【まとめ】ナッツ類を食べるなら「クルミ」がおすすめな理由
ナッツ類は太古の時代から食べられており薬としても使われてきた…!その理由は高い栄養素のため…!
2011年のルビーラ・イ・ビルジーリ大学の研究によると、ナッツの起源について調べてみたそうです。
なんでもトルコ東部の発掘調査により、ナッツは人類史の初期から人間の食生活の主食であったことが分かったそうな。つまりナッツ類や種子類は、何千年もの間、食生活の一部となっていたってことですね。
また、ナッツは古代の薬としても使用されていたらしく、ヒポクラテスはアーモンドを風邪薬や咳止めとして使っていたと記述があるみたい。
因みにこの研究でのナッツ類とは、アーモンドやクルミ、ヘーゼルナッツ、松の実、ピスタチオとなっておりまして、今でも皆さんが食べられるものばかりでした。
そんなずーっと食べ続けられ、時には薬にもなっていたナッツですが、そこまで食べられた理由は高い栄養素があるからと言えます。
他にも2011年のコネチカット大学の系統的レビューや2017年のパレルモ大学の研究なんかを見てみると、カロテノイド、フラボノイド、ポリフェノール化合物なども豊富なんだとか。こちらも抗酸化物質・抗炎症物質として有名なんでナッツが薬として使われたというのも納得できる話ですよね。天然のサプリみたいなものですし。
更に2018年のCIBEROBNの研究によると、ナッツ全般、特にクルミの健康効果は高いらしく、オメガ3脂肪酸の一つであるα-リノレン酸(ALA)を筆頭に微量栄養素も良い感じで含まれているみたい。
まだまだナッツ類のポテンシャルは高くて2018年のヴィソーザ連邦大学の系統的レビューでは、抗菌作用がすばらしいぞ…!と出ていたり、2017年の南オーストラリア大学の研究にはその不飽和脂肪酸やポリフェノール、食物繊維などの豊富さから、血糖値のコントロール改善や食欲抑制効果、コレステロールの吸収減少、抗炎症作用、抗酸化作用により、2型糖尿病リスクの低下やインスリン抵抗性の改善が期待できるそうです。
ナッツ類を食べるならクルミがおすすめ…!
そんなナッツ類の中でも特におすすめなのがクルミです…!
2008年のルビーラ・イ・ビルジーリ大学の研究によるとクルミ(ナッツ)は体の炎症を抑える力がかなり強かったんだそうな。ご存じ炎症(慢性炎症)は健康面やメンタル面を蝕む、諸悪の根源。発酵食品や魚(オメガ3脂肪酸)、オリーブオイルを食べて対策しないと現在の食事に多いオメガ6脂肪酸やトランス脂肪酸によって炎症が起きてしまいます。
因みにナッツ類は意外とオメガ6脂肪酸が多いんですよね~。そこがデメリットでもあるんですが、クルミはアーモンドなどに比べ、オメガ3脂肪酸の量が多いのが大きな特徴でありメリットであります。
また、クルミには他のナッツ類には入っていない植物性栄養素(良質な脂肪と食物繊維を含んでいる)がたくさん入っています。詳しくはthe world's healthiest foodsの記事をご覧ください。
他にもナッツには、
- 抗酸化物質
- タンパク質
- ミネラル
- 食物繊維
- 短鎖脂肪酸
- 多価不飽和脂肪酸
といった栄養素がたくさん入っているので、おすすめですねー。
難点としてはカロリーが高いことと先程挙げたようにオメガ6脂肪酸が多い事でしょうか…。
まとめると、健康面やメンタル面からみるとナッツ類は良い…!更に栄養面からみると、ナッツ類の中でクルミが一番良いよ…!って話です。
クルミを食べるとアルツハイマー病のリスクを減らしたり発症や進行を遅らせたりできるかも…!
この実験は、アルツハイマー病のマウスに以下の量のクルミを食べさせたそうな。
- 6%のクルミを含むエサ=ヒトに換算すると、1日当たり1オンス≒28gのクルミを食べさせた。
- 9%のクルミを含むエサ=ヒトに換算すると、1日当たり1.5オンス≒42gのクルミを食べさせた。
結果、
- 6%又は9%のクルミを含むエサを食べたマウスは、対照群のマウスと比べ、記憶力や学習能力、不安感、運動能力の発達が明らかに改善していた…!
