【まとめ】睡眠不足って健康や肥満など、どんなデメリットがあるの?
ということで今回は、睡眠不足と様々なデメリットについて書こうと思います。
そもそも皆さんは、日本人は睡眠時間が短い…!って話を聞いたことがございませんか…?
OECDの1日の使用時間データによると、各国の1日の睡眠時間は以下のようだったそうです。
- カナダ →女性:507分、男性:493分
- フィンランド →女性:514分、男性:507分
- フランス →女性:513分、男性:506分
- イタリア →女性:526分、男性:520分
- 日本 →女性:456分、男性:472分
- 韓国 →女性:462分、男性:461分
- メキシコ →女性:488分、男性:496分
- ニュージーランド →女性:529分、男性:522分
- スペイン →女性:514分、男性:510分
- アメリカ →女性:522分、男性:509分
- その他OECD26ヶ国→女性:505分、男性:496分
これを見ると、ほとんどの国は男女とも500分以上(1日8時間以上)寝ているのに対し、日本は30分から1時間ほど短いみたいです(韓国も短いみたいですが)
余談ですが、他にも日本は男性が育児や家事に消極的だったり、男女とも運動時間が短かったり(女性14分、男性17分)と、なかなか厳しい結果となっております。
では、実際、睡眠時間が少ないと体にどのような悪影響があるのか…?今回はこれらを見ていきたいと思います。
睡眠不足と肥満の関係
人間にはご存知体内時計というものが存在しております。そして、体内時計は夜更かしなどの睡眠不足により狂うのですが、まずはこの体内時計と肥満の関係について書いていきます。
人間の体内時計は脳の視床下部というところがコントロールをしています。
そしてこの視床下部が狂うと、脳の報酬系が壊れてしまい、食欲が暴走、異常に食欲が増えるという現象が起こるのです。つまり肥満になるってことですね。これがセットポイントが上がる理由になります。
また、2012年のブリガム・アンド・ウィメンズ病院の研究では、睡眠不足は生命の危険性を体が感じて守りに入る(脂肪を溜め込もうとする)って結果も出ているんでこの当たりはほぼ間違いなさそうな感じ。
他にも2012年のシカゴ大学の研究によれば、体内時計が狂うことで、肥満だけでなく、糖尿病や心疾患、ガンの原因にもなるらしい…。ひぇ~。恐ろしや…。
睡眠不足でカロリー摂取量が20%も増える…!
2008年のクリスティアン・アルブレヒト大学キールの研究によると、睡眠時間と肥満の関係について調べてみたそうです。実験は健康な女性14人(年齢23〜38歳、BMI20.0〜36.6)を対象に8時間以上の睡眠後、7時間睡眠、6時間睡眠、4時間睡眠と睡眠時間を削ってどうなるかみてみたらしい。研究者も睡眠不足はカロリー摂取量をアップさせ、女性の体重増加につながっていたとおっしゃっておりました。ダークトライアドの仲間入りをしてしまう…!
2013年のカリフォルニア大学バークレー校の研究によると、2つの実験を行い睡眠が人間関係にどのような影響を与えるのかを調べたんだそう。結果、睡眠不足の人は、
- 共感力(協調性)がダウンした…!
- ネガティブがアップした…!
- トラブルの対応能力がダウンした…!
とのこと。因みに睡眠不足が1日あっただけでも上記は起きやすくなるそうなんでご注意を…。
あと上記から分かる通り、自分のことしか考えられない、自分ファーストになるみたいなんで、つまりはダークトライアドの仲間入りをしてしまう…!っていうヤバいことが睡眠不足で起こるということに…!ひぇ~。
睡眠不足→炎症→心血管疾患リスクがアップ…!
