3ヒット理論(スリーヒットセオリー)の話の続きです
前回は有名なクラグマン博士の3ヒット理論について見てきました。
しかしあれは1972年の研究でありまして、その後の研究でアップデートされた部分があるんですよね。
ってことで今回はそこん所を抑えておきましょう。



繰り返し見聞きする回数の効果を調べたメタ分析

2015年のドルトムント工科大学の研究によると、広告の繰り返しによる効果についてメタ分析を用いて調べてみたそうです。
そもそも広告を繰り返し見聞きすると効果的なのは分かっているんですが、繰り返す回数による効果の違いについてはよくわかっていなかったそうな。
んでここには大きく2つの意見がありまして、

  1. 1~3回繰り返せばOK。それ以上はほとんど意味はないんじゃないか…?
  2. 繰り返せば繰り返すほど良い。繰り返すこと自体が重要なんじゃないか…?

って感じなんですよ。
1~3回繰り返せばOK派は、クラグマン博士の1972年の研究やその後の追試によっても効果が見られたのが根拠です。
例えば、

  • 1971の研究によると、繰り返しの効果がピークに達したのは2回だった…!
  • 1996年の研究によると、1回の広告だけで十分に大きな気持ちの変化をもたらした…!

って感じですな。
それに対して、繰り返せば繰り返すほど良い派の主張は以下な感じです。

  • 1959年の研究によると、13回繰り返してみたが繰り返しが大量に行われたか、間隔をあけて行われたかに関係なく、広告メッセージを思い出すことが多くなり続けていた…!
  • 2005年の研究によると、5回繰り返してみたが依然として効果はアップし続けていた…!
  • 2002年の研究によると、10回又は25回繰り返してみたが依然として効果はアップし続けていた…!

いや~こんなんみていくと繰り返すことが良いのははっきりしますが何回がベストなのかわかんなくなっちゃいますね~。ということでこの辺をはっきりさせるべく、今回メタ分析をしてみることにしたらしい。
まず研究者たちは先行する研究をピックアップし、次にその中から質の高い研究を選んでいったそうです。最終的に基準を満たした研究は37件あったそうで、これらを用いてメタ分析をしてみたんだとか。
その結果は、

  • 約10回の繰り返しが最大の広告効果を発揮していた…!

とのこと。
なんと、3回ではなく10回がベストなんですね。因みに研究者によれば、繰り返しの効果は直線的に増加していき、8回目の繰り返しまでは横ばいにならなかったんだとか。つまり最低8回繰り返した方が良いみたいです。
それと、自然な感じで広告が目に入ったり、繰り返しの間隔が空くと、より効果的だったみたいなんで、webページに埋め込まれた広告や大量の広告は効果を高めるとのことでした。



その後の研究で10回以上の繰り返しでも効果がありそうだとなった…!

2018年のタンパ大学の研究によると、広告の繰り返し効果が購買意欲にどのような影響を及ぼすのか調べてみたそうです。
今まで見てきたとおり、先行研究で繰り返しの効果は立証されているものの、そのベスト回数についてはよく分からなかったので調べてみたそうなんですが、今回ポイントなのは、回数によって細かい効果が違うのではないか…?ってのを調べたこと。
んで、早速結果を見てみますと、

  • 今までの研究では広告を10回以上見ることは意味がないとなっていた。
  • しかし広告を10回以上見た人は9回以下の人よりも購入意欲が高まっていた…!

そうです。
10回以上でも効果があったんですねー。すごい…。
また、繰り返す回数と効果の違いも明らかになりまして、

  1. 広告を1~2回見た人:感情的な動機によって購入意欲がアップしていた…!
  2. 広告を3~10回見た人:認知的な要因によって購入意欲がアップしていた…!
  3. 広告を10回以上見た人:感情的な動機によってより強く購入意欲がアップしていた…!

みたいです。
つまり、繰り返す回数が少ないと、その場の感情(ノリや衝動)で買うし、ある程度の回数だと、ちゃんと考えた結果欲しいってなる、更にいっぱい同じ広告を見ると、やっぱ欲しい…!って感情が動きやすくなるってことですな。
確かに言われてみれば、繰り返す回数によって変わりそうですよね。



個人的考察

最後にまとめておきますと、

  • 繰り返し言ったり、見聞きした方が良いのは間違いない
  • 最低3回は繰り返しておきたいが、繰り返せるなら何回でも繰り返した方が良い
  • 繰り返す内容は自然な感じで相手に入っていくようにすると良い
  • 十分な時間、広告(キーワード・メッセージ)が表示されるようにすると良い
  • 繰り返しの間隔を空けると良い

って感じです。
これは支援でもプレゼンでも使えるテクニックなんで是非覚えておきたいですな。



参考文献