認知行動療法の基礎と展開「第7回目 マインドフルネス認知療法」
- 第8回月1社内研修「第1回目 オリエンテーション」
- 第9回月1社内研修「第2回目 認知行動療法の多様性」
- 第10回月1社内研修「第3回目 レスポンデント学習と行動療法」
- 第11回月1社内研修「第4回目 オペラント学習と行動療法」
- 第12回月1社内研修「第5回目 情報処理理論と認知療法」
- 第13回月1社内研修「第6回目 新世代の認知行動療法」
認知行動療法の基礎と展開 第7回目「マインドフルネス認知療法」
今回の月1社内研修では「マインドフルネス認知療法」の動画を1.5倍速で視聴しました。
講義資料はこちらからダウンロードできます。
しせつちょうのメモ帳
今回の講義内容のポイントを私なりにまとめておきます。
参考程度にどうぞ。
参考程度にどうぞ。
- 認知療法的な認知行動療法にはメタ認知療法(MCT)や、マインドフルネス認知療法(MBCT)などがある。
- マインドフルネスとは、今の瞬間の現実に常に気づきを向け、その現実をあるがままに知覚し、それに対する思考や感情には囚われないでいる心の持ち方、存在のありようのこと。
- マインドフルネスのルーツは約2600年前にブッダが提唱したテーラワーダ仏教(原始仏教)となる。
- 「身受心法(しんじゅしんほう):お経の名前」というお経はマインドフルネス瞑想の進め方の解説となっている。呼吸を4つの領域から16の視点で見つめるトレーニングシステム(呼吸瞑想)を提供しているマニュアルである。
- 4つの領域とは身体、感受、心、法則性。
- 身体=呼吸に伴う身体の感覚に注意を向ける、その時に考えている事、感じている事、思い出している事、身体で感じている事、それらを感じ取ってそのままにしておく=アクセプタンス
- 身体表現性障害(身体の異常がないのに様々な身体の異常があるように思えてしまう病気。自律神経失調症に多い)の人は身体の症状にこだわってしまうことが多い。対策は「身体は自分でコントロールできるので身体のことは身体に任せる」こと。
- 感受=感覚とその直後の動きを合わせた言葉。
- 「見るものは見ただけで、聞くものは聞いただけで、 感じたものは感じただけ、考えたことは考えただけでとどまりなさい。そのときあなたは、外にはいない。 内にもいない。外にも、内にもいないあなたはどちらにもいない。それは一切の苦しみの終わりである」=感受で止めようって話。
- 「見るものは見ただけで、聞くものは聞いただけで、 感じたものは感じただけ、考えたことは考えただけでとどまりなさい。」=見た瞬間、感じた瞬間、考えた瞬間(自動思考が働いた瞬間)、つまり、六根(ろっこん:五感+自動思考)を感じ取り、そこでとどまる、何も考えず傍観する(そこから考えすぎたりするので反芻思考などに陥る)ただ、気付き、傍観(客観視)する。人は普段見ただけで、感じただけで、考えてしまう(楽・苦・捨を思ってしまう)=マインドフルネスの裏返し状態が起こる。
- 「そのときあなたは、外にはいない。 内にもいない。外にも、内にもいないあなたはどちらにもいない。それは一切の苦しみの終わりである」=外(勝手な思い込みをしない、バイアスにとらわれない)も内(嫉妬をしない)も考えない。そうすると苦しまずにすむ。その為の方法がラベリング(その状況に名前(ラベル)をつける)。
- 心=思考が感受で止まらないと貪瞋痴(とんじんち)がでてくる(貪=欲、瞋=怒り、痴=混乱)。これに気付き、観察、そっと呼吸に戻るのがポイント。貪瞋痴が広がらないようにするにはラベリングが有効。
- 法則性=気づきは途切れるので呼吸、感受、心の法則性を観察する。
- 智慧とは法則性を深く理解する事であり、法則性には無常(常に変化していく事)、苦(常に変化している物を頼りにしてしまうので満足できない事)、無我(常に変化している物はコントロールできない事)がある。
- 無常(常に変化していく事)はネガティブなことではなく、ポジティブなことでもある。例:成長していける、ずっと苦しみや痛みが続かない、嫌なことは永遠に続かないなど。
- サマタ瞑想とは、今、ここに注意を向けて(注意の持続)、注意が途切れたらそれに気づきそっと注意を戻すこと(注意の転換)を繰り返す瞑想のこと。オウム真理教はこのサマタ瞑想を集中的に行わせ、快感を味わわせ、その体験を引き起こせるのがグルだと勘違いさせ、依存させていた。あやしい新興宗教やカルト宗教で瞑想をさせることが多いのもこれが主な理由。
- サマタ瞑想がある程度できるようになったらヴィパッサナー瞑想へ進む。
- ヴィパッサナー瞑想とは、自分の心を実況中継していく瞑想のこと。心の動き全てに同時に気を配る(注意の分割をする)瞑想のこと。
- 注意の分割とは、何かを考えるには心のキャパシティが必要。その心のキャパシティを使っておけば、考えるためのキャパシティが残らないので思考(自動思考)がでてこなくなる。また、反芻を維持するためのキャパシティも足りなくなる。集中力にシングルタスクが重要なのは注意の分割を防ぐため。逆に計算問題を解くと不安(ネガティブ)が消えるのは注意の分割を意図的に行っているため。
- マインドフルネス認知療法(MBCT)とはマインドフルネス瞑想を練習していく治療法のこと。当初注意の訓練を認知療法に取り入れたが、それだけでは足りなかった。理由はシロクマのリバウンド効果が起こってしまうため。そこで思考や感情を変えようとせず、気づいたままにしておくマインドフルネス・アプローチを十分に機能させるようにした。8週間のプログラム内容は3分呼吸空間法(呼吸瞑想の一種)、ボディスキャン瞑想(自分の身体の反応に注意を向ける瞑想)、ヨガ、静座瞑想(呼吸瞑想の一種)などのマインドフルネス瞑想の実践を中心に行うグループ療法となっている。
- マインドフルネスベースの治療法の効果は2013年のモントリオール大学のメタ分析により確認されている。質の良い209件の研究をまとめたメタ分析で、対象者は12,145人とのこと。介入前後と比較した効果量は0.55、ウェイティング(何もしない)群と比較した効果量は0.53、アクティブ治療(他の治療)群と比較した効果量は0.33、他の心理療法群と比較した効果量は0.22、CBT・BT群と比較した効果量は-0.7、薬物療法と比較した効果量は0.13となっている(効果量は0.2~0.4=小さい効果、0.4~0.7=中程度の効果、0.7~=大きな効果となる)
- マインドフルネス認知療法を行っていくとメタ認知的気づきが強まっていく。2002年の研究によると、認知療法やマインドフルネス認知療法は認知の内容を変えるのではなく、認知との関係の持ち方が変わることによって再発を減らしていると分かった。
- 認知療法を始めた後に体験したことに対してはメタ認知的気づきが働いたが、前の体験ではメタ認知的気づきが働かなかった。
次回の講義資料・全講義資料
次回の講義資料のダウンロードページは下記となります。全講義資料のダウンロードページは下記となります。
講義資料まで用意してくれているなんて熊野先生に感謝です…!
個人的考察
瞑想については、あやしいイメージやスピリチュアルな感じがするので(私自身が特にそういうのが嫌い)、おすすめしづらいしブログに書くことについてどうしようかな~って思っていたんですが、まぁ、変な宗教に騙されないためにも知っておいて損はないかと思いますんで、いずれ書いてもいいのかな~とも思いました。