【まとめ】U.S. News & World Reportで毎年上位の「地中海式ダイエット」ってなに?どうやるの?って話
○○ダイエットというものが流行るのは世の常ですが、その中でエビデンスがしっかりしているダイエット、つまり、本当に効果があるダイエットは一握りだったりします。
その中でも特にこれは良いぞ…!っていうダイエットが地中海式ダイエットです。名前の通り、地中海式の食事を真似よう…!ってダイエットなんですが、これが結構効果が高い事が知られていまして、当ブログでもちらりと出てきていたりしておりました。
地中海式ダイエットってなに…?
地中海式ダイエット(地中海ダイエット・地中海食)とは、1960年頃のイタリアやギリシャなどの地中海地方で行われた食事をベースに、野菜・オリーブオイル・フルーツ・魚・全粒粉を豊富にとる食事法のこと。減量効果や糖尿病、アンチエイジングに効くことがほぼ間違いないと言われるくらいの効果の高さが売りのダイエット法になります。また、その効果の高さからアメリカの情報誌であるU.S. News & World Reportの、2019年、2020年と2年続いて栄えあるダイエット法の中でベストダイエットに選ばれたりもしていたり。う~ん。素晴らしい…!
どうやら地中海式ダイエットの実践で様々な健康リスクが低下するみたいなんですが、特にパーキンソン病とアルツハイマー病予防に効くみたいですね。
いや~地中海式ダイエットの実践で認知障害リスクが30%以上低くなるのは魅力的ですな。しかも今問題ない人も始めておいて損はないと…。
すると1,667件もの研究が検索にひっかかったとのこと。次にこの中から重複している物や質の低い研究を除外していったそうで、最終的に基準を満たしていたものは12件の研究だったんだとか。
この12件の研究の概要は、
とのこと。
これらのデータを用いてメタ分析にかけてみた結果、地中海式ダイエットをちゃんと実践している人ほど、
そうです。
筋骨格系の低下については良くわかりませんが、フレイルや機能障害には効果がありそうな感じですな。
そもそもこの研究チームは過去に地中海式ダイエットとがんリスクの関係について調べて、更に2回のアップデートを行っております。
とのこと。
上記で黄色+太字の物はエビデンスレベルがまぁまぁって感じの物です。
となっておりました。
次にRCT5件の特徴も見ておきます。
の記事もみて頂くと、この結果には納得できるのではないでしょうか…?
地中海式ダイエットピラミッド
1995年のハーバード公衆衛生大学院の研究では、地中海式ダイエットピラミッドについてご紹介しております。
地中海式ダイエットピラミッドとは、健康的な地中海の食生活をピラミッドにしたものでして、具体的には1960年代初頭のクレタ島やクレタ島以外のギリシャ、南イタリアで一般的に食べられてきた食事パターンをインフォグラフィックにしたものです。
地中海式ダイエットピラミッドを実践していた人々の成人の平均寿命は世界で最も高く、また、冠状動脈性心疾患(CHD)リスクや特定のがんリスク、その他の食事にまつわる慢性疾患リスクは最も低かったそうな。更に畑作業や家事を行うことは定期的な身体活動になり、肥満リスクも低くなっていたらしい。
そんな地中海式ダイエットピラミッドを下(メインで食べる物)から見ていくと、
といった感じ。
上記を見て分かる通り、地中海式ダイエットは飽和脂肪の摂取量が少なく(総カロリー摂取量の7~8%以下)、また総脂肪の摂取量も少ない(総カロリー摂取量の25%未満から35%以上の範囲)という特徴があります。
続いて、実際に地中海式ダイエットピラミッドを見てみましょう。
下記の地中海式ダイエットピラミッドは、Oldwaysが1993年にハーバード公衆衛生大学院やWHOと協力して作成したもので、今尚、地中海式ダイエットピラミッドの基本として使われているものとなっております。
下記の地中海式ダイエットピラミッドは、Oldwaysが1993年にハーバード公衆衛生大学院やWHOと協力して作成したもので、今尚、地中海式ダイエットピラミッドの基本として使われているものとなっております。
このインフォグラフィックのイラストと上記で書いた文章を併せてみてもらえると、地中海式ダイエットの食事法がどういう感じか分かるかと思います。
地中海式ダイエットの効果
地中海式ダイエットの効果については先程挙げたU.S. News & World Reportの地中海式ダイエットのページが分かりやすくまとまっていて良い感じです。
軽くまとめておくと、
2018年のNutrition&Diabetesの研究によると32,119人のイタリア人参加者の食事パターンを約12年間分析した結果、地中海式の食事を行うと太りにくく、更にウエストに脂肪がつきにくかったそうな。
2019年のLancet Diabetes&Endocrinologyによると、2型糖尿病や心血管のリスクがある人を含む5,859人の成人を3グループに分けて5年間調べたそうで、こちらも地中海式ダイエットを行った人のウエストラインに違いが見られたそう。
2010年の研究によると、259人の肥満な糖尿病患者の食事を以下の3グループに分けたそうな。
- 低炭水化物の地中海式食事法
- 伝統的な地中海式食事法
- 米国糖尿病協会の推奨食事法
更に全てのグループに週3回30分から45分の運動をするようにも伝えたそうで、1年後、全てのグループが減量に成功したみたいなんですが、特に低炭水化物の地中海式食事法のグループは約10kgも痩せたそう。
地中海式ダイエットで認知機能の低下を防げる…!
2015年のバルセロナ大学の研究によると、地中海式ダイエットが認知機能にどのような影響をもたらすのかを調べてみたそうです。
この研究は心血管リスクは高いが認知機能は健康な447名(男性214名、女性233名、平均年齢66.9歳)を対象としたそうで、以下の3グループにランダムに振り分けられ、食事をしてもらったとのこと。
この研究は心血管リスクは高いが認知機能は健康な447名(男性214名、女性233名、平均年齢66.9歳)を対象としたそうで、以下の3グループにランダムに振り分けられ、食事をしてもらったとのこと。
- 地中海式ダイエット
- 地中海式ダイエット+1日30gのナッツを食べる
- 食事脂肪を減らすためのアドバイスをされる(コントロール群)
最終的に334人のデータが使えたそうで結果、記憶力は、
- 地中海式ダイエット:0.04(-0.10~0.17)
- 地中海式ダイエット+ナッツ:0.10(-0.04~0.24)
- コントロール群:-0.16(-0.32~0.01)
だったみたい。
また、前頭葉は、
- 地中海式ダイエット:0.23(0.02から0.43)
- 地中海式ダイエット+ナッツ:0.03(-0.26〜0.32)
- コントロール群:-0.33(-0.57〜-0.09)
という感じだったみたい。
つまり、高齢者が地中海式ダイエットを実践すると認知機能が改善するみたい…!これは嬉しいですね~。
高齢者が対象の実験ですが、是非、気にしていきたいですねー。
地中海式ダイエットでうつ病発症リスクが減る…!
2009年のラス・パルマス・デ・グラン・カナリア大学の研究によると、地中海式ダイエットとうつ病の発症率の関係について調べてみたそうです。
この研究は以前にも登場したSUNコホート研究って言う前向きコホート研究のデータセットを用いたもので、1999年12月21日の開始当初、健康だったスペインの大学卒業生10,094人が対象となったと言うもの。
この参加者たちに136項目からなる食事アンケートに答えてもらい、地中海式ダイエットに該当する食品を多く食べているか、そうでないかスコアを付けていったらしい。その後、スコアに応じて5つに分類してみたそうな。
併せて、参加者全員が実験開始以降にお医者さんからうつ病と診断されていないか、又は抗うつ薬を服薬していないかもチェックし、地中海式ダイエットとうつ病発症リスクの関係性があるのか見てみたとのこと。
追跡期間の中央値は4.4年で、その間、うつ病を発症された方は480人いたそうです。
んで、気になる結果ですが、5分類中、地中海式ダイエットから最も遠い食事をしていた人に比べて、
- 4番目に近い食事をしていた人のうつ病発症リスクは0.74だった…!
- 3番目に近い食事をしていた人のうつ病発症リスクは0.66だった…!
- 2番目に近い食事をしていた人のうつ病発症リスクは0.49だった…!
- 最も近い食事をしていた人のうつ病発症リスクは0.58だった…!
みたい。
基本的に地中海式ダイエットに近い食事をすればするほどうつ病発症リスクは減るみたいですねー。やっぱ地中海式ダイエットはメンタルにも良いのか…。
またこの研究では地中海式ダイエットのどの食品がポイントなのかも推定しておりまして、
って感じ。
地中海式ダイエットで摂食障害(拒食症・過食症)リスクが減る…!
2018年のミラノ大学とナバーラ大学の研究によると、地中海式ダイエットと摂食障害(拒食症・過食症)の発症リスクの関係について調べてみたそうです。
この研究は、上記で出てきたSUNコホート研究を使ったもので、参加者はスペインの大学卒業生11,800名の女性の方々。
実験の流れも同じ感じで、136項目の食事アンケートに答えてもらい、地中海式ダイエットに該当する食品を多く食べているか、そうでないかスコアを付けていきつつ、参加者全員が実験開始以降にお医者さんから摂食障害と診断を受けていないかも見てみたらしい。
追跡期間の中央値は9.4年で、その間、新たに摂食障害と診断された方は100人いたそうな。では気になる結果を見てみましょう。
- 地中海式ダイエットを2番目にちゃんと実践していたカテゴリーの人の摂食障害リスクは0.39だった…!
- 地中海式ダイエットを最も実践していたカテゴリーの人の摂食障害リスクは0.32だった…!
どうやら地中海式ダイエットは摂食障害リスクにも効果がありそうですな。
因みに食品のポイントは、
って感じでした。
更にこの研究では逆因果関係もチェックしております。つまり、地中海式ダイエットを実践すると摂食障害リスクが減るんじゃなくて、摂食障害になった人は地中海式ダイエットから遠い食事をするようになるんじゃないか…?ってことですね。
これについては、
- 逆因果関係は見られなかった…!
ってことなんで、やっぱり地中海式ダイエットの効果みたいです。
地中海式ダイエットは心血管疾患の予防に効果的…!
2006年のラス・パルマス・デ・グラン・カナリア大学の研究によると、地中海式ダイエットは長寿と生活の質の向上に役立つって言われているけど本当なのか系統的レビューを用いて調べてみたそうです。具体的には地中海式ダイエットと病気の予防効果について見てみたとのこと。
ということで最初に2004年10月~2005年1月までに発表された該当研究をMEDLINEで検索してみたそうな。すると489件の研究がヒットしたみたい。続いてこの中から質の高い研究をピックアップしていったそうで、最終的には43件の研究が基準を満たしていたんだとか。この43件のサンプル数は11人~13,000人の間だったそうで、これらを用いて系統的レビューを行って見たらしい。
ということで最初に2004年10月~2005年1月までに発表された該当研究をMEDLINEで検索してみたそうな。すると489件の研究がヒットしたみたい。続いてこの中から質の高い研究をピックアップしていったそうで、最終的には43件の研究が基準を満たしていたんだとか。この43件のサンプル数は11人~13,000人の間だったそうで、これらを用いて系統的レビューを行って見たらしい。
その結果、
- 肥満患者や心筋梗塞の病歴のある患者のコレステロールレベル
- 血管
- インスリン抵抗性
- メタボリックシンドローム
- 抗酸化力
- 心血管疾患の死亡リスク
- がんの発症リスク
について効果的だったとのこと。
つまり、地中海式ダイエットは心血管疾患の予防に効果的…!ってことですな。
地中海式ダイエットは肥満の予防や改善に効果があるかも…!
2008年のIDIBELLの研究によると、肥満と地中海式ダイエットの関係について系統的レビューを用いて調べてみたそうです。
なんでもWHOによれば世界の成人のうちの3分の1が過体重で、10分の1が肥満であると予測できるんだそうな。それほど肥満が世界中の問題としてあるみたいなんですが、一方で地中海式ダイエットは肥満の予防や改善に効果があるという結果がいくつも出ております。そこで今回、先行研究を見直しして大きな結論を出して見ることにしたそうです。
まず研究者たちはすでに発表されている肥満と地中海式ダイエットの研究を集めてみたそうな。続いてその中から質の高い研究をピックアップしていったらしい。すると、21件の研究が基準を満たしていたとのこと。この21件の研究の内訳は、
- 横断研究:7件
- 縦断研究:3件
- 介入研究:11件
って感じだったらしい。
これらの研究結果をまとめてみた結果、以下のようになったそうです。
- 13件の研究では、地中海式ダイエットを実践すると、過体重・肥満の減少、体重減少の促進に有意な効果があった…!
- 8件の研究では、地中海式ダイエットと過体重・肥満の減少、体重減少の促進に関係がなかった…。
地中海式ダイエットによるダイエット効果はありそうな感じだけど、この時点でははっきりとは言えない感じですね。まぁ、観察研究メインであり、方法論的な違いもあったみたいなんで、一つの結論を出すのは結構難しいんでしょうな。
それでも地中海式ダイエットが肥満の予防や改善に効果がある可能性がみえたのは大きいかと。
2008年時点での系統的レビューでは、この当たりはまだまだ更なる研究が必要って感じだったみたいですねー。
地中海式ダイエットで様々な健康リスクが低下するが、特にパーキンソン病とアルツハイマー病予防に良さそう…!
2008年のフィレンツェ大学の研究によると、地中海式ダイエットと死亡リスクや慢性疾患リスクの関係について前向きコホート研究のメタ分析で調べてみたそうです。
まず研究者たちは、1966年~2008年6月30日までに発表された該当する先行研究をPubMedやEmbase、Web of Science、コクランのデータベースで検索してみたそうな。すると最初の検索で62件の研究が見つかったらしい。次にその中から質の高い物を選んで行ったそうで、最終的に基準を満たしていた研究は12件だったとのこと。
この12件の研究の総サンプル数は1,574,299人でして、サンプル数の範囲は161人~214,284人の間だったみたい。また追跡期間は3.7年~18年の範囲だったそうです。
更に死亡リスクや慢性疾患リスクのデータは以下な感じだったそうな。
- 総死亡率:8つのコホート(9件の研究)で調べており、サンプル数は514,816人の参加者と33,576人の死亡者を対象に評価された。
- 心血管系の死亡率:3つのコホート(4件の研究)で調べており、サンプル数は404,491人の参加者と3,876人の死亡者を対象に評価された。
- ガンの発症・死亡率:5つのコホート(6件の研究)で調べており、サンプル数は521,366人の参加者と10,929人の発症者・死亡者を対象に評価された。
- パーキンソン病・アルツハイマー病の発症率:2つのコホート(3件の研究)で調べており、サンプル数は133,626人の参加者と783人の発症者を対象に評価された。
最後にこれらのデータを統計処理した結果、以下のようになったんだとか。
- 総死亡率:地中海式ダイエットの実践で9%低下(0.91)していた…!
- 心血管系の死亡率:地中海式ダイエットの実践で9%低下(0.91)していた…!
- ガンの発症・死亡率:地中海式ダイエットの実践で6%低下(0.94)していた…!
- パーキンソン病・アルツハイマー病の発症率:地中海式ダイエットの実践で13%と大幅に低下(0.87)していた…!
どうやら地中海式ダイエットの実践で様々な健康リスクが低下するみたいなんですが、特にパーキンソン病とアルツハイマー病予防に効くみたいですね。
健康の維持・改善のためにも果物や野菜、魚を積極的に食べ、肉と乳製品を少なく摂取し、加工食品をできるだけ食べないようにしていきたいですな。
地中海式ダイエットは全死亡リスクはもちろんのこと、脳や心臓、血管の病気の予防にも良さそう…!
2010年のフィレンツェ大学の研究によると、地中海式ダイエットにおける健康へのメリットについて系統的レビューとメタ分析を行ってみたそうです。
まず研究者たちは、2010年6月までに発表された該当する研究を以下のデータベースを用いて検索してみたそうな。
- PubMed(1966年~2010 年6月)
- EMBASE(1980年~2010年6月)
- Web of Science
- コクランライブラリ
- clinicaltrials.org
- Google Scholar
続いて検索したものの中から質の高い研究をピックアップしていったらしい。最終的に基準を満たした研究は18件の前向きコホート研究だったそうで、これらを用いて系統的レビューとメタ分析を行ったみたい。
因みに18件の研究のデータについてはこんな感じです。
- 総サンプル数:2,190,627人
- サンプルサイズ:161人~485,044人
- 追跡時間:4~20年
200万人以上のデータをまとめて結論を出したってのは大規模で良いですねー。
それでは結果を見てみましょう…!
地中海式ダイエットを実践すると、
- 全死亡リスクが8%と有意に減少していた…!
- 心血管疾患(CVD)の発症又は死亡リスクが10%と有意に減少していた…!
- ガンの発症又は死亡リスクが6%と有意に減少していた…!
- 神経変性疾患(アルツハイマー病やパーキンソン病など)の発症又は死亡リスクが13%と有意に減少していた…!
とのこと。
全死亡リスクはもちろんのこと、脳や心臓、血管の病気の予防にも良さそうですね。
地中海式ダイエットは認知や記憶にも良さそう…!
2013年のエクセター大学の研究によると、地中海式ダイエットと認知機能・認知症の関係について系統的レビューで調べてみたそうです。
そもそも2013年時点では地中海式ダイエットと認知機能・認知症の関係を調べた研究はいくつもあったものの、系統的レビューはなかったそうなんですよ。そこで今回研究者たちが行ってみることにしたんだとか。
そもそも2013年時点では地中海式ダイエットと認知機能・認知症の関係を調べた研究はいくつもあったものの、系統的レビューはなかったそうなんですよ。そこで今回研究者たちが行ってみることにしたんだとか。
ということでまず最初に、2012年1月までに発表されている地中海式ダイエットと認知や記憶にまつわる研究をデータベースで検索してみたそうな。因みにデータベースはMedlineやEMBASE、PsycINFO、コクランライブラリなどを使ったらしい。その結果、719件もの研究が見つかったそうです。
次にこの中で重複している研究を除いていき、その後、各研究の質をチェック、高い物をピックアップしていったとのこと。その結果、12件の研究が基準を満たしていたんだとか。
この12件の研究の内訳は、
って感じで、行われた国はフランス、ギリシャ、オーストラリア、アメリカでした。
各研究の参加者を見てみると、基本高齢者が対象でして、実験スタート時の年齢は60~89歳でした。但し、例外的に20代を対象にしたものもございました。それとサンプルサイズは25人から3,790人の間で、平均追跡期間は10日から8年の範囲でした。
これらのデータをまとめてみたところ、12件中9件の研究で、地中海式ダイエットを実践すると、
- 認知機能がアップした…!
- 認知機能低下リスクがダウンした…!
- アルツハイマー病リスクがダウンした…!
そうです。脳機能のアップや予防にも良さげですな。
但し、軽度認知障害については結果に一貫性がなかったそうで、ここはよく分からなかったみたい。
地中海式ダイエットの実践で認知障害リスク(軽度認知障害リスク・アルツハイマー病リスク)が33%も低くなる…!
