毎月恒例の月1社内研修が令和2年9月16日にありましたので、例によって例の如く、内容を備忘録としてブログに残しておきます。
因みに過去の月1社内研修は下記となります。気になる方はご覧ください。




認知行動療法の基礎と展開 第5回目「情報処理理論と認知療法」

今回の月1社内研修では第5回目「情報処理理論と認知療法」を皆で視聴しました。
下記動画ですね。因みに講義資料はこちらからダウンロードできます




今回も1.5倍速で視聴しております。



しせつちょうのメモ帳

いつも通り、今回の講義内容のポイントを私なりにまとめておきます(タイトル回収)
参考程度にどうぞ。

  • レスポンデント学習やオペラント学習のような行動というのは周囲とのかかわりによって生じたり維持されたりする。つまり従属変数。
  • しかし人間は動物と違い、予期、期待、信念などによって行動を自発する。
  • そのため認知の内容や頻度を変えることが目的になった(独立変数)結果、認知行動療法が登場。
  • 行動療法と認知療法はどっちが優れている、悪いということではない。
  • 認知療法のABC分析では反応強化子随伴性(結果が良ければ行動が増えること)が考慮されない。なぜなら、「自分って駄目だよな~」と考え、「落ち込む」という結果がある時、「落ち込む」という悪い結果がでるなら「自分って駄目だよな~」という思考が減るはずだが、実際は減らないため。そのため機能分析は行わない(機能分析ではない)。
  • 代表的技法は「認知再構成法」。しかし効果を疑問視する声もある。
  • 認知行動療法の特徴は行動が変わらなくても考え方(認知)が変われば治療効果があるとみなした。しかし認知は行動に影響を与えているので認知が変われば当然行動は変わると考えた。
  • 認知行動療法は行動と認知の両者を治療効果の評価の対象とした。
  • 認知療法はアーロン・T・ベックによって考案された。うつ病の心理療法として1970年代にうつ病のマニュアル(日本語翻訳の書籍は「うつ病の認知療法」)が出版され注目を浴びた。このマニュアルに沿って治療研究が行われ薬物療法と同じ治療効果が得られた。
  • その後RCT(ランダム化比較試験)によってパニック障害や摂食障害にも効果があることが分かった。
  • RCTは二重盲検だと更に信頼性がアップ。
  • 公的環境と私的環境については皮膚をその境界とし、皮膚の内側を認知療法でカバー、皮膚の外側を行動療法でカバーすることとした。
  • 認知療法は認知モデルに基づく。認知モデルとは、人の感情や行動が、その人の出来事に対する理解の仕方によって(決定的に)影響を受ける、という仮説。人の感じ方は解釈の仕方で決定する。
  • 認知療法の第一の特徴は自動思考に注目したこと。自動思考とはある場面でふっと浮かび、状況から離れると消えていく評価的な思考のこと。感情や行動も影響を受ける。この感情や行動が後に残るので、何故か今日イライラするなど起こる。
  • 認知療法はこの自動思考に気付き、変えることができれば感情や行動を変化させることができる、だから自動思考に気付いて変えていこうというのが基本的な考え方(しかし後に自動思考は変えられないことが研究で分かる。それを踏まえた治療法がメタ認知療法
  • 認知療法のABC分析→A活性化する出来事、B思考パターン=自動思考、C結果となる。更に中核信念から媒介信念となり自動思考となる(下記画像参照)


  • 認知療法は診断は何かを重視する(行動療法はしない)そのため医学モデルと相性がいい。
  • 代表的技法(1)週間活動スケジュール表→セルフモニタリングを行い、認知と事実の活動量の違いを客観視できるようにする。行動のセルフモニタリング機能もある(例:レコーディングダイエットなど)
  • 代表的技法(2)思考記録表→自動思考をとらえるためのセルフモニタリングシート(厚生省の提供シートはこちら)答えは会話として自問自答で「」で書くと良い。自問自答をしていくことによって極端な考え方から離れ、柔軟な考え方ができるようになる。考え方がいくつもできるようになるのがポイント。
  • 代表的技法(3)下向き矢印法→自動思考の意味を尋ねることで、信念を引き出す方法。
  • 認知行動療法は各診断に対してのマニュアルを使うと効果はあったが実際は合併症(うつ病+パニック障害など)がほとんどでどのマニュアルを使っていいか困った。



次回の講義資料・全講義資料

次回の講義資料のダウンロードページは下記となります。


全講義資料のダウンロードページは下記となります。


講義資料まで用意してくれているなんて熊野先生に感謝です…!



個人的考察

これで第二世代の認知行動療法は終了ですね~。次回からおよそ半年かけて第三世代の認知行動療法に入っていきます。個人的にもここからおすすめしている部分に入っていくんで楽しみです…!


今回のポイントをまとめつつ、足りない部分を加筆したものが下記になります。合わせてご覧ください。




参考文献

https://www.youtube.com/watch?v=KtjXj8jnKu8&t
http://hikumano.umin.ac.jp/hosei/CBT5.pdf
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%99%E3%83%83%E3%82%AF
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/kokoro/dl/03.pdf
http://hikumano.umin.ac.jp/hosei/CBT6.pdf
http://hikumano.umin.ac.jp/cbt_kougi.html