じ。

  • 感情の調節不全
  • 攻撃的な行動
  • 親密さの回避(愛着スタイルで言う回避型)
  • 愛着の乱れ(愛着スタイルで言う不安型)
  • パーソナリティ障害を含む精神障害の可能性
  • 反社会的行動の増加
  • 不安症
  • うつ病
  • 家族との関係悪化
  • 友人からのサポートの欠如
  • 学習性無力感の増加
  • 心的外傷後ストレス障害(PTSD)と抑うつ症状の合併
  • 気分障害
  • 攻撃的な制御不全の問題
  • 免疫低下機能障害
  • 早期死亡リスク


成人期の慢性ストレスによるバッドステータス

次に成人期の慢性ストレスによるバッドステータス一覧はこんな感じ。

  • 不安症
  • うつ病
  • 不安障害


トラウマによる慢性ストレスのバッドステータス

トラウマによる慢性ストレスのバッドステータス一覧はこんな感じ。



その他の慢性ストレスによるバッドステータス

その他の慢性ストレスによるバッドステータス一覧はこんな感じ。



これを見ると、やはりストレス対策はどのような人も行っておいた方が良いのは間違いない感じ。
コーピングレパートリーの作成を強くおすすめ致します。



慢性ストレスがある状態で急性ストレスがかかるとヤバい…!

1997年のカーネギーメロン大学の研究によると、慢性ストレスは急性ストレスよりも健康ダメージが高いという仮説が正しいのか検証したそうです。実際どのような実験だったかというと、まず、大学生を150人(男性75人、女性75人)集めまして、次にストレス度をチェックし、その後、課題を渡すなどのストレスを与えて、心血管の反応などを見てみたんだそうな。
結果、慢性ストレスが多い大学生は、慢性ストレスがほとんどない大学生と比較して、課題に対する心血管系の反応が大きかったそうです。更に急性ストレスに対する心血管の回復スピードが遅く、ストレスダメージの上昇度も高く、持っている病気の量も多かったそうな。
慢性ストレスがあると、急性ストレスによるダメージに弱くなっちゃうみたいですね…。因みに、いずれの結果もストレスの数と関係はなかったそうです。
やっぱ、慢性ストレスは意識して対策する必要がありそうですねー。



慢性ストレスで常に免疫力が落ちた状態に…!

2012年のカーネギーメロン大学の研究によると、慢性ストレスが体の免疫反応にどう影響するのかを調べてみたそうです。実験は2つ行われたそうで、まず、慢性ストレスがある人や健康な成人を276人集めまして、年齢、肥満度指数(BMI)、人種、性別、教育、今持っている抗体数なんかを調べたそうな。次に、わざと風邪のウイルスを体内に入れ、風邪をひいてもらい、どうなるか5日間みたとのこと。
結果、

  • 慢性ストレスを抱えた人は、風邪をひくリスクが約2倍高かった…!

そうです。
因みに原因はコルチゾールということ。コルチゾールはストレス耐性アップや戦闘状態にしてくれる短時間専用のホルモンなんですが、実は、生存率をアップさせるのに力を注いでいる分、今は必要のない免疫力はダウンさせているそうです。
そのため、ストレスが溜まっているとコルチゾールが分泌されているので免疫力がダウン、結果、風邪などのウイルスに感染しやすくなるみたい。そして感染しても免疫が働き、熱などの症状が出ない為、本人は気づかず、ストレスがなくなると、一気に風邪の症状が出て気付くことになるみたいです。
更に上記研究によると、慢性ストレスは常にコルチゾールが出っ放しになってしまうので、体は慣れてしまい、結果、麻痺して免疫反応が起こらなくなってしまうそうな。
そのため、慢性ストレス者は常に免疫力が落ちた状態になり、風邪を含む様々なウイルスなどの感染症にかかりやすくなるみたい…。怖っ…。

今回は、風邪のウイルスの実験だったのですが、理屈から推測するにインフルエンザでもコロナウイルスでも同じことが言えると思います。
コロナワクチン接種対策としてストレス対策が重要と以前書きましたが、感染予防としても同様のことが言えそうですね~。



悪いストレスを良いストレス(成長)に変える方法

慢性ストレスの原因を取り除けるのであればそれに越したことはないのですが、そう簡単でないから皆悩むのでして…。そこで悪いストレスを良いストレス(成長)に変える方法としてアリア・クラムの3ステップをご紹介します。

アリア・クラムの3ステップとは、スタンフォード大学のアリア・クラム博士が考えた方法で、以下の3ステップを行います。

  1. ストレスを受け止める
  2. 自分の脅かされているものを感じる(大事なものに気付く)
  3. どんな対策がとれるか考え、行動する

というものです。
例を挙げると、残業をしなければいけない…!ってなった時、

  1. 残業によって自分がストレスを感じているな~と受け止める。
  2. 残業で、帰るのが遅くなり自分の時間が減る。睡眠時間が減る。お腹が減る。つまり、それだけ自分の時間を大切にして、睡眠に気を付け、食事を楽しんでいるんだと気付く。
  3. 残業は先延ばしと効率の悪い仕事の仕方が原因だったから先延ばし対策をしよう…!明日の朝からスキミングをしよう…!

と言った感じです。イメージできますかね~。



急性ストレスをゲットするにはどうすべきか…?