とのこと。
つまり、クルミを食べると、アルツハイマー病のリスクを減らしたり、発症や進行を遅らせたりできるかも…!ってことですね。
1日28~42gのクルミを食べると脳に良さそうな感じですね~。
1日28~42gのクルミを食べると脳に良さそうな感じですね~。
20万人以上調べて分かったナッツの消費量と死亡リスクの関係
2015年のヴァンダービルト大学の前向きコホート研究によると、ナッツと死亡リスクの関係について調べてみたそうです。普段からナッツをたくさん食べる人は、死亡リスクが下がる傾向があったけど、これらの研究はヨーロッパ人(特に富裕層)を対象にしていることが多く、他の地域の方だとどうなのかを調べたのが今回の研究になります。
ナッツの消費量と総死亡率・原因別の死亡率を調べる上で、3つの大規模なコホート研究を用いたそうで、それぞれのサンプルはこんな感じ。
- 2002年3月から2009年9月のSouthern Community Cohort Study(SCCS)に参加した経済的地位の低いアフリカ系及びヨーロッパ系のアメリカ人の方71,764人
- 1996年12月から2000年5月のShanghai Women's Health Study(SWHS)に参加した人と2002年1月から2006年9月のShanghai Men's Health Study(SMHS)に参加した人を合わせた中国人の方134,265人
つまり、20万人以上が参加した研究でしてなかなかの規模ではないでしょうか。
因みにナッツの消費量は自己申告やアンケートを用いて行われたそうです。またナッツの種類に関しては、SCCSは約50%がピーナッツ、SWHSとSMHSはピーナッツのみの摂取量だったとのこと。
追跡期間の中央値はSCCSが5.4年、SMHSが6.5年、SWHSで12.2年だったそうなんで期間もなかなか長くて良い感じですね。それでは、結果を見てみましょう…!
- 調査期間中に死亡した方は14,440人だった。
- SCCSに参加した女性の半数以上が喫煙者だった。
- SWHSに参加した女性の喫煙者は2.8%だった。
- SCCSに参加した男性の喫煙者は77.1%だった。
- SMHSに参加した男性の喫煙者は69.6%だった。
- 3つのコホート研究の全てでナッツの摂取量と総死亡リスクは逆相関だった…!(つまりナッツを食べている人ほど総死亡率が低かった…!)
- ナッツと総死亡リスクの低下の関係は0.79~0.83だった…!
- 逆相関は、主に心血管疾患(CVD)による死亡率と関係していた…!
- 心血管疾患を調べたら、人種に関係なく虚血性心疾患と明らかに逆相関していた…!
- 虚血性脳卒中と出血性脳卒中(くも膜下出血)はアジア人でのみ逆相関していた…!
- ナッツと死亡率との関係は、性別、人種(黒人、白人、アジア人)の全てで似ており、代謝は関係なかった…!
つまり、ナッツは明らかに死亡率の低下と関係しており、特に心血管疾患、更に日本人だと心臓と脳の両方の血管に関係する死亡率の低下に影響があるみたい。日本人の死因の2位が心血管疾患(心疾患)で、3,4位が脳血管疾患なんで、これは嬉しい話ですね…!
以上から研究者も心血管疾患による死亡率の低下とナッツの消費量は関係しているから、ナッツ、特に安く手に入るピーナッツを食べると、コスパの良い健康対策になるよ~と申されております。
個人的にはナッツはピーナッツよりクルミがおすすめですが、とりあえずどちらでも積極的に食べていきたいですねー。
ナッツは心血管疾患だけでなく癌、糖尿病、心血管、呼吸器、神経変性疾患など様々な死亡リスクの低下と関係していた…!
2015年のマーストリヒト大学の観察研究・メタ分析によると、ナッツの摂取量と死亡率の低下には関係があると過去の研究で出ているけど、これって心血管疾患(CVD)以外の死因についてはほとんど調査がされていないから調べてみよう…!となったそうです。
この研究は、ナッツ(木の実、ピーナッツ)、ピーナッツバターの摂取量と全体的な死亡率、原因別の死亡率との関係を調べるためにオランダの大規模なコホート研究を用いたそうで、追跡期間は10年間(1986年~1996年)だったそうな。
参加者は55〜69歳の男性58,279人と女性62,573人の計120,852人だったそうで、食生活と生活習慣の情報を取りつつ、追跡期間の死亡率と照らし合わせてみたとのこと。
なかなか大規模で良い感じの研究ですね~。では早速結果を見てみましょうか…!
