ポケモンGO(位置情報ゲーム)の研究を見てみよう!その24「天候や環境を踏まえた場合ポケモンGOと身体活動の関係はどうなのか?」
余談ですが、先日Sensor Towerから発表された2023年の位置情報ゲームの人気ランキングによると、日本でのランキングは、
- 1位:ドラゴンクエストウォーク
- 2位:ポケモンGO
- 3位:Monster Hunter Now
とのこと。やっぱドラクエ人気っすな。
因みに同時期のアメリカと韓国の1位はどちらもポケモンGOだったらしく、やはり世界でみると、人気なのはポケモンGOなんですね。まぁ、研究もポケモンGOを使ったものばかりですし…。
因みに同時期のアメリカと韓国の1位はどちらもポケモンGOだったらしく、やはり世界でみると、人気なのはポケモンGOなんですね。まぁ、研究もポケモンGOを使ったものばかりですし…。
ということで以上余談でした…!
アジア地域で天候や環境を踏まえたポケモンGOと身体活動の関係を調べてみた…!
2018年の香港中文大学の研究によると、ポケモンGOと身体活動の関係について調べてみたそうです。
…っとこう書くと、これまでも似たような研究をたくさん見てきたじゃん…!ってつい思っちゃうかもしれませんが、これまで考慮されなかった2つの問題を今回踏まえているとのこと。
一つ目の問題は、ポケモンGOを行う天候や環境を踏まえていないという問題です。
例えば、2016年の南オーストラリア大学の研究や2007年のウェスタンオンタリオ大学の系統的レビュー、2017年のイースト・アングリア大学の研究によると、雨や雪などの悪天候や台風やハリケーンなどの異常気象は運動をする妨げになる可能性があるって分かっていたりするんですよね。また環境に関しても、2002年のテキサス大学オースティン校の研究や2015年のジェームズクック大学の研究、2009年のワシントン大学の研究を見ると、どうやら住んでいる町の環境で運動を行う頻度が変わるみたいなんですな。ポケモンGO(位置情報ゲーム)はGPSとARを使って現実に外に出てゲームを行うのが基本なんで、この2つを考慮しないと身体活動の関係が見えてこないって感じです。
二つ目の問題は、ほとんどの研究が西洋で行われているものばっかりで、アジアでのポケモンGOと身体活動の関係性を調べた研究が少ないという問題です。
以前から書いている通り、ポケモンGOは世界中で人気を博し、ユーザーがおります。
そして2011年の国際連合の世界人口調査によれば、アジアには世界人口の約60%の人が住んでいるってことなんですよね。ともなれば、当然ポケモンGOプレイヤーも数多くいるでしょう。にもかかわらずアジアの地域の人々と運動の関係を調べた研究は全然ないから実際どうなのか分からないよねって感じです。
この2つの問題を踏まえて調べてみたんだとか。
この研究は香港でポケモンGOがリリースされた前後1ヶ月間ぐらいで行われたもので、参加者は210人(うち女性は71人(33.8%))のポケモンGOプレイヤーとなっております。年齢は13歳~65歳までの方々で、もちろん香港居住の方です。
まず研究者たちは、参加者全員に性別や年齢、年収、学歴、BMIといったものに答えるアンケートを実施したそうな。続いて、ポケモンGOを実際に行ってもらったらしい。
その後、ポケモンGOのインストール前14日間とインストール後21日間の運動データをスクショで送ってもらったとのこと。因みに運動データはヘルスアプリを使ったそうで、毎日のウォーキングとランニングの距離を記録してもらったんだとか(今回の参加者は全員iPhone5s又はiPhone6を使用)
最後に集まったデータから、
- アンケートに回答しなかった人
- iPhone5s又はiPhone6じゃない人
- 運動データを送ってくれなかった人
- ポケモンGOのレベルが不十分だった人(レベル5に到達しなかった人)
を除外したそうです。
これでポケモンGOとそれに伴う運動データがそろった感じですな。
次に天候や環境のデータについてです。