2014年のメイヨークリニックの研究によると、地中海式ダイエットがアルツハイマー病や軽度認知障害、認知症の予防に有効なのか調べてみたそうです。
そもそも1993年のメイヨークリニックの研究なんかをみてみますと、軽度認知障害ってのは正常な老化による認知機能の低下から認知症になるまでの移行段階ってことでして、これが進んでしまうと認知症になってしまうんですよ。しかも2011年のメイヨークリニックの研究によれば、軽度認知障害の方は認知機能が正常な方に比べて、認知症発症リスクが10倍高い…!って言うんだから見過ごせません。なんで、如何にここで食い止めるかが大事なポイントとなっております。
そこで効果がありそうなものの一つとして挙がるのが地中海式ダイエットです。これまでの先行研究で良い感じの結果がいくつか出ていたんですよね。んがしかしまだはっきりと効果がある…!と言えなかったんで、今回、前向きコホート研究の系統的レビュー・メタ分析を用いて見てみることにしたんだとか。
まず研究者たちは、2012年11月までに発表された該当する先行研究をMEDLINEやEMBASE、PsycInfo、コクラン、Scopusで検索してみたそうな。またこれらのデータベースで検索する際に、ランダム化比較試験(RCT)か、少なくとも1年以上のコホート研究のみのものを選んで行ったらしい。更に過去5年間における主要組織の会議議事録を手作業で検索したり、専門家に質問して探したりもしたそうな。その結果、738件の研究が見つかったらしい。
続いてこの中から重複しているものや質の低い研究を除外していったそうで、最終的には5件の研究が基準を満たしていたそうです。この5件の研究は、アメリカが3件、オーストラリアが1件、フランスが1件って感じでした。また1件の研究を除き、全ての研究で参加者が65歳以上となっておりました。
因みに5件の研究のうち、2件の研究の合計サンプル数は3,636人で、3件の研究の合計サンプル数は3,901人だったみたい。また平均追跡期間は2.2年~8年の間とのことでした。
これらのデータを基にメタ分析を行い、系統的レビューとしてまとめてみたそうです。それでは結果を見てみますかー。
まずは大きな結論から申しますと、
- 地中海式ダイエットを忠実に守っている人ほど、軽度認知障害とアルツハイマー病の発症リスクが低下していた…!
とのこと。
とりあえず大枠では地中海式ダイエットは脳機能低下やそれに伴う病気のリスクが低くなるみたいですね。
ではもうちょい詳しく見てみましょう。
- 認知機能に問題ない人が地中海式ダイエットを行うと、軽度認知障害の発症リスクが27%も低かった…!
- 認知機能に問題ない人が地中海式ダイエットを行うと、アルツハイマー病の発症リスクが36%も低かった…!
- 地中海式ダイエットを最も忠実に守っていた人は、地中海式ダイエットから最も遠い食事をしていた人に比べて、認知障害リスク(軽度認知障害リスク・アルツハイマー病リスク)が33%も低かった…!
この前向きコホート研究の系統的レビュー・メタ分析は5件の研究をまとめたものなんでちょっと研究数は少ないですが、それでもある程度信用してよいのではないかと思います。
心血管疾患(CVD)の予防にも有効そう…!
2014年のカターニア大学の研究によると、地中海式ダイエットが心血管疾患(CVD)の予防に有効なのか系統的レビューで調べてみたそうです。
因みに今回ピックアップされた先行研究は全部で58件でしてそのうちの33件が横断研究、9件が縦断研究、16件が介入研究ということでした。
早速結果を見てみますと、
- ほとんどの研究で地中海式ダイエットは心血管疾患(CVD)の予防に有効だった…!
そうです。
まぁ、各研究の方法論の違いにより限界はあったみたいですが、とりあえず地中海式ダイエットは心臓や血管にも良さげっぽいですね。
がんの予防にも有効そう…!
2014年のウィーン大学の研究によると、地中海式ダイエットとがんリスクの関係について観察研究のメタ分析・系統的レビューで調べてみたそうです。
そもそも先行研究によって地中海式ダイエットは全死亡リスクや心血管疾患リスクなんかの予防に役立つ…!ってのが分かりつつあったんですが、がんリスクに関する研究の方はあんまり進んでいなかったんですよね。そこで研究者たちは全がんリスクと様々な種類のがんリスクを調べるべく、コホート研究と症例対照研究を用いてメタ分析をかけてみることにしたんだとか。
流れとしては、2014年1月10日までに発表されている該当研究をMEDLINE、EMBASE、SCOPUSで検索し、その中で質の高い研究をピックアップしていったとのこと。最終的に基準を満たした研究は、
- コホート研究:21件(25件の報告)、合計サンプル数1,368,736人(442~520,000人の間)
- 症例対照研究:12件、合計サンプル数62,725人(183~33,563人の間)
って感じだったらしいんで、総サンプル数は1,431,461人ってことですな。また、コホート研究の追跡期間は3~24年の間だったみたい。
因みにこれらの研究でがんを発症、又はガンにより死亡した方は、
- 食道がん:848人
- 乳がん:15,912人
- 結腸直腸がん:9,062人
- 胃がん:1,434人
- 膵臓がん:47人
- 前立腺がん:29,867人
- 種類が不明ながん:39,858人
ということでした。
これらのデータを基にメタ分析をかけてみた結果、地中海式ダイエットを最もしっかり守って実践していた方は、
- 全てのがんの発症リスク・死亡リスク:10%低かった…!
- 結腸直腸がんリスク:14%低かった…!
- 乳がんリスク:5%低かった…!
- 前立腺がんリスク:4%低かった…!
- 胃がんリスク:18%低かった…!
- 食道がんリスク:56%低かった…!
- 膵臓がんリスク:36%低かった…!
だったそうです。なかなか良い感じにリスクが低下していますな。
因みに乳がんについては、閉経前の女性と閉経後の女性を比べてみたそうなんですが、結果は大きく変わらなかったそうなんで、年齢に関係なく効果がありそうです。
地中海式ダイエットで糖尿病リスクが19%も低くなる…!
2014年のウィーン大学の研究によると、地中海式ダイエットと糖尿病リスクの関係について系統的レビューとメタ分析を行ってみたそうです。
実はこの研究が発表されるまで地中海式ダイエットと2型糖尿病リスクの関係を調べた系統的レビューやメタ分析がなかったんですよ。なんでこの時点ではこれが初の系統的レビューとメタ分析(質の高い研究)となっております。
実はこの研究が発表されるまで地中海式ダイエットと2型糖尿病リスクの関係を調べた系統的レビューやメタ分析がなかったんですよ。なんでこの時点ではこれが初の系統的レビューとメタ分析(質の高い研究)となっております。
ということでまず研究者たちは、2014年4月2日までに発表されている該当研究をMEDLINEやSCOPUS、EMBASE、コクランで検索してみたそうな。更に検索した研究の参考文献もチェックして良い感じの研究がないかも見ていったらしい。すると1,408件もの研究が見つかったそうな。
続いてこの中から、ランダム化比較試験又はコホート研究の物、質の高い研究の物なんかをピックアップしつつ、重複しているものなんかは除外したらしい。最終的に基準を満たした研究は9件だったそうで、それらの情報は以下な感じでした。
- 2007年~2014年の間に発表された研究だった。
- ランダム化比較試験が1件、前向きコホート研究が8件だった。
- 総サンプル数は122,810人だった。
- 追跡期間の範囲は3.2年~20年の間だった。
- 全てのコホート研究でFFQが使われていた。
では結果を見てみましょう…!
- 地中海式ダイエットを最もしっかり守っていた人は、全く行っていなかった人に比べて、糖尿病リスクが19%(RR0.81)も低かった…!
- 10年以上の長期研究のみでみた場合は、地中海式ダイエットを最もしっかり守っていた人は、全く行っていなかった人に比べて、糖尿病リスクが25%(RR0.75)も低かった…!
地中海式ダイエットで糖尿病リスクを19%、ずーっと続けると25%低くなるってのは素晴らしいですな。
地中海式ダイエットは2型糖尿病、肥満、メタボ、心血管疾患(CVD)のリスクを下げる効果がある…!
2014年の地中海式ダイエット財団の研究によると、地中海式ダイエットと心糖尿病リスクの関係について系統的レビューを行ってみたそうです。
因みに心糖尿病(心臓糖尿病)ってのは、2型糖尿病や肥満、メタボ、心血管疾患(CVD)の間でよく知られた関係性を定義・説明した造語らしいです。んで、今回の研究はこの心糖尿病リスクに地中海式ダイエットは効くのかってのを調べてみたんだとか。
まず2013年9月までに発表された先行研究をPubMedで検索してみたそうな。その結果740件の研究が見つかったとのこと。続いてこの中から質の高い研究をピックアップしていったそうで、最終的には37件の研究が基準を満たしていたらしい。
この37件の研究の内訳は、
- 肥満研究:14件
- メタボ研究:9件
- 2型糖尿病研究:4件
- 心血管疾患研究:10件
って感じだったそうです。
ほとんどの研究は地中海の国々、特に南ヨーロッパの国で行われたものだったそうで、また男性と女性の両方を対象に実施したものばかりだったんだとか。全ての研究は2003年~2013年の間に発表されたもので、サンプル数は77~497,308人の間とのこと。
それらのデータをまとめてみた結果、
- 37件中33件の研究で、地中海式ダイエットは心糖尿病リスクの軽減に役立っていた…!
そうです。
つまり地中海式ダイエットは2型糖尿病、肥満、メタボ、心血管疾患(CVD)のリスクを下げる効果があるってことですな。
地中海式ダイエットは低脂肪食を含む他の食事を摂取した人よりも糖尿病リスクが明らかに減る…!
2015年のナポリ第2大学の研究によると、地中海式ダイエットと2型糖尿病の関係についてメタ分析・系統的レビューで調べてみたそうです。
そもそも2型糖尿病や糖尿病予備軍の方に地中海式ダイエットが有効そうなのは先行研究で分かっていたんですが、研究結果をまとめたものがなかったんですよ。そこで今回研究者たちは行ってみることにしたんだとか。
そもそも2型糖尿病や糖尿病予備軍の方に地中海式ダイエットが有効そうなのは先行研究で分かっていたんですが、研究結果をまとめたものがなかったんですよ。そこで今回研究者たちは行ってみることにしたんだとか。
まず研究者たちは、2015年1月31日までに発表された地中海式ダイエットと2型糖尿病又は糖尿病予備軍の方を対象にした研究をPubMedやGoogle Scholar、Cochrane Library、ClinicalTrials.govで検索してみたそうな。またこの時、前向きコホート研究のメタ分析とランダム化比較試験(RCT)に絞って集めたとのこと。因みにRCTのコントロール群が別の食事法を実践していた場合、期間が半年以上でサンプル数が最低30人以上の物のみを選んだらしい。
すると最初の検索で2,824件の研究が見つかったそうな。続いてこの中から質の高い研究を選んで行ったそうで、最終的には8件のメタ分析と5件のRCTが基準を満たしていたそうです。これらのデータを基に系統的レビューを行ったみたい。
結果、
- 糖尿病の血糖値のコントロール:HbA1cの全体的な効果推定値が-0.47%だった…!
- 心血管リスク:総コレステロールが-5.4~-8.9mg/dLの範囲で減少、体重も-0.29~-2.2kgの範囲で減少していた…!
- メタボリックシンドローム:2〜5年での寛解する確率が49%もアップしていた…!
- 糖尿病予防:新たな糖尿病が19~23%の範囲で減少していた…!
とのこと。
地中海式ダイエットは低脂肪食を含む他の食事を摂取した人よりも糖尿病リスクが明らかに減っていますな。
2014年の地中海式ダイエットとがんリスクの研究のアップデート版を見てみよう…!
2015年のウィーン大学の研究によると、地中海式ダイエットとがんリスクの関係について観察研究のメタ分析・系統的レビューで調べてみたそうです。
この研究は、上記で紹介した2014年のウィーン大学の観察研究のメタ分析・系統的レビューの研究者と同じでして、前回の研究発表以降、多数の新たな研究が発表されているため、この度アップデートしよう…!となったそうな。
この研究は、上記で紹介した2014年のウィーン大学の観察研究のメタ分析・系統的レビューの研究者と同じでして、前回の研究発表以降、多数の新たな研究が発表されているため、この度アップデートしよう…!となったそうな。
ということで始めに2015年7月2日までに発表された該当研究をPubMedとEMBASEを使って検索してみたそうです。併せて検索にヒットした研究の参考文献もチェックしていったみたい。
すると新たな良い研究が23件も見つかったそうな。因みに23件の観察研究の内訳は、
- コホート研究:14件
- 症例対照研究:9件
って感じ。
つまり前回の観察研究と合わせると全部で56件になったってことでして、総サンプル数は1,784,404人(35件のコホート研究のサンプル数:1,703,579人、21件の症例対照研究のサンプル数:80,825人)ということでした。
これらのデータをまとめてみた結果、地中海式ダイエットを厳密に実践すればするほど、
- 全てのがん死亡リスクが13%も減少…!
- 結腸直腸がんリスクが17%も減少…!
- 乳がんリスクが7%も減少…!
- 前立腺がんリスクが4%も減少…!
- 胃がんリスクが27%も減少…!
- 肝臓がんリスクが42%も減少…!
- 食道がんリスクが51%も減少…!
- 頭頸部がんリスクが60%も減少…!
- 子宮内膜がん(子宮体がん)リスクが28%も減少…!
- 肺がんリスクが90%も減少…!
- 膀胱がんリスクが16%も減少…!
- 膵臓がんリスクが52%も減少…!
- がん生存者の死亡リスクは変わらず(RR1.01)
- がん生存者の再発リスクが39%も減少…!
したそうです。
因みに上記で特に質の高い結果の部分に色を付けております。
それと前回同様、乳がんについて閉経前の女性と閉経後の女性を比べてみたそうなんですが、結果は前回と違い、閉経後の女性はより乳がんリスクが減少していたとのこと。アップデートによってこの辺の結果が変わっているのもポイントですな。
ということで180万人弱の方を調べた結果、地中海式ダイエットはがんリスクを下げそうという結果でした。もちろん、全てのがんリスクを下げる訳ではありませんが、いくつかのガン予防には良い感じの結果が出ているので実践していくのはアリだと思います。また、がんの再発リスクが減りそうな感じも出ているのも大きいかと思います。
地中海式ダイエットで認知症リスクが31%減る…!
2015年の南京医科大学の研究によると、様々な食生活による認知症リスクの関係を調べてみたそうです。
まず研究者たちは、食事と認知症リスクの先行研究をデータベースで検索してみたそうな。続いて質の高い研究をピックアップしていったらしい。その結果、43件の研究を選ばれたとのこと。
上記で一番認知症リスクを予防できていたのは地中海式ダイエットってのはすごいですね。但し、やった方が良い事以上にやらない方が良い事がポイントな感じもしますな。
因みに魚や野菜、果物、アルコールの影響については今後の研究に期待だそうです。
脂肪を制限しない地中海式ダイエットと健康リスクの関係を調べてみた…!
2016年のミネソタ大学の研究によると、脂肪の摂取量を制限しない地中海式ダイエット
は健康リスクにどのような影響を与えるのか系統的レビュー・メタ分析で調べてみたそうです。
まず研究者たちは、1990年から2016年4月までに発表された該当する先行研究をOvid MEDLINE、CINAHL、コクランライブラリといったデータベースで検索してみたそうな。
また、健康リスクについては、死亡リスクや心血管疾患リスク、高血圧リスクや糖尿病リスク、ガンリスクとしたらしい。更にサンプル数が100人以上の物や追跡期間が最低1年以上の物をピックアップしていったみたい。
最後に集まったデータをまとめてみた結果、
- 全死亡リスクに差はなかった
- 心血管疾患リスク(ハザード比0.71)、乳がんリスク(ハザード比0.43)、糖尿病リスク(ハザード比0.70)が明らかに低かった…!
- 全てのがん死亡リスク(リスク比0.86)、全てのがん発症リスク(リスク比0.96)、結腸直腸がん発症リスク(リスク比0.91)も低かった…!
- 高血圧や認知機能、腎臓病、関節リウマチ、生活の質などはよく分からなかった
とのこと。
また多くの研究でバイアスリスクが中程度だったらしく、信頼度は全体的に低めだったそうです。
ということで、2016年時点では
- 脂肪を制限しない地中海式ダイエットは、心血管疾患、乳がん、2型糖尿病のリスクを減らせるかも…?
といった感じ。
個人的には、地中海式ダイエットの基本さえ押さえておけば、特に脂肪の摂取にこだわる必要はないのかな~と思いますが。
2016年時点での地中海式ダイエットと認知機能・認知症の研究結果をまとめてみた…!
2016年のキングス・カレッジ・ロンドンの研究によると、地中海式ダイエットと認知機能・認知症の関係について系統的レビューを行ってみたそうです。
そもそも先行研究で、地中海式ダイエットにより認知機能低下や認知症を防ぐ可能性があるかもって結果は出ていたんですが、はっきりとしたことが言えなかったんですよね。
そのため、この度2016年時点での研究結果をまとめてみることにしたんだとか。
ということでまず研究者たちは、1806年から2015年5月25日までに発表された該当研究をPubMedやEmbase、CINAHL、CENTRAL、PsycINFOで検索してみたそうな。続いてその中から基準を満たす質の高い研究をピックアップしていったらしい。
その結果、32件の研究が選ばれたんだとか。因みに32件の内訳は、
とのこと。
これらのデータをまとめてみたところ、ほとんどの研究で地中海式ダイエットにより、
- 認知機能が改善…!
- 認知障害リスクが低下…!
- 認知症リスクやアルツハイマー病リスクが低下…!
って感じだったそうな。
いや~やっぱ脳に良いみたいですねー。
但し注意点もございまして、
- 3件の研究では、地中海式ダイエットとアルツハイマー病リスクの低下に関係はなかった
- 3件の研究では、地中海式ダイエットと認知障害リスクの低下に関係はなかった
- 5件の研究では、地中海式ダイエットと認知機能の改善に関係はなかった
- 結果のばらつきや研究の質もかなり大きかった
そうです。まだはっきりとは言えないってことですね。
但し、それでも研究者は、地中海式ダイエットで認知機能がアップすると結論付けておりました。
そして残る一番の問題は因果関係ですね。
つまり、
- 地中海式ダイエットを行うと、脳機能がアップする
- 元々脳機能が高い人は、健康に気を遣う人が多いからそれで地中海式ダイエットを実践している人が多い
のどっちなのかが分からないってことです。
確かにどっちもありそうだと言えますな。
地中海式ダイエットの心血管疾患リスク軽減効果はやっぱりありそう…!しかも40%も低くなる可能性が…!
2017年のカターニア大学の研究によると、地中海式ダイエットで心血管疾患リスクを減らせるのかメタ分析で調べてみたそうです。
そもそも先行研究により、地中海式ダイエットで心血管疾患(CVD)の発症リスクと死亡リスクを軽減させることが出来ると出ていましたが、まだ決め手に欠ける感じでした。そのため研究者たちは、コホート研究とランダム化比較試験でメタ分析を行いどうなのかチェックしてみることにしたんだとか。
流れは、PubMedっていうデータベースを用いて2014年6月までに発表された該当する先行研究を検索し、その後、質の高い研究を選んでいった感じ。
最終的に選ばれた研究は17件でして、それらをメタ分析にかけてみた結果、地中海式ダイエットを忠実に守っていた人は、
- 心血管疾患の発症リスクが24%(相対リスク0.76)低かった…!
- 心血管疾患の死亡リスクが24%(相対リスク0.76)低かった…!
- 冠状動脈性心疾患の発症リスクが28%(相対リスク0.72)低かった…!
- 心筋梗塞の発症リスクが33%(相対リスク0.67)低かった…!
- 脳卒中の発症リスクが24%(相対リスク0.76)低かった…!
とのこと。
やっぱり心血管疾患に良さげですな。
また、この研究では地中海式ダイエットのどの食品がポイントなのかもチェックしておりまして、
だったみたい。
更にRCTの結果のみでチェックすると、上記結果のリスクが平均40%も低くなるそうで、もしかしたら地中海式ダイエットの効果は今分かっている以上かもしれないっぽい…。
オメガ3脂肪酸も地中海式ダイエットも脳に良さそう…!