2010年のエモリー大学の研究によると、睡眠の質(長さと持続性)と炎症と関係性について調べてみたそうです。なんでも、先行研究から睡眠の質と心血管疾患(CVD)のリスクに関連がある…!って証拠が見つかっているそうで、それなら炎症も影響を与える可能性があるんじゃないか…?と研究者は思ったみたいですね。今回実験に参加したのは525人(女性61%、平均年齢51±9歳、アフリカ系アメリカ人47%)でして、まず初めにピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)を回答してもらい、睡眠の質をチェックしたそうです。因みに睡眠の質の悪さは、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)の合計点が6点以上(中央値)としたとのこと。睡眠時間については、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)から導き出され、6時間未満、6〜8.9時間、9時間以上の3つに分けたそうです。
次に参加者のフィブリノーゲン、IL-6(インターロイキン6)、CRP(C反応性タンパク)のレベルをチェックし、最後に年齢や性別、人種、喫煙、高血圧、糖尿病、胴囲、ブドウ糖、脂肪量などを調整していったそうな。
気になる結果は、
- 睡眠の質が低い参加者は、睡眠の質が高い参加者に比べ、フィブリノーゲン、IL-6(インターロイキン6)、CRP(C反応性タンパク)のレベルが高かった…!
- 特にCRP(C反応性タンパク)の平均レベルは、6〜8.9時間睡眠の参加者と9時間以上睡眠の参加者に比べ、6時間未満の睡眠の参加者の方が約25%も高かった…!
- 6時間睡眠の参加者と6〜8.9時間睡眠の参加者を比べてみると、6〜8.9時間睡眠の参加者の方が炎症物質のレベルが低かった…!
- 6〜8.9時間睡眠の参加者と9時間以上睡眠の参加者を比べてみても、統計的に違いはなかった…!
ということです。
つまり、睡眠の質が低いか、睡眠時間が6時間未満だと体内炎症が起きる…!ってことですね。
つまり、睡眠の質が低いか、睡眠時間が6時間未満だと体内炎症が起きる…!ってことですね。
この結果に研究者曰く、睡眠の質が悪く、睡眠時間が短いと、炎症レベルが高くなる。睡眠の質と睡眠時間を正常化することは、心血管疾患のリスクを改善するのに役立つ可能性がある、とのこと。睡眠の質と睡眠時間を適切に保つことで、炎症レベルが下がり、結果として心臓病や脳卒中のリスクを下げられるということですね。
ということで、慢性炎症対策には睡眠の質・時間も意識していきましょう…!
高血圧・交感神経系の活性化・糖代謝の異常・慢性炎症の増加というバッドステータスのオンパレード…!
2004年のブリティッシュコロンビア大学の研究によると、過去の睡眠研究をレビューしてみたそうです。研究者によれば、慢性的な睡眠不足は現代社会では一般的だけど、多くの人々はこの習慣化された睡眠不足の悪影響について気付いていない、とのこと。
確かに睡眠不足による健康被害について、社会人は結構ないがしろにしていると思いますねー。
では、実際どのような健康リスクがあるのか早速結論を見てみましょう…!
睡眠時間が慢性的に短時間だと、
- 高血圧
- 交感神経系の活性化(=緊張状態、ストレスを感じている状態)
- 糖代謝の異常
- 慢性炎症の増加
などの悪影響をもたらすらしい。
う~ん。やっぱ睡眠不足は体に悪いですねー。
代謝が落ち、ダイエット効果が減る…!
2010年のシカゴ大学の研究によると、不眠はカロリー摂取量とカロリー消費量を変化させる可能性がある…!って話があるけど、じゃあ、睡眠時間を制限したとき肥満な方に対する低カロリー食の効果が低くなるのかをRCTのクロスオーバー試験で調べてみようとなったそうです。
この実験は、タバコを吸わない肥満体型な成人10名(男性7名・女性3名、平均年齢41歳、BMI=27.4)を対象としたそうで、中程度のカロリー制限を14日間行ってもらったそうです。またこの時に、夜の睡眠時間をランダムな順序で8.5時間か5.5時間に設定し、寝てもらったそうな。
んで気になる結果は、
- 睡眠時間が減ると、体重の割合に対して消費される脂肪量が55%減少した…!具体的には、8.5時間だと1.4kgだったのに対し、5.5時間だと0.6kgしか脂肪が減っていなかった…。
- 逆に脂肪以外の体重減少が60%増加した…!具体的には、8.5時間だと1.5kgだったのに対し、5.5時間だと2.4kgも脂肪以外の体重が減少していた…。
そうです。
つまり、睡眠不足は体重減少や代謝に良い影響があるはずの健康的な食事の効果を減らしてしまう可能性があるってことですね。睡眠不足でダイエット効果が減るのは痛いですね…。
遺伝子発現・代謝・慢性炎症・免疫系・ストレスに悪影響が…!
