今回もオーストラリアで調べられた視覚障害と死亡リスクの研究を見てみます。



視覚障害と加齢による白内障における死亡リスクはどうなのか…?

2001年のシドニー大学の研究によると、視覚障害と加齢による白内障における死亡リスクについて調べてみたそうです。
先行研究により、視覚障害と死亡リスクの関係はなんとなくありそう…!って感じが出ておりますが、これらは白内障がポイントの可能性があるそうな。ということで今回研究者たちは、その辺がどうなのかチェックしてみることにしたらしい。
この研究は、ブルーマウンテンズ眼科研究と呼んだそうで、オーストラリアのシドニー西部の特定地域に住む49歳以上の方々を対象にした観察研究とのこと。実験開始は1992年~1994年にかけてでして、住民の参加率は82.4%にも及んだそうな。因みに実験は住民の視力検査をしつつ、眼疾患がないかを見たらしい。その後、1997年~1999年(5年後)まで追跡調査したんだとか。
期間中に死亡した方や地域を離れた人々を除いた後の参加率は87.9%でして、最終的なサンプル数は3,654人とのことでした。最後にデータを統計処理した結果、以下のことが分かったそうです。

  • 1999年6月30日までに604人の参加者(16.5%)が亡くなっていた。
  • 年齢と性別を調整した7年の累積生存率について、最大矯正の視覚障害のある人は74%だった。視覚障害のない人は84%だった。加齢に伴う白内障のある人は78%、ない人は86%だった。
  • 実験開始時、視覚障害のある人の死亡リスクは70%(RR1.7)も高かった。
  • 実験開始時、最大矯正の視覚障害のある人の死亡リスクは80%(RR1.8)も高かった。
  • つまり、視覚障害のある人はない人よりも、死亡リスクが70%~80%も高かった。
  • 実験開始時、核白内障のある人の死亡リスクは40%(RR1.4)も高かった。
  • 実験開始時、後嚢下白内障のある人の死亡リスクは40%(RR1.4)も高かった。
  • 実験開始時、皮質白内障のある人の死亡リスクは30%(RR1.3)も高かった。
  • つまり、加齢に伴う白内障のある人はない人よりも、死亡リスクが30%~40%も高かった。
  • 実験開始時、糖尿病網膜症のある人の死亡リスクは120%(RR2.2)も高かった。
  • 実験開始時、近視のある人の死亡リスクは40%(RR1.4)も高かった。
  • 加齢黄斑症と緑内障は関係なかった。
  • 全ての変数を調整後、視覚障害は死亡リスクを50%~70%も上げていた。
  • 全ての変数を調整後、加齢に伴う白内障は死亡リスクを30%~50%も上げていた。
  • 全ての変数を調整後、近視は死亡リスクを50%も上げていた。

この研究によれば、視覚障害も加齢による白内障も高齢者の死亡リスクを高める、つまり寿命を短くする原因っぽいですね。因みに研究者によれば、この研究はビーバーダム眼研究の研究結果を裏付け、拡張するものとのことです。



個人的考察

ということで今回の結果も視覚障がいは平均寿命を下げる要因になりそうという結果でした。



参考文献