前回の続きです。
今回は予告通り、もうちょい長い期間の研究を見ていきます。



3ヶ月間試しても肉を食べたら糖尿病リスクが低下した…!

2009年のルンド大学の研究によると、2型糖尿病の患者さんを対象に2つの食事法を試してもらい、血糖値のコントロールや心血管疾患リスクへの影響について調べてみたそうです。
この研究はRCT・クロスオーバー試験のパイロット研究となっておりまして、参加者はインスリン治療を受けていない2型糖尿病の患者さん13名(女性3名、男性10名、糖尿病歴平均9年)となっております。
まず参加者には以下の2種類の食事法のどちらかをランダムな順番で試してもらったそうです。

  1. パレオダイエット
  2. 糖尿病食

それぞれの食事法の詳細についてはこのようになっておりました。


パレオダイエット

パレオダイエットとは、旧石器時代におそらく普段から食べられていただろうと思われる食品をメインに食べる食事法のこと。
具体的には、


って感じとなっております。
また実際の実験では、以下の内容が推奨されたそう。

  • 卵:1日に2個まで
  • ナッツ類:優先的にクルミを食べてもらう
  • ドライフルーツ
  • じゃがいも:1日に中くらいのサイズのを1個まで
  • オリーブオイル:1日に大さじ1杯まで
  • ワイン:1日にグラス1杯まで

上記以外の部分に関しては特に制限を設けなかったそうで、例えば食事法・ダイエットに良くある、炭水化物・タンパク質・脂質の割合や動物性食品と植物性食品の割合なんかは気にしなかったそうです。
因みに2002年のエモリー大学の研究によると、パレオダイエットは人類の進化的根拠を基にした食生活なんでメリットがあるぞ…!とのことです。


糖尿病食

糖尿病食は2004年のオタゴ大学の研究を基にしたみたいで、ポイントとしてはこんな感じ。

  • 野菜や根菜類、食物繊維、全粒穀物、果物、ベリー類の摂取量を増やす。
  • 総脂肪量を減らしつつ不飽和脂肪を多くする。
  • カロリーの大半を炭水化物と食物繊維を多く含む自然食品から摂る。
  • 食塩は1日6g以下に抑えることを推奨。


実験期間は、最初の食事法を3ヶ月間実践し切り替えて、また3ヶ月間食事法を試すという感じとなっておりました。つまり3ヶ月間×2で参加者全員に両方の食事法を試してもらったってことですね。
合わせて研究者たちは、体重や腹囲、コレステロールC反応性タンパク、血圧、糖化ヘモグロビン(HbA1c)インスリン、カロリー摂取量(4日間の食事記録から評価)をしたそうです。
結果、パレオダイエットは糖尿病食よりも

  • HbA1cが-0.4%も低くなっていた…!
  • 脂肪酸が-0.4mmol/Lも低くなっていた…!
  • 拡張期血圧(下の血圧)が-4mmHgも低くなっていた…!
  • 体重が-3kgも落ちていた…!
  • BMIが-1kg/m^2も減っていた…!
  • 腹囲(ウエスト)が-4cmも落ちていた…!
  • 善玉コレステロールがより高い平均値(+0.08mmol/L)になっていた…!

とのこと。
また、パレオダイエットは糖尿病食に比べ、

  • 穀物と乳製品が少なかった
  • 果物や野菜、肉、卵が多かった
  • 総摂取カロリーが少なかった
  • カロリー密度が低かった
  • 炭水化物が少なかった
  • 食事による血糖値への負荷が低かった
  • 飽和脂肪酸が少なかった
  • カルシウムが少なかった
  • 不飽和脂肪酸が多かった
  • コレステロールが多かった
  • いくつかのビタミンが多かった

って特徴があったらしい。
更に、

  • パレオダイエットのGI値は50だった…!
  • 糖尿病食のGI値は、55だった…!

そうで、若干パレオダイエットの方がGI値が低かったそうです。
以上を踏まえると、パレオダイエットは糖尿病食よりも血糖コントロールや心血管疾患リスクの低下に役立つ…!ってことですね。言い換えれば、3ヶ月間試しても肉を食べたら糖尿病リスクが低下したと…。



個人的考察

これらをみると、肉=糖尿病の原因だから食べない方が良い…!って訳ではなさそうですね。
ではなぜ野菜有利の研究では肉なしだと良い結果が出たのか…?について次回考えていきたいと思います。



参考文献