2017年のバルセロナ大学の研究によると、オメガ3脂肪酸と地中海式ダイエットで加齢に伴う認知機能低下を遅らせることが出来るのか系統的レビューで調べてみたそうです。
そもそも先行研究により、オメガ3脂肪酸も地中海式ダイエットも脳に良いって結果が出ておりますが、加齢による認知機能低下に効くのかははっきり分かっていなかったんですよね。そこで今回、これまでの先行研究の結果をまとめてみることにしたんだとか。
ということでまず研究者たちは、2000年1月~2015年5月までに発表されている該当研究をPubmedやWeb of Science(MEDLINE)、CINHALで検索してみたそうな。またその際、選ぶ基準として、観察研究とランダム化比較試験に絞ったらしい。
次にその中から質の高い研究をピックアップしたそうで、最終的には24件の研究が選ばれたんだとか。
この24件の研究結果をまとめてみたところ、以下の傾向があったそうです。
- オメガ3脂肪酸:全体的な認知機能や一部の認知機能の向上と関係があった…!但し一部の結果は矛盾もしていた。
- 地中海式ダイエット:認知機能の向上や認知機能低下の軽減と関係があった…!
つまり、オメガ3脂肪酸も地中海式ダイエットも脳に良さそうです。
まぁ、地中海式ダイエットは魚も食べよう…!ってコンセプトなんでどちらをとってもプラスになりそうな感じ。それに対して、例えばオメガ3脂肪酸のサプリメントのみを取って認知機能がプラスになるのかと言いますと、ちょっとはっきりは言えないみたいです。
地中海式ダイエットの健康効果について1280万人以上を対象に調べてみた…!
2017年のフィレンツェ大学の研究によると、地中海式ダイエットの健康効果についてアンブレラレビューで調べてみたそうです。
アンブレラレビューは非常に質の高い研究なんで参考になりそうですな。
ということでまず研究者たちは、すでに発表されている地中海式ダイエットと健康リスクの関係を調べた観察研究とランダム化比較試験のメタ分析を検索してみたそうな。続いてその中から質の高い物をピックアップしていったらしい。
最終的に基準を満たしたメタ分析は29件でして、その内訳は、
- 観察研究のメタ分析:13件
- ランダム化比較試験のメタ分析:16件
って感じ。
そしてこれらの総サンプル数は脅威の12,800,000人以上とのこと。いや~ここまで大規模なのはアンブレラレビューのなせる業ですな。
その結果、地中海式ダイエットの健康効果については、
- ほぼ間違いなし…!
- 期待できるかも…?
- よく分からん…!
の3段階に分かれたみたい。
それではまず、ほぼ間違いなし…!ってものを見てみましょう。
- 全死亡リスクの低下
- 心血管疾患(CVD)リスクの低下
- 冠状動脈性心疾患(CHD)リスクの低下
- 心筋梗塞(MI)リスクの低下
- 全てのがん発症リスクの低下
- 神経変性疾患(アルツハイマー病やパーキンソン病など)リスクの低下
- 糖尿病リスクの低下
- 膀胱がん
- 子宮内膜がん(子宮体がん)
- 卵巣がん
- LDLコレステロール
いや~これだけ大規模な研究で、特定の食事法の健康メリットが高いと出るのは珍しいので、やっぱり地中海式ダイエットはオススメですね。
地中海式ダイエットで骨密度アップ・足腰の骨折リスクが減る…!
2017年のテヘラン医科大学の研究によると、地中海式ダイエットが骨密度や骨折リスクにどのような影響をもたらすのか観察研究の系統的レビュー・メタ分析で調べてみたそうです。
まず研究者たちは、2016年6月までに発表されている該当研究をPubMedやScopus、Web of Science、Google Scholarで検索してみたそうな。次のその中から質の高い研究をピックアップしていったみたい。
最後にピックアップした研究3件をメタ分析にかけてみた結果、以下のことが分かったんだとか。
- 地中海式ダイエットで股関節の骨折リスクの21%(RR0.79)も低くなっていた…!
- 地中海式ダイエットを忠実に守っていた人はそうでない人と比較して、腰椎、大腿骨頸部、股関節全体の骨密度が有意に高かった…!
- 地中海式ダイエットを忠実に守れば守るほど、股関節の骨折リスクは低くなっていた(地中海式ダイエットの1ポイントの増加は股関節の骨折リスクを5%減少させていた)
つまり、地中海式ダイエットで骨密度がアップし、足腰の骨折リスクが減る…!ってことですね。
まぁ、この研究のメタ分析は研究数が少ないこと、観察研究を使っていることを踏まえると、まだまだ間違いなし…!とは言えません。
しかし、地中海式ダイエットが健康に良いのは間違いないので試しても損はないのかと思います。
年齢に限らず地中海式ダイエットで脳機能低下リスク、アルツハイマー病リスクを下げられそう…!
2017年のクイーンズランド大学の研究によると、地中海式ダイエットと認知症の関係について系統的レビューを行ってみたそうです。
ということでまず研究者たちは、2017年1月までに発表された地中海式ダイエットと認知機能にまつわる研究をPubmed・MEDLINEやScience direct、Scopus、EBSCOhostなんかで検索してみたそうな。
その結果、
- Pubmed・MEDLINE:193件
- Science direct:41件
- EBSCOhost:57件
- Scopus:183件
がヒットしたらしい。
続いてこの474件の中から、重複しているものや質の低い研究を除いていったみたい。
その結果、最終的に31件の研究が基準を満たしていたそうです。
んで、この31件の研究のポイントをまとめてみますと以下な感じでした。
- 地中海式ダイエットと認知機能の関係を調べた横断研究を見てみると、6件のうち3件の研究で有意な関係があり、3件の研究で関係なしという結果だった。
- 地中海式ダイエットと認知機能の関係を調べたランダム化比較試験を見てみると、認知機能が改善していた。特に大事なのはオリーブオイル、もっといえばエクストラバージンオリーブオイルだった。
- 地中海式ダイエットと認知機能の関係を調べた縦断研究を見てみると、地中海地域・地中海地域以外のどちらの研究でも認知機能低下が減少していた。
- 地中海式ダイエットとアルツハイマー病リスクの関係を調べた研究を見てみると、5件の研究でアルツハイマー病リスクにプラスの影響があると分かった。
- その他として、年齢は長期間の地中海式ダイエットと認知機能の関係に影響を与えるものではなさそうだと分かった。
- また、男性に比べ女性の方が地中海式ダイエットの効果が小さい可能性があった。これは女性ホルモンの変化が関係していそう。
つまり、地中海式ダイエットは脳機能低下リスク、アルツハイマー病リスクを下げる効果がありそうってことですね。また年齢に限らず実践すれば効果がありそうってのもうれしい話ですな。
2014年の地中海式ダイエットとがんリスクの研究の2度目のアップデートを見てみよう…!
2017年のドイツ人間栄養研究所の系統的レビュー・メタ分析によると、地中海式ダイエットとがんリスクの関係について調べてみたそうです。
この研究は上記で紹介した2014年のウィーン大学の研究について、二度目のアップデートをしてみよう…!ってものとなっております。因みに一度目のアップデートは2015年のウィーン大学の研究でして、こちらもすでにご紹介済みですよね。因みに因みにこれらはいずれも同じ研究者が行っております。
ということでまず研究者たちは、2017年8月25日までに発表された地中海式ダイエットとがんリスクの関係を調べた研究をPubMedとScopusというデータベースを用いて検索してみたそうな。すると957件の研究が見つかったとのこと。
次にこの中から基準を満たす質の高い研究を選んで行ったらしい。その結果、83件の研究を選ぶことが出来たんだとか。
この83件の総サンプル数は2,130,753人でして、これらのデータを基に系統的レビューとメタ分析を行ってみたそうです。
結果、地中海式ダイエットを忠実に守る人ほど、
結果、地中海式ダイエットを忠実に守る人ほど、
- 全てのがん死亡リスク(1件のRCT):25%低かった…!
- 全てのがん死亡リスク(14件の前向きコホート研究 ):14%低かった…!
- 結腸直腸がんリスク(以下11件をまとめた):18%低かった…!
- 結腸直腸がんリスク(6件の前向きコホート研究):14%低かった…!
- 結腸直腸がんリスク(5件のケース・コントロール研究):29%低かった…!
- 乳がんリスク(1件のRCT):57%低かった…!
- 乳がんリスク(以下16件をまとめた):8%低かった…!
- 乳がんリスク(7件の前向きコホート研究):6%低かった…!
- 乳がんリスク(9件のケース・コントロール研究):11%低かった…!
- 前立腺がんリスク(以下6件をまとめた):4%低かった…!
- 前立腺がんリスク(3件の前向きコホート研究):4%低かった…!
- 前立腺がんリスク(3件のケース・コントロール研究):10%低かった…!
- 胃がんリスク(以下4件をまとめた):28%低かった…!
- 胃がんリスク(2件の前向きコホート研究):18%低かった…!
- 胃がんリスク(2件のケース・コントロール研究):35%低かった…!
- 肝臓がんリスク(以下2件をまとめた):42%低かった…!
- 肝臓がんリスク(1件の前向きコホート研究):38%低かった…!
- 肝臓がんリスク(1件のケース・コントロール研究):49%低かった…!
- 食道がんリスク(以下2件をまとめた):51%低かった…!
- 食道がんリスク(1件の前向きコホート研究):32%低かった…!
- 食道がんリスク(1件のケース・コントロール研究):74%低かった…!
- 頭頸部がんリスク(1件のRCT):86%低かった…!
- 頭頸部がんリスク(以下7件をまとめた):51%低かった…!
- 頭頸部がんリスク(1件の前向きコホート研究):39%低かった…!
- 頭頸部がんリスク(6件のケース・コントロール研究):54%低かった…!
- 子宮内膜がん(子宮体がん)リスク(以下3件をまとめた):28%低かった…!
- 子宮内膜がん(子宮体がん)リスク(1件の前向きコホート研究):2%低かった…!
- 子宮内膜がん(子宮体がん)リスク(2件のケース・コントロール研究):39%低かった…!
- 肺がんリスク(1件のRCT):101%も増えていた…。
- 肺がんリスク(3件の前向きコホート研究):29%低かった…!
- 膀胱がんリスク(2件の前向きコホート研究):15%低かった…!
- 膵臓がんリスク(以下2件をまとめた):31%低かった…!
- 膵臓がんリスク(1件の前向きコホート研究):1%低かった…!
- 膵臓がんリスク(1件のケース・コントロール研究):52%低かった…!
- 胆嚢がんリスク(1件の前向きコホート研究):58%低かった…!
- 胆道がんリスク(1件の前向きコホート研究):56%低かった…!
- 卵巣がんリスク(1件の前向きコホート研究):9%低かった…!
- 悪性リンパ腫(血液がん)リスク(1件のケース・コントロール研究):10%低かった…!
- がん生存者の死亡リスク(4件の前向きコホート研究):5%低かった…!
- がん生存者の再発リスク(1件の前向きコホート研究):39%低かった…!
とのこと。
黄色+太字の物は期待しても良いかも…?って感じですね。その他はまだまだ今後の研究に期待といったところ。また、がん生存者の死亡リスク、再発リスクは統計的に有意差はなかったそうなんで、ここはあんま期待できそうにないですね。
では地中海式ダイエットの何がそこまでガンに効いているかというと、以下の3つが重要だったらしい。
因みに、魚やナッツ、オリーブオイルの摂取量は有意差なしってことなんで、これは謎な結果でしたね。まぁ、果物と野菜を積極的に摂っておいて間違いないのは分かりますが…。
観察研究を使ったものがほとんどなんで、もうちょいRCTが欲しい所ですが、それでもいくつかのガンに効きそうなのは嬉しいですね。
地中海式ダイエットで、心血管疾患リスクが19%、冠状動脈性心疾患・急性心筋梗塞リスクが30%、脳卒中リスクが27%も低くなる…!
2017年のミラノ大学の研究によると、地中海式ダイエットと心血管疾患リスクについて、観察研究の系統的レビュー・メタ分析を行ってみたそうです。
まず研究者たちは、地中海式ダイエットと心血管疾患リスクの関係を調べた先行研究をデータベースを用いて検索してみたそうな。続いてその中から質の高い研究をピックアップしていったらしい。
最終的に基準を満たした研究は29件だったそうで、これらを用いて系統的レビューとメタ分析を行ってみたんだとか。
結果、地中海式ダイエットを最も忠実に守っていた人は、そうでない人に比べて、
- 心血管疾患リスクが19%も低かった…!
- 冠状動脈性心疾患・急性心筋梗塞リスクが30%も低かった…!
- 上記結果は、研究デザインや性別、地域などの変数を調整しても変わらなかった…!
- 脳卒中リスクが27%も低かった…!
とのこと。
心臓・血管・脳の健康リスクに地中海式ダイエットは良さそうですねー。
地中海式ダイエットを忠実に実践するほど、加齢による心身の老化を防げる…!
2018年のユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの前向きコホート研究の系統的レビュー・メタ分析によると、地中海式ダイエットでフレイルを防ぐことが出来るのか調べてみたそうです。
フレイルってのは、年を取って心身が老いることを言いまして、放っておくとみるみるQOLが落ちていっちゃうんですな。ここに地中海式ダイエットが使えるんじゃないかとなって今回チェックしてみることにしたみたい。
ということでまず研究者たちは、2017年9月14日までに発表された地中海式ダイエットとフレイルの研究をEmbaseやMEDLINE、CINAHL、PsycINFO、コクランライブラリで検索してみたそうな。また検索された研究の参考文献なんかもチェックしたらしい。その結果、125件の研究が見つかったとのこと。次にこの125件の中から基準を満たす研究をピックアップしていったそうで、最終的に4件の研究が基準を満たしていたそうです。
因みにこの4件の研究の内訳は、
- 総サンプル数:平均年齢60歳以上の高齢者5,789人
- 平均追跡期間:3.9年
だったみたい。
これらのデータから分かったことは、
- 地中海式ダイエットをちゃんと実践していたグループは、フレイル発症リスクが56%も低かった…!
- 地中海式ダイエットをまぁまぁ実践していたグループは、フレイル発症リスクが38%も低かった…!
とのこと。
4件のみの研究で系統的レビューとメタ分析を行っている為、小規模ではありますが、地中海式ダイエットを忠実に実践するほど、加齢による心身の老化を防げるってのは嬉しい話ですね。
地中海式ダイエットとフレイルの関係について調べてみた…!
2018年の四川大学の研究によると、地中海式ダイエットとフレイルの関係について系統的レビュー・メタ分析を行ってみたそうです。
まず研究者たちは、2017年10月までに発表された地中海式ダイエットとフレイルの研究をMEDLINEやEMBASE、コクランといったデータベースで検索してみたそうな。すると319件の研究が見つかったとの事。
次にこの中から、重複している物やフレイルの定義がない物、地中海式ダイエットの説明がない物なんかを除外していったそうで、最終的には6件の研究が基準を満たしていたらしい。
この6件の研究のうち、5件は前向きコホート研究で、残りの1件は横断研究だったみたい。また前向きコホート研究の平均追跡期間は2~8年ということでした。因みに参加者の平均年齢は61.2~83歳の間だったそうです。
メタ分析には上記の5件の前向きコホート研究が用いられたそうで総サンプル数は10,210人となっておりました。
それでは結果を見てみましょう…!
どうやら、地中海式ダイエットでフレイルを防げそうな感じですね。
但し、メタ分析としては小規模である点や人種による違いがもしかしたらあるかもしれないのは注意ですな。
まず研究者たちは、2017年10月までに発表された地中海式ダイエットとフレイルの研究をMEDLINEやEMBASE、コクランといったデータベースで検索してみたそうな。すると319件の研究が見つかったとの事。
次にこの中から、重複している物やフレイルの定義がない物、地中海式ダイエットの説明がない物なんかを除外していったそうで、最終的には6件の研究が基準を満たしていたらしい。
この6件の研究のうち、5件は前向きコホート研究で、残りの1件は横断研究だったみたい。また前向きコホート研究の平均追跡期間は2~8年ということでした。因みに参加者の平均年齢は61.2~83歳の間だったそうです。
メタ分析には上記の5件の前向きコホート研究が用いられたそうで総サンプル数は10,210人となっておりました。
それでは結果を見てみましょう…!
- 地中海式ダイエットを最も忠実に実践していた高齢者は、そうでない高齢者に比べて、フレイルのリスクが44%(RR0.56)も低かった…!
- 西洋人の高齢者を対象にした研究4件をまとめてみると、地中海式ダイエットの実践でフレイルのリスクが52%(RR0.48)も低かった…!
- しかし、アジア人の高齢者を対象にした中国の研究では、地中海式ダイエットの実践とフレイルのリスク低下に関係性がなかった(RR1.06)
どうやら、地中海式ダイエットでフレイルを防げそうな感じですね。
但し、メタ分析としては小規模である点や人種による違いがもしかしたらあるかもしれないのは注意ですな。
地中海式ダイエットはフレイルや機能障害に効果がありそう…!
2018年のブラジリア大学の研究によると、加齢によるフレイルや機能障害、筋骨格系の低下に地中海式ダイエットが有効なのか系統的レビューとメタ分析を用いて調べてみたそうです。
まず研究者たちは、MEDLINE(PubMed経由)やEMBASE、Web of Science、Scopus、CINAHL、LILACS、SciELO、Google Scholar、ProQuestというデータベースを用いて、2016年9月8日~2016年11月28日の間に該当する研究がないか検索してみたそうです。すると1,667件もの研究が検索にひっかかったとのこと。次にこの中から重複している物や質の低い研究を除外していったそうで、最終的に基準を満たしていたものは12件の研究だったんだとか。
この12件の研究の概要は、
- 12件中8件は縦断研究だった(サンプル数:12,230人)
- 12件中4件は横断研究だった(サンプル数:8,288人)
- 総サンプル数は20,518人だった
- 平均追跡期間は3.5年~9年の間だった
- 平均年齢は68歳~84歳の間だった
とのこと。
これらのデータを用いてメタ分析にかけてみた結果、地中海式ダイエットをちゃんと実践している人ほど、
- フレイルが58%(OR0.42)も低かった…!
- 機能障害が25%(OR0.75)も低かった…!
- 筋骨格系の低下は各研究の特徴が大きく異なりメタ分析が出来なかった。縦断研究では効果がないと出ており、一方、横断研究では効果があると出ていた…!
そうです。
筋骨格系の低下については良くわかりませんが、フレイルや機能障害には効果がありそうな感じですな。
アンブレラレビューでも地中海式ダイエットの実践で主要な慢性疾患リスクが予防改善されると出た…!
2018年のドイツ人間栄養研究所の研究によると、地中海式ダイエットと慢性疾患リスクの関係についてアンブレラレビューを用いて調べてみたそうです。
これまで見てきたように、地中海式ダイエットと慢性疾患リスクの関係を調べたメタ分析ってのはいくつもあるんですが、結果は同じものの、統計的なばらつきが意外と大きかったそうな。例えばある地中海式ダイエットと2型糖尿病の関係を調べた研究では26%~82%という範囲だったらしい。
そのため、今回、アンブレラレビューを用いて、地中海式ダイエットと主要な慢性疾患である、2型糖尿病、心血管疾患、がん、認知障害の関係を調べてみることにしたんだとか。
ということでまず研究者たちは、2018年3月27日までに発表されたメタ分析をPubMedとEmbaseで検索してみたそうな。次にその中から基準を満たす質の高い研究をピックアップしていったらしい。その結果、27のメタ分析を含む14件の研究が基準を満たしていたそうです。
これらを用いて、アンブレラレビューを行ってみた結果、地中海式ダイエットを忠実に実践していた人は、そうでない人に比べて、
とのこと。
やっぱり地中海式ダイエットの実践で主要な慢性疾患リスクの予防改善になりそうですな。但し研究者によれば、個々のメタ分析の品質が低~中程度だったそうなんで、この辺は今後の研究に期待ですね。
これまで見てきたように、地中海式ダイエットと慢性疾患リスクの関係を調べたメタ分析ってのはいくつもあるんですが、結果は同じものの、統計的なばらつきが意外と大きかったそうな。例えばある地中海式ダイエットと2型糖尿病の関係を調べた研究では26%~82%という範囲だったらしい。
そのため、今回、アンブレラレビューを用いて、地中海式ダイエットと主要な慢性疾患である、2型糖尿病、心血管疾患、がん、認知障害の関係を調べてみることにしたんだとか。
ということでまず研究者たちは、2018年3月27日までに発表されたメタ分析をPubMedとEmbaseで検索してみたそうな。次にその中から基準を満たす質の高い研究をピックアップしていったらしい。その結果、27のメタ分析を含む14件の研究が基準を満たしていたそうです。
これらを用いて、アンブレラレビューを行ってみた結果、地中海式ダイエットを忠実に実践していた人は、そうでない人に比べて、
- 2型糖尿病リスクが13%(RR0.87)、23%(RR 0.77)も低かった…!
