以前ビッグファイブについてご紹介しました。一応軽く復習しておくとビッグファイブ(ビッグファイブモデル・ビッグ5モデルともいう)とは最も科学的に信頼できる性格診断です。もし、行ってみたい方は下記から無料でできます。


んで、上記で挙げた記事には、それぞれのビッグファイブの特徴について書いていなかったんですよね~。そのため、5つの性格特性についてまとめておこうかと思います。



ビッグファイブにおける5つの性格特性

ビッグファイブを深掘りしていく上で、参考にしていくのがverywell mindの記事になります。この記事にはビッグファイブの要点が端的にまとめられていて非常に良い感じなんですよね。
まずビッグファイブについてですが、これは文字通り性格特性を5つに分類したものでして、その5つとは、

  1. 外向性→社交的か、活動的か、目立ちたいか、報酬の反応度が高いか…?
  2. 神経症傾向・神経症的傾向・情緒安定性→不安や緊張を感じやすいか…?
  3. 誠実性→まじめか…?コツコツやるのが得意か…?
  4. 協調性・調和性→他人と上手くやっていけるか、他人にやさしいか…?
  5. 開放性→知的好奇心が高いか…?

となっております。
5つの特徴を知り、自分が高いか低いかをチェックすることで、自分を深く知ることが出来るんですよね。



性格特性の歴史

そもそも性格特性の始まりは1936年のゴードン・オールポートの研究だと言われておりまして、英語の辞書から性格特性にまつわる単語を4,000以上リストアップし、それを3つのレベルに分類したところから始まります。


続いて登場するのがレイモンド・キャッテルです。キャッテルは4,000以上の性格特性単語の絞り込みを行った人で、特殊な特性を排除し共通した性格をまとめるという作業をしました。結果、性格特性を171にまで減らします。更にキャッテルは大規模な研究を行い、最終的には171あった性格特性を16の性格特性まで絞り込んだんですよね。
その16個はこんな感じとなっております。

  1. 抽象性:想像力と実践性
  2. 不安:心配と自信
  3. 支配:力強いかと従順か
  4. 感情の安定性:穏やかと緊張
  5. 活発さ:自発性と抑制性
  6. 臨機応変さ:柔軟性と慣れ親しんだものへの執着
  7. 完璧主義:統制されたものと規律のないもの
  8. プライベート性:控えめとオープン
  9. 推論:抽象的と具体的
  10. ルール意識:適合と不適合
  11. 自立:自立と依存
  12. 感受性:優しい心とタフな心
  13. 社交的な大胆さ:抑制されないと内気
  14. 緊張:パニックとリラックス
  15. 警戒:疑いと信頼
  16. 暖かさ:外向的と控えめ

なんだかちょっと複雑ですね~。


一方、ハンス・アイゼンクは性格特性をたった3つに絞るという提案をします。
その3つとは、

  1. 外向性
  2. 神経症傾向
  3. 精神異常症

って感じです。
こちらは逆にあっさりしすぎやしませんか…?って思いますな。


んで、やっぱり他の人も同じ感想を持ったらしく、2つの性格特性をみた多くの研究者は、

  • キャッテルの理論は複雑すぎ…!
  • アイゼンクの理論は範囲が限定的すぎ…!

ってなったそうです(笑)


その結果、登場するのがビッグファイブになります。
ビッグファイブのスタートは1949年の研究から始まり、1967年の研究や別の1967年の研究1981年の研究1987年の研究とバージョンアップされエビデンスが蓄積されてきたそうです。そして、最も科学的に信頼できる性格診断となっていったみたいです。
但し、ビッグファイブも完璧な性格特性ではありません。例えば、外向性で考えてみると、現実世界では、ほとんどの人は極端な外向型でもなく、かといって極端な内向型でもありませんし分けるのも難しいです。大体は中間あたりのどこか(つまり両向型)となっております。
また、ビッグファイブの性格特性を裏付ける研究はたくさ~んあるそうなんですが、研究者によって微妙に5つの性格特性の捉え方が違う場合もあるらしいんですよね。
但しそれでも、使い勝手や正確さなどから、性格特性をチェックするならビッグファイブだ…!となっているのが現状です。



外向性ってなに…?