2013年のサリー大学の研究によると、不眠と概日リズム(体内時計)の乱れは、肥満や心血管疾患(CVD)、認知機能の低下など、健康に悪影響を与えるけど、そのメカニズムはどうなっているのか…?について調べてみたそうです。
今回実験に参加したのは26人で
- 1週間、1日の睡眠時間を5.70時間にしてもらう
- 1週間、1日の睡眠時間を8.50時間にしてもらう
をそれぞれ試してもらったそうな。
つまりクロスオーバーデザインを使ったってことですね。
睡眠不足で周りが敵だらけに見える…!は本当か…?
2015年のカリフォルニア大学バークレー校の研究によると、睡眠不足と顔の表情を読み取る力の関係性について調べてみたそうです。
この研究では、睡眠に問題を抱えていない健康な18~30歳の男女18人(男性9名女性9名、平均年齢19.6±1.45歳)を対象に行われたそうで、クロスオーバーデザインを採用したとのこと。
んで参加者には、以下の2グループに分かれて過ごしてもらったそうな。
- 睡眠不足グループ:午後9時にラボに来てもらい、寝ていないか監視されながら、徹夜して(24時間起きていて)もらった。
- しっかり寝たグループ:午後8時にラボに来てもらい、午後11時から午前7時30分±30分の約8時間寝てもらった。
続いて、午前9時に全員の脳をfMRIでスキャンしつつ、合わせて顔の感情識別テストを行ったみたい。顔の感情識別テストは、70種類の顔の画像セット×2を使って行われたそうで、画面に1.5秒だけ顔の画像が表示されるので、参加者はその顔が「敵に見えるか」、「敵に見えないか」を答えたそうです。
因みにウォッシュアウト期間は、少なくとも6日間(平均12.42日間)をとったそうな。
それでは結果を見てみましょう…!
- しっかり寝た時と比べて睡眠不足の場合は、敵に見える顔が大幅に多くなり、逆に敵に見えない顔は大幅に少なくなった…!
- 平均すると、睡眠不足の場合は敵に見えた場合は20.44±7.0と回答したのに対し、しっかり寝た場合は16.8±7.8だった…!
- fMRIで脳を見た結果、睡眠不足で島(身体感覚を司る部位)、前帯状皮質(実行機能や共感力、情動を司る部位)、扁桃体(感情を司る部分)の機能がダウンし、顔の判断力も落ちていた…!
- 睡眠不足により感情シグナルの伝達システムが大幅に低下していた…!
睡眠不足で脳機能が落ちて結果、周りが敵だらけに見えてしまうみたいですねー。怖い…。
因みに研究者によれば、脳内の感情調整がレム睡眠の役割かも…?ということでして、どうやら夢を見つつ脳をリセットしているみたいです。
上記を見ると、睡眠不足でダークトライアドの仲間入りをしてしまう…!ってのも納得できますねー。
睡眠不足によるパフォーマンス低下の影響度は気分→認知→運動の順…!また部分的な睡眠不足は短期・長期の睡眠不足よりも深刻な影響を与える…!
1996年のブラッドリー大学の研究によると、睡眠不足が人間のパフォーマンスにどう影響するのかメタ分析してみたそうです。
具体的には睡眠不足によって、
- 気分の変化
- 運動パフォーマンスの変化
- 認知パフォーマンスの変化
の3つを見てみたらしい。
まず研究者たちは、睡眠不足と人間のパフォーマンスの関係を調べた研究を集めたそうで、結果56件が見つかったとのこと。次に56件の中から質の高い研究をピックアップ、最終的には19件の研究に絞ったそうな。
因みに19件の研究の種類は、
- 短期間の睡眠不足を調べた研究:4件
- 長期間の睡眠不足を調べた研究:6件
- 短期・長期の両方の睡眠不足を調べた研究:3件
- 部分的な睡眠不足になってもらった研究:6件
だったみたい。
19件の研究の総サンプル数は1,932人で、143の研究係数があったそうです。
この143の効果量をメタ分析したんだとか。
気になる結果は、
- 睡眠不足で人間のパフォーマンスは大きく低下していた…!
