【まとめ】慢性的な過食・慢性的なカロリー制限・栄養不足はヤバい!って聞くけど何がそんなにヤバいのか?
脳のセットポイントが上がる理由を結構紹介してきましたが、まだ書いていなかった内容として、慢性的な過食・慢性的なカロリー制限・栄養不足がございます。
慢性的な過食はレプチンとインスリンに悪影響を及ぼす…!
まずは慢性的な過食から。
慢性的な過食がなぜ良くないのかというと、レプチン抵抗性が上がってしまうからです。
2009年のオーストラリアの研究と2009年のワシントン大学の研究によると過食が続くと細胞に大きなダメージを与えてしまうそうです。更に、余った栄養素が血液中にたくさんある状態になり、上手く吸収されなくなってインスリン抵抗性が上がっていってしまうんだそうな。つまり、糖尿病にまっしぐら…!ってことですね。怖い…。
慢性的なカロリー制限・栄養不足はヤバい…!
次に慢性的なカロリー制限です。過ぎるは良くないってことを以前に色々なところで書いてきましたが、カロリーについてもそれは同じようで慢性的な過食同様、慢性的なカロリー制限も良くないそうです。
では、何が良くないのかですが、慢性的なカロリー制限をすると細胞がダメージを受けてしまうということなんです。つまり慢性的な過食と同じ状態が起こるってことですね。
1ヶ月ぐらいの短期的なカロリー制限を行うと体重や体脂肪が減っていきますが、そこで味を占めて、1年以上の長期的なカロリー制限(慢性的なカロリー制限)を行うと、体重、体脂肪の減少率が徐々に少なくなってしまいます。
この現象は、
- 1990年のジュネーブ大学の研究
- 1991年のミシガン州立大学などの研究
- 1997年のウィスコンシン大学の研究
- 2006年のコロラド大学デンバー校などの研究
- 2007年のアリゾナ大学の研究
- 2011年のフランスのRCT
- 2012年のアメリカの研究
- 2012年のオタワ大学の教授の記事
- 2013年のU.S. News & World Reportの記事
と、いくつもの研究で見られた現象で、まず、間違いないかと思います。
では、なぜ徐々に痩せなくなるのかと言いますと、栄養素が足りなくなり、代謝の機能が大幅に落ちてしまうからです。要は脂肪が燃えにくくなってしまうってことですね。
具体的には、
- 甲状腺ホルモンが減る…!
- 筋肉が減る…!
- 脳が省エネモードにするよう体に指示を出す…!
となります。
極端な低脂肪ダイエットを行うと細胞膜の再生を妨げ、代謝が落ちます。また、極端な糖質制限ダイエットを行うと甲状腺ホルモン(T3など)が減って脂肪が燃えにくくなります。
そして、いったん代謝が壊れてしまうと戻すのは非常に大変で、ダイエットが単に上手くいかないだけではなく、
- 慢性的な疲労感
- うつ症状
- 脱毛
- 貧血
- むくみ
- 便秘
などといった症状に悩ませれることに…。
これは避けたいですね…。
対策としては、やはり、自然に食欲が減っていくダイエット法を使うのがよろしいかと思います。空腹や筋肉の減少に悩むことなくカロリーを減らしていけば楽ですからね。
つまり、脳のセットポイントを正常に戻すのが有効…!ってことですね。
もちろん冒頭で書いた通り、慢性的なカロリー制限は問題ですが、短期的なカロリー制限(プチ断食など)は、逆に身体に活を入れられますし(ホルミーシス)、オートファジー発動にも一役買ってくれますんで、ぜひ、取り入れていきたいところ。要は過ぎたるは猶及ばざるが如しっていういつもの結論ですね。
栄養不足はヤバい…!