2015年のクイーン・メアリー大学の研究によると、外向性とは以下の特徴的な性格特性を持つ人たちのことを言うそうです。

  • 興奮の度合い(情熱的か・冷静か)
  • 社交の度合い(人と接するのが好き・人見知り)
  • おしゃべりの度合い(話し好き・無口)
  • 自己主張の度合い(思ったことを言う・思っても言わない)
  • 感情表現の度合い(喜怒哀楽が激しい・喜怒哀楽が少ない)

外向性の高い人は社交的であり、人と接する事でよりエネルギッシュになる傾向があります。また皆と一緒にいることで、他者のエネルギーを感じたり、興奮を感じたりもするんだとか。
それに対して、外向性の低い人は内向的な人であり、控えめな印象があります。人と接するエネルギーが少ないので、どうしても皆と一緒にいたり、何かをすると激しく体力を消耗しちゃうんですよね。そんで激しく消耗したエネルギーをどう充電するかですが、なるべく一人で静かな時間を過ごすことなんだとか。
では最後に外向性が高い場合と低い場合の特徴をまとめておきましょう。


外向性が高い(=外向型)


  • 注目を浴びるのが好き
  • いろんな人と話をするのが好き
  • 新しい出会いを積極的に求める
  • 幅広い交友関係がある
  • 新しい友達を作るのに苦労しない
  • 他人といると元気になる
  • 考える前に話す


外向性が低い(=内向型)


  • 注目を浴びるのが苦手
  • 一人でいるのが好き
  • 大勢の人との交流は苦手
  • 会話を始めるのが苦手
  • 世間話や雑談が嫌い
  • じっくり考えてから話し始める


ということで外向性についてでした。
因みに私はバリバリの内向型…!と思いきや調べてみるとどうやら両向型らしい…。
また外向性については、


で分かるって話もあるので、自分で確かめてみたり、相手との話の中で当てはまるか見てみると面白かったりしますよー。



神経症傾向(神経症的傾向・情緒安定性)ってなに…?

2015年のクイーン・メアリー大学の研究によると、神経症傾向(神経症的傾向・情緒安定性)とは以下の特徴的な性格特性を持つ人たちのことを言うそうです。

  • 悲しみの度合い(落ち込みやすい・落ち込みづらい)
  • 不安・緊張の度合い(動揺しやすい・冷静)
  • イライラの度合い(不機嫌になりやすい・温厚)
  • 感情の波の度合い(不安定・安定)

神経症傾向が高い人は、気分の波が高く、不安感があり、気になりやすく、悲しみやすいといった傾向があります。
逆に神経症傾向が低い人は、気分が安定しており、感情的に立ち直るスピードが速い(=レジリエンスが高い)傾向にあるそうな。
んで、神経症傾向が高い場合と低い場合の特徴をまとめると以下な感じとのこと。


神経症傾向が高い(=神経症的傾向が高い・情緒安定性が低い)


  • ストレスをたくさん抱えやすい
  • すぐにパニックになる
  • 気分の波にさらわれることが多い
  • 心配事や不安が多い
  • ネガティブから立ち直るのに苦労する


神経症傾向が低い(=神経症的傾向が低い・情緒安定性が高い)


  • ストレス対処が上手
  • 精神的に安定している
  • ネガティブになることが少ない
  • 心配事や不安が少ない
  • リラックス状態が多い


ということで神経症傾向についてでした。
神経症傾向が高い人は、低い人に憧れますが、実は神経症傾向が高いということをリフレーミングして活かしていくととても大きな武器になるんで、そう捨てたもんじゃございません。なんで長所として活かす方法を実践できるよう練習していくと良いですよー。



誠実性ってなに…?