- 心血管疾患リスクが19%(RR0.81)~27%(RR0.73)も低かった…!
- 冠状動脈性心疾患リスクが28%(RR0.72)も低かった…!
- 心筋梗塞リスクが33%(RR0.67)も低かった…!
- 急性心筋梗塞リスクが26%(RR0.74)も低かった…!
- 脳卒中リスクが23%(RR0.77)も低かった…!
- がんの死亡リスクが14%(RR0.86)も低かった…!
- がんの発症リスクが4%も低かった…!
- 軽度認知障害リスクが31%(RR0.69)も低かった…!
- アルツハイマー病リスクが40%(RR0.60)も低かった…!
- 認知症発症リスクとの関係性は見当たらなかった。
とのこと。
やっぱり地中海式ダイエットの実践で主要な慢性疾患リスクの予防改善になりそうですな。但し研究者によれば、個々のメタ分析の品質が低~中程度だったそうなんで、この辺は今後の研究に期待ですね。
変形性関節症の発症リスクの低下や生活の質の改善、痛みの低下があった…!
2018年のベルヴィッジ大学病院の研究によると、地中海式ダイエットと変形性関節症の関係について系統的レビューを行ってみたそうです。
そもそも変形性関節症(OA)とは、関節の痛みや朝のみに起こるこわばりなどでして、2017年のノースカロライナ大学チャペルヒル校の研究によれば、世界中で2億4,000万人の方が罹患しているんだそうな。そして、男性の約10%、女性の約18%が症状に苦しんでいるらしい。
そんな変形性関節症ですが、地中海式ダイエットで症状の予防・改善を行う事が出来る可能性があるみたい。
というのも、地中海式ダイエットは抗酸化・抗炎症作用のあるポリフェノールを多く含む食材をメインに食べるんで、軟骨の破壊や筋骨格系の炎症を防ぐ可能性があるんですな。
でも、その辺の事はあんまりよくわかっていなかったんで、この度、系統的レビューとしてまとめてみることにしたそうです。
ということでまず研究者たちは、2017年12月までに発表された地中海式ダイエットと変形性関節症の研究をEMBASEで検索してみたそうな。すると8件の研究がヒットしたとの事。
続いてこの中から、基準を満たす研究を選んでいったそうで、最終的には3件の研究がピックアップされたんだとか。因みにこの3件の研究の内訳は、
って感じでして、横断研究のサンプル数は4000人以上、ランダム化比較試験のサンプル数は124人だったみたい。
これらのデータを用いて大きな結論を出したそうです。
結果、地中海式ダイエットを実践していた人は、
とのこと。
つまり地中海式ダイエットの実践により、変形性関節症の発症リスクの低下や生活の質の改善、痛みの低下があったってことですね。これは良いですな~。
但し、この系統的レビューはわずか3件のみをまとめたものなんで、その辺は注意っすね。
そもそも変形性関節症(OA)とは、関節の痛みや朝のみに起こるこわばりなどでして、2017年のノースカロライナ大学チャペルヒル校の研究によれば、世界中で2億4,000万人の方が罹患しているんだそうな。そして、男性の約10%、女性の約18%が症状に苦しんでいるらしい。
そんな変形性関節症ですが、地中海式ダイエットで症状の予防・改善を行う事が出来る可能性があるみたい。
というのも、地中海式ダイエットは抗酸化・抗炎症作用のあるポリフェノールを多く含む食材をメインに食べるんで、軟骨の破壊や筋骨格系の炎症を防ぐ可能性があるんですな。
でも、その辺の事はあんまりよくわかっていなかったんで、この度、系統的レビューとしてまとめてみることにしたそうです。
ということでまず研究者たちは、2017年12月までに発表された地中海式ダイエットと変形性関節症の研究をEMBASEで検索してみたそうな。すると8件の研究がヒットしたとの事。
続いてこの中から、基準を満たす研究を選んでいったそうで、最終的には3件の研究がピックアップされたんだとか。因みにこの3件の研究の内訳は、
って感じでして、横断研究のサンプル数は4000人以上、ランダム化比較試験のサンプル数は124人だったみたい。
これらのデータを用いて大きな結論を出したそうです。
結果、地中海式ダイエットを実践していた人は、
- 膝の変形性関節症の発症リスクが有意に(OR0.83)低かった…!
- 特にシリアルの摂取量の増加が膝の変形性関節症の発症リスクの低下と関係していた(OR0.76)
- 変形性関節症による生活の質の低下が有意に低かった…!
- 両膝の痛みが有意に低かった…!
- 膝の動きと股関節の可動域が対照グループよりも優れていた…!
とのこと。
つまり地中海式ダイエットの実践により、変形性関節症の発症リスクの低下や生活の質の改善、痛みの低下があったってことですね。これは良いですな~。
但し、この系統的レビューはわずか3件のみをまとめたものなんで、その辺は注意っすね。
地中海式ダイエットで死亡リスクが25%も低くなる…!スコアが1ポイント上がると全死亡リスクが5%下がる…!
2018年のIRCCSニューロメッド地中海神経学研究所の研究によると、地中海式ダイエットで寿命が延びるのか前向きコホート研究とメタ分析を行ってみたそうです。
なんでもこの時点では、高齢者を対象とした地中海式ダイエットと死亡率の関係を調べたメタ分析がなかったそうで、この度調べてみることにしたらしい。
ということで、まずは前向きコホート研究を見てみましょう。
今回研究者たちは、モリサニ研究っていうデータセットを使ったそうで、これは、イタリア南部地域に住む35歳以上の男女を対象とした前向きコホート研究とのこと。因みにモリサニ研究の主な目的は病気の発症リスクにおける遺伝と環境要因の調査らしい。
んで、 2005年3月~2010年4月までに24,325人が参加したそうで、そのうち今回の研究で使える65歳以上の参加者データは5,831人だったそうな。
この参加者から異常なカロリー摂取量の人や質の低いアンケート結果のもの、追跡調査が出来なかった人などを除外していったそうで、最終的なサンプル数は5,200人になったんだとか。
また追跡調査は2015年12月31日まで行われたそうで、追跡期間の中央値は8.1年だったそうです。その間、亡くなられた方は900人ということでした。
これらのデータを基に地中海式ダイエットと死亡率の関係を見てみたそう。
なんでもこの時点では、高齢者を対象とした地中海式ダイエットと死亡率の関係を調べたメタ分析がなかったそうで、この度調べてみることにしたらしい。
ということで、まずは前向きコホート研究を見てみましょう。
今回研究者たちは、モリサニ研究っていうデータセットを使ったそうで、これは、イタリア南部地域に住む35歳以上の男女を対象とした前向きコホート研究とのこと。因みにモリサニ研究の主な目的は病気の発症リスクにおける遺伝と環境要因の調査らしい。
んで、 2005年3月~2010年4月までに24,325人が参加したそうで、そのうち今回の研究で使える65歳以上の参加者データは5,831人だったそうな。
この参加者から異常なカロリー摂取量の人や質の低いアンケート結果のもの、追跡調査が出来なかった人などを除外していったそうで、最終的なサンプル数は5,200人になったんだとか。
また追跡調査は2015年12月31日まで行われたそうで、追跡期間の中央値は8.1年だったそうです。その間、亡くなられた方は900人ということでした。
これらのデータを基に地中海式ダイエットと死亡率の関係を見てみたそう。
結果、
とのこと。
因みに性別は関係ないっぽいみたい。
続いてメタ分析の方をチェックしていきましょう。
今回のメタ分析では、上記の結果と先行研究(前向きコホート研究)をまとめて行ったそうです。まず研究者たちは、2018年4月30日までに発表された該当研究をPubMed、EMBASEで検索したそうな。すると3,533件もの研究が見つかったらしい。
続いてこの中で重複している物や質の低い研究を除いて行ったそうで、最終的には6件の前向きコホート研究が基準を満たしていたんだとか。
この6件の研究と上記のモリサニ研究を合わせた7件の研究でメタ分析を行ってみたそうです。因みにサンプル数は11,738人で亡くなった方は3,874人おられました。
気になる結果を見てみますと、
とのこと。
いや~モリサニ研究の結果でもメタ分析の結果でも、地中海式ダイエットで寿命が延びていたみたいですね。素晴らしい…。
- 地中海式ダイエットを忠実に実践している人は、そうでない人に比べて、死亡リスクが25%も低かった…!
とのこと。
因みに性別は関係ないっぽいみたい。
続いてメタ分析の方をチェックしていきましょう。
今回のメタ分析では、上記の結果と先行研究(前向きコホート研究)をまとめて行ったそうです。まず研究者たちは、2018年4月30日までに発表された該当研究をPubMed、EMBASEで検索したそうな。すると3,533件もの研究が見つかったらしい。
続いてこの中で重複している物や質の低い研究を除いて行ったそうで、最終的には6件の前向きコホート研究が基準を満たしていたんだとか。
この6件の研究と上記のモリサニ研究を合わせた7件の研究でメタ分析を行ってみたそうです。因みにサンプル数は11,738人で亡くなった方は3,874人おられました。
気になる結果を見てみますと、
- 地中海式ダイエットスコアが1ポイント上がると、全死亡リスクが5%(4~7%)も下がっていた…!
とのこと。
いや~モリサニ研究の結果でもメタ分析の結果でも、地中海式ダイエットで寿命が延びていたみたいですね。素晴らしい…。
ということで特に高齢者の方々は地中海式ダイエットの実践、又は継続をしておくと良さそうです。
2018年1月時点での研究をまとめ、地中海式ダイエットと全死亡リスクについて調べてみた…!
2018年のアテネ大学の研究によると、地中海式ダイエットと全死亡リスクについてメタ分析を用いて調べてみたそうです。
そもそも地中海式ダイエットと健康・長寿の関係は多数の観察研究やランダム化比較試験で一貫して証明されております。また、2013年のフィレンツェ大学のメタ分析によると、2013年6月までに発表された研究を対象に調べた結果、地中海式ダイエットは健康リスクや死亡リスクの低下に役立つ食事パターンだと分かりました。
そもそも地中海式ダイエットと健康・長寿の関係は多数の観察研究やランダム化比較試験で一貫して証明されております。また、2013年のフィレンツェ大学のメタ分析によると、2013年6月までに発表された研究を対象に調べた結果、地中海式ダイエットは健康リスクや死亡リスクの低下に役立つ食事パターンだと分かりました。
但し、それから何年か経って新たな研究がいくつも発表されましたんで、今回、2018年1月までに発表された研究を対象に調べてみることにしたんだとか。
ということで、まず研究者たちは、上記の2013年のフィレンツェ大学のメタ分析で使われた2013年6月までの発表研究を使用しつつ、更に2017年12月にPubMedを用いて該当研究がないか検索してみたそうな。すると、この検索で264件の研究が見つかったらしい。
次にこの中から質の低い研究を除外していったそうで、最終的に30件の研究がピックアップされたとのこと。
この30件の研究の特徴は以下な感じ。
この30件の研究の特徴は以下な感じ。
- 総サンプル数は225,600人(死亡した方を含む)だった。
- 30件のうち7件はアメリカ、22件はヨーロッパ、1件はオーストラリアで行ったものだった。
それでは結果を見てみましょう。
やっぱ地中海式ダイエットは全死亡リスクを下げてくれるみたいですねー。
では地中海式ダイエットの何がポイントなのかですが、
という感じだったそうです。
- 地中海式ダイエットと全死亡リスクを比較したら、全ての研究で逆相関の関係があった…!
- 30件中16件は統計的に有意だった…!
- 30件中1件の研究のみ、有意ではない死亡リスクの増加(RR1.15)がみられた。
- 地中海式ダイエットを最も守っていた人は、そうでない人に比べて、全死亡リスクが21%(RR0.79)も低かった…!
- 地中海式ダイエットスコアが1ポイント増えると、全死亡リスクが8%(RR0.92)も低かった…!
やっぱ地中海式ダイエットは全死亡リスクを下げてくれるみたいですねー。
では地中海式ダイエットの何がポイントなのかですが、
という感じだったそうです。
う~ん。果物や野菜は分かりますが、ここ最近の研究を見ていると、アルコールはちょっと怪しいかな~と個人的に思いますね。また肉類についても加工肉かどうかが大きなポイントじゃないのかな~と思います。
欧州糖尿病学会のガイドラインを更新するために心血管疾患リスクとの関係を調べてみた…!
2019年のルビーラ・イ・ビルジーリ大学の研究によると、地中海式ダイエットと心血管疾患・糖尿病の関係について、前向きコホート研究とRCTの系統的レビュー・メタ分析で調べてみたそうです。
この研究は欧州糖尿病学会のガイドラインを更新するために行ったもので、心血管疾患(CVD)の発症リスクと死亡リスクの予防をチェックしたというもの。まず、2018年4月20日までに発表された該当研究をMedlineとEMBASEで、2018年5月7日までに発表された該当研究をコクランで、それぞれ検索してみたんだとか。
次に検索した物の中から、質の高い研究をピックアップしていったそうで、最終的には41件の研究が選ばれたみたい。この41件の研究の内訳は、
この研究は欧州糖尿病学会のガイドラインを更新するために行ったもので、心血管疾患(CVD)の発症リスクと死亡リスクの予防をチェックしたというもの。まず、2018年4月20日までに発表された該当研究をMedlineとEMBASEで、2018年5月7日までに発表された該当研究をコクランで、それぞれ検索してみたんだとか。
次に検索した物の中から、質の高い研究をピックアップしていったそうで、最終的には41件の研究が選ばれたみたい。この41件の研究の内訳は、
- ランダム化比較試験(RCT):3件
- 前向きコホート研究:38件
だったそうです。
これらのデータを用いてRCTのメタ分析を行った結果、以下の傾向がみられたそうな。
- 心血管疾患(CVD)の発症率:38%(RR0.62)ダウン…!
- 心筋梗塞(MI)の発症率:35%(RR0.65)ダウン…!
やっぱ地中海式ダイエットはこれらの予防に役立つみたいですな。
更にこの研究では、地中海式ダイエットを最も守っている人とそうでない人を比較した前向きコホート研究のメタ分析も行っておりまして、こちらの結果は、
- 心血管疾患(CVD)の死亡率:21%(RR0.79)ダウン…!
- 冠状動脈性心疾患(CHD)の発症率:27%(RR0.73)ダウン…!
- 冠状動脈性心疾患(CHD)の死亡率:17%(RR0.83)ダウン…!
- 脳卒中の発症率:20%(RR0.80)ダウン…!
- 脳卒中の死亡率:13%(RR0.87)ダウン…!
- 心筋梗塞(MI)の発症率:27%(RR0.73)ダウン…!
していたとのこと。
これらの結果から、糖尿病の患者さんを含めて地中海式ダイエットは心血管疾患の予防に役立つとしています。
地中海式ダイエットは、心糖尿病(肥満・メタボ・2型糖尿病・心血管疾患)に効果アリ…!
2019年のカタルーニャ公開大学の研究によると、心糖尿病の患者さんに地中海式ダイエットが本当におすすめなのか…?臨床診療ガイドライン開発の理論的枠組みを確立するために系統的レビューを行ってみたそうです。
以前にも登場しましたが、心糖尿病(心臓糖尿病:Cardiodiabesity)ってのは、2型糖尿病や肥満、メタボ、心血管疾患(CVD)をまとめた造語でして、これら4つの疾患は非常に似ており、相互に関係しております。そして心糖尿病の予防対策に地中海式ダイエットが良い…!って研究が増えてきているんですよね。
では、本当に医師が勧めて良い程効果があるのか…?ってことで今回先行研究の結果をまとめてみることにしたんだとか。
まず、上記で挙げた2014年の地中海式ダイエット財団の系統的レビューの検索にヒットした740件の研究にプラスして、2013年9月から2016年7月の間に発表された該当研究を検索してみたそうな。すると新たな検索で318件の研究がヒットしたらしい。
次にこの中から質の低い研究なんかを除外していったそうで、最終的に50件の研究がピックアップできたそうです。因みにこの50件の研究のうち、元の系統的レビューからは30件、新たな検索からは20件の研究が選ばれたみたい。
また50件の研究の心糖尿病の内訳は、
- 肥満研究:14件
- メタボ研究:12件
- 2型糖尿病研究:7件
- 心血管疾患研究:17件
ってことで、肥満研究を除き、2014年の地中海式ダイエット財団の系統的レビューよりも研究数が増えております。
それでは結果を見ていきましょう…!
【地中海式ダイエットは過体重や肥満患者の減量に役立つのか…?】
- 肥満と内臓脂肪を減らす…!
- 心血管疾患の発症率と死亡率も低下する…!
- これらのエビデンスレベルは「高」である…!
【地中海式ダイエットは2型糖尿病の発症リスク低下と予防に役立つのか…?】
- 健康な人の2型糖尿病の発症率を下げる…!
- 2型糖尿病患者さんの症状を軽減し、悪化を防ぐ…!
- これらのエビデンスレベルは「中」である…!
【地中海式ダイエットはメタボ患者やメタボ発症リスク低下に役立つのか…?】
- メタボリスクが減少する…!
- 健康な人のメタボリスクが低下する…!
- これらのエビデンスレベルは「中~高」である…!
【地中海式ダイエットは心血管疾患の予防と患者さんの症状改善に役立つのか…?】
- 心血管疾患リスクの高い人の発症率と死亡率が低下する…!
- 一般人口における心血管疾患の発症率と死亡率が低下する…!
- これらのエビデンスレベルは「高」である…!
【地中海式ダイエットは過体重や肥満でない人の体重増加や内臓脂肪増加を防ぐのに役立つのか…?】
- 一般人口における体重増加とBMIが低下する…!
- 一般人口におけるウエストをスリムにする…!
- これらのエビデンスレベルは「中~高」である…!
つまり、地中海式ダイエットは、心糖尿病(肥満・メタボ・2型糖尿病・心血管疾患)に効果アリ…!ってことですね。
う~ん。ダイエットに使えるし、健康にも良いと…。素晴らしい…。
ということで健康的にダイエットをしたいなら地中海式ダイエットはおすすめですね。
地中海式ダイエットの遵守率が2ポイント上昇するごとに全死亡リスクが10%減少していた…!
2019年のシャヒード・ベヘシュティー医科大学の研究によると、地中海式ダイエットと全死亡リスクの関係について前向きコホート研究の系統的レビュー・メタ分析で調べてみたそうです。
前提として、先行研究により、地中海式ダイエットで全死亡リスクが減少するってのは分かっております。例えば2014年のフィレンツェ大学のメタ分析によると、16件の前向きコホート研究をメタ分析にかけてみた結果、地中海式ダイエットの遵守率が2ポイント上昇するごとに全死亡リスクが8%減少していたんですな。しかし、それから何年か経ったんで、今回改めて調べ直してみよう…!となったみたい。
ということでまず研究者たちは、2018年8月24日までに発表された該当する先行研究をPubMed、Scopus、ISI Web of Knowledge、Embaseで検索してみたそうです。すると4,954件もの研究がヒットしたんだとか。次のこの中から、重複している物や質の低い物を除外したそうで、最終的には27件の研究を選べたとのこと。
この27件の研究には29件の前向きコホート研究が含まれておりまして、概要は以下な感じでした。
- 総サンプル数:1,676,901人
- 亡くなった方の数:221,603人
- 追跡期間:4年~32年
- 研究の発表範囲:1995年~2018年
- 研究された国:アメリカ6件、ヨーロッパ18件、オーストラリア2件、中国1件
- 食事のチェック:ほとんどがFFQ(食事摂取頻度調査票)
これらのデータを基にメタ分析にかけてみた結果、
- 地中海式ダイエットの遵守率が2ポイント上昇するごとに全死亡リスクが10%(HR0.90)減少していた…!