- ナッツの総摂取量は、男女の全体的な死亡率、原因別の死亡率(癌、糖尿病、心血管、呼吸器、神経変性疾患、その他の原因)の低下に関係していた…!
- ナッツを1日に0.1g~5g食べている人は食べていない人に比べ、総死亡率のリスクが0.88だった…!
- ナッツを1日に5g~10g食べている人は食べていない人に比べ、総死亡率のリスクが0.74だった…!
- ナッツを1日に10g以上食べている人は食べていない人に比べ、総死亡率のリスクが0.77だった…!
- ナッツを1日に10g食べている人は食べていない人に比べ、神経変性疾患の死亡率リスクが0.56だった…!
- ナッツを1日に10g食べている人は食べていない人に比べ、心血管疾患の死亡率リスクが0.83だった…!
- ピーナッツと木の実は死亡率と逆相関の関係にあったが、ピーナッツバターはそうではなかった…!
- メタ分析によると、ナッツの消費量が最も多い場合と最も少ない場合で、がん死亡率は0.85、呼吸器死亡率は0.71だった…!
とのこと。
つまり、ナッツを食べている人は従来から言われた心血管疾患の死亡リスクだけではなく、様々な死亡リスクが低下していた…!ってことですね。但し、ピーナッツバターは意味がなかったと…。
これを見るに加工されたナッツでは効果がないみたいなんで、やはりナッツも他の食材同様未加工を意識しておいた方が良さそうですねー。
因みに今回の研究のナッツの総摂取量の平均は、男性が1日14.5g、女性が1日8.5gだったそうなんで、それらを踏まえると、1日10g~14.5g(軽く片手に乗るぐらいが30g)食べると良さそうな感じです。お試しになる方はご参考にどうぞ。
この研究は20〜90歳のアメリカ人が対象とのことで、1988年~1994年と1999年~2002年のアメリカ国民健康栄養調査(NHANES=アメリカ国民の代表的な健康調査)を用いて普段ナッツを食べないと報告した人達と普段クルミなどのナッツを食べると報告した人達を比較・評価してみたらしい。
結果、
- 1日に平均10.3gのクルミを食べていると報告した20〜59歳の成人は、脳の反応速度が早くなっていた…!(テストAでは16.4ミリ秒、テストBでは0.39秒、テストCでは2.38秒)
- クルミの摂取量が多い人は全ての認知テストで高得点が出ていた…!
- 1日に平均13.1gのクルミを食べていると報告した60歳以上の成人は、認知テストの結果が7.1~7.3ポイントも高かった…!
とのこと。
この結果に研究者曰く、年齢や性別、人種に関係なく、全ての成人でクルミの消費量と認知機能の間に正の相関関係が認められた。これは毎日クルミを摂取することが簡単でメリットの高い食事法である可能性を示している、としています。
やっぱりナッツ、特にクルミは認知機能に良さそうですね~。これを見ると、地中海式ダイエットでご紹介した研究は高齢者が対象でしたが、年齢に関係なく効果がありそうですね。
アンブレラレビューで心血管疾患リスク低下・高血圧リスク低下・総コレステロール低下の効果があった…!
2017年のウィーン大学の研究によると、ナッツと心血管疾患リスクの関係についてアンブレラレビューで調べてみたそうです。まず研究者たちは、1966年から2016年4月までに発表された該当する系統的レビューとメタ分析をPubMedというデータベースを用いて検索してみたそうな。続いて検索にヒットした物から基準を満たす質の高い研究を選んで行ったらしい。
その結果、14件のメタ分析がピックアップされたとのこと。因みに14件のうちの研究の質は以下な感じだったそうです。
- 14件中4件は質の高い研究だった。
- 残りの10件は非常に低いから中程度の質の研究だった。
それでは結果を見てみましょう…!
ナッツを積極的に摂取すると、
- 総コレステロールが大幅な低下していた…!
- 心血管疾患(CVD)リスクが低下していた…!
- 高血圧リスクが低下していた…!