2015年のクイーン・メアリー大学の研究によると、誠実性とは以下の特徴的な性格特性を持つ人たちのことを言うそうです。

  • まじめ度(きちんとしている・だらしない)
  • 思慮深さの度合い(洞察力や集中力が高い・注意力が散漫で衝動的)
  • セルフコントロールの度合い(忍耐力が高い・すぐ投げ出す)
  • 計画性と目標達成への行動の度合い(目標に向かってコツコツ努力できる・無計画)

誠実性が高い人は、頭の中も行動も組織的であり、細部にまで気を配る傾向があります。また、事前に計画を立てて、自分の行動が他者に対してどんな影響を及ぼすのか計算し、期限を設定して守れるよう意識します。
それに対して、誠実性が低い人は、頭の中や行動が構造化されておらず、統一的な感じがありません。期限を先延ばしにし、時にはバックれてしまうこともあるんだとか。
そんな誠実性が高い場合と低い場合の特徴をまとめるとこのような感じになるそうです。


誠実性が高い


  • 計画作成や準備に時間を費やすことが多い
  • 重要なタスクをすぐに終わらせる
  • 細部にまで気を配ることが出来る
  • 計画通りにコツコツ進めるのが好き


誠実性が低い


  • 構造作りや計画作成が嫌い
  • 散らかして物を大事にしない
  • 物を返さない、または元の場所に戻さない
  • 重要なタスクを先延ばししがち
  • 必要なタスク又は自分がやるべきタスクをやりきれない


ということで誠実性についてでした。
当ブログで何度も記事にしていますが、誠実性は人生のイージーモードへの足掛かりなんで、こいつを高められるかは結構ポイントであったりします。
読むのがメンドイ…!てっとり早くどうすれば良いの…?っていう人は、とりあえず毎日運動すれば良いと思います(HIIT系がオススメ)



協調性(調和性)ってなに…?

2015年のクイーン・メアリー大学の研究によると、協調性(調和性)とは以下の特徴的な性格特性を持つ人たちのことを言うそうです。

  • 信頼の度合い(人望がある・信用できない)
  • 親切の度合い(人助けが好き・自己中)
  • 優しさ(心が広い・他人のあら探しが好きで批判的)
  • 愛情(思いやりがある・冷淡)
  • その他の向社会的行動

協調性が高い人は協力的であり、共感力が高いという傾向があります。
一方で、協調性が低い人は競争心が強く、共感力が低い傾向にあります。また空気が読めない事や時には操作的になる傾向もあるそうな。更にサイコパス性が高かったりします。
ということで協調性が高い場合と低い場合の特徴をまとめると、以下のようになります。


協調性が高い(=調和性が高い)


  • 他者への興味が高い
  • 気遣いが上手
  • 他者からの共感と気遣いをすぐ察知する
  • 他者を手助けし、幸せに貢献できたことに喜びを感じる
  • 助けが必要な人は迷わず助ける


協調性が低い(=調和性が低い)


  • 他者への興味がない
  • 他者がどう思うか気にしない
  • 他者の問題に興味がない
  • 他者を侮辱したり軽蔑したりする
  • 他者を操作してでも自分の欲しいものを手に入れる


ということで協調性についてでした。
協調性が高い人はいわゆるギバーなんで、ボトムギバーにならんよう注意が必要です。また、協調性が低い場合、ダークトライアドの要素、特にサイコパスな部分が高くなる傾向がありますんでこちらも押さえておくとよろしいかと思います。


開放性ってなに…?

