楽して痩せたい!ってのは現代人の夢の一つでしょう。
しかし、夢半ば散っていった人は数知れず…。
では本当に不可能なのか…?ってのを考えていきます。



楽に痩せる…!は不可能なのか…?

そもそも痩せるためには、結局のところ摂取カロリーを減らすのが一番となります。しかし、ここで襲ってくるのが空腹感です。では、空腹を感じ辛くするにはどうすれば良いのでしょうか…?
結論から