今回は地中海式ダイエットがアルツハイマー病や軽度認知障害、認知症の予防に有効なのか調べた研究を見ていきます。



地中海式ダイエットの実践で認知障害リスク(軽度認知障害リスク・アルツハイマー病リスク)が33%も低くなる…!

2014年のメイヨークリニックの研究によると、地中海式ダイエットがアルツハイマー病や軽度認知障害、認知症の予防に有効なのか調べてみたそうです。
そもそも1993年のメイヨークリニックの研究なんかをみてみますと、軽度認知障害ってのは正常な老化による認知機能の低下から認知症になるまでの移行段階ってことでして、これが進んでしまうと認知症になってしまうんですよ。しかも2011年のメイヨークリニックの研究によれば、軽度認知障害の方は認知機能が正常な方に比べて、認知症発症リスクが10倍高い…!って言うんだから見過ごせません。なんで、如何にここで食い止めるかが大事なポイントとなっております。
そこで効果がありそうなものの一つとして挙がるのが地中海式ダイエットです。これまでの先行研究で良い感じの結果がいくつか出ていたんですよね。んがしかしまだはっきりと効果がある…!と言えなかったんで、今回、前向きコホート研究の系統的レビュー・メタ分析を用いて見てみることにしたんだとか。
まず研究者たちは、2012年11月までに発表された該当する先行研究をMEDLINEやEMBASE、PsycInfo、コクラン、Scopusで検索してみたそうな。またこれらのデータベースで検索する際に、ランダム化比較試験(RCT)か、少なくとも1年以上のコホート研究のみのものを選んで行ったらしい。更に過去5年間における主要組織の会議議事録を手作業で検索したり、専門家に質問して探したりもしたそうな。その結果、738件の研究が見つかったらしい。
続いてこの中から重複しているものや質の低い研究を除外していったそうで、最終的には5件の研究が基準を満たしていたそうです。この5件の研究は、アメリカが3件、オーストラリアが1件、フランスが1件って感じでした。また1件の研究を除き、全ての研究で参加者が65歳以上となっておりました。
因みに5件の研究のうち、2件の研究の合計サンプル数は3,636人で、3件の研究の合計サンプル数は3,901人だったみたい。また平均追跡期間は2.2年~8年の間とのことでした。
これらのデータを基にメタ分析を行い、系統的レビューとしてまとめてみたそうです。それでは結果を見てみますかー。
まずは大きな結論から申しますと、

  • 地中海式ダイエットを忠実に守っている人ほど、軽度認知障害とアルツハイマー病の発症リスクが低下していた…!

とのこと。
とりあえず大枠では地中海式ダイエットは脳機能低下やそれに伴う病気のリスクが低くなるみたいですね。
ではもうちょい詳しく見てみましょう。

  • 認知機能に問題ない人が地中海式ダイエットを行うと、軽度認知障害の発症リスクが27%も低かった…!
  • 認知機能に問題ない人が地中海式ダイエットを行うと、アルツハイマー病の発症リスクが36%も低かった…!
  • 地中海式ダイエットを最も忠実に守っていた人は、地中海式ダイエットから最も遠い食事をしていた人に比べて、認知障害リスク(軽度認知障害リスク・アルツハイマー病リスク)が33%も低かった…!

いや~地中海式ダイエットの実践で認知障害リスクが30%以上低くなるのは魅力的ですな。しかも今問題ない人も始めておいて損はないと…。



個人的考察

この前向きコホート研究の系統的レビュー・メタ分析は5件の研究をまとめたものなんでちょっと研究数は少ないですが、それでもある程度信用してよいのではないかと思います。



参考文献