- 地中海に住む人は他の地域に住む人よりも全死亡リスクの有意な逆相関がより強かった(HR0.82、0.92)…!
- 全死亡リスクは地中海式ダイエットの遵守率の上昇とともに線形に減少していた…!
とのこと。
前回の研究同様、地中海式ダイエットで全死亡リスクは減るみたいですね。しかも前回より2%減少率がアップしているなんて…。
ということで地中海式ダイエットは長寿への手助けになりそうです。
2014年の地中海式ダイエットとがんリスクの研究の3度目のアップデートを見てみよう…!
2020年のヴァルミア・マズールィ大学の研究によると、地中海式ダイエットとがんリスクの関係について系統的レビュー・メタ分析で調べてみたそうです。そもそもこの研究チームは過去に地中海式ダイエットとがんリスクの関係について調べて、更に2回のアップデートを行っております。
その詳細については、
をご覧いただくか上記の記事をご覧いただきたいと思います。
んで、最後のアップデートからあんまり期間が経っていないんですが、研究者によれば以下の理由から再度アップデートすることにしたらしい。
- 2017年のドイツ人間栄養研究所の系統的レビュー・メタ分析の発表以降、新たな前向きコホート研究とケース・コントロール研究がたくさん発表された。
- 新しい研究のいくつかには、以前になかったがんタイプについて調べていた。
これらの理由から、今回3度目のアップデートをすることに決めたそうです。
ということでまず研究者たちは、2020年4月までに発表された先行研究をランダム化比較試験(RCT)、ケース・コントロール研究、前向きコホート研究に絞って検索してみたそうな。因みにデータベースはPubMedとScopusを使用したとのこと。次に検索した物の中から重複したものを除いたそうで、3,720件の研究が残ったんだとか。その後、質の低い研究を除外していったそうです。更に2017年のドイツ人間栄養研究所の系統的レビュー・メタ分析で使われた83件の研究も再チェックしたらしい。
その結果、今回の検索により2017年のドイツ人間栄養研究所の系統的レビュー・メタ分析で使われなかった新たな研究が44件も見つかったそうな。これら44件の研究と前回の研究の再チェック後の研究を含めたところ、全部で117件の研究となり、総サンプル数は3,202,496人となったそうです。
では系統的レビュー・メタ分析の結果を見てみましょう。地中海式ダイエットを忠実に守る人は以下な感じだったそうです。
- 全てのがん死亡リスク(1件のRCT):25%低かった…!(エビデンスレベル小)
- 全てのがん死亡リスク(18件の前向きコホート研究 ):13%低かった…!(エビデンスレベル中)
- 胆道がんリスク(1件の前向きコホート研究):56%低かった…!(エビデンスレベル超小)
- 膀胱がんリスク(以下4件をまとめた):13%低かった…!
- 膀胱がんリスク(1件のケース・コントロール研究):34%低かった…!
- 膀胱がんリスク(3件の前向きコホート研究):11%低かった…!(エビデンスレベル小)
- 悪性リンパ腫(血液がん)リスク(以下4件をまとめた):6%低かった…!
- 悪性リンパ腫(血液がん)リスク(2件のケース・コントロール研究):11%低かった…!
- 悪性リンパ腫(血液がん)リスク(2件の前向きコホート研究):5%低かった…!(エビデンスレベル小)
- 乳がんリスク(1件のRCT):59%低かった…!(エビデンスレベル小)
- 乳がんリスク(以下23件をまとめた):6%低かった…!
- 乳がんリスク(11件のケース・コントロール研究):13%低かった…!
- 乳がんリスク(12件の前向きコホート研究):3%低かった…!(エビデンスレベル小)
- 結腸直腸がんリスク(以下17件をまとめた):17%低かった…!
- 結腸直腸がんリスク(7件のケース・コントロール研究):36%低かった…!
- 結腸直腸がんリスク(10件の前向きコホート研究):8%低かった…!(エビデンスレベル中)
- 子宮内膜がん(子宮体がん)リスク(以下4件をまとめた):33%低かった…!
- 子宮内膜がん(子宮体がん)リスク(3件のケース・コントロール研究):42%低かった…!
- 子宮内膜がん(子宮体がん)リスク(1件の前向きコホート研究):2%低かった…!(エビデンスレベル超小)
- 食道がんリスク(以下3件をまとめた):36%低かった…!
- 食道がんリスク(1件のケース・コントロール研究):74%低かった…!
- 食道がんリスク(2件の前向きコホート研究):15%低かった…!(エビデンスレベル超小)
- 胆嚢がんリスク(1件の前向きコホート研究):58%低かった…!(エビデンスレベル超小)
- 胃がんリスク(以下7件をまとめた):30%低かった…!
- 胃がんリスク(3件のケース・コントロール研究):37%低かった…!
- 胃がんリスク(4件の前向きコホート研究):23%低かった…!(エビデンスレベル小)
- 神経膠腫(グリオーマ)リスク(1件の前向きコホート研究):24%高かった…。(エビデンスレベル超小)
- 頭頸部がんリスク(以下9件をまとめた):44%低かった…!
- 頭頸部がんリスク(8件のケース・コントロール研究):46%低かった…!
- 頭頸部がんリスク(1件の前向きコホート研究):27%低かった…!(エビデンスレベル超小)
- 肝臓がんリスク(以下4件をまとめた):36%低かった…!
- 肝臓がんリスク(1件のケース・コントロール研究):49%低かった…!
- 肝臓がんリスク(3件の前向きコホート研究):33%低かった…!(エビデンスレベル小)
- 卵巣がんリスク(1件の前向きコホート研究):9%低かった…!(エビデンスレベル超小)
- 膵臓がんリスク(以下4件をまとめた):20%低かった…!
- 膵臓がんリスク(1件のケース・コントロール研究):52%低かった…!
- 膵臓がんリスク(3件の前向きコホート研究):8%低かった…!(エビデンスレベル超小)
- 前立腺がんリスク(以下11件をまとめた):2%低かった…!
- 前立腺がんリスク(5件のケース・コントロール研究):24%低かった…!
- 前立腺がんリスク(6件の前向きコホート研究):2%低かった…!(エビデンスレベル小)
- 肺がんリスク(5件の前向きコホート研究):16%低かった…!(エビデンスレベル小)
- 皮膚がんリスク(1件の前向きコホート研究):17%低かった…!(エビデンスレベル超小)
- がん生存者の全死亡リスク(8件の前向きコホート研究):25%低かった…!低い
- がん生存者のがん死亡リスク(4件の前向きコホート研究):4%低かった…!(エビデンスレベル超小)
- がん生存者の再発リスク(1件の前向きコホート研究):39%低かった…!(エビデンスレベル超小)
とのこと。
上記で黄色+太字の物はエビデンスレベルがまぁまぁって感じの物です。
続いて、有意差について見ていきます。
上記のガンリスクの中で有意に低かったものは以下な感じとのこと。
これに対して、有意差のなかったものは以下な感じとのこと。
- 全てのがん死亡リスク※
- がん生存者の全死亡リスク
- 乳がんリスク※
- 結腸直腸がんリスク※
- 頭頸部がんリスク
- 肺がんリスク※
- 胃がんリスク※
- 膀胱がんリスク※
- 肝臓がんリスク※
- 悪性リンパ腫(血液がん)リスク※
- 食道がんリスク
- 膵臓がんリスク
- 前立腺がんリスク※
※の付いたものは先程ご紹介したエビデンスレベルがまぁまぁの物です。
まとめると、
まとめると、
【信頼度が中ぐらいで効果がありそう】
- 全てのがん死亡リスク:13%~25%低そう…!
- 結腸直腸がんリスク:8%低そう…!
【信頼度が少ぐらいで効果がありそう】
- 膀胱がんリスク:11%低そう…!
- 乳がんリスク:3%~59%低そう…!
- 胃がんリスク:23%低そう…!
- 肝臓がんリスク:33%低そう…!
- 肺がんリスク:16%低そう…!
のような形となります。
これら以外はエビデンスレベルが低すぎてよく分からん、もしかしたら効果があるかも…?ってところか、そもそも有意差がなさそうって感じです。
こうやって同じ研究を何度もアップデートするものを追ってみていくのも結構面白いですよねー。
2020年時点で改めて調べてみたけどやっぱり地中海式ダイエットは認知機能低下予防と向上に効果的みたい…!
2020年のイタリア国立研究評議会(CNR)の研究によると、地中海式ダイエットが老後の認知障害にどのような影響をもたらすのか系統的レビューを行い調べてみたそうです。
まず研究者たちは、2020年5月4日までに発表された、該当するコホート研究とランダム化比較試験(RCT)をPubMedとScopusを使って検索してみたそうな。すると995件の研究が見つかったらしい。
続いてこの中から、重複している物や質の低い物を除外していったそうで、最終的には45件の研究がピックアップできたんだとか。この45件の研究のうち38件はコホート研究で7件はRCTとのこと。
また参加者はいずれも中高年の方を対象としておりまして、認知障害については、
- 認知機能の低下
- 認知能力と機能
- 軽度認知障害(MCI)
- アルツハイマー病
- 認知症
って感じだったみたい。
これらのデータをまとめてみた結果、地中海式ダイエットは、
- 認知機能低下に効果的だった…!
- 認知機能向上に効果的だった…!
- 軽度認知障害(MCI)の結果はバラバラだった。
- アルツハイマー病の結果はバラバラだった。
- 認知症に対してメリットがあるという証拠はなかった。
とのこと。
2020年時点で改めて調べてみると、過去の系統的レビューやメタ分析とちょっと結果が違ったみたい。但し、地中海式ダイエットが認知機能低下予防と向上に効果的だったのが改めて見られたのは大きいですね。
地中海式ダイエットが成人の過体重・肥満に効果的なのか調べた初のアンブレラレビューのお話
そもそも食事パターンと肥満の関係について先行研究では矛盾する結果が出ておりました。また、データベースで調べてみるとこれらについてのアンブレラレビューがなかったらしい。そこで今回研究者たちは、初のアンブレラレビューを行ってみることにしたんだとか。
ということで最初に1990年~2020年2月までに発表された該当する系統的レビューをMEDLINE、EMBASE、CINAHLで検索してみたそうな。またCochrane、Scopus、Web of Scienceでも検索しつつ、こちらで重複していた3,585件の研究を除いたらしい。
その結果、9,976件もの研究が見つかったそうな。次にこの中で、重複している研究、該当しない研究、質の低い研究なんかを除いていったそうで、最終的に基準を満たしていた系統的レビューは16件とのことでした。
この16件の特徴は以下な感じだったそうです。
- 2001年~2019年の間に発表されていた。
- 1975年~2015年の間に発表された合計201件の研究を系統的レビューしており、そのうちの143件は独自な物で、58件は重複していた。
- 研究した国は、ヨーロッパが85件(42.3%)、北米が61件(30.3%)、アジアが21件(10.4%)、中東が14件(7.0%)、南米が10件(5.0%)、アフリカが6件(3.0%)、オセアニアが4件(2.0%)だった。
- いずれの研究も18歳以上の方を対象にしていた。
- 個々の研究数は1件~32件の範囲だった。
- サンプル数は11,040人~946,977人の範囲だった。
ヨーロッパとアメリカが多いものの、割と世界中の場所の研究をピックアップできたみたいですね。大きな結論としてかなり期待して良さそうな感じ。
では気になる結果を見てみますかー。
初のアンブレラレビューでも、地中海式ダイエットで肥満予防効果が見られたみたいですね。これは嬉しいお話…。
この結果に研究者曰く、
- 地中海式ダイエットは、2年から9年の追跡調査で、一貫して過体重や肥満の有病率・発生率の低下と関連していた
としております。
体型維持には地中海式ダイエットがオススメですね…!
地中海式ダイエットと身体機能・認知機能の関係について調べてみた…!
2021年のカンピーナス州立大学の研究によると、高齢者における地中海式ダイエットと身体機能・認知機能の関係について系統的レビュー・メタ分析で調べてみたそうです。
まず研究者たちは、2021年5月19日までに発表された該当研究をMEDLINE、SCOPUS、CINAHL、AgeLineといったデータベースで検索してみたそうな。その結果1,405件もの研究が見つかったとのこと。次にこの中から重複している物や質の低い研究を除いていったそうで、最終的に19件の横断研究、34件の縦断研究がピックアップできたんだとか。
そしてそれぞれのデータの概要は以下な感じだったそうです。
これらのデータを基に、系統的レビューとメタ分析をそれぞれ行ったみたい。
ではまず横断研究の系統的レビューとメタ分析の結果から見ていきましょう。
地中海式ダイエットを実践していた人は、
- 歩行スピードが高かった(SMD=0.42)
- 膝の筋力が高かった(SMD=0.26)
- 全体的な認知機能が高かった(SMD=0.24)
- 記憶力が高かった(SMD=0.18)
とのこと。
横断研究の結果をまとめると、身体機能・認知機能ともに高かったみたいですね。
続いて縦断研究の系統的レビューとメタ分析の結果を見てみましょう。
地中海式ダイエットを実践していた人は、
- 全体的な認知機能の低下が少なかった(RR=0.26)
- 歩行スピードや軽度認知障害、認知症の間に有意な関連性は見当たらなかった
とのこと。
縦断研究の結果をまとめると、身体機能は特に変わらず、認知機能は低下を抑えられるみたいですね。
ということで、身体機能についてはもしかしたら効果があるかも…?認知機能については向上や低下予防が出来そう…!って感じでした。
心血管疾患の患者さんの場合でも地中海式ダイエットで全死亡リスク・心血管疾患による死亡リスクが下がる…!
2021年の大阪大学の研究によると、地中海式ダイエットと心血管疾患の患者さんの死亡リスクについて前向きコホート研究のメタ分析で調べてみたそうです。
そもそもこれまで見てきたように、地中海式ダイエットの実践で全死亡リスクや心血管疾患(CVD)による死亡リスクが下がることが分かっておりました。んがしかし、これらは健康な方を対象としておりまして、心血管疾患の患者さんを対象とはしていなかったんですよね。そこで今回研究者たちは、心血管疾患の患者さんを対象に地中海式ダイエットと全死亡リスク・心血管疾患による死亡リスクのメタ分析を初めて行うことにしたんだとか。
まず最初に、2020年8月31日までに発表された該当研究をEmbase、PubMed、Scopus、Web of Science、コクランで検索してみたそうです。すると973件の研究がヒットしたそうな。
続いて重複している物や質の低い物を除外していったそうで、最終的に7件の前向きコホート研究がピックアップできたらしい。この7件の研究の概要は、
- 発表時期:2003年~2019年の間
- サンプル数:心血管疾患の病歴のある方37,879人
- 平均追跡期間:3.8年~10.0年の間
となっておりました。
また、これらの研究は、性別や年齢、BMI、学歴、カロリー摂取量、喫煙の有無、高血圧といった変数は調整済みだったそうです。
ではメタ分析の結果を見てみましょう。
- 地中海式ダイエットのスコアが2ポイント上昇するごとに、全死亡リスクが15%(HR0.85)も有意に減少していた…!
- 地中海式ダイエットのスコアが2ポイント上昇するごとに、心血管疾患による死亡リスクが9%(HR0.91)も有意に減少していた…!
- 地中海地域の研究(HR0.76)は、他の地域の研究(HR0.95)よりも、効果が強かった…!
- 追跡期間が短い(7年未満でHR0.75)方が、追跡期間が長い(7年以上でHR0.94)よりも、効果が強かった…!
どうやら、心血管疾患の患者さんを対象にした場合でも、地中海式ダイエットの実践で、全死亡リスク・心血管疾患による死亡リスクの両方が下がったみたいですねー。
ということで、心疾患の病歴に関わらず地中海式ダイエットはおすすめです…!
地中海式ダイエットでオメガ3脂肪酸レベルがアップする…!
そもそも地中海式ダイエットを実践すると、魚や魚介類、ナッツ類などを積極的に摂取することになります。そしてこれらはオメガ3脂肪酸を多く含んでいるんですよね。但し、地中海式ダイエットで体内のオメガ3脂肪酸レベルが大幅にアップするのかどうか、今まで系統的レビューが行われていなかったそうな。そこで今回調べてみることにしたそうです。
ということでまず研究者たちは、該当する先行研究をMedline、Embase、Amed、CINAHLで検索してみたそうな。次に重複している物や質の低い研究を除外していったらしい。
最終的に基準を満たす研究は22件だったそうで内訳は、
- 観察研究:7件
- ランダム化比較試験(RCT):15件
とのことでした。
では結果を見てみましょう…!
- 7件の観察研究の結果全てで、地中海式ダイエットを忠実に実践すればするほど、体内のオメガ3脂肪酸レベルが高くなっていた…!
- 15件中10件のランダム化比較試験(RCT)で、地中海式ダイエットの実践により、体内のオメガ3脂肪酸レベルが有意に高くなっていた…!
つまり、地中海式ダイエットを実践することにより、オメガ3脂肪酸を積極的に摂取できる…!ってことですね。その結果オメガ3脂肪酸のレベルもアップすると…。
脳やメンタルなどオメガ3脂肪酸は重要なんでこれは良いお話ですな。
2021年4月までの研究をまとめた結果、地中海式ダイエットで2型糖尿病リスクが14%~21%ぐらい下がる…!忠実に実践すればするほどもっと下がる…!
2022年のテヘラン医科大学の研究によると、地中海式ダイエットと2型糖尿病リスクの関係について前向きコホート研究の系統的レビュー・メタ分析で調べてみたそうです。
これまでみてきたように地中海式ダイエットの実践で2型糖尿病リスクが下がることが分かっております。しかしその後も新たな大規模コホート研究が発表されているんですよね。また、用量反応関係もこれまでチェックしていなかったんで、その辺もよく分かっていなかったんだとか。そこで、今回改めて見てみることにしたらしい。
まず研究者たちは、2021年4月までに発表された地中海式ダイエットと2型糖尿病リスクの関係を調べた研究をPubMed、Scopus、ISI Web of Scienceで検索してみたそうな。次に検索した物の中から、重複している物や質の低い物を除外していったらしい。
すると、14件の前向きコホート研究がピックアップできたそうです。因みに総サンプル数は410,303人ってことでした。
これらのデータをメタ分析にかけてみた結果、
- 地中海式ダイエットを最も守っていた人は、そうでない人に比べて、2型糖尿病リスクが21%(RR0.79)も低かった…!
- 地中海式ダイエットのスコアが2ポイント上昇すると2型糖尿病リスクが14%(RR0.86)も低かった…!
とのこと。
因みに変数を調整しても有意差は残っており、地中海式ダイエットのスコアと2型糖尿病の発症率は逆相関の線形だったそうです。
地中海式ダイエットで腰椎や大腿骨、股関節、転子、全身の骨密度がアップする…!
2022年のイラン医科大学の研究によると、地中海式ダイエットと骨密度(BMD)の関係について観察研究の系統的レビュー・メタ分析で調べてみたそうです。
まず研究者たちは、2021年3月4日までに発表された地中海式ダイエットと骨密度(BMD)の研究をPubMed、Scopus、Web of Scienceで検索してみたそうな。またその際、成人の観察研究に的を絞って探したらしい。
その結果、8件の観察研究が見つかったんだとか。この8件の内訳は、
- 横断研究:7件
- 縦断研究:1件
って感じでして、総サンプル数は13,209人とのことでした。
これらのデータをメタ分析にかけてみたところ、
- 地中海式ダイエットスコアが2ポイント上昇するごとに腰椎、大腿骨、股関節の骨密度が0.009→0.006→0.005→0.005→0.007gr/cm2と増えていた…!