- 睡眠不足の人は、そうでない人に比べて、1.37もパフォーマンスが低かった…!
- 睡眠不足は、運動パフォーマンスへの影響が最も小さく、認知パフォーマンスへの影響が大きく、気分への影響は最も大きかった…!
- 部分的な睡眠不足は、短期・長期の睡眠不足よりも、影響が大きかった…!
- 部分的な睡眠不足は、短期・長期睡眠不足に比べて、認知パフォーマンスをかなり低下させていた…!
- 部分的な睡眠不足は、長期睡眠不足に比べて、気分により大きな影響を与えていた…!
とのこと。
睡眠不足でパフォーマンスが低下するってのは当然ですが、影響度が気分→認知→運動の順なんですね。また、部分的な睡眠不足(テスト前日の徹夜とか)が、短期・長期の睡眠不足といった慢性的な睡眠不足よりも深刻な影響を与えるってのも覚えておきたいですねー。
つまり、テスト前の徹夜は最悪であると…。
勉強後はちゃんと寝た方が良い…!徹夜のダメージはその後2日間ちゃんと睡眠をとってもどうやら残るみたい…!
2000年のハーバード大学の研究によると、学習と睡眠の関係について調べてみたそうです。
この研究は18~25歳の若者133名を対象に行ったとのこと。
まず参加者全員に60~90分の視覚テストのトレーニングをしてもらい、続いて以下の2グループに分かれてもらったそうです。
- コントロールグループ:3日間、普通に寝て過ごす。
- 睡眠不足グループ:1日目の夜から2日目の午後9時(30時間後)まで徹夜をしてもらう。2,3日目の夜は普通に寝てもらう。つまり、徹夜→普通に寝る→普通に寝る。
最後に学習から72時間後に全員に視覚テストを行い、結果を比べてみたそうな。
因みに視覚テストは画面に一瞬表示されるTとLを見分けたり、斜線と垂直線と水平線を見分けたりする物で、やればやるほど(トレーニングしておくと)成績が良くなることが分かっているんだそうです。
では結果を見てみましょう…!
- 初日の視覚テストトレーニングから48~96時間後には最大のパフォーマンスアップが見られた…!
- 睡眠不足グループは、正常レベルの注意力があるのに、パフォーマンスがアップしなかった…!
とのこと。
徹夜のダメージはその後2日間ちゃんと睡眠をとってもどうやら残るみたいですね~。
この結果に研究者曰く、
- パフォーマンスの改善には、視覚テストトレーニング後、30時間以内の睡眠が絶対に必要だろう
としています。
やっぱり勉強後は、ちゃんと寝た方が良さそうですね。
睡眠不足(夜勤・夜のブルーライト)でガンになる…!
睡眠不足と密接に関わりがあるのが夜勤です。そして夜勤と深い関わりがあるのが夜のブルーライト(人工光)となります。
ざっくりとした流れを書いておくと、
- 夜勤により夜通しブルーライトを浴びる
- 睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が抑制される
- 概日リズム(体内時計)が狂う
- 睡眠不足に…!
って感じ。
そのため、夜勤で慢性的な睡眠不足に陥る人は結構良いんですよね。
そして夜勤(夜のブルーライト)はガンの発症リスクと関係がある…!って研究が結構あるんですよ。
代表的な物としては、夜勤と乳がんの発症リスクとの関係です。
例えば、
と様々な観察研究で夜勤で乳がんの発症率がアップする…!と示されております。
また2003年のチャニングラボの前向きコホート研究では、夜勤と結腸がん・直腸がん(大腸がん)との関係を調べております。
この研究はNurses' Health Study(NHS)という、看護師さんの健康アンケート調査に参加した女性の方を対象としておりまして、1988~1998年までの10年間、追跡調査をしたそうな。
最終的なサンプル数は78,586人で、追跡調査中に結腸がん・直腸がん(大腸がん)を発症した方は602名だったらしい。
んで、最後に夜勤の有無と結腸がん・直腸がん(大腸がん)の発症を比べてみた結果、
- 1年間のうち月に少なくとも3日の夜勤をしていた女性は、夜勤を全く行っていなかった女性と比較して、結腸がん・直腸がん(大腸がん)の発症率が高かった…!