現在で皆さんが悩むもののほとんどが慢性ストレスです。ということで、当ブログでは、慢性ストレス対策を多くご紹介しておりますが、実は、以外と見過ごしがちなのが急性ストレスの摂取が少ないという問題です。
急性ストレスは、言葉の通り、短期的なストレスのことを言います。短期的なストレスは、交感神経を活発化させ、体を戦闘モードにします。戦闘モードになると、人は生存に必要な力である集中力や注意力をアップします。これにより体が元気になったり致します。
では、具体的に急性ストレスをゲットするにはどうすれば良いのでしょうか…?
ということで早速バーッと挙げていきますね。



などですね。
これらを出来るところから意識して変えていくと良い感じ。
慢性ストレスを減らし急性ストレスを取り入れていけば、心身ともに健康になりますし、ダイエットにもなります。
是非お試しください。



ストレスは溜まる…。ではリラックスは貯められるのか…?

ストレスの対極に位置するリラックスは貯められないのか…?についてですが、まず結論から申しますと、リラックスを貯めることは可能ということです。この辺については、熊野宏昭先生の「ストレスに負けない生活―心・身体・脳のセルフケア」が詳しくて、そもそも、リラックス(リラクゼーション)はストレス状態とは対極の状態であるそうです。そしてリラックスを普段から貯めている人は、ストレスが大きくかかった時にも血圧が上がりにくいんだそうな。
ストレスとリラックスの関係は睡眠負債同様、お金と同じように考えることが可能だそうで、

  • ストレス=借金
  • リラックス=貯金

のように捉えると分かりやすいみたい。
例えば、借金がたくさんある状態ってのは、何もしないでも利子がとられます。つまり、
ストレスがたくさん溜まっている状態では、何もしないでもストレスがちょっとずつ溜まってしまうんですよね。またちょっとした支出(ストレス)にも敏感になってしまいます。
対して、貯金がたくさんある状態ってのは、何もしないでも利息がもらえます。つまり、リラックスがたくさん貯まっている状態では、更なるリラックスを生み出しやすいってことですね。またいざ大きな支出があっても(ストレスがかかっても)、借金にならずに対処できます。まさにお金と一緒ですねー。

んで、現在はストレス社会なんで基本的に常に支出します。いわば、サブスク(サブスクリプション)状態や税金のように必ず一定額の支出を覚悟しなければなりません。そのため、意識して積極的にリラックスを貯蓄していかないとすぐに借金地獄に陥ってしまいます。

熊野先生によれば、1日10分のリラックス法を続けるだけでもリラックスは十分貯蓄できるとのことです。
最初は借金まみれ(ストレス過多)な人でも、少しずつリラックスという貯金をしていき、借金を返済していくことによって、いずれ完済、その後は貯金生活に入る事が出来るんだとか。
但し、貯金活動(リラックス法)を1,2ヶ月ぐらいやめちゃうと、また、貯金(リラックス)が減ってくるそうで、そうなると貯金が底を突き、借金地獄にまた戻ってしまうらしい…。
つまり、必要経費は常にかかる(ストレスは常に溜まる)から、日々、貯金をしよう(リラックスを貯めよう)ということです。リラックスの貯金の習慣化が大事…!ってことですね。そうすれば、突発的なストレスや新たなストレスにも問題なく対応できるようになります。



リラックスの貯金・ストレスの借金は「余裕」で判断すると良い…!

ストレス同様、リラックスも貯められるってのは非常にうれしい話ですし、このストレス=借金、リラックス=貯金の考え方は非常にわかりやすくて気に入っております。
因みに急性ストレスと慢性ストレスについては、

  • 急性ストレス=投資に似た状態。一旦貯金は減るがその後のテイクバックが大きい
  • 慢性ストレス=常に高利息で借金している状態。借金が借金を生む状態

と捉えると分かりやすいです。
こう考えると上記で紹介した慢性ストレスがある状態で急性ストレスがあるとまずいのも分かりやすいです。高利子で借金している状態で投資による更なる借金はダメージがデカいですからね。

また、リラックスを貯金するというのは、以前に出てきた心の貯金承認のバケツ(承認の貯金)と同じ意味だと私は考えております。例えば、心の貯金の貯金額は人によって違うことや少しずつ貯まっていくところ、承認のバケツに穴が空いていることがあったり注ぎ続けるのが大事であることなど、共通点が非常に多いんですよね。

そして私はそれらをまとめて分かりやすく「余裕」で判断します。余裕があればそれは、リラックスが貯金できている、心の貯金ができている、承認のバケツが貯まっていると捉え、余裕がなければストレスが溜まっている、心の貯金がない、承認のバケツが満たされていないと判断しております。

ということで、自他ともに常に余裕が持てているかをチェックしてもらい、リラックスの貯金額(借金の額)を把握しつつ、意識してリラックス法を実践していってもらえればと思います。



個人的考察

ストレスのことを知り避けずにしっかり向き合うと良い事が待っているので自分のストレス耐性に合わせた難易度設定をしてみてください。因みに私は急性ストレスを運動でゲットし、ストレス耐性の経験値を積みレベルアップできるように挑戦しています。
アリア・クラムの3ステップは自分でも気づかなかった大事なことに気づき、対策、成長できる方法なのでぜひ使っていただけたらと思います。
最後に冒頭でも書いた通り、合わせてコルチゾールについて知っておくと良い感じです。気になる方は下記からご覧ください。