最後に栄養不足ですが、これは上記で挙げた慢性的なカロリー制限と同じ理屈になります。
必要な栄養素、例えばビタミンやミネラルなどが不足すると、体は一気に代謝を落として生命維持活動を優先しだしますんで、結果、脂肪が燃えず肥満になってしまうって感じです。
良くダイエットでいきなり食事の量を極端に減らしたりする人がいますが、あれは逆効果なんですよね~。ぜひお気を付けください。
長期的なカロリー制限ダイエット(低カロリーダイエット・食事制限ダイエット)が成功しないのはなぜか…?
2010年のカリフォルニア大学の研究によると、カロリー制限ダイエット(低カロリーダイエット・食事制限ダイエット)とコルチゾールの関係について調べてみたそうです。
というのも、先行研究ではカロリー制限によるダイエットを行っても長期的な減量にはつながらない…!って結果が出ているんですよね。そのため研究者たちは、この原因が食事制限による慢性ストレスが原因なんじゃないのか…?と考えたみたいです。
今回実験に参加したのはカロリー制限ダイエット(低カロリーダイエット・食事制限ダイエット)に興味がある115名の方(最後までやり遂げられたのは99名)で、以下の4つのグループのいずれかにランダムに振り分けたそうな。
- カロリー制限あり+カロリーの監視あり
- カロリー制限あり+カロリーの監視なし
- カロリー制限なし+カロリーの監視あり
- カロリー制限なし+カロリーの監視なし
ここで補足を入れておきますとこんな感じ。
- カロリー制限あり:1日1,200kcalで過ごしてもらった(高ストレス)
- カロリーの監視あり:どれぐらいカロリー摂取したのか、カロリー制限の場合守れているのかチェックされる(高ストレス)
- カロリー制限なし:普通に食べてもらう(低ストレス)
- カロリーの監視なし:どれぐらいカロリー摂取したのか、カロリー制限の場合守れているのかチェックしない(低ストレス)
- カロリー制限は、1日の必要摂取カロリー量から、炭水化物は50%以下、脂肪は30%以下、タンパク質は20%以下で行った。
- カロリーの監視は、毎日食事日記をつけてもらった。
因みに実験期間は3週間と短かったそうなんですが、これには研究者の意図がありまして、なんでも食事研究に参加する人たちは比較的最初の数週間はしっかりルールを守る傾向にあり、データの質が高いそうなんですよ。確かにこれは分かりますよね。ダイエットに限らず物事を始めた時ってモチベーションが高いんでしっかり守りますわな(でも3日坊主然りでだんだん適当になっていきがちですが)
結果がどうなったかと言いますと、
- カロリー制限により、コルチゾールがアップしていた…!
- カロリーの監視により、自己申告によるストレスがアップしていた…!
とのこと。
このダブルパンチによって、長期的なカロリー制限ダイエット(低カロリーダイエット・食事制限ダイエット)効果が無に帰すことになっていたんですね。恐ろしや…。
チートデイのところで書いたダイエットの急激なリバウンドを防ぐため、ある程度、食事制限ダイエットに成功したら、食事摂取ダイエットに移行するってのが良いと思いますねー。
意外と低血糖で見過ごされがちなカロリー不足・カロリー制限の恐怖
低血糖は冷や汗やめまい、息切れ、ドキドキ、意識障害やけいれん、手足の震えなんかが起こる怖い状態。
しかし意外と皆さん文字から推測して、炭水化物(糖質)をとっときゃいいんしょ…?みたいに思っている方も多いかと思います。
しかし意外と皆さん文字から推測して、炭水化物(糖質)をとっときゃいいんしょ…?みたいに思っている方も多いかと思います。
それはもちろん間違いじゃないんですが、実は炭水化物(糖質)を取っていてもなる可能性があるんですよ…!