2015年のクイーン・メアリー大学の研究によると、開放性とは以下の特徴的な性格特性を持つ人たちのことを言うそうです。

  • 創造力・想像力の度合い(アイディアマンでクリエイティブである・ない)
  • 興味・関心の範囲(広い・狭い)
  • 好奇心の度合い(高い・低い)
  • 新しいことへの学び・経験の度合い(チャレンジ精神が高い・形式的な物が好き)

開放性が高い人は、より冒険的でクリエイティブになる傾向があります。そのため、芸術的な物が好きで、抽象的に捉えることを得意としているそうな。
反対に、開放性が低い人は、新しいことが苦手で、伝統的であることを好む傾向があります。そのため、抽象的な思考が苦手な可能性もあります。
こんな感じの開放性が高い場合と低い場合の特徴をまとめておきましょう。


開放性が高い


  • クリエイティブ性が高い
  • 新しいことに挑戦することが好き
  • 新たな課題へ力を注ぐのが好き
  • 抽象的について考えるのが好き


開放性が低い


  • 変化が嫌い
  • 新しいことが苦手
  • 新しいアイディアが苦手
  • 想像力・創造力が豊かではない
  • 抽象的または理論的な考えが苦手


ということで開放性についてでした。
開放性も誠実性と同じく、勉強や仕事で非常に求められることが多く、上げていくことをおすすめしたい性格特性となっております。但し、開放性が低い場合は既存の方法を堅実に守っていく良いスキルにもなり得るのが難しい所。
やはりこの辺はバランスも大事だと思いますね(特に会社とかグループでやるときとか)



ビッグファイブの特徴のまとめ

ここまでのビッグファイブの特徴をまとめておきます。


因みに冒頭で紹介したビッグファイブを調べるサイトでは更に自己ギャップという項目があります。一応説明しておくと、思っている自分と実際の自分のズレ(自信を持ちやすいか・劣等感を感じやすいか)って内容なんですが、こちらはオマケ的な内容なんであまり気にしなくてもよろしいかと思います(エビデンス低めなため)



ビッグファイブの性格特性の活かし方

ビッグファイブの5つの性格特性(外向性、神経症傾向、誠実性、協調性、開放性)が、どのようなものか分かり、そして自分がそれぞれ高いか低いかも分かったかと思います。
次はこの5つの性格特性の高さ、低さからメリットとして活かすべき性格とデメリットとして対策すべき性格との2つに振り分けていきます。


メリットとして活かすべき性格

メリットとして活かすべき性格とは、例えば、自分自身がより良い人間になったり、人生で直面する問題を解決しやすくなったりするような性格のことを言います。
具体的には以下のような性格特性となります。

  • 適応力がある
  • 意欲的である
  • 思いやりがある
  • 協力的である
  • フレンドリーである
  • 礼儀正しい
  • 謙虚である
  • 洞察力が優れている
  • 客観的である
  • 楽観的である
  • 他人をリスペクトしている
  • 安定している
  • 綿密である
  • 多才である


デメリットとして対策すべき性格

デメリットとして対策すべき性格とは、例えば、自分の人生の邪魔をしたり、他人との関係を悪化させるような性格のことを言います。但し難しいのが、これらの性格特性は自己成長につながることもあるんですよ。何でかといいますと、他人を頼らず(頼れず)自分でどうにかしなければいけない場面が多くなりますからね。
では、具体的な性格特性を見ていきましょう。

  • 攻撃的である
  • 傲慢である
  • そっけない
  • ごまかすのが得意
  • 自己中
  • 用心深い
  • 心が狭い
  • 批判的である
  • 気難しい
  • 怠け者である
  • エラそう
  • わがまま
  • 信頼できない
  • 引っ込み思案


メリットとして活かすべき性格は、まず自分自身の強み・メリットだと認識するのが第一歩です。その上で、より高めていくようにすると無駄な努力を避けられます。
そしてデメリットとして対策すべき性格は、まず嫌でみたくないところだからこそ受け入れる(認める)のが第一歩となります。その上で、基本的にはリフレーミングをして長所として活かしていくのが良い感じです。



大まかな性格特性は万国共通

これまでビッグファイブから性格特性を色々見てきましたが、そもそもビッグファイブは万国共通で使えるのでしょうか…?つまり、地域や人種、国籍なんかで変わるのか…?ってことですね。
この辺については大規模な調査が過去にされておりまして、2005年にアメリカ国立老化研究所が調べております。
この研究は、日本を含む50の異なる文化を持つ大学生又は社会人の男女を対象にしたもので、総サンプル数は11,985名となっております。んで、参加者全員にビッグファイブテストを行い、性格特性の精度についてチェックしてみたそうな。
結果、

  • ビッグファイブの性格特性は驚くほど普遍的であった…!

