障がい者支援について考える その3「利用開始・利用終了の流れ」
軽く復習
これまでの流れを軽く復習しておくと
まず事業所の強みとして
- 「楽しさから仕事へ」を長期的に支援していける
- 就労移行支援がなく就労継続支援B型のみのサービスの為、周りをみて焦ることなく安心して通いやすい
- 広めな受け皿として利用開始のハードルが低い
と言ったことを挙げました。
次にフォーカスをもう少し広げて、じゃあ、そもそも障害福祉サービスってどんなのがあって、就労継続支援B型は全体からみてどの位置取りなの…?流れは…?ってことで、
- 障がい者・障がい児童それぞれの使えるサービスは色々ある。一覧をみて確認すると良い
- 学校や相談支援事業所、病院など様々なところから就労継続支援B型を利用しにくる
- ステップアップとして、就労継続支援B型→就労移行支援→一般企業という流れになる
となります。
更に、
- 人生の4分の1を作る・サポートする
のにやりがいがあるよ~って話をしたり、支援での方向性を決める際のシンプルルールとして、
- 「その人(その障がい者)にとって良い人生を歩んでいるかどうか」を基準に支援方法や方向性を最終的に決めるといい
といったことを行いました。
全体の流れから事業所の位置取り、役割、事業所の強み、やりがいや支援の方向性を決めるシンプルルールなど基本を押さえてきている感じです。
さて、そこで今回は、じゃあ、実際、就労継続支援B型を利用開始するにはどうすればいいの…?終了のときはどんな流れなの…?っていう出入り口について学んでいきたいと思います。
利用開始の流れ
利用開始までの流れを押さえたいとき、分かりやすいのが「相談支援の現状と課題」の中にある「指定特定相談支援事業者(計画作成担当)と障害福祉サービス事業者の関係」です(下記画像参照)
相談支援事業者というところが相談支援事業所となります。また、サービス事業者が就労継続支援B型の事業所となります。
上記の画像を参考にざっくり説明しますと、
- 就労継続支援B型の事業所を利用したい…!ってなった
- 相談支援事業所に行き、事業所を利用したい人と相談支援事業所の相談員が話し合い「サービス等利用計画案」っていうものを作る。これはどんなサービスを利用してこういう計画で進んでいきたいんです~って内容が書いた用紙。
- 「サービス等利用計画案」ができたら区役所や市役所、役場に持っていき提出。行政機関がこの計画でOKだよ…!って支給決定をする
- そうすると晴れて「案」がとれて、「サービス等利用計画」になる。その後、どのサービスがどの期間使えるのか書いた「障害福祉サービス受給者証」ってのがもらえる
- 「障害福祉サービス受給者証」をもって就労継続支援B型の事業所に行き、契約をすると利用開始
って流れになります。その時、就労継続支援B型でも「個別支援計画」ってのをサービス管理責任者と一緒に作ります。「個別支援計画」とは就労継続支援B型をどのような目標でどう利用していくかを計画した用紙となります。あとは、適宜、各書類の見直しや更新手続きなんかをしていきます。
一応「サービス等利用計画」を相談員に作ってもらわず、自分で作る方法(いわゆるセルフプラン)もあるのですが、基本的にオススメできず、国も、なるべく相談支援事業所の相談員に作ってもらってね~って言っています。
次に前半の方、主に相談支援事業所と作る「サービス等利用計画」の作成についてですが、こちらは、先程紹介した「相談支援の現状と課題」の中にある「支給決定プロセスについて」がより詳しくて分かりやすいです(下記画像参照)
って感じになります。
基本的に上部の文章は無視してOK。分かりやすいのが下の矢印の図です。こちらの流れで進む形となっております。一つ説明しておくと、「障害支援区分」とは必要とされる支援の度合いのこと。「非該当」「区分1」「区分2」「区分3」「区分4」「区分5」「区分6」の全7段階からなり、「非該当」が一番支援の度合いが低く、「区分1」「区分2」と上がっていくにつれ支援の度合いが高くなります。つまり、一番支援の度合いが高いのが「区分6」ってことになりますね。
因みにこの障害支援区分は先程紹介した「障害福祉サービス受給者証」に記載欄があります。また、障害支援区分は就労移行支援や就労継続支援B型を利用する際は特に気にしなくて良いのですが、例えば障がい者用のグループホームを利用する場合は「区分2」以上じゃないと利用できないんでサービスによっては注意が必要だったり。
次に後半の方、就労移行支援や就労継続支援B型のサービス管理責任者と作る「個別支援計画」の作成についてですが、こちらは「計画作成とサービス提供のプロセス」の中にある「サービス提供のプロセス」がより詳しくて分かりやすいです(下記画像参照)
なんだかごちゃごちゃしていますが、ざっくり説明しますと、
- 最初にアセスメント(その人の情報の聞き取りなど)を行う
- その話の中で目標や利用の目的など聞き、個別支援計画を作成
- 本人に確認してもらい、加筆・修正
- 個別支援計画が完成し、計画に沿って利用する
- 就労移行支援だと最低3ヶ月に1回、就労継続支援B型だと最低6ヶ月に1回見直しを行う。その時、モニタリング(聞き取り)をする
- 会議などを行い、個別支援計画を更新
- 本人に確認してもらい、加筆・修正
- 個別支援計画が完成し、計画に沿って利用する
って感じになります。
全てをまとめると、
- サービス等利用計画を一緒に作る
- 支給決定が下りて障害福祉サービス受給者証をゲット…!
