当ブログでは高タンパク質はダイエットに良いよーって話をたびたびご紹介しております。
では、なんでダイエットに良いのか…?ってことで、今回はそのメカニズムをまとめたレビュー論文を見てみます。



高タンパク質食(プロテインレバレッジ)におけるダイエット効果のメカニズム

2020年の済州大学校の研究によると、高タンパク質食(プロテインレバレッジ)におけるダイエット効果のメカニズムについてレビューしてみたそうです。
先行研究により高タンパク質な食事を摂取すると、低カロリー、標準カロリーに関わらず、体重や脂肪量(体脂肪)が減少し、また除脂肪量(筋肉量)が維持できると出ております。更に6〜12か月という長期研究でリバウンドも防止できると出ているんですよね。
一方で、健康な成人については、骨密度や腎機能(ブレナー仮説)に関して気にする必要はなさそうだとも出ております。つまり健康への悪影響なくダイエットが出来るんですな。
そんな高タンパク質食でなぜダイエットができるのかですが、そのメカニズムは様々な影響があるからとのこと。具体的には以下な感じ。

  • カロリー消費量の増加:食事によるカロリー消費量(食事誘発性熱産生:DIT)と安静時代謝率をアップさせるとカロリー消費量がアップする。そしてタンパク質は食事によるカロリー消費量に影響を与える。食事によるカロリー消費量は、脂肪の場合総カロリー摂取量の0%~3%、炭水化物の場合総カロリー摂取量の5%~10%、タンパク質の場合総カロリー摂取量の20%~30%の影響を与える。つまり三大栄養素の中で一番食事によるカロリー消費量に影響を与えるのがタンパク質である。またタンパク質は安静時代謝率の低下を防ぐ機能もある。更にタンパク質で食事によるカロリー消費量がアップすると満腹感もアップする。
  • 満腹ホルモンの増加:タンパク質は食欲抑制ホルモンである、GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)、コレシストキニン、チロシンを増やす働きがある。これらの増加に比例して満腹感も増加し空腹感は低下する。またタンパク質は食欲促進ホルモンであるグレリンを減らす働きがある。グレリンは空腹感をアップさせ食欲を誘発するがこれを抑えてくれる。
  • アミノスタティック仮説:1956年の研究によると、血中アミノ酸の上昇は満腹感を高め、空腹感を誘発する血中アミノ酸を低下させるという。これをアミノスタティック仮説と言う。但し最近支持を失っているとのこと。
  • 糖新生:1992年のコネチカット大学の研究によると、タンパク質合成後の余ったタンパク質(アミノ酸)で糖新生(タンパク質をブドウ糖に変える)が起きるとのこと。そして糖新生はカロリー消費量をアップさせる効果がある。また糖新生の結果としてのグルコースの増加からの肝臓のグリコーゲン合成がアップするが、これにより満腹感もアップする。
  • ケトン体:ケトン体はアセトン、アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸の総称のことで、脂肪分解で生成される。そして普通の食事と比較して高タンパク質食と低炭水化物食(糖質制限食)は空腹時の血中β-ヒドロキシ酪酸を上昇させる。このβ-ヒドロキシ酪酸の上昇は満腹感を直接的に高める。高タンパク質食は糖新生を増加させるが食欲には関係なくβ-ヒドロキシ酪酸の上昇により満腹感を高めるのがポイントだという話がある。一方で高タンパク質食は食欲を抑制するのではなく食欲の増加を防ぐだけだという話もある。つまり、高タンパク質+カロリー制限ダイエットと中タンパク質+標準カロリーのどちらも食欲は同じだが、高タンパク質だとカロリー摂取量が少なくても過剰な食欲を防ぐことができ、これが減量につながっている可能性がある。

ということでまとめると、

  • 高タンパク質食によるダイエット効果の根底にあるメカニズムは、満腹感の増加とカロリー消費量の増加である…!
  • 高タンパク質食による満腹感の増加は、食欲抑制ホルモンの増加、食欲促進ホルモンの減少、食事によるカロリー消費量の増加、血中アミノ酸の増加、糖新生の増加、ケトン体の増加のため…!
  • タンパク質は、脂肪や炭水化物よりも非常に高い食事によるカロリー消費量を持っており、これがカロリー消費量をアップさせている…!
  • 高タンパク質食は除脂肪量(筋肉量)の減少を防ぐことで安静時代謝率を維持している…!

となりましょう。
これだけの効果が重なっているなんて、やっぱタンパク質は素晴らしいですねー。



個人的考察

ダイエットをお考えの方は高タンパク質食から始めてみてはいかがでしょうか…?



参考文献