とのこと。
どうやらビッグファイブの性格特性を説明する5つ(外向性、神経症傾向、誠実性、協調性、開放性)のカテゴリー分けは、万国共通で正確だったみたいですね。



性格特性と遺伝の関係

更に性格特性と遺伝の関係も見ておきましょう。
1996年のブリティッシュコロンビア大学の研究によると、ビッグファイブと遺伝の関係を双子を使って調べてみたそうです。
以前にも書きましたが、このような研究では、遺伝の影響か環境の影響かを区別するために双子(特に一卵性双生児)を対象に調べることが多くあります。生まれた後すぐに別々の家庭で育った双子(特に一卵性双生児)を対象にすると、遺伝子は全く一緒、またはかなり近いのに、育った環境は全く違うって状況になりますんで。
んで、この研究では123組の一卵性双生児と127組の二卵性双生児を対象に調査が行われたそうで、全員にビッグファイブテストを行ってもらったそうな。
結果、ビッグファイブの5つの性格特性の遺伝率は、

  • 外向性:53%…!
  • 神経症傾向:41%…!
  • 誠実性:44%…!
  • 協調性:41%…!
  • 開放性:61%…!

だったそうです。
つまり、性格は、生まれつきである程度までは決まっているとも言えますし、育ちの環境や努力によっても変わる…!ってことですね。

更に性格と遺伝の関係に興味がある方は、


をご覧いただくとよろしいかと思います。



ビッグファイブと脳の構造には関係があるのか…?

2010年のミネソタ大学の研究によると、ビッグファイブの性格特徴って脳の構造と関係あるの…?ってことを調べてみたそうです。
なんでも研究者たちは、ビッグファイブの各性格特徴と様々な脳領域の体積との関係性について仮説を考えてみたんだとか。ではまずその仮説ってのをみていきましょうか。


外向性・神経症傾向

ビッグファイブのうち、外向性・神経症傾向の2つの特徴は最も理解されているそうです。報酬の感受性と脅威・罰の感受性に対する反応がかなりはっきりでると先行研究でも明らかになっているんだとか。


外向性の仮説

外向性は報酬の感受性と深い関係があります
外向性の主な特徴は自己主張や社交性、会話などであり、報酬に対する反応のアプローチに関係しているみたい。このように外向性は社会的行動に現れることが多いんですがこれは人間の報酬の多くが社会的所属や地位に関係しているからとのこと。
以上から外向性は、側坐核、扁桃体、眼窩前頭皮質(腹内側前頭前野)など、報酬の感受性の脳部位が関係しているという仮説を立てたそう。


神経症傾向の仮説

神経症傾向はネガティブな感情と深い関係があります
神経症傾向の主な特徴は不安や自意識、繊細さなどであり、脅威や罰に対する反応のアプローチに関係しているみたい。
以上から神経症傾向は、扁桃体、前帯状皮質・中帯状皮質、内側前頭前野、海馬など、脅威・罰の感受性の脳部位が関係しているという仮説を立てたそう。


協調性の仮説

協調性は利他的な感情と深い関係があります
協調性の主な特徴は他人とのかかわり、欲望、権利などであり、外向性の他人と楽しむのとは真逆とのこと。
また協調性の良い側面としては、協力や思いやり、礼儀正しさといった向社会的な特徴があります。逆に協調性のダークな側面としては、冷淡や攻撃性といった反社会的な特徴があるそうです。このように協調性は共感や心を含む他人の感情や意図、精神状態を理解する力が関係しているんだとか。
以上から協調性は、上側頭溝(側頭葉)、側頭頭頂結合部、後帯状皮質などの脳部位が関係しているという仮説を立てたそう。