とのこと。
その一方で、
- 脳卒中リスク
- 善玉コレステロール
- 正常範囲の血圧
には影響がなかったみたい。
万能とはいかないまでも、アンブレラレビューで心血管疾患リスク低下・高血圧リスク低下・総コレステロール低下の効果があったのは嬉しいですな。
1日に一握り(1日28g)のナッツを食べると、心血管疾患リスクと死亡リスクが5分の1に、がんによる死亡リスクが10分の1に減少する…!
2022年のベルゲン大学の研究によると、ナッツ類の摂取と健康リスクの関係についてアンブレラレビューを行ってみたそうです。具体的には、ナッツ類の摂取と心血管疾患(CVD)、糖尿病、肥満、代謝性疾患、がん、死亡リスク、アレルギーについてチェックしたとのこと。
まず研究者たちは2021年5月27日までに発表された該当研究をMEDLINE、Embase、Cochrane、Epistemonikosで検索してみたそうな。続いて検索にヒットした1,546件の研究から、重複しているものや質の低い物を排除していったらしい。
最終的には、98件の研究がピックアップ出来まして、内訳は、
- 疾患や疾患死亡リスクの研究:23件
- 疾患のバイオマーカーの研究:66件
- アレルギーや副作用の研究:9件
のようになっておりました。
これらのデータをまとめてみた結果、以下のようになったそうです。
【心血管疾患】
- ナッツの摂取量と心血管疾患は逆相関していた…!
- ナッツを1日28g摂取すると、心血管疾患(CVD)リスクが21%(RR0.79)、冠状動脈性心疾患(CHD)リスクが25%(RR0.75)、心血管疾患・冠状動脈性心疾患の死亡リスクが22%(RR0.78)も減っていた…!
- ナッツの最適な摂取量は1日約15~20gだと思われ、1日28gを超えるとメリットが少なくなりそうだった…!
【糖尿病・肥満・代謝性疾患】
- ナッツの摂取量と糖尿病、肥満、代謝性疾患との関係は微妙だった。
- ナッツを1日28g摂取すると、2型糖尿病リスクが11%(RR0.89)、糖尿病関係の死亡リスクが39%(RR0.61)、減っていた。
- 肥満については有意差はなかった(RR0.81)が、肥満・過体重では有意差があった(RR0.89)
- ナッツの摂取と糖尿病の間に有意な非線形の用量反応関係はなかった。
- ナッツ類単独では糖尿病による死亡リスクに有意差はなかった。
- ほとんどのメタ分析ではBMIが調整されており、これらの結果は過剰に調整されている可能性があった。
- BMIを調整しなかった場合、ナッツの摂取で糖尿病リスクが20%(RR0.80)低くなっていた。
- つまり体重減少が糖尿病リスクと関係している可能性があった。
【がん】
- ナッツの摂取量とがん死亡リスクは逆相関していた…!
- ナッツを1日28g摂取すると、がん死亡リスクが11%(RR0.89)も減っていた…!
- ナッツの摂取量とがん死亡リスクにおいての最適な摂取量は1日28gだった…!
【全死亡リスク】
- ナッツの摂取量と全死亡リスクは逆相関していた…!
- ナッツを1日28g摂取すると、全死亡リスクが22%(RR0.78)も減っていた…!
- ナッツの摂取量が1日20gを超えると、効果が横ばいになっていた…!
【その他の死亡リスク】
- ナッツの摂取量と呼吸器疾患死亡リスクは逆相関していた(RR0.48)
- ナッツの摂取量と感染症死亡リスクは逆相関していた(RR0.25)
- ナッツの摂取量と神経変性疾患(アルツハイマー病やパーキンソン病など)の死亡リスクは有意ではないが逆相関していた(RR0.65)
- ナッツの摂取量と腎臓疾患死亡リスクは関係なかった。
【アレルギー】
- ピーナッツアレルギーの発症率は0%~2.8%の範囲で、年齢や環境によってばらつきがあった。
- ナッツアレルギーの発症率は0~6歳が0.03~0.2%、6~18歳が0.2~2.3%、成人が0.4~1.4%だった。
- アナフィラキシー反応は稀だが、その中でもピーナッツは注意が必要だった。
まとめると、
- 1日に一握り(1日28g)のナッツを食べると、心血管疾患リスクと死亡リスクが5分の1に、がんによる死亡リスクが10分の1に減少する…!
となりましょう。
すばらしい効果ですね…!
ということでアレルギーの方を除き、1日一握りのナッツを食べて健康効果を最大限受けると良さそうです。