アンブレラレビューを見てみよう! その9「血清尿酸値と健康リスク」
血清尿酸値と健康リスクの関係についてアンブレラレビューを行ってみた…!
2017年のエディンバラ大学の研究によると、血清尿酸値(血液中の尿酸の濃度)と健康リスクの関係についてアンブレラレビューを行ってみたそうです。
先行研究により、血清尿酸値は様々な健康リスクと関係ありそう…!って出ているものの、そのエビデンスがどこまで信頼できるのかイマイチ分かっていなかったんだとか。そこで今回そこん所をチェックすることにしたらしい。
ということでまず最初に2016年7月17日までに発表された該当する観察研究の系統的レビューとメタ分析、RCTのメタ分析、メンデルランダム化研究をMedline、Embase、コクランで検索してみたそうな。すると4,608件の研究がヒットしたとのこと。続いて重複している物や質の低い研究を除外していったそうで、最終的に101件の研究がピックアップされたんだとか。因みに内訳は、
- 系統的レビューとメタ分析:57件
- RCTのメタ分析:8件
- メンデルランダム化研究:36件
って感じ。
これらのデータを使ってアンブレラレビューを行ってみた結果、以下のことが分かったそうです。
- 血清尿酸値レベルと関連があると言われていた健康リスクのほとんどは観察研究のメタ分析からだった。しかしいずれも説得力のあるエビデンスではなかった。
- 観察研究のメタ分析については、心不全、高血圧、空腹時の血糖値の異常・糖尿病、慢性腎臓病、冠動脈疾患による死亡リスクは関係ありそうな感じだった。
- RCTのメタ分析によれば、血清尿酸値レベルの低下は心血管疾患と腎疾患にプラスの影響をもたらしそうな感じだった。しかし、効果や統計的な有意差は一致していないことが多かった。
- 観察研究のメタ分析では結果のほとんど(76%)が有意だったのにメンデルランダム化研究になるとほとんど(84%)が統計的に有意ではなかった。
なんだかパッとしない感じですね。
ちょっとポイントをまとめてみると、
- 血清尿酸値レベルと明確に関係ありそうなものは痛風リスクと腎結石リスクだけだった…!
- 高血圧と慢性腎臓病は、観察研究とCRTでは関係ありそうだけど、因果関係が分かるメンデルランダム化研究では検証されていなかった…!
となりましょう。
個人的考察
とりあえず健康診断なんかで血清尿酸値(血中尿酸値)レベルが書いてあり、高めだったら、痛風と腎結石だけ注意した方が良さげですね。