今回は血圧の話でもしようかな~っと思いまして。
そもそも心臓はポンプのように縮んだり拡がったりを繰り返して、血液を体全体に送り込んでおります。んで、心臓が縮むと血管に圧が強くかかります。反対に心臓が拡がると血管の圧が小さくなります。
このように、

  • 心臓が縮んで血管に圧が強くかかる事を収縮期血圧(最大血圧)
  • 心臓が拡がり血管に圧が小さくかかる事を拡張期血圧(最低血圧)

と呼びます。
つまり心臓を基準に収縮期血圧と拡張期血圧と呼んでいるってことですな。
そして一般的に血圧がヤバいことを高血圧と呼んでおりまして、これは血管の弾力性が低くなっていることを指します。血管が固くなっており、柔軟性がなくなっている状態って感じでして、これがひどくなると血管がプッチンしちゃうってことですね。怖い…。
では、どれぐらいで高血圧なのかと言いますと、2019年の日本高血圧学会の高血圧治療ガイドラインによれば、

【収縮期血圧】
  • 130mmHg未満:問題なし…!
  • 131mmHg以上:黄色信号…!
  • 140mmHg以上:高血圧…!

【拡張期血圧】
  • 85mmHg未満:問題なし…!
  • 86mmHg以上:黄色信号…!
  • 90mmHg以上:高血圧…!

って感じ。
良く聞く、上140以上、下90以上でヤバい…!って話はここからきているんですな。
では、高血圧になった場合、どうやって正常な数値に戻すのか…?ってことで今回はそこん所をご紹介していきます。



高血圧対策にはこの6つが大事…!

2002年のアメリカ全国高血圧教育プログラム調整委員会の研究によると、高血圧の予防には何が良いのか調べてみたそうです。
この研究は、アメリカ全国高血圧教育プログラム(アメリカ国立衛生研究所によって設立)が1993年に高血圧の一次予防に関するレポートを発表したんですが、その更新をしたと言うもの。この中で、高血圧対策にはこの6つが大事だ…!って書かれているんですよね。
ということで早速その6つを見てみましょう…!

  1. 適度な運動を行う…!
  2. 適正体重を維持する(体重を減らす)…!
  3. アルコールの摂取量を減らす…!
  4. 塩分の摂取を控える…!
  5. カリウムをたくさん摂取する…!
  6. 果物野菜、低脂肪な乳製品が多く、飽和脂肪と総脂肪量が少ない食事をする…!

これらを実践することにより、血圧の上昇を防ぎ、高血圧な人の血圧上昇レベルを下げてくれるみたい。う~ん。納得のラインナップですな。



タンパク質の摂取量の増加は収縮期血圧と拡張期血圧の改善に効果的…!

1996年のノースウェスタン大学の研究によると、タンパク質と血圧の関係について調べてみたそうです。
この研究はINTERSALTっていう有名な国際研究のデータセットを用いたもので、これは世界32か国、52の施設から集められた20~59歳の男女10,020人を対象とした横断研究となっております。
このデータセットを用いて、参加者の24時間の尿サンプルから食事によるタンパク質の摂取と血圧の関係を測定してみたとのこと。
最後に年齢や性別、飲酒量、体重、尿サンプルのナトリウムやカリウム、カルシウム、マグネシウムといった変数を調整した結果、以下の傾向が見られたそうです。

  • 収縮期血圧と拡張期血圧の両方と24時間の尿サンプルに含まれる総窒素・尿素窒素(総タンパク質摂取量の指標)の間に、有意な逆相関関係があった…!
  • 総タンパク質摂取量が平均より30%高い人は、平均より30%低い人に比べて、収縮期血圧が平均3.0mmHg、拡張期血圧が2.5mmHgも低かった…!
  • 拡張期血圧の関係は、若者(20~39歳)と中高年(40~59歳)、男女の違いは関係なかった…!
  • 収縮期血圧の関係は、若者(20~39歳)よりも中高年(40~59歳)の方が大きく、また男性よりも女性の方が大きかった…!

いや~やっぱタンパク質を多くとるってのはメリットがあっていいですねー。



タンパク質を積極的に摂取すれば動物性・植物性を問わず有意に血圧を下げることが出来る…!

2012年のテュレーン大学の研究によると、タンパク質の摂取と血圧の関係についてRCTのメタ分析で調べてみたそうです。
そもそも高血圧は世界的に発症率が高く、心血管疾患リスクも同時に増えてしまうため、健康リスクを考える上で大きな課題となっております。
そして多くの観察研究では、タンパク質の摂取量と血圧には強い逆相関関係があることが示されているんですよね。但し、効果がないって研究もあって実際のところ、よく分かっていない感じでした。
そこで研究者たちは、成人におけるタンパク質の摂取量と収縮期血圧・拡張期血圧の関係をRCTのメタ分析で調べつつ、更に動物性タンパク質と植物性タンパク質の比較もしてみることにしたんだとか。
ということでまず1950年1月1日から2011年4月1日までに発表された、タンパク質と血圧のRCTをMEDLINE、EMBASE、Cochrane Library、Web of Scienceで検索してみたそうな。併せて、専門家への問い合わせ、関連するレビュー・系統的レビュー・メタ分析の参考文献も手動でチェックしたらしい。
すると1,701件もの研究が見つかったそうです。続いてこの中から、重複している研究や質の低い研究を除外したそうで、最終的には40件の研究が基準を満たしていたみたい。
この40件の研究の中には、44件の比較が行われていたそうで、内訳は、