- 夜勤年数(1年間のうち月に少なくとも3日の夜勤)が15年以上の女性は、1~14年の女性、夜勤を全く行っていなかった女性よりも結腸がん・直腸がん(大腸がん)の発症率が高かった…!
そうです。
つまり、夜勤年数が多くなればなるほど、結腸がん・直腸がん(大腸がん)の発症率がアップする…!ってことですね。
これについて研究者曰く、
- これらのデータは、月3日以上の夜勤を15年以上にわたって行うと、女性の結腸がん・直腸がん(大腸がん)の発症リスクがアップする可能性を示している
としています。
睡眠不足でネガティブになりやすくポジティブになりづらくなる…!
2005年のイスラエル工科大学の研究によると、睡眠不足と感情の関係について調べてみたそうです。この研究はイスラエルにある4か所の大病院に勤務している、なったばかりの研修医を対象にしたそうで、サンプル数は78人(男性67%・女性33%、年齢26~39歳)だったそうな。
実験期間は2年間で、6ヶ月ごとに夜勤日を含む5~7日間調査したそうです。
どのように調査したかというと、
- 勤務中のランダムな時間帯に3日間連続して3回電話をかける
- その電話を受ける15分前から今の感情を簡単なアンケートで聞き取る
というもの。
これでポジティブな感情かネガティブな感情かを評価したみたい。
最後に統計処理をした結果、
- 睡眠不足で日中に嫌な事が起こると、ネガティブな感情と疲労がより大きくなった…!
- 睡眠不足で目標を高めるような出来事が起こると、ポジティブな感情効果が減った…!
とのこと。
つまり睡眠不足はネガティブになりやすくポジティブになりづらくする…!ってことですね。
この結果に研究者も、睡眠不足はポジティブな感情のベースラインを全体的に上げるだろうとおっしゃってますし…。
睡眠不足で皮膚トラブルや気分障害(うつ病・不安症)が起こりやすくなるかも…!
2008年のウィスコンシン大学の研究によると、慢性皮膚疾患と気分障害・睡眠障害の関係を調べてみたそうです。
この研究はウィスコンシン大学マディソン校の外来皮膚科クリニックに通っている慢性皮膚疾患(最低6ヶ月以上の皮膚トラブルが続いている)の成人患者さん16人を対象に、4種類の自己評価アンケートに答えてもらい、気分障害・睡眠障害の発症率を調べてみたんだそうな。
早速結果を見てみると、
- 16人中15人が、睡眠の質が悪いと回答していた…!
- 16人中6人は、うつ病や不安症といった気分障害に関係なく睡眠の質が悪かった…!
- 気分障害は、睡眠の質を悪化させていた…!
- 16人中9人が、気分障害(うつ病・不安症)があると回答していた…!
だったそうです。
どうやら慢性的な皮膚トラブルに悩まされている人は、うつ病や不安症になる可能性が高く、睡眠の質も低下しているみたいですね。
因果関係が不明であり(つまり皮膚トラブルで気分障害・睡眠障害が起きやすくなるのか、気分障害で皮膚トラブルや睡眠障害が起きやすくなるのか、睡眠障害で皮膚トラブルや気分障害が起きやすくなるのかが分からない)、パイロット研究なんではっきりとは言えないものの、睡眠不足で皮膚トラブルが起きるのは十分可能性があるかと思います(もちろん気分障害が起きる可能性も高いとも思います)
そもそも睡眠の質は免疫にとって非常に重要な要素なんだけど、それなら風邪のひきやすさが変わるのではないか…?となり調査したのが今回の研究になります。
具体的には年齢21~55歳の健康な男女153名(男性78名・女性75名、平均年齢37.06歳)を対象に以下の手順で実験を行ったとのこと。
- 14日間連続で、睡眠時間と睡眠効率(実際に寝ている時間の割合)、主観的に良く眠れたかどうかを報告してもらう。
- 上記のデータを用いて、睡眠の質の平均スコアを出してベースラインを割り出す
- 参加者にわざと風邪にかかってもらい5日間様子を見てみる。
- 季節や体重、経済状況、心理面、健康習慣といった変数を調整し、データを比べてみた。
これで、睡眠と風邪のかかりやすさの関係が分かる感じですね。
では結果を見てみましょう…!