- 就労継続支援B型の利用を開始…!
- 個別支援計画を一緒に作る
- 計画に則って利用していく…!
- 適宜、見直し・更新していく
となります。
実際こういう手続きってなかなか難しいんで、分からないときは区役所や市役所、役場、相談支援事業所、就労移行支援や就労継続支援B型などの就労支援事業所に電話で聞いてみると良いと思います。
利用終了の流れ
開始であれだけ大変な感じなのか…。じゃあ、終了はもっと大変なんじゃ…。って思った方は多いかと思いますが、実は利用終了はとてもあっさりです。正直5分で終わっちゃう手続きだったり。
利用終了のときは「障害福祉サービス受給者証」に利用を終了した旨の記載と判子を押すだけなんです。一応具体的項目を記載しておくと、障害福祉サービス受給者証の「生活介護・自立訓練・就労移行支援・就労継続支援事業者記入欄」の
- 当該契約支給量によるサービス提供終了日→利用終了日を記入する(例:令和2年9月4日)
- サービス提供終了月中の終了日までの既提供量→利用終了日の月の利用合計日数を記入する(例:9月4日に利用終了、9月1日、2日、4日に利用していれば、「3日」と記入する)
- 事業者確認印→事業所の判子を押す
といった感じ。
どうですかね…?意外とあっさりな感じですよね~。
個人的考察
こんなところで今回の研修は終わっております。いかがでしょうか…?
因みに研修の最後の質問で見学からの利用の流れを知りたいってのがでていましたんで、ざっくり書いておきます。
大まかに2パターンあり、一つ目が直接見学者が就労移行支援や就労継続支援B型などの就労支援事業所に見学に来て、利用するパターン。この場合の流れは、
- 就労移行支援や就労継続支援B型などの就労支援事業所を見学する
- 必要に応じて体験する
- 利用したい事業所を決める
- 相談支援事業所に行き、サービス等利用計画を作ってもらう
- 就労支援事業所の利用を開始…!
ってパターン。もう一つのパターンが行政機関や委託を受けている総合窓口(相談支援事業所など)に行き、相談して気になる事業所を見学して利用するパターン。この場合の流れは、
- 行政機関(区役所・市役所・役場)や委託を受けている総合窓口(相談支援事業所など)に行く
- 相談して気になる就労移行支援や就労継続支援B型などの就労支援事業所を見学する
- 必要に応じて体験する
- 場合によってはいくつか見学、体験をする
- 利用したい事業所を決める
- サービス等利用計画を作ってもらう
- 就労支援事業所の利用を開始…!
って流れです。
因みに当事業所では必ず体験を行ってもらいます。複雑な手続きを行いようやく利用開始となるため、入ってすぐにこんなはずじゃなかった…!ってなるのを防止するためです。これはお互いにとって大事で、利用希望者は本当にここでいいのか、事業所側は安全に利用・支援できるのか確認するためにも必要だと思っております。
一応最後に次回予告を。
じゃあ流れも分かったし、強みも分かった…!これで説明もできるぜ…!あ、でも、どうやって利用希望者は事業所の存在を知るの…?きっかけは…?ってことについてやっていこうと思います。