誠実性の仮説

誠実性はセルフコントロールと深い関係があります
誠実性の主な特徴はルールの遵守、目標達成の為の衝動・抑制のコントロールなどであり、学業や職業の成功、健康や長寿を促進する行動に関係しているとのこと。
また誠実性の良い側面としては、まじめさ、秩序の正しさ、自己規律性といった特徴があります。逆に誠実性のダークな側面としては、衝動的、注意力の散漫、無秩序といった特徴があるそうです。
誠実性は前頭前野の機能と関係している可能性が高く、前頭前野は複雑なルールや計画を作り、それに従うという人間の能力の多くを担っていると考えられています。また衝動性は、背外側前頭前野腹外側前頭前野の両方に関係があるとされています。
以上から誠実性は、外側前頭前野の脳部位が関係しているという仮説を立てたそう。


開放性の仮説

開放性は、想像力や知的好奇心と深い関係があります
開放性の主な特徴は、抽象的で知覚的な情報を柔軟且つ効果的に処理する能力であり、高いほど情報処理能力の幅も広がって意識の幅や深さ、透明性が増えるそうな。
このように開放性はワーキングメモリや抽象的な推論、注意の制御に関係しているとのこと。
以上から開放性は、背外側前頭前野、前頭極、頭頂葉の脳部位が関係しているという仮説を立てたそう。


ではこの仮説が正しいかどうかチェックした研究を見ていきます。
この研究は、ワシントン大学とその周辺地域から参加者を募ったそうで18~40歳の健康な男女116名(女性58名、男性58名、平均年齢22.9歳)が参加したそうな。因みに追加参加者として女性1名も加わったらしい。
んで流れは結構あっさりしておりまして、

  1. 年齢や性別に対する脳の体積を調整後MRIでスキャン
  2. ビッグファイブを行う
  3. 結果を照らし合わせる…!

って感じ。
その結果は、

  • ビッグファイブの5つの性格特徴のうち4つは仮説を裏付ける結果となった…!
  • 具体的には外向性、神経症傾向、協調性、誠実性が仮説通りだった(開放性だけ違った)

とのこと。
つまり、ビッグファイブの性格特徴ってのは、脳科学でも裏付けられた…!ってことですね。すごい…。



ビッグファイブが合っているのか調べてみた…!

2001年のウェイクフォレスト大学の研究によると、ビッグファイブが合っているのか調べてみたそうです。
この研究は2~3週間の日常生活の行動を分布図にしてビッグファイブと当てはめてみたと言うもの。
その結果以下のことが分かったんだとか。

  • 個人内でのばらつきは大きかったが、日常行動において、定期的かつ日常的にビッグファイブの5つの特性が出ていた…!
  • 分布図にしてみると個人差はほぼ完全に安定していた…!
  • 行動のばらつきは、個人差の範囲だった…!
  • 外向性の個人のばらつき量は、外向性に関係する状況によって変わっていた…!

つまり、個人差はあれどビッグファイブの5つの性格特性は大体当てはまる…!ってことですね。



ビッグファイブの各特性が行動に与える影響について過去データをまとめたりメタ分析してみた…!

2009年のウェイクフォレスト大学の研究によると、ビッグファイブの各特性が行動に与える影響について調べてみたそうです。
まず研究者たちは過去に行われた15件のビッグファイブ研究を掘り返してみたそうな。これらはいずれもウェイクフォレスト大学の大学生の男女を対象にしたものでして、必要基準を満たしていない大学生を除外すると、各研究の参加者数は平均33人(範囲12~63人)だったとのこと。
各研究の実験の流れは大体同じ感じでして、