  • タンパク質と炭水化物の比較:32件
  • 植物性タンパク質と動物性タンパク質の比較:12件

って感じだったらしい。
更に40件の研究の概要もチェックしておきましょう。

  • 総サンプル数:3,277人
  • サンプル幅:7人~352人(中央値61人)
  • 実験期間:1週間~1年間
  • スタート時の収縮期血圧(最大血圧):7件の研究は問題ない人を対象(120mmHg未満)、28件の研究は高血圧予備軍を対象(120~139mmHg)、4件の研究は高血圧の人を対象(140~159mmHg)
  • BMI:2件の研究は正常な人を対象(18.5~25未満)、16件の研究は過体重な人を対象(25~30未満)、18件の研究は肥満な人を対象(30以上)
  • 研究の国:世界13か国で日本の研究はなし(中国は1件あり)
  • タンパク質の摂取量:1日20~66g(中央値40g)
  • タンパク質の割合:12.6%~95%(中央値27%)

ざーっとみていくと、高血圧予備軍・高血圧の人、過体重や肥満の人を対象にした場合が多かったみたいですね。またタンパク質摂取量の幅は結構ありますが、1日の摂取量から見てみると、意外と少ないような印象を受けましたね
ではこれらのデータを用いてメタ分析にかけてみた結果を見てみましょう…!

  • 総タンパク質摂取量:炭水化物と比較すると総タンパク質摂取量を増やすと収縮期血圧が平均-1.76mmHg、拡張期血圧が平均-1.15mmHgも有意に変化していた…!
  • 植物性タンパク質:収縮期血圧が平均-2.27mmHg、拡張期血圧が平均-1.26mmHgも有意に変化していた…!
  • 動物性タンパク質:収縮期血圧が平均-2.54mmHg、拡張期血圧が平均-0.95mmHgも有意に変化していた…!
  • 植物性タンパク質と動物性タンパク質を比較したが、血圧低下に有意差はなかった…!

つまり、タンパク質を積極的に摂取すれば動物性・植物性を問わず有意に血圧を下げることが出来ると…。動物性も植物性も差がないので考えず高タンパク…!って行けるのは良いですね。
ということで高血圧にお悩みの方は、主治医に相談しつつ、炭水化物をタンパク質に置き換えてみてはいかがでしょうか…?



ドイツ栄養学会がタンパク質の摂取と血圧の関係についてアンブレラレビューしてみた…!

2024年のドイツ栄養学会の研究によると、タンパク質の摂取と血圧の関係についてアンブレラレビューで調べてみたそうです。
何でも研究者によれば、この時点では食事性タンパク質と血圧の関係のみに的を絞ったアンブレラレビューはなかったそうでこれが初とのこと。
では早速見ていきましょう。
まず研究者たちは、2007年5月から2022年10月までに発表された、タンパク質の摂取と血圧の関係の系統的レビューをPubMed、Embase、コクランで検索してみたそうな。3つのデータベースで検索した結果、合計6,850件の研究が見つかったとのこと。
続いてこの中で重複している物や無関係な物、質の低い研究なんかを除いたそうです。
最終的に残った研究は16件でして、これらの概要を見てみると、

  • RCTの系統的レビューの実験期間は1週間から2年の間だった。約10%は1週間から4週間で、約20%は最低1年だった
  • サンプル数は7人から419人までの範囲で、約10%は22人未満、約20%は100人超え、約10%は150人超えだった
  • 縦断研究の追跡期間は1.5年から11.3年の間だった
  • サンプル数は272人から80,426人までの範囲で、2件は1,000人未満、5件は1,361人から5,880人、1件は80,426人だった

みたい。
また、16件の研究のタンパク質についても見てみると、

  • 10件の系統的レビューは、総タンパク質をチェックしていた
  • 6件の系統的レビューは、動物性タンパク質をチェックしていた
  • 6件の系統的レビューは、植物性タンパク質をチェックしていた
  • 4件の系統的レビューは、動物性タンパク質と植物性タンパク質を比較していた

そうです。
これらのデータを用いて、食事から摂取する総タンパク質、動物性タンパク質、植物性タンパク質が血圧に与える影響を調べてみたんだとか。
その結果、

  • 総タンパク質:血圧は関係なかった…。
  • 動物性タンパク質:血圧は関係なかった…。
  • 植物性タンパク質:血圧は関係なかった…。
  • 動物性タンパク質と植物性タンパク質の比較:違いはなく血圧は関係なかった…。

とのこと。
あらま~残念な結果ですね…。
但し若干の希望も残っておりまして、というのも、

  • ホエイプロテインを扱った2件の系統的レビューでは血圧が減少していた…!

らしいんですよね。
なんで研究者も、

  • 総タンパク質、動物性タンパク質、植物性タンパク質の摂取と血圧との間に関係がなさそうだったけど、特定のタンパク質が血圧に影響を与える可能性がないとも言えないよねー

とおっしゃっておりました。
ということで、タンパク質が高血圧対策に効くかはこの研究により、あやしくなってきた感じ。但し、ホエイプロテインで血圧が下がったって話もあったり、そもそも系統的レビューの質が高い物が少ないって問題もありますんで、詳しくは今後の研究に期待って感じですね。



個人的考察

上記の研究を見て思ったのが、高血圧対策は基本的な物を抑えつつ、


を行うのが一番良さそうだな~と言うこと。
因みに私の2024年の健康診断結果によれば、

  • 収縮期血圧→117
  • 拡張期血圧→55

ってことなんで、今のところ血圧に関しては問題ない感じ。
もしかしたらこれも高タンパク質食のおかげなのかもと思いましたな。
なんかの記事も併せてお読みいただくとよろしいかと思います。



参考文献