- 平均睡眠時間と風邪の発症には関係があった…!
- 睡眠時間が7時間未満の参加者は、8時間以上の参加者よりも、風邪をひく確率が2.94倍も高かった…!
- 睡眠効率(実際に寝ている時間の割合)が92%未満の参加者は、効率が98%以上の参加者よりも、風邪をひく確率が5.50倍も高かった…!
- 主観的に良く眠れたかどうかは、風邪の発症と関係なかった…!
睡眠不足で風邪に3倍なりやすくなるし、ベッドに入っても眠れず横になっている時間が多い人は5.5倍も風邪をひきやすくなる…!ってことですね。しかもこれに主観的な睡眠の質は関係ないと…。
やはり睡眠不足で免疫力が低下しちゃうみたいですねー。
なんでもヒトは数日間の徹夜に耐えることができるそうなんですが、その後、睡眠の乱れが起こる可能性が高いみたいなんですよね。まぁ、そうですわな。
更に睡眠不足のポイントがバーッと書かれていましたんで並べておきます。
- 睡眠不足は、感覚の低下、集中力の低下、観察力の低下、反応速度の低下などが起きる。結果、仕事や勉強などのタスク実行力や効率の低下、ミスが増加してしまう。
- 睡眠不足は、記憶力の低下や間違った判断の増加、対人関係の悪化や攻撃性の増加などを引き起こす。
- 睡眠不足で、視床や前頭前野、前頭葉、後頭葉などの脳組織の低代謝が起きる。
- 睡眠不足は、言語能力を単調かつ不明瞭にする。つまり上手くしゃべることが出来なくなる。
- 睡眠不足は、痛みに対して敏感にする作用がある。
- 睡眠不足は、免疫機能やホルモン分泌(特に成長ホルモン)のパターンを狂わせる。また、肥満や糖尿病、心血管疾患のリスクも高くなる。
- 20〜25時間の不眠のパフォーマンスの低下は、血中アルコール濃度0.1%のエタノール中毒の後とほぼ同じ。
- 慢性的な睡眠不足や数日間の浅い眠りの継続は、睡眠負債を引き起こし、徹夜明けとほぼ同じ感じになってしまう。結果、仕事のパフォーマンスの低下や事故、ケガの可能性が高くなる。
う~ん…。
パフォーマンスは低下するし、人との関係は悪くなるし、上手くしゃべられなくなるし、不健康になるし、事故やケガの可能性が増えるしで、全く良い事がありませんねー。
やっぱ毎日ちゃんと寝るって当たり前だけど、当たり前だからこそしっかりやっていかないといけませんな。
睡眠不足が様々なホルモン分泌を変化させるのは今までご紹介してきておりますが、それによってどうやら筋肉が上手く成長しなくなってしまうみたいなんですよね。つまり、筋トレしても意味がなくなると…。こりゃ嫌っすねー。
具体的には、
が起きてしまうらしい。
その結果、
- 筋肉量の減少
- 筋トレ後などの筋繊維の損傷の回復の低下
が起きてしまうんだとか。
筋肉成長の為に筋トレや食事はもちろん大事ですが、睡眠も同じぐらい気にしておかないといけないみたいですね。
この研究は、健康な若者29名(男性15名女性14名、平均年齢22.34歳)を対象に睡眠不足とそうでない場合でギャンブル(経済的な意思決定)をしてもらい、違いが出るのか見てみたそうな。因みに参加者には2週間の中で3回ラボに来てもらったらしい。
ざっくりした実験の流れは、
- 睡眠不足になるよう、参加者にラボに来てもらい、午後6:00から次の日の午前6:00まで起きていてもらった(つまり一晩の徹夜)
- その後、3つの方法のいずれかにお金を賭けられるギャンブルをしてもらった
- 最後に、睡眠不足で注意力の維持が変わるか、ハイリスクな意思決定をどの程度するようになるかなどをチェックした
って感じ。
上記のパターンとしっかり寝た場合やギャンブルゲームを練習した場合などを比べてみたんだそうな。
結果は、
- 一晩の徹夜による睡眠不足は健康な人と比べて、ハイリスクの意思決定をしやすくなった…!
