毎月恒例の月1社内研修が令和2年10月15日にありましたので、例によって例の如く、内容を備忘録としてブログに残しておきます。

因みに過去の月1社内研修は下記となります。気になる方はご覧ください。




認知行動療法の基礎と展開 第6回目「新世代の認知行動療法」

今回の月1社内研修では第6回目「新世代の認知行動療法」を皆で視聴しました。
下記動画ですね。因みに講義資料はこちらからダウンロードできます




今回も1.5倍速で視聴しております。



しせつちょうのメモ帳

いつも通り、今回の講義内容のポイントを私なりにまとめておきます(タイトル回収)
参考程度にどうぞ。

  • 認知行動療法に於いて、第一世代=古い、第三世代=新しいではなく、重なって広がっていくイメージ(下記画像参照)


  • 第三世代の認知行動療法は認知も行動とみなした。また、認知の内容よりもプロセスに注目するようになった。
  • 弁証法的行動療法(DBT)は禅と行動療法が合わさったものであり、境界性パーソナリティ障害を持つ人に有効な治療法。1987年のマーシャ・リネハンの研究にて発表されている。この方法で1年間しっかり治療を行うとかなり良くなる。
  • 境界性パーソナリティ障害は周囲を振り回しやすく、非常に治療が難しい障がい。境界性パーソナリティ障害に限らずパーソナリティ障害は治療が進まないことが多い(なかなか良くならない)特に境界性パーソナリティ障害は何をしてもダメという考えもあるくらい大変。
  • マインドフルネスストレス低減法(MBSR)と認知療法が合わさったのがマインドフルネス認知療法(MBCT)
  • マインドフルネス認知療法は再発性のうつ病(大うつ病)に効果がある(再発が減る)
  • 一度うつ病の診断基準を満たすと再発率が60%、2回うつ病になると再発率が70%、3回うつ病になると再発率が90%と言われている。再発を防げるかが治療の課題。うつ病は半分以上は脳の病気。そのため、薬物療法の効果が高い。
  • うつ病患者に認知療法を使用すると再発が非常に少なくなる。一人1回50分×15回しなければいけなく効率が悪い。そこで8週間のグループ療法としてマインドフルネス認知療法が役立つ。
  • マインドフルネスストレス低減法(MBSR)はテーラワーダ仏教(原始仏教)に由来する瞑想法をジョン・カバットジン博士がプログラム化したもの(詳しくは名著「マインドフルネスストレス低減法」を参照)ヨガと組み合わせて8週間のプログラムを組んだ。特に慢性疼痛(原因不明の慢性的な体の痛みのこと。慢性的な頭痛、腰痛から線維筋痛症もこれに該当する)に使われた。
  • テーラワーダ仏教(原始仏教)とはブッダの教えを忠実に守ろうとした仏教。
  • 禅を始めたのはボーディダルマで、ボーディダルマはテーラワーダ仏教(原始仏教)の僧侶だったと言われている。
  • 認知療法的な認知行動療法では、認知の歪みの残存はうつ病再発の原因ではなかった。認知的反応性が深く関わっていた。
  • 認知的反応性とは、自動思考(悲観的な思考)から反芻思考(ネガティブループのこと。その気分や思考を何とかしようとして考え続けてしまうこと)が起きてしまう事。
  • 自動思考の影響を受けず、反芻思考に陥らないための代表的な方法がマインドフルネス。脱中心化≒メタ認知的気づき(客観視。巻き込まれない視点のこと)が重要。
  • 行動療法的な認知行動療法では、第二世代の認知行動療法から行動療法の考え方に後退して、再度考え直し、言語行動に着目した。
  • 言語行動とは複数の刺激を関連づけ、その刺激の機能を変える行動=関係フレームづけと定義された。分かりやすい例は物に名前を付ける行動。
  • 言語行動のメリットは学習が早い事。デメリットは病的な物の学習も早い事。結果、体験の回避(嫌悪的状況や心理的事象を回避する事。回避するほど強くなる)がでてくる。この体験の回避がトラウマ(PTSD)や精神病につながっていく。
  • 関係フレームづけが広がっていくことによって、ルール支配行動(自分で考えたこと(ルール)に支配されること)が強くなっていく。そうなると、反応強化子随伴性(結果が良ければ行動が増えること)が弱くなる。結果、認知的フュージョン(自分の考えと現実がごちゃごちゃになり、区別がつかなくなる現象。現実よりも自分の考えが極端になってしまう)が起こる。
  • 代表的な技法はアクセプタンス(思考の傍観)・脱フュージョン行動活性化療法(BA)など。
  • マインドフルネスとは、今の瞬間の現実に常に気づきを向け、その現実をあるがままに知覚し、それに対する思考や感情には囚われないでいる心の持ち方、存在のありようのこと。
  • マインドフルネスとリラクゼーションの違いは下記画像参照。縦軸がマインドフルネス、横軸がリラクゼーション。


  • うつ病の人に多い、不安で何も行動ができないパターンはアクセプタンスが有効。うつ病の人は、もっと良くなったら行動できるというがそれはいつになってもこないため、行動ができない。だから、アクセプタンスにより不安でもそれはそれとして行動するのが大事。



次回の講義資料・全講義資料

次回の講義資料のダウンロードページは下記となります。


全講義資料のダウンロードページは下記となります。


講義資料まで用意してくれているなんて熊野先生に感謝です…!



個人的考察

いよいよ第三世代ですね~。当ブログでちょこちょこ書いていた内容が少しずつ出てきていますんで、気になる方は各リンクからご覧ください。
それと、最後の方に熊野先生が話していた「うつ病の人はもっと良くなったら行動すると言うがいつまでもそれはこない」って例は、支援で良く見かけるシーンかと思います。そしてそこにアクセプタンス(マインドフルネス)が使えますんで、今後の講義の内容を覚え、是非、支援で活用していってください。


今回のポイントをまとめつつ、足りない部分を加筆したものが下記になります。合わせてご覧ください。




参考文献

https://psycnet.apa.org/record/1990-10352-001