  1. 参加者全員に標準的なビッグファイブテストを行う
  2. 1~2週間、1日に数回自分の行動を報告する

って感じ。
自分の行動の報告をもうちょい深掘りすると、

  • 20~60分前はどのような行動をしていたかをまとめる(大体1~2分で完成)
  • 2~4時間ごとに行う(例:12時、15時、18時、21時、24時)

って感じだったそうです。
その後、集められたデータを精査しまとめてみたんだとか。
この15件の研究の総サンプル数は495人でして報告データは21,871件(各参加者の平均は44.18件)にも上ったとのこと。
更にビッグファイブの各性格特性のサンプルは以下な感じだったそうな。

  1. 外向性:15件の研究で評価、総サンプル数495人、報告データ21,798件、平均報告データ44.04件。
  2. 協調性:12件の研究で評価、総サンプル数399人、報告データ15,388件、平均報告データ38.57件。
  3. 誠実性:14件の研究で評価、総サンプル数474人、報告データ20,922件、平均報告データ44.14件。
  4. 神経症傾向:12件の研究で評価、総サンプル数386人、報告データ17,827件、平均報告データ46.18件。
  5. 開放性:10件の研究で評価、総サンプル数311人、報告データ12,544件、平均報告データ40.33件。

因みにこれらの研究は8年間にわたって実施されたそうです。なかなか良い感じですな。
では結果を見てみましょう。

  • 各参加者のビッグファイブのスコアとランダムに選択された報告データ1つを比べてみると相関関係があった。これを10回やってみたけど、全て有意な相関関係があった。
  • 但し、相関の大きさは全て従来の基準である0.40を下回っていた。ランダムに選択された瞬間における行動とビッグファイブはそれほど関係していないように見える。
  • 外向性の相関関係が0.18、開放性の相関関係が0.37まで変化していた。性格特性のうち3つは0.30を超える相関関係を持っていた。つまり単一の状態を予測する場合の典型的な相関関係がかなり高い可能性がある。

まずその瞬間瞬間の行動を切り取ってビッグファイブの性格特性と照らし合わせると関係はありそうだけど、小さい可能性もあるし、特性によっては強そうな感じもあるってことですね。微妙ですな~。
続いて、もうちょい大枠で捉えた場合の結果です。

  • ビッグファイブの全ての性格特性の相関関係が0.40を超えていた…!
  • そのうちの1つは0.56に達していた…!
  • 中央値との相関関係は0.41~0.55の範囲で、ほぼ同じくらい高かった…!

つまり大枠で捉えてみると、かなり性格特性により行動が予測できる…!ってことですね。やっぱビッグファイブってすげー。
更にこの研究ではメタ分析も行っておりまして、その結果も見てみますと、

  • 上記の結果と非常に似ている結果になった…!

とのこと。
性格特性と行動が関係あるかの基準である0.30や0.40を余裕で超えていたみたいで、平均レベルの相関関係は0.42~0.56の間、より質の高い研究だと0.60に近づいていたらしい。性格診断でここまで予測できるのはすごいですな~。
これらの結果から研究者曰く、

  • ビッグファイブは、実際の状況で個人がどのように行動するかのスケールとして、説得力のある有効性を示している。この予測は、人々の実際の行動に現れる特性の重要な説明の裏付けとして十分強力である

としています。
ビッグファイブの精度は高いよーっと言ってくれていますね。



個人的考察

ビッグファイブはゲームでいうところの今の自分のステータス画面になります(攻撃力とか防御力が分かる画面みたいな感じ)。そしてある程度は遺伝で決まってしまうところも残念ながらあります。
但し、遺伝だからもうだめだと諦めるのは早計でして、ビッグファイブは努力によってある程度高めることができるようなんですよ(低くもなってしまう)
具体的には、


あたりを参照するとよろしいかと思います。
また、ビッグファイブの各項目は高くても低くてもそれぞれ良さがありますんでリフレーミングして活かしていくのが得策です。
最後に、ビッグファイブは何年かに一度行うなど定期的に調べることをオススメします。先程挙げたように努力によって日々結果は変わりますので…。



参考文献