ということで今回はその辺についてご紹介します。
1989年の研究によると、低血糖の原因ついてまとめてみたそうです。
早速結論から申しますと、運動・炭水化物の貯蔵及び摂取不足・カロリー不足が原因とのことです。
まず運動についてですが、最初は肝臓にあるグリコーゲンを分解してエネルギーとして使っていきます。そこで足りなくなってくると糖新生によってサポートして対応します。そのため肝臓のグルコースが十分にない場合、低血糖が生じる可能性が大となります。
また運動中ってのは、インスリンが減少(インスリン感受性は増加)し、代わりにカテコールアミンやグルカゴン(肝臓のグリコーゲン+糖新生によってブドウ糖を増やし血糖を上昇させる)、コルチゾール、成長ホルモンなんかが増えていきます。
そして意外と見過ごしがちなのがカロリー不足です。炭水化物(糖質)制限に限らず、激しいカロリー制限中は肝臓のグルコース生成が減少してしまうんですよね。また通常の場合、上記で挙げたとおり肝臓のグルコース生成が追い付かなくても糖新生によってサポートできますが、激しいカロリー制限中はサポートが追い付かない為、低血糖になる可能性が大となります。そして飢餓状態はインスリン濃度の低下と、成長ホルモン、グルカゴンの増加をもたらします。
更に激しいカロリー制限による低血糖症の患者さんには、通常の低血糖症の症状が見られないこともよくあるそうで、内分泌異常は見られず、大量の炭水化物を摂取しても低血糖が持続するなんていう怖い状態に陥ることもあるそうな。
以上から、極端な糖質制限ダイエットはもちろん、極端なカロリー制限ダイエットもやめておいた方が良いのは間違いないでしょうね。
カロリー制限は冷え性を呼ぶ…!
2009年のカリフォルニア大学サンディエゴ校の研究によると、深部体温(脳や臓器などの体の大事な部分の体温のこと)のコントロールとインスリンの関係について調べてみたそうです。この研究は雄のマウスを使って行われたそうで、最初、普通に食事を食べて普通に寝てもらったそうな。因みに食事と睡眠の具体的な内容は下記となっておりました。
- 糖質65%、 脂肪13%で、1g当たり3.41kcalの食事だった。
- 食事と水は自由に摂取することができた。
- 12時間活動、12時間睡眠とした。
- 午前7:00に起きてもらった。
この状態のマウスにインスリンを投与して深部体温をチェックしてみたらしい。
結果、
- インスリン注射をした後、最大で6時間も深部体温の上昇が持続した…!
とのこと。
この結果に研究者曰く、
- インスリンは熱発生と深部体温をコントロールする視床下部ニューロンを直接調節できることを示している
としています。
インスリンは代謝と体温調節をするのに重要なんですね。
つまりハードなカロリー制限・糖質制限、長期にわたるカロリー制限・糖質制限、慢性的な過食などインスリンが乱れる原因は全て冷え性につながっていく…!ってことですね。
個人的考察
カロリー不足だと、アドレナリンやコルチゾールの分泌がされるので不眠問題が出る可能性があります。また炭水化物(白米やキウイフルーツなど)を食べないと、睡眠に必要なホルモン(セロトニンやメラトニンなど)が作られないのも問題です。
他にも便秘問題も起きる可能性がございます。
…っと色々書きましたが、とりあえず「極端」、「過ぎる」はダイエットにおいても良くないんだな~と押さえていただけると幸いです。
参考文献
https://academic.oup.com/ajcn/article-abstract/52/3/415/4650864
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/027273589190128H
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9278574
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16455763
https://www.researchgate.net/publication/244936135_The_Physiology_of_Body_Weight_Regulation_Are_We_Too_Efficient_for_Our_Own_Good
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22030226
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22535969
http://www.weightymatters.ca/2012/04/biggest-loser-destroys-participants.html
https://health.usnews.com/health-news/blogs/eat-run/2013/01/23/when-science-met-the-biggest-loser
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/027273589190128H
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9278574
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https://www.researchgate.net/publication/244936135_The_Physiology_of_Body_Weight_Regulation_Are_We_Too_Efficient_for_Our_Own_Good
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22030226
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https://health.usnews.com/health-news/blogs/eat-run/2013/01/23/when-science-met-the-biggest-loser