- 首、股関節、転子、全身で骨密度アップに有意な相関関係があった…!
とのこと。
因みに上記は、体重、身体活動、喫煙、カロリー摂取量などの変数を調整しても有意差は残ったそう。
この結果に研究者曰く、
- 地中海式ダイエットを忠実に実践するほど腰椎や大腿骨、股関節、転子、全身の骨密度がわずかながらアップしていた。そのため地中海式ダイエットは、骨の健康に適度なメリットがあるかもしれない
そうです。
地中海式ダイエットで過体重・肥満リスクが9%ダウン…!地中海式ダイエットスコア1ポイント上昇するごとに、5年間で体重が0.04kgダウン…!
2022年のテヘラン医科大学の研究によると、地中海式ダイエットのダイエット効果について前向きコホート研究の系統的レビュー・メタ分析で調べてみたそうです。
そもそも先行研究では、地中海式ダイエットと過体重・肥満リスクの関係は矛盾した結果が出ていたんですよね。そこで今回、過体重と肥満リスクの関係を調べるとともに、5年間でどう体重が変化するのかもチェックしてみたんだとか。
まず最初に2021年5月までに発表された該当研究をMEDLINE(PubMed)、Scopus、ISI Web of Science、Google Scholarなどで検索してみたそうな。すると最初の検索で5,255件の研究が見つかったらしい。次に該当基準と除外基準に照らし合わせて、研究を精査したそうです。
その結果、7件の前向きコホート研究が要件を満たしていたとのこと。
この7件の研究のうち、
- 3件の研究は過体重・肥満リスクのみを調べていた
- 1件の研究は体重の変化についてのみを調べていた
- 3件の研究は過体重・肥満リスクと体重の変化の両方を調べていた
って感じ。
んで、まず6件の過体重・肥満リスクのデータの傾向を見てみますと、
- 総サンプル数:244,678人
- サンプル範囲:343人~197,522人
- 年齢範囲:18歳~70歳
- 性別:1件は男女を区別、他は男女両方を対象
- 主な食事チェック:FFQ(食事摂取頻度調査票)
となっておりました。
また、4件の体重の変化のデータの傾向を見てみますと、
- 総サンプル数:436,617人
- サンプル範囲:3,151人~373,803人
- 年齢範囲:25歳~70歳
- 性別:1件は男女を区別、1件は女性のみ、他は男女両方を対象
- 平均追跡期間:5年~13年
- 主な食事チェック:FFQ(食事摂取頻度調査票)・Trichopoulou法
となっておりました。
では、結果を見てみましょう。
- 地中海式ダイエットにおり、過体重・肥満リスクが9%(RR0.91)有意に減少していた…!
- 太りすぎ・肥満の効果サイズを組み合わせると、8%(RR0.92)減少していた…!
- 肥満のみの効果サイズは関係性が見当たらなかった。
- 地中海式ダイエットスコア1ポイント上昇すると、過体重・肥満リスクが2%(RR0.98)減少していた…!
- 地中海式ダイエットスコア1ポイント上昇すると、5年間で体重が0.04kg有意に減少していた…!
地中海式ダイエットは、やっぱりダイエットにも使えそうですね。
まぁ、地中海式ダイエットでがっつり痩せよう…!というのは難しそうですが、体型維持には十分役立ちそうな感じ。ダイエットは長く続けられるかがポイントなんで、やっぱり地中海式ダイエットは良いんじゃないのかな~と思います。
2022年時点での地中海式ダイエットと2型糖尿病リスクの関係を調べてみた…!
2022年のテヘラン医科大学の研究によると、地中海式ダイエットと2型糖尿病リスクの関係について、系統的レビュー・メタ分析を行ってみたそうです。
これまでも地中海式ダイエットと2型糖尿病リスクの関係を調べた系統的レビューやメタ分析はあったんですが、その後も良さげな研究が次々と発表されておりました。そこで2022年時点での研究をまとめてみることにしたらしい。
ということでまず研究者たちは、2022年1月11日までに発表された、地中海式ダイエットと2型糖尿病リスクの研究を、Institute for Scientific Information Web of Science(ISI Web of Science)、PubMed、Scopusなどで検索してみたそうな。すると全部で6,356件もの研究がヒットしたとのこと。
次にこの中で重複している物や質の低い研究を除いていったそうで、最終的には16件の研究が選ばれたそうです。また、用量反応関係のチェックでは糖尿病患者数や追跡調査のデータが十分でない5件の研究を除いた11件で行ったということでした。
16件の研究の総サンプル数は759,806人でして、メタ分析にかけてみた結果、
- 地中海式ダイエットを最もちゃんとやっていた人はそうでない人に比べて、2型糖尿病発症リスクが17%(RR0.83)も低かった…!
とのこと。
また、
- 地中海式ダイエットスコアが1ポイント増えるごとに、糖尿病リスクが3%(RR0.97)低くなっていた…!
- スコアが高くなると逆相関がより大きくなっていた…!
そうです。
ということで76万人近くをチェックしてもやっぱり地中海式ダイエットは糖尿病に良さげな感じ。ここまでくると、この効果はほぼ間違いないんでしょうな。
軽度認知障害リスク低下とアルツハイマー病リスク低下には効果がありそう…!認知機能(全般的な認知機能、ワーキングメモリ、エピソード記憶)はよく分からん…!
2022年の中央大学校の研究によると、健康な成人を対象に地中海式ダイエットと認知的健康の関係を系統的レビューとメタ分析で調べてみたそうです。最初に研究者たちは、2021年6月までに発表された該当する先行研究をPubMed、Web of Science、PsycINFO、Scopus、Cochraneで検索してみたそうな。またこの時、コホート研究とランダム化比較試験(RCT)に的を絞って探してみたらしい。
すると合計で1,687件の研究が見つかったとのこと。続いてこれらの中で、重複している物、関係ない研究、質の低い研究なんかを除外していったそうな。
最終的に基準を満たした研究は、コホート研究31件とRCT5件だったそうで、これらを用いて系統的レビューを行ってみたそうです。因みにメタ分析はここからコホート研究5件とRCT3件を削った、コホート研究26件とRCT2件で行ったんだとか。
では、結果の前にコホート研究31件の特徴を見ておきましょう。
では、結果の前にコホート研究31件の特徴を見ておきましょう。
- サンプル数:200人~27,842人
- 追跡期間の中央値又は平均値:2.2年~26年の範囲
- スタート時の年齢:45歳~92歳までの範囲(ほとんどの研究は65歳以上だった)
- 食事のチェック:FFQを使用
次にRCT5件の特徴も見ておきます。
- 5件中2件はオーストラリアで行われていた。追跡期間はわずか半年で、参加者の平均年齢は70歳を超えていた。
- 5件中3件はスペインで行われていた。追跡期間は3~6.5年で、参加者の平均年齢は67歳だった。
- 5件のRCTの介入グループは883人、コントロールグループは396人だった。
では結果を見てみましょう。
まずはコホート研究の方からですねー。
地中海式ダイエットを最も忠実に実践していたグループとそうでないグループを比較してみると、
- 全般的な認知機能に有意差はなかった(SMD=0.03)
- エピソード記憶に有意差はなかった(SMD=0.02)
- ワーキングメモリに有意差はなかった(SMD=0.05)
- 軽度認知障害リスクが25%(RR=0.75)減少していた…!
- 認知症リスクは関係なかった(RR=0.85)
- アルツハイマー病リスクが29%(RR=0.71)減少していた…!
とのこと。
コホート研究をまとめると、軽度認知障害リスクとアルツハイマー病リスクにだけ効果があったみたいですね。
続いてRCTの結果です。
地中海式ダイエットグループはコントロールグループに比べて、
- ワーキングメモリが高かった(SMD=0.17)
- エピソード記憶が高かった(SMD=0.20)
- 全般的な認知機能が高かった(SMD=0.19)
- 注意力は逆に低かった(SMD=-0.41)
- 実行機能は関係なかった
- 脳の処理スピードは関係なかった
とのこと。
RCTだと一転して、ワーキングメモリ、エピソード記憶、全般的な認知機能が高かったみたいですな。あと何故か注意力は逆に悪くなっていたと…。謎ですね~。
ということで上記をまとめると、
- 軽度認知障害リスク低下とアルツハイマー病リスク低下には効果がありそう…!
- 認知機能(全般的な認知機能、ワーキングメモリ、エピソード記憶)とその他の物はよく分からん…!
って感じ。
全体的に見れば、認知障害の予防や停滞は出来そうなんで、やっぱ脳機能保護にも地中海式ダイエットは使えそうですね。
うつ病に最も効果的な食事スタイルは何なのかアンブレラレビューで調べてみた…!
2023年のマーストリヒト大学の研究によると、うつ病に最も効果的な食事スタイルは何なのかアンブレラレビューで調べてみたそうです。
そもそもうつ病は世界中で問題になっております。そして食事が関係ありそう…!って研究が結構あるんですよね。でも色々な食事スタイルの中でどれが良いのかイマイチはっきりしていなかったんですな。そこで今回チェックしてみることにしたらしい。
まず研究者たちは、2022年2月までに発表されたメタ分析をMEDLINE/PubMed、Scopus、Web of Science、EMBASE、PsycINFO、コクランで検索してみたそうな。更にヒットした研究の参考文献も手作業でチェックしたみたい。
その結果、合計1,799件もの研究が見つかったそうな。因みに内訳は、
- MEDLINE/PubMed→313件
- Scopus→376件
- Web of Science→203件
- EMBASE→702件
- PsycINFO→21件
- コクラン→184件
って感じだったそうです。
次にこの中で重複している物、質の低い研究を除外したそうで、最終的には19件の研究が基準を満たしていたんだとか。
この19件のメタ分析の内訳は、
- 観察研究のメタ分析:16件
- RCTのメタ分析:2件
- 観察研究とRCTの両方を含むメタ分析:1件
だったそうです。
ここで、これらのデータで取り上げていた食事スタイルもチェックしておきましょう。
- 健康的な食事スタイル:8件
- 地中海式ダイエット:6件
- DASHダイエット:2件
- ベジタリアンダイエット:4件
- 食事性炎症指数(DII):5件
- 西洋スタイルの食事:4件
- 超カロリー制限ダイエット(1日800kcal未満):1件
- 低脂肪食(30%未満):1件
それでは結果です。
- メタ分析の品質は低いか非常に低いものだった。
- 全ての食事スタイルの中で、地中海式ダイエットと食事性炎症指数(DII)が、うつ病リスクの低下と関係していた…!
- 地中海式ダイエットを忠実に守っているとうつ病リスクが有意に低下していた…!
- 食事性炎症指数(DII)が低いとうつ病リスクが有意に低下していた…!
やっぱ地中海式ダイエットはメンタルに良い影響があるみたいですねー。
因みに食事性炎症指数(DII)については2013年のサウスカロライナ大学の研究が参考になりまして、名前の通り、食事全体の炎症性の度合いを数値化したものになります。つまりDIIが低いことイコール食事の炎症性が低いことを意味しているんですな。
そして地中海式ダイエットと食事性炎症指数(DII)がメンタルに良い理由ですが、
- 抗炎症効果によってかも…!
とのこと。
確かに地中海式ダイエットは抗酸化物質をたくさん摂取しますし、食事性炎症指数も低いということはそれだけ炎症の少ない食べ物や抗酸化物質を取っていることになりますんで、共通点と言えますよね。
併せて以前にご紹介した
の記事もみて頂くと、この結果には納得できるのではないでしょうか…?
ポイントは炎症対策になるんでしょうが、具体的に何をすればいいのか分からないって方は、地中海式ダイエットの実践が良さそうですね。
膵臓がんリスクの関係を調べるためにアンブレラレビューを行ってみた…!
2023年の四川大学の研究によると、食事と膵臓がんリスクの関係を調べるためにアンブレラレビューを行ってみたそうです。
そもそも膵臓がんは初期症状が少ないため、発症者と死亡者の数がほぼ同じなんだとか。んで近年、食事との関係性がある可能性も出てきているんですよね。そこでアンブレラレビューを行ってチェックしてみることにしたんだとか。
まず最初に2022年6月3日までに発表された食事と膵臓がんリスクのRCTのメタ分析又は観察研究のメタ分析をデータベースで検索してみたそうな。因みに使われたデータベースはPubMed、EMBASE、Web of Science、Scopus、コクラン、CINAHLとのこと。
その結果、1,896件のメタ分析がヒットしたらしい。続いてこの中で重複しているものを除外しつつ、基準に従って各研究をチェックしたそうです。最終的にこのアンブレラレビューでは41件のメタ分析が選ばれたそうで、その中にRCTのメタ分析はなかったそうな。
つまりこの研究は、観察研究のメタ分析のアンブレラレビューってことですね。
この41件のメタ分析の特徴は、
- 各メタ分析の観察研究の数は2~21件の間だった
- サンプル数は32,251~4,180,303人の間だった
- 症例数は213~8,092件の間だった
- 症例数が1,000件を超えるものは43件だった
とのこと。
では結果を見てみましょう。
地中海式ダイエットとナッツが膵臓がんリスクの低下に役立ちそうですねー。まぁ、地中海式ダイエットはナッツを良く食べるんで両方とも選ばれたのは納得かと。
また赤身肉とアルコールも大量に食べる、飲むってのは確かにヤバいのは分かりますな。
果糖についても果物で食べる分には大量に摂取は難しいんで問題ないんでしょうね。地中海式ダイエットでも果物はガンガン食べますし。なんでおそらく果糖が大量に含まれがちなソフトドリンクやお菓子なんかの加工食品、超加工食品をたくさん食べるのがダメなんでしょうねー。
地中海式ダイエットでフレイルリスクは減る…!忠実に実践すればするほどもっと減る…!
2023年のイスファハン医科大学の研究によると、地中海式ダイエットとフレイル・フレイル前リスクについて系統的レビュー・メタ分析を行ってみたそうです。
まず研究者たちは、2023年1月までに発表された地中海式ダイエットとフレイルの研究をMEDLINE(PubMed)、Scopus、ISI Web of Science、Google Scholarといったデータベースで検索してみたそうな。
結果3,256件の研究が見つかったとのこと。続いてこの中で重複している物を除外、その後、各研究をチェックして質の高い物を選んでいったそうです。
結果3,256件の研究が見つかったとのこと。続いてこの中で重複している物を除外、その後、各研究をチェックして質の高い物を選んでいったそうです。
最終的に選ばれた研究は19件でして、
- そのうちの12件が縦断研究で、7件が横断研究だった
- 縦断研究の総サンプル数は89,608人で、症例は12,866件だった
- 横断研究の総サンプル数は13,581人で、症例は1,093件だった
ということでした。
では気になる結果を見てみますかー。
- 縦断研究をまとめてみた結果、地中海式ダイエットを最も忠実に実践していた人たちは、最も実践していなかった人たちに比べて、フレイルのリスクが34%(RR0.66)も低かった…!
- 横断研究をまとめてみた結果、地中海式ダイエットを最も忠実に実践していた人たちは、最も実践していなかった人たちに比べて、フレイルのリスクが56%(OR0.44)も低かった…!
- 縦断研究をまとめてみた結果、地中海式ダイエットスコアが2ポイント増えるごとに、フレイルのリスクが14%(RR0.86)も低くなっていた…!
- 横断研究をまとめてみた結果、地中海式ダイエットスコアが2ポイント増えるごとに、フレイルのリスクが21%(OR0.79)も低くなっていた…!
地中海式ダイエットの実践によりフレイルリスクは確実に減るし、忠実に実践すればするほどそのリスクはもっと低くなるみたいですな。
アンブレラレビューの結果、地中海式ダイエットで乳がんリスクは低くなる…!特に閉経後の女性に効果的…!
2023年のグラナダ大学の研究によると、地中海式ダイエットと乳がんリスクの関係についてアンブレラレビューを行ってみたそうです。
そもそも今まで見てきたように地中海式ダイエットはガンリスクを下げる可能性がございました。しかし乳がんのみに的を絞って調べたアンブレラレビューは発表されていなかったとのこと。そこで研究者たちは、地中海式ダイエットと乳がんリスクの関係のみを対象にした初のアンブレラレビューを行ってみることにしたんだとか。
ということでまず研究者たちは、すでに発表されている地中海式ダイエットと乳がんリスクの系統的レビュー・メタ分析をPubmed、Web of Science、Scopusという3つのデータベースで検索してみたそうな。また、この時18歳以上の女性を対象にしたものを選んで行ったらしい。
その結果509件の研究がヒットしたそうな。続いてこの中で被っている物を除外しつつ、更に同じ研究者が行った研究であれば最新の物のみをピックアップしたり、2017年以前に発表された古い系統的レビューを除外したりなんかをしていったらしい。
最終的に選ばれた系統的レビューは11件でして、内訳が、
- メタ分析なし・系統的レビュー:5件
- メタ分析あり・系統的レビュー:6件
となっておりました。
これらをアンブレラレビューしてみた結果、
- 11件中5件で、地中海式ダイエットにより乳がんリスクが低下していた…!
- 閉経後の女性の間では、一貫して乳がんリスクが逆相関していた…!
- 閉経前の女性の間では、一貫して乳がんリスクが有意ではない低下をしていた…!
とのこと。
つまり、地中海式ダイエットで乳がんリスクは低くなるし、特に閉経後の女性の乳がんリスクを予防する効果がありそう…!ってことですね。
地中海式ダイエットは非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)に有効なのか…?
2023年のミラノ大学の研究によると、地中海式ダイエットは非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)に有効なのかRCTの系統的レビュー・メタ分析を行ってみたそうです。
そもそも肝臓に脂肪がつくことを脂肪肝なんて言いますが、脂肪肝は大きく2つに分けることが出来まして、
- アルコール性肝障害(ALD):過度なアルコールの摂取が原因で脂肪肝が起こるパターン
- 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD):太りすぎや肥満が原因で脂肪肝が起こるパターン
って感じです。
因みに、慢性肝炎の患者さんのうち81.8%はアルコール性肝障害で、45.8%が非アルコール性脂肪性肝疾患なんだとか。また、世界人口の約25%が発症しているという報告もあるそうです。
アルコール性肝障害の対策はもちろん禁酒でして、これは説明は入らないでしょう。ポイントなのは非アルコール性脂肪性肝疾患の方で、こちらは色々な要因があるので、これをやれば良い…!ってのがなかなかないんですな。そんな中で食事の改善は治療方法の1つとしてよく挙げられます。
そして非アルコール性脂肪性肝疾患の患者さんを対象にした地中海式ダイエットの研究も結構行われておりまして、なかなか良さげなんですよね。そこで今回研究者たちは、過去10年間に発表された該当研究のうち、ランダム化比較試験(RCT)に的を絞って、効果の程をチェックしてみることにしたそうです。
ということで最初に2013年から2023年にかけて発表された該当するRCTをGoogle Scholar、PubMed、Scopusで検索してみたそうな。すると107件の研究が見つかったらしい。更に以前に行われた系統的レビューの参考文献により追加で2件の研究も見つけられたんだとか。
そのため合計109件の研究を集められたとのこと。次にこの中で重複しているものや質の低い研究を除外していったそうで、最終的に基準を満たしていたものは10件のRCTだったそうな。因みに10件のRCTの特徴は以下な感じ。
- 全て二重盲検を採用していた。
- 介入期間は1か月から12か月の間だった。
- 年齢は18歳から80歳の間だった。
- 総サンプル数は737人で、男女の両方が含まれていた。
なかなか質の高い研究でよろしいのではないでしょうか。
それでは結果を見てみましょう。地中海式ダイエットを実践している人は、
- 肝臓の硬さが-0.42kPaも有意に減少していた…!