天候については、研究者が香港の天文台から実験期間中の降水量や日照時間、平均気温、平均風速などのデータを収集したそうな。
環境については、研究者が香港にある典型的な5つの環境カテゴリーを作り、それに当てはめたそうです。その5つの環境カテゴリーがこちら。
- オフィスエリア:行政機関(市役所とか)や会社が入るビルが並ぶオフィス街。
- 複合エリア:色々混ざっている場所。
- 緑地エリア:ちょっとした遊び場や休憩エリア、公園や運動場がある場所。
- 住宅エリア:住宅街。
- 商業エリア:スーパーやレンタルショップなどお店がたくさんある場所。
それでは、アジア地域で天候や環境を踏まえたポケモンGOと身体活動の関係の結果を見てみましょう。
まずはインストール前14日間~インストール後21日間までの1日の平均移動距離をグラフで見てみます。
縦軸が1日の平均移動距離で、横軸が日にちですね。因みに上記グラフの5~8日目までの移動距離が少ない理由は悪天候とのこと。なんでもこの時香港に台風が来ていたんだとか。
ポケモンGOを始める前は1日平均5.30km移動しているのに対し、ポケモンGOを始めた後は1日平均6.26km移動していますね。つまり、ポケモンGOにより約1km(0.96km)、歩数にすると約1,200歩増えたみたい。18.1%の増加は大きいですな~。
ポケモンGOを始める前は1日平均5.30km移動しているのに対し、ポケモンGOを始めた後は1日平均6.26km移動していますね。つまり、ポケモンGOにより約1km(0.96km)、歩数にすると約1,200歩増えたみたい。18.1%の増加は大きいですな~。
但し注意点もありまして、ご覧の通り、日数が経つにつれだんだん移動距離が減っていっているんですよ。その結果、24日間プレイした後にはすっかり元通りになってしまっております。やはり先行研究同様、ポケモンGOのような位置情報ゲームは運動するきっかけには使えますが、継続はまた別問題みたいですね。
次に天候(降水量や日照時間、平均気温、平均風速など)と移動距離(運動)の関係ですが、結果、有意に関係していたそうです。具体的には、
- 日照時間が長い(明るい時間が長い)と運動時間が増える…!
- 降水量が高いと運動時間が減る…!
- 平均気温が低いと運動時間が減る…!
- 平均風速が高いと運動時間が減る…!
って感じ。
どうやら明るい時間が長く天気が良くて過ごしやすい気温、風がないとポケモンGOをして運動をするようになるみたいですな。言われてみれば当たり前ですが、これをちゃんと研究して証明してくれるのはありがたいですね~。
因みに歩行距離に関してはBMIに問題ない人の方が長くなる傾向があったらしい。以前の研究で普段動かない人ほどポケモンGOの運動効果は高い…!ってのが出ていましたけど、実際よく動くようになる人は普通体型の人なんですね。これも言われてみればそうですよね。
最後に環境と運動の関係についても見ておきましょう。
これは、
- 緑地エリア(ちょっとした遊び場や休憩エリア、公園や運動場がある場所)でポケモンGOをプレイすると、1日の移動距離がアップした…!
ってことなんで、街中や住宅街でやるよりもやっぱり公園とかでやる方が良いみたいです。
個人的考察
余談ですがこの論文の著者は冒頭で以下のようなことを述べております。
- 私は、ポケモンGOプレイヤーとして5大陸(アジア、アフリカ、ヨーロッパ、北アメリカ、南アメリカ)を制覇し、合計1,526kmも歩いた。これにより、私の身体活動は大幅に増加した。
…。
いや~論文の冒頭で自分の自慢から入るってのが、なんとも斬新な書き出しだな~と思いました(笑)。それにしてもめっちゃポケモンGOにハマってんじゃん…。
また個人的に気になったのが、こういった研究の参加者へのお礼ってほとんどがお金や大学の単位なのに、
- 参加者には、実験終了した感謝の印としてポケモングッズをプレゼントした
って書かれているんですよ(笑)
一体何がもらえたんだろう…。