- これは腹内側前頭前野(恐怖や衝動をコントロールする場所)の活性化と、島の活性化の減少が関係していた…!
とのこと。
どうやら睡眠不足で損失の回避よりも利益の追求を求めるようになっちゃったみたいですね。
そもそも睡眠障害の方って、結構片頭痛持ちの場合が多いらしいんですよ。じゃあこれらが関係しているのか…?ってのを調べたのが今回の研究になります。
実験は大学生292人(女性69.9%、平均年齢19.19歳)を対象に行ったそうで、手順はこんな感じ。
- 参加者の睡眠の質や日中の眠たさなどをチェック。
- 参加者が片頭痛持ちかチェック。
- 最後にデータを比べてみる。
早速結果を見てみますと、
- 292名中78名(26.7%)が片頭痛持ちだった。
- 片頭痛のある人はない人に比べ、主観的な睡眠の質が低い(8.90vs6.63)と報告していた…!
- 片頭痛のある人(85.9%)はない人(62.0%)に比べ、臨床的に睡眠の質が低かった…!
- 睡眠の質の悪さは、頭痛の頻度と関係しており、うつ病や不安にも関係していた…!
そうです。
どうやら睡眠不足は片頭痛(慢性的な片頭痛)と関係しているみたいですねー。
まだまだある…!睡眠不足のデメリット…!
個人的考察
ということで睡眠不足のデメリットでした。
他にも睡眠不足でコルチゾールが増える…!って話や、孤独感で睡眠不足に…!って話もあったりしますんで、ダイエットやメンタルへの悪影響はかな~りあるかと思います。
ですので、健康的にダイエットしたい方は是非、睡眠不足に注意してください。
もし寝不足が続いて体内時計が狂ったときは、朝日をしっかり浴びつつ、お米やお肉を食べてみるのもおすすめです。
その他、睡眠の質の向上・対策を行いたい場合は下記をご覧ください。
- 睡眠不足かどうかをチェックしてみませんか?
- 結局、おすすめ睡眠時間は何時間なのか?
- ひばり型・フクロウ型
- 日の出とともに起きて日光を浴びて過ごす大事さ「太陽光・一酸化窒素」入門
- なぜ夜にブルーライトに当らない方が良いのか?そして、睡眠やダイエット、肥満との関係は?
- 有酸素運動・無酸素運動(筋トレ)の効果を片っ端から挙げてみる!
- 睡眠対策 寝る2時間前に適度な糖質をとろう…!
- 睡眠対策 寝る2時間前に食べて良い糖質、悪い糖質
- ウェイトブランケット
- 自分に合うマットレスとはどのような物なのか?
- 人に与える気温・温度の効果が侮れない件
- 寝ているとき脳内で何が起きているのか?寝る時の姿勢は何がベストなのか?
- 費用0円!今日の夜からできる睡眠対策
- 睡眠日記
- 睡眠の誤解・認知シャッフル睡眠法
- 漸進的筋弛緩法を使って入眠をスムーズにしてみよう…!
- 睡眠対策で最強と謳われる方法「刺激制御療法(刺激制限療法)」のやり方とコツ
- 眠れない!って方は、逆説的意図を使おう!って話
- 昼寝の効果が侮れない!コーヒーナップのやり方とコツ、効果について
- プラセボ効果でも睡眠不足に効く…!
参考文献
リンク