- 総コレステロールが-0.46mg/dlも有意に減少していた…!
- ウエスト周りは-0.56cmと有意ではないが減少していた…!
そうです。
地中海式ダイエットは脂肪肝にも良いんですね…!
地中海式ダイエットと腸内細菌の関係について調べた初の系統的レビュー…!
そもそも2018年のノッティンガム大学の研究を見てみると、過去数十年にわたって、腸内フローラ(消化管内にいる非常に複雑で多様な腸内細菌の集まり)は、人間の健康と病気に深く関わっていそうだと注目を集めておりました。例えば、2001年のワシントン大学の研究や2017年のレディング大学の研究、2018年のノッティンガム大学の研究により、腸内細菌がビタミンの生成や短鎖脂肪酸の生成、胃や腸の健康維持、免疫機能の調節など、人間の健康に重要な役割を果たしていることも分かってきております。
また2019年のニューイングランド大学の研究では、腸内環境が乱れると、炎症性腸疾患(IBD)や大腸がん、糖尿病、肥満、心血管疾患(CVD)、認知症など、いろんな健康への悪影響が出てしまうらしい。
そんな腸内細菌ですが2018年のノッティンガム大学の研究によると、食事や運動、喫煙などのライフスタイルによって影響を受けるそうです。また、2018年のワイツマン科学研究所などの研究によれば、これらライフスタイルの影響は遺伝的要因を上回るそうな。つまり日々の健康的な食生活が一番のポイントということですね。
んで、2017年のカリフォルニア大学の研究を見てみると、やっぱ一番大事なのは食事っぽくて、なんでも食事は特定の腸内細菌や腸内フローラの成長と活動を促進できるみたい。また、2019年のニューイングランド大学の研究や2018年のノッティンガム大学の研究から潜在的な健康へのメリットを及ぼす可能性もあるんだとか。
一方で、地中海式ダイエットは、食物繊維やポリフェノールなどの栄養素が豊富で有名な食事スタイルです。そして2012年のエドモンドマッハ財団の研究によると、食物繊維とポリフェノールは、健康面の影響が大きい可能性が高いプレバイオティクス(腸内細菌のエサ)になるんですよね。
もうちょい詳しく見ておくと、
- 食物繊維:2021年のワーゲニンゲン大学の研究により、腸内細菌によって発酵され、全身の抗炎症作用がある短鎖脂肪酸になる…!
- ポリフェノール:2019年のキングス・カレッジ・ロンドンの研究により、腸内細菌によって代謝され、吸収がアップ、その後、腸内粘膜と肝臓の酵素によって、複数の生理学的効果を持つ代謝物が生成される…!
って感じ。
更に2020年のワシントン州立大学の研究では、一部のポリフェノールは抗菌作用もあるぞ…!なんて話もあったり。
となると、
- 地中海式ダイエット(食物繊維やポリフェノールが豊富)を行う
- 腸内細菌・腸内環境・腸内フローラが良くなる
- 健康になる…!
って流れがあるんじゃないかとなる訳ですな。
んがしかし、これを調べた先行研究では、矛盾した結果が出ているんですよね。
そこで今回研究者たちは、以前に発表された該当する観察研究とRCTを集めて、初の系統的レビューを行ってみることにしたそうです。
まず最初に2021年2月7日までに発表された該当研究をPubMed、The Cochrane Library、MEDLINE、SPORTDiscuss、Scopus、CINAHLという6つのデータベースを用いて検索してみたそうな。
因みにこの時、ランダム化比較試験(RCT)と観察研究のみを検索しつつ、更に18歳以上の成人を対象とした研究のみを選んだらしい。続いて検索にヒットした研究の中で被っている物を除外、結果、1,249件の研究があったんだとか。
更に一つ一つの研究の質をチェックして精査、最終的に34件の研究をピックアップしたそうです。この34件のうち、17件がRCTで、残りの17件が観察研究ということでした。では結果の前にRCTと観察研究の特徴を見ておきましょう。
まずはRCTの特徴からです。
- 17件中5件はクロスオーバーデザインを採用していた。
- 総サンプル数は1,882人だった。
- サンプル数の中央値は79人でサンプル範囲は10~612人の間だった。
- 年齢の中央値は60歳で年齢範囲は22~79歳の間だった。
- 介入期間の中央値は26週間で介入期間の範囲は1週間未満~156週間の間だった。
次は観察研究の特徴です。
- 17研究14件は横断研究で3件は縦断研究だった。
- 総サンプル数は4,526人だった。
- サンプル数の中央値は119人でサンプル範囲は20~1,735人の間だった。
- 年齢の中央値は60歳で年齢範囲は22~95歳の間だった。
- 17件中10件は健康な参加者を対象にしていた。
それでは結果を見てみましょう。
- 全体的に、地中海式ダイエットが腸内細菌の多様性に影響を与えるという証拠はほとんどなかった。
- しかし、地中海式ダイエットが短鎖脂肪酸の生成を調整する可能性があるという証拠がいくつかあった…!
- 但し、研究の設計や結果にばらつきがあり、はっきりしたことは言えなかった。
ということで、影響がなさそうだけどありそうだけど…よく分からん…!って感じ。なんとも煮え切らない結論ですね~。
しかしこれも無理からぬ話でして、というのも、
- 地中海式ダイエットの食事スタイルを守っているか評価する方法がバラバラ
- 地中海式ダイエットの食事スタイルがざっくりで多様性に富んでいる
- 地中海式ダイエットで食べられる食品や食事を補助的に提供したか、単に食事スタイルを地中海式ダイエットに替えるよう指示したかの違いがある
- 介入期間がバラバラ
- 食事が腸内環境に影響を与える主な原因なのは分かっているけど、因果関係が不明(=食事を変えたから腸内環境が変わるのか、腸内環境が変わったから食事スタイルが変わったのか不明)
- 元々疾患のある人と健康な人で効果が違いそう
- 年齢や性別、地理、人種によっても変わりそう
- 現在の腸内細菌の量や多様性に対する地中海式ダイエットの効果を調べた研究がほぼない
って感じで、まだまだ今後の研究に期待というところが大きいみたいなんですよね。
大腸がんの患者さんにも地中海式ダイエットは良さそう…!
そもそも大腸がんは、遺伝要因と環境要因の両方が関わっており、世界のがん発症率と死亡率の最大要因の1つとされております。そんな大腸がんの環境要因なんですが最大60%も関係しているらしく、腸内細菌・腸内環境は重要なポイントとのこと。
というのも、腸内細菌は免疫系の調整や短鎖脂肪酸の生成を行っておりまして、それが大腸がん予防になるんですな。
そこで今回研究者たちは、大腸がんと診断された患者さんに腸内細菌への介入が有効なのか既存の研究結果をまとめてみたらしい。
ということで以下が系統的レビューのポイントです。
- 大腸がんと診断された患者さんに腸内細菌への介入が有効である可能性があった…!
- プロバイオティクス(腸内細菌)、プレバイオティクス(腸内細菌のエサ)、地中海式ダイエットの実践が良さそうだった…!
地中海式ダイエットは野菜や果物を中心とした食事なんで、自然と腸内フローラが豊かになるんでしょうな。更に腸内細菌のエサである食物繊維も豊富なんで、その効果がさらにアップするのかと…。
もちろん、まだはっきりとは言えないですが、地中海式ダイエットはガンに効く…!って研究結果がいくつもありますんで可能性としては十分あり得るかと思います。
地中海式ダイエットとメラトニンの関係について系統的レビューを行ってみた…!
具体的には地中海式ダイエットで食べられる食品のメラトニン含有量をチェックしつつ、メラトニンレベルに対する地中海式ダイエットの影響を評価してみたとのこと。
ということでまず研究者たちは、2022年2月までに発表された該当研究をPubMed、Scopus、Web of Science、Cochrane Libraryで検索してみたそうな。また検索された研究の参考文献も見てみたらしい。すると検索で999件、参考文献で7件の研究が見つかったんだとか。
次にこの中で重複している研究や質の低い研究を除いていったそうで、最終的に31件の研究がピックアップできたみたい。その後、メラトニンを含む地中海式ダイエットの食品と、地中海式ダイエットのメラトニンレベルへの影響の2カテゴリーに分類して、レビューしてみたそうです。
では、最初に地中海式ダイエットで食べられる食品に含まれるメラトニンについてのポイントをチェックしていきましょう。
- 地中海式ダイエットで良く食べられる果物と野菜に含まれるメラトニン含有量をチェックした結果、ブドウとオリーブオイル、トマトが多く含まれていた。
- ワインはブドウから作られるお酒のため、ポリフェノールやメラトニンなどが豊富に含まれている。
- 赤ワインのメラトニン含有量は7.44〜0.24ng/mLで、白ワインが3.93〜0.16ng/mLのため、赤ワインの方がより多くメラトニンを含んでいた。その量はブドウと同程度だった。
- 一方で白ワインと赤ワインの間にメラトニン含有量の違いは見られなかったという研究もあった。
- これはブドウの育った環境やワインの製造方法などによって変わるみたいだった。
- オリーブオイルは、抗炎症作用と抗酸化作用があり、特に地中海式ダイエットで用いられるのは、エクストラ・バージンオリーブオイルである。
- エクストラ・バージンオリーブオイルのメラトニン含有量は71~119pg/mLだった。
- 但し、オリーブオイルも製造方法などによってメラトニン含有量は変わるみたいだった。
- 最も高いメラトニン含有量は果物と野菜で見つかった。但し収穫時期や年、成熟度、品種などの条件によってメラトニンの量はばらつきがあった。
- 例えば、トマトのメラトニン含有量は25ng/gの物もあれば50ng/gの物もあった。但し栽培した国や品種によってメラトニン含有量が10~100倍低い結果が出たものもあった。
- アーモンド、ピスタチオ、クルミ、栗などのナッツ類もメラトニン濃度に影響を与えていた。
- 例えばアーモンドのメラトニン含有量は600〜2,000pg/g、ピスタチオのメラトニン含有量は1000〜12,000pg/gだった。
- 但しナッツ類も品種などによってかなり差がありそう。
- 豆類や穀物もメラトニンが非常に豊富だった。
- 肉、魚、卵などの動物由来の製品はメラトニンの含有量が非常に少なかった。
続いて、メラトニンレベルと地中海式ダイエットについてのポイントをチェックしていきましょう。
- 地中海式ダイエットで食べられる様々な食品にメラトニンが含まれていたが、それらの摂取による影響は謎だった。
- 地中海式ダイエット後のメラトニンレベルのデータによれば、果物や豆類などのメラトニンが豊富に含まれる食品を摂取すると、ヒトを対象にした研究、動物実験の両方でメラトニン濃度が増えていた。
- ただし、各研究で記録された食品が異なるため比較が出来なかった。
- 例えば、約10.5ngのメラトニンを含むクルミ3gを与えられたラットは、血中のメラトニン濃度が11.5pg/mLから38.0pg/mLに増えていた。
- ヒトでは、赤ワイン100mLを飲んだ1時間後に血中のメラトニン濃度が有意に高かった。
- 適度な量のビール(女性330mL、男性660mL)を飲んでもらった45分後、血中のメラトニン濃度が増えていた。
つまり、まとめると、
- 地中海式ダイエットで良く食べられる、トマト、ワイン、ビール、ナッツ、オリーブオイルは、メラトニン含有量が多かった…!
って感じ。
また、これらの食品を定期的に摂取すると、血中のメラトニン濃度が上昇するだけでなく、睡眠の質や抗酸化状態にも影響を与える可能性があったみたいです。
地中海式ダイエットとメラトニンの直接的な関係については今後の研究に期待…!って感じだけど、これらを見るにメラトニンがアップしそうな感じ。そうなれば睡眠にもプラスの影響が出そうですよねー。
食事スタイルと妊活の関係について系統的レビュー・メタ分析を行ってみた…!
2023年のモナシュ大学の研究によると、食事スタイルと妊活の関係について系統的レビュー・メタ分析を行ってみたそうです。
まず研究者たちは、2021年9月21日までに発表されている該当研究をOvid MEDLINE、EMBASE、CAB direct、CINAHL Plusで検索してみたそうな。すると16,488件もの研究がヒットしたらしい。
まず研究者たちは、2021年9月21日までに発表されている該当研究をOvid MEDLINE、EMBASE、CAB direct、CINAHL Plusで検索してみたそうな。すると16,488件もの研究がヒットしたらしい。
続いてこの中で被っている研究を除外、その後、各研究をチェックして精査していったみたい。
最終的に基準を満たした研究は11件でして、内訳は、
最終的に基準を満たした研究は11件でして、内訳は、
とのこと。
また、研究は7か国で行われておりまして、日本の研究も1件選ばれております(2018年の加藤レディスクリニックの研究)
更に研究の概要もチェックしておきますと以下な感じ。
- 4件の研究では、食事が自然妊娠に及ぼす影響をチェックしていた。
- 7件の研究では、食事が不妊治療(ART:生殖補助医療)に及ぼす影響をチェックしていた。
- サンプルサイズは、不妊治療が140〜590人、自然妊娠が131〜17,544人だった。
- 総サンプル数は33,055人だった。
では結果を見てみましょう。
- 5件の研究では、1,342人の女性を対象に地中海式ダイエットと不妊治療の関係を調べていた。
- 2つの研究では、13,226人の女性を対象に地中海式ダイエットと自然妊娠の関係を調べていた。
- 地中海式ダイエットと不妊治療の結果の改善は粗オッズ比で1.27だった…!
- 重大なバイアスリスクのある研究を除外した場合、地中海式ダイエットと不妊治療の結果の改善はオッズ比1.91だった…!
- つまり地中海式ダイエットを行うと、妊娠率と出生率が約3分の1アップする可能性があった…!
- 更に重大なバイアスリスクのある研究を除外すると、その割合は3分の2以上までアップしていた…!
- 地中海式ダイエットと自然妊娠の研究は矛盾した結果となっておりよく分からなかった。
- 4件の研究では、健康的な食事と不妊治療の関係を調べていた。
- 3件の研究では、健康的な食事と自然妊娠の関係を調べていた。
- 2件の研究で健康的な食事で妊娠率と出生率が改善されていた。
- 3件の研究では、不健康な食生活と不妊症の関係を調べていたがよく分からなかった。
ということで、全体的には食事が妊活に与える影響は一貫性がなくてよく分からん…!って感じですね。
但し、その中で最も可能性が高いのが地中海式ダイエットだったと。
男性でも女性でも地中海式ダイエットは妊活に使えそうな証拠はあったがエビデンスレベルが低くてよく分からん…!
2023年のパラナ連邦大学の研究によると、地中海式ダイエットと不妊症の関係についてメタ分析・系統的レビューを行ってみたそうです。
そもそも男女ともに不妊症に共通する要因として、慢性炎症と酸化ストレス問題ってのがあるんですな。そして抗酸化物質を豊富に含む食事法で対策できる可能性がございます。となると地中海式ダイエットは抗炎症・抗酸化が豊富なんで効くんじゃないの…?となる訳です。ということで今回そこんところを調べてみることにしたみたい。
まず研究者たちは、2022年5月までに発表されている該当研究をPubMed/MEDLINE、Cochrane、CENTRAL、Embase、CINHAL、Scielo、Scopus、OpenGrey、DART-Europe、World Cat、Google Scholarで検索してみたそうな。すると644件の研究が見つかったとのこと。
続いてこの中で重複している物を除外、残りの研究を基準に従って精査したそうです。
最終的に基準を満たした研究は11件でして、特徴は、
- 発表時期:1999年~2022年の間に発表されていた
- 論文の種類:全て後ろ向きコホート研究だった
- 合計サンプル数:14,397人(うち女性が13,157人、男性が1,338人だった)
- 年齢:女性の年齢幅は23~41歳(平均年齢31~36歳)、男性の年齢幅は23~60歳だった
って感じ。
因みに日本の研究は選ばれておりませんでした。
では結果を見てみましょう。
- 地中海式ダイエットを実践している男性は、精子の濃度や精子の数が健康だった…!
- 地中海式ダイエットを実践している女性は、妊娠率や出産率が健康だった…!
- 但しいずれの結果もメタ分析では一貫性がなかった…。
つまり、男性でも女性でも地中海式ダイエットは妊活に使えそうな証拠はあったんだけど、エビデンスレベルが低かったみたい。
ということでこちらの結果も効果がありそうだけどよく分からん…!って感じでしたね。
地中海式ダイエットで妊活に伴う健康リスクを軽減できそう…!
2023年のシンガポール国立大学の研究によると、地中海式ダイエットと女性における妊活に関わる健康について系統的レビューとメタ分析を行ってみたそうです。
まず研究者たちは2022年2月までに発表された該当研究をPubMed、Embase、MEDLINE、コクラン、ClinicalTrials.govで検索してみたそうな。次に検索にヒットした研究の中から、質の高い研究をピックアップしていったらしい。
最終的に基準を満たした研究は32件だったそうで、内訳は、
だったみたい。
また総サンプル数は103,204人にも及んだんだとか。
- RCT:9件
- 前向きコホート研究:22件
- ケース・コントロール研究:1件
だったみたい。
また総サンプル数は103,204人にも及んだんだとか。
では結果を見てみましょうか。
まずは7件のRCTに基づいた、地中海式ダイエットとその他のダイエットを比較した結果ですが、
- 妊娠糖尿病リスク:26%ダウン(RR:相対リスク0.74)
- 早産リスク:55%ダウン(RR:相対リスク0.45)
- 妊娠高血圧症候群リスク:29%ダウン(RR:相対リスク0.71)
- 子癇前症リスク:18%ダウン(RR:相対リスク0.82)
とのこと。
また9件のコホート研究に基づいた場合、上記結果の全てに於いて同様の逆相関がみられたらしい。更に地中海式ダイエットと妊活・妊娠中の体重管理にもポジティブな相関関係があるっぽいことがわかったそうな。因みにその他の影響については研究が少なくよく分からなかったみたいです。
ということで、地中海式ダイエットは妊活に伴う健康リスクを軽減できる可能性がありました。注意点としては、サンプルのほとんどが白人女性を対象にしているので人種によって違いがあるのかは謎ということですかね。
日本版地中海式ダイエットスコアの開発とダイエット効果を調べてみた…!
2016年の畿央大学の研究によると、日本版地中海式ダイエットスコアの開発とダイエット効果を調べてみたそうです。
そもそもこれまで見てきたように、地中海式ダイエットの実践は様々な健康面へのメリットがございます。んがしかし、地中海やヨーロッパ諸国と日本では食文化に違いがございまして、これだと日本における地中海式ダイエットの忠実度が適切に評価できなかったんですな。
そこで簡単かつ適切に地中海式ダイエットの忠実度を評価できるよう、日本版地中海式ダイエットスコアの開発に着手してみたらしい。また併せて、こちらで評価した場合のダイエット効果もチェックしてみたんだとか。
この研究は、8つの職場から参加者を募ったと言うもので、従業員1,002人と大学生62人が参加したと言うもの。従業員の職種は、主に工場勤務だったり、オフィスワーカーだったり、介護職員だったり、看護師だったりしたらしい。
んでこの中で最終的に使えたデータは、18~68歳の1,048人(男性645人、女性403人)だったみたい。
参加者には簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)ってのを記入してもらったらしく、これはA3両面2つ折り(A4だと4ページ)で出来ておりまして、約80個の質問で構成されております。…っと聞くと大変そうなイメージですが、回答時間は平均15分しかかからず、これで58種類の食品と100種類以上の栄養素の摂取量が算出されるんだとか。
まぁ、百聞は一見に如かずなんで、以下からご覧ください。
次に、日本版地中海式ダイエットスコアの開発についてです。これは地中海式ダイエットピラミッドをベースにしつつ、日本人の食生活に適応させることで、標準的な日本食をより正確に反映させたんだとか。そして簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)のデータを完成した日本版地中海式ダイエットスコアに当てはめていったそうです。
では気になる結果を見てみましょう。
- 参加者の平均年齢は42.6±11.4歳(年齢範囲18~68歳)、過体重や肥満(BMIが25以上)の人は27.8%だった。
- 日本版地中海式ダイエットスコアの平均は5.45±1.77(真ん中ぐらい)だった。
- 男性は女性に比べて、日本版地中海式ダイエットスコアが高かった…!
- 高齢者は若者に比べて、日本版地中海式ダイエットスコアが高かった…!
- 参加者における日本版地中海式ダイエットスコアの忠実度をグループ分けしてみると、高い忠実度の参加者はわずか11.6%、低い忠実度の参加者は29.6%だった…!
- 日本版地中海式ダイエットスコアが高い人ほど、タンパク質、多価不飽和脂肪酸、食物繊維、塩分(ここだけ多いのはマイナスですね)、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、ビタミンD、葉酸、ビタミンCの摂取量が多く、飽和脂肪と砂糖の摂取量が少なかった…!
続いて本題である、年齢や性別、喫煙の有無、運動頻度、飲酒の有無、高血圧の有無といった変数を調整後の過体重・肥満リスクを見てみましょう。
- 日本版地中海式ダイエットスコアが高い人と低い人を比べると、過体重・肥満リスクが50%(OR0.50)も有意に低かった…!
- 日本版地中海式ダイエットスコアが2ポイント増えると、過体重・肥満リスクが24%(OR0.76)も低かった…!
日本版地中海式ダイエットスコアでチェックしてもやっぱりダイエット効果が見られたんですねー。嬉しい…。
ここまでくると、自分の食事を簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)に当てはめて、日本版地中海式ダイエットスコアを計算してみたいですよね…?
ってことで、最後に、日本版地中海式ダイエットスコアも見ておきましょう。
まずは各食品のカテゴリーから。
- 穀物(米、パン、うどん、そば、スパゲッティ、マカロニなど)
- 野菜(緑黄色野菜、葉物野菜、根菜類、アブラナ科の野菜、野菜の漬物など)
- 果物(柑橘類、柿、イチゴ、キウイ、その他の果物)
- 豆類(豆腐、納豆、味噌など)
- 魚介類(脂肪分の多い魚、脂肪分が少ない魚、ツナ缶、干物、魚の練り製品(かまぼこなど)、貝類など)
- 乳製品(牛乳、低脂肪牛乳、ヨーグルトなど)
- ジャガイモ(全ての種類)
- 卵
- 鶏肉
- 赤身肉と加工肉(牛肉、豚肉、ハム、ソーセージ、ベーコンなど)
- お菓子類(和菓子、洋菓子、アイスクリームなど)
- アルコール類(ビール、日本酒、焼酎、ワイン、ウイスキーなど)
- 飽和脂肪酸に対する一価不飽和脂肪酸の比率
続いて、各項目の摂取量についてです。
- 穀物:1日3~7サービング
- 野菜:1日5サービング以上
- 果物:1日2サービング以上
- 豆類:1日30g以上
- 魚介類:男性は1日84g以上、女性は1日66g以上
- 乳製品:1日1.5~2.5サービング
- ジャガイモ:1週間に1~3回
- 卵:1週間に2~3回
- 鶏肉:1週間に2~3回
- 赤身肉と加工肉:1週間に3回未満
- お菓子類:1週間に2回未満
- アルコール類:男性は1日10~30g、女性は1日5~15g
- 飽和脂肪酸に対する一価不飽和脂肪酸の比率:1.5以上
上記の各項目を一つクリアするごとに1ポイントゲットです。
クリアできていない、載っていない食品は0ポイントとなります。
最後に13項目を足した数字が以下のどれに当てはまるか見てください。
- 0~4ポイント:低
- 5~7ポイント:中
- 8~13ポイント:高
もちろんポイントが高い程、地中海式ダイエットの忠実度が高いことを意味しております。
因みに研究者曰く、日本版地中海式ダイエットスコアの開発には以下の点を考慮したそうです。
- 日本人は魚介類をたくさん食べているので、推奨摂取量を多めに修正した。
- 日本人はワインを飲む人が少ないので、種類に限らずアルコールの摂取量を評価した。
確かにどちらも納得できるかな~っと。
今行っている地中海式ダイエットがどれほどちゃんとできているか知りたい…!って方はセルフチェックに行ってみると良いのではないでしょうか…?
子どもや青少年にも地中海式ダイエットはおすすめ…!
2016年のカターニア大学の研究によると、南ヨーロッパ諸国の子どもや青少年における地中海式ダイエットの忠実度についてナラティブレビューを行ってみたそうです。
今まで見てきたように、地中海式ダイエットは様々な研究により、健康に良い事が分かってきておりました。一方で、地中海式ダイエットを実践している国々の食事スタイルは徐々に西洋化が進んでいる実態もございます。そのため、今回、南ヨーロッパ諸国に住む子供や青少年を対象に地中海式ダイエットの忠実度をチェックしてみたんだとか。
まず研究者たちは、過去15年間に発表された南ヨーロッパ諸国に住む子供と青少年の食習慣や地中海式ダイエットの研究を探してみたそうな。
次に見つかった研究から、子どもと青少年の食事パターンと地中海式ダイエットスコアなんかを見て行ったらしい。
最終的にこのレビューでは、
- スペインにおける地中海式ダイエット
- ギリシャにおける地中海式ダイエット
- キプロスにおける地中海式ダイエット
- イタリアにおける地中海式ダイエット
- ヨーロッパ(スウェーデン、ドイツ、ハンガリー、イタリア、キプロス、スペイン、ベルギー、エストニア)における地中海式ダイエット
のそれぞれの国についての研究を見直ししておられました。
その結果をまとめてみると、
- スペイン、ギリシャ、キプロス、イタリアといった南ヨーロッパ諸国に住んでいる子どもと青少年の約半数が、地中海式ダイエットを中程度忠実に実践していた…!
- しかし、残りの約半数は、地中海式ダイエットの実践率が低く、これは歳を取るごとに下がっていく傾向があった…。
とのこと。
また、この調査で研究者は、
- 地中海式ダイエットを忠実に実践することは、必ずしも代謝や体重の健康状態をプラスにするわけじゃないけど、この調査に参加した子どもと青少年、そしてその親は一貫して関係していたよー
とおっしゃっておりました。
成人の研究同様、未成年にも地中海式ダイエットはおすすめですねー。
地中海式ダイエットのダイエット効果について20年間追跡調査してみた…!
2024年のハロコピオ大学の研究によると、地中海式ダイエットのダイエット効果について20年間追跡調査を行い調べてみたそうです。
皆さんご存知の通り、食事を改善して痩せよう…!みたいな○○ダイエットってものがたくさんございます。その中でも最も研究されている物として地中海式ダイエットが挙げられるんですよね。そして他の○○ダイエットよりは多いものの、地中海式ダイエットも長期のダイエット効果について調べた研究は少なかったりします。
そこで今回研究者たちは、20年間の追跡調査を行い体重との関係を見てみたんだとか。
この研究は、ATTICA研究と呼んだそうで前向きコホート研究となっております。
実験開始は2001~2002年でして、フォローアップを
- 2006年(実験開始から5年後)
- 2012年(実験開始から10年後)
- 2022年(実験開始から20年後)
の3回実施したそうな。
参加者はギリシャに住む成人男女とのことで、まず2001年から2002年にかけて、無作為に選んだ4,056人に参加協力を依頼したみたい。その後、研究基準に適合した3,042人が参加のOKをしてくれたらしい。
んで、スタート時いた3,042人のうち、
- 10年後も追跡調査できたのは2,583人(参加率85%)
- 20年後も追跡調査できたのは2,169人(参加率71%)
だったそうな。
因みにドロップアウト者のほぼ半数は住所や電話番号がわからないか、間違っていたためとのこと。残った参加者のうち、BMIの測定値がない人を除外したそうで、最終的なサンプル数は1,582人だったそうです。
最後にこれらのデータを統計処理して、20年間の追跡期間中における地中海式ダイエットと体重・BMIの関係性をチェックしてみたんだとか。
では気になる結果を見てみましょう。
まずは基本情報からです。
- 参加者1,582人のスタート時の平均BMIは25.7kg/m2だった。
- 参加者1,582人の10年後の平均BMIは26.6kg/m2だった。
- 参加者1,582人の20年後の平均BMIは25.8kg/m2だった。
- 20年間の全体の平均BMIは26.0kg/m2だった。
これだけみると、あんまり大きな変化はないように感じますねー。
また20年間での肥満・過体重・適正体重の変化を見てみると、
- 参加者のうち、49.4%(781人)は、常に過体重又は肥満だった…!
- 参加者のうち、45.4%(719人)は、常に適正体重だった…!
- 参加者のうち、3.6%(57人)は、過体重又は肥満になっていた…!
- 参加者のうち、1.6%(25人)は、適正体重になっていた…!
とのこと。
20年間チェックしてみると、同じ体型の人がほとんどで、ダイエットに成功していた人はわずか1.6%だったんですね。やっぱダイエットを長期で成功させるのは超難易度が高いんだな…。
更に、20年間における地中海式ダイエットの継続実践率も見てみたそうなんですが、
- 参加者のうち、41%の人が地中海式ダイエットをドロップアウトしていた…。
- 参加者のうち、32%の人は地中海式ダイエットを最初からしていなかった…。
- 参加者のうち、22%の人は地中海式ダイエットを継続していた…!
- 参加者のうち、5%の人が地中海式ダイエットの食事スタイルに近づいていた…!
とのこと。
地中海式ダイエットの本場ですら、20年間で70%以上の人が地中海式ダイエットの食事スタイルをやめてしまい、結局残ったのはわずか20%ちょい、地中海式ダイエットの食事スタイルに近づいた人はわずか5%だったんですね。こちらもかなり難しいことがうかがえますな。
続いて、適正体重がキープできた人と比較して、常に過体重や肥満だった人の特徴を見てみます。
また、2002年のスタート時は過体重や肥満だったけど、2022年には適正体重になった、つまりダイエットに成功した人の特徴は、
- 高齢男性である
- 高コレステロール、高血圧の可能性が高い
- 喫煙年数が長い
- 総コレステロール、悪玉コレステロール、中性脂肪、血圧が高い
だったとのこと。
この辺はあんま特徴がない感じですね。
お次は、20年間における参加者の体重変化と地中海式ダイエットスコアの関係です。
- 適正体重になった人・常に過体重又は肥満だった人は、常に適正体重だった人・過体重又は肥満になった人よりも、スタート時の地中海式ダイエットスコアが低かった。
- 適正体重になった人・常に過体重又は肥満だった人は、常に適正体重だった人よりも、2012年(10年後)と2022年(20年後)の地中海式ダイエットスコアが低かった。
- 参加者のほとんどは、実験開始から10年間(2002年から2012年)で地中海式ダイエットスコアが低下しており、実験開始から20年間(2002年から2022年)で見てみると、かなりの割合で地中海式ダイエットの食事スタイルではなくなっていた。
全体的に、地中海式ダイエットの食事から離れて行っているみたい。西洋スタイルの食事が多くなっているんでしょうね。
次は地中海式ダイエットとBMIの関係です。年齢、性別、社会経済的地位、カロリー摂取量、高コレステロール、高血圧、糖尿病、身体活動レベル、喫煙状況といった変数を調整したところ、以下のような傾向があったんだとか。
- スタート時(2002年)の地中海式ダイエットスコアが1/55増えると、20年後のBMIが0.13kg/m2減少し、平均BMIも0.08kg/m2減少した…!
- 開始から10年後(2012年)から、地中海式ダイエットスコアが1/55増えると、20年後のBMIが0.11kg/m2減少し、平均BMIも0.08kg/m2減少した…!
- 開始から20年後(2022年)から、地中海式ダイエットスコアが1/55増えると、20年後のBMIが0.05kg/m2減少し、平均BMIも0.09kg/m2減少した…!
- 地中海式ダイエットを最初から・10年後から・20年後から実践していた人は、20年間、地中海式ダイエットを行っていない人に比べて、20年後のBMI又は20年間の平均BMIが3.08~6.54kg/m2も減少していた…!
地中海式ダイエットを行っている人は間違いないなくBMIが減っているみたい。また地中海式ダイエットを始めるのに遅いってことはなく、いつから始めてもその恩恵に与れるみたいですね。これは朗報ですなー。
最後は、食習慣と20年間の追跡調査(2002~2022年)における、常に過体重・肥満になるリスクを見ておきます。こちらも年齢、性別、社会経済的地位、カロリー摂取量、高コレステロール、高血圧、糖尿病、身体活動レベル、喫煙状況といった変数を調整したそうで、結果、
- スタート時と追跡調査の両方で地中海式ダイエットを行っていた人は、20年間の過体重・肥満の持続リスクが逆相関していた…!
- スタート時(2002年)に地中海式ダイエットスコアが1/55高いと、常に過体重・肥満リスクが8%も減少していた…!
- 10年間(2012年)に地中海式ダイエットスコアが1/55高いと、常に過体重・肥満リスクが7%も減少していた…!
- 20年間(2022年)に地中海式ダイエットスコアが1/55高いと、常に過体重・肥満リスクが4%も減少していた…!
- 2002年から2012年の間に、地中海式ダイエットを実践した人は、常に地中海式ダイエットしなかった人に比べて、2002年から2012年の間に、常に過体重・肥満リスクが83%も減少していた…!
- 2002年から2012年の間に、常に地中海式ダイエットを実践していた人は、常に地中海式ダイエットしなかった人に比べて、2002年から2012年の間に、常に過体重・肥満リスクが97%も減少していた…!
- 2002年から2022年の間に、地中海式ダイエットを実践した人は、常に地中海式ダイエットしなかった人に比べて、2002年から2022年の間に、常に過体重・肥満リスクが90%も減少していた…!
- 2002年から2022年の間に、常に地中海式ダイエットを実践していた人は、常に地中海式ダイエットしなかった人に比べて、2002年から2022年の間に、常に過体重・肥満リスクが98%も減少していた…!
とのこと。
最初から地中海式ダイエットを継続すれば体型キープ率が97,98%、途中から継続しても、83%,90%ってのはすごい数値ですね。
これらの結果から研究者曰く、
- 私たちの研究結果は、生涯を通じて過剰な体重を維持するリスク(過体重・肥満リスク)を最小限に抑えるために、全体的なカロリーの質に重点を置く必要があることを浮き彫りにした
としています。
カロリーの質が大事だな~と改めて思いましたし、その実践方法として地中海式ダイエットはやっぱり使えるな~という印象ですね。
個人的に面白いな~と思ったのは、上記で挙げたように20年間で参加者のうち41%の人が地中海式ダイエットをドロップアウトしていたんですが、このスタート時は地中海式ダイエットを行い、徐々に忠実度が低下した人たちも過体重・肥満リスクが低かったんですよね。
つまり、地中海式ダイエットは継続するのがベストだけど、例え途中で止めてしまっても無駄ではない…!ってことなんですよ。
なんで途中で止めてしまってもメリットはありますし、喰らいついてもう一度再開しても良いんではないのかな~っと。
地中海式ダイエットの食事
では次に地中海式ダイエットの気になる食事についてまとめていきたいと思います。冒頭で書いた通り、食事の基本は地中海地方の食べ方を真似るってことになるんですが、もう少し具体的に書くと、
- ほぼ毎日食べる物→野菜、エクストラヴァージンオリーブオイル、全粒穀物、フルーツ、ナッツ類、種子類、豆類、ハーブ、スパイス、イモ類、魚介類
- 毎日~週1で食べる物→鶏肉、卵、チーズ、ヨーグルト
- 月数回食べる物→牛肉、豚肉、ラム肉などの赤肉全般
- ほぼ食べない物:加工食品(お菓子や冷凍食品など)、精製穀物(市販のパンやパスタなど)、サラダオイル、マーガリン、ショートニング
となっております。
更に具体的な食材を掘り下げると、
- 野菜→ほうれん草、たまねぎ、ニンジン、キュウリ、ブロッコリー、トマトなどスーパーにある野菜はほぼ全てOK
- オイル→エクストラヴァージンオリーブオイル、アボカドオイルなど。他のオリーブオイルだと混ざり物があるので注意が必要
- 全粒穀物→全粒小麦粉、オーツ、玄米、ライ麦、大麦、ソバ粉など。但し、全粒穀物に関しては食べなくてもOK
- フルーツ→オレンジ、ブドウ、リンゴ、デーツ、ベリー類(ブルーベリーやラズベリー、ストロベリー、ブラックベリー、木苺など)。甘みが欲しいときに食べると良い
- ナッツ類・種子類→アーモンド、クルミ、マカダミアナッツ、カシューナッツなど。但し食べ過ぎ注意
- 豆類→大豆、インゲンマメ、レンティス、ヒヨコマメなど。但し、無理して食べなくてもいいかも…。
- ハーブ・スパイス→ニンニク、ミント、ローズマリー、セージ、ナツメグ、シナモン、バジルなど。
- イモ類→じゃがいも、サツマイモなど
- 魚介類→サーモン、イワシ、サバ、タラ、ツナ、カキ、ハマグリ、ムール貝、カニ、エビなど。手軽なサバ缶とかおすすめ
- 鶏肉→チキン、アヒル、ターキーなど飼育環境に気を付けられると尚良し
- 卵→スーパーの卵でOK
- チーズ→塩分に気を付けつつ市販のチーズでOK
- ヨーグルト→、ヨーグルト、ギリシャヨーグルトなど。こちらもスーパーの物でOK
- 牛肉→飼育環境に注意
- 豚肉→飼育環境に注意
- ラム肉→飼育環境に注意
- 加工食品・精製穀物・サラダオイル・マーガリン・ショートニング→カロリーの質が低く、セットポイントを狂わせる悪魔な食べ物たち。オメガ6脂肪酸やトランス脂肪酸がたっぷり…!
- 飲み物:水・お茶・コーヒーはOK。お酒はワインで1日1杯まで。清涼飲料水を筆頭に飲み物でカロリーを取らないことが基本…!
となっております。
野菜や魚をオリーブオイルで食べつつ、デザートや間食にフルーツやナッツなどを食べる…!ってのが地中海式ダイエットになります。また、ダイエットとしては珍しく、カロリーや三大栄養素のバランスを気にせず食べるんですよね。ここが面白いしストレスにならんですむのがありがたい…!
地中海式ダイエットの運動
ダイエットの基本は運動…!ってのは良く皆が思うところなんですが、この地中海式ダイエットでは明確な運動の基準はないんですよね。地中海のライフスタイルを基準に考えるとウォーキングをメインとしたNEATを増やすのが基本となるようです。
もちろん、ガーデニングやエクササイズなど自分の好きな運動を合わせてやっても良いそうで、無理してやる必要はないからそこらへんは自分と相談してね…!って言うことらしい。
但し一点だけ注意が必要でして、一般的な成人男女については、少なくとも週2時間半の中~強度の運動や何日間か筋トレを行うことが推奨ということ。中~強度の運動なら毎度おなじみHIITやSITでしょうね~。筋トレは…そういえば筋トレメニューについて詳しく書いていなかったんで、今後書きますね(汗)
個人的考察
○○ダイエット法のオススメを聞かれたら私は迷わず、地中海式ダイエットが良いよ…!って答えていたりします(笑)
因みに地中海メニューの例は、
- 野菜サラダ(チーズ入り)
- ボイルサーモン
- グリルチキン
- オムレツ
- ヨーグルト(ナッツやイチゴ、ベリー類入り)
- フルーツ
- 全粒粉のピザ・サンドイッチ・ラザニア
- ベイクドポテト
などなどです。
皆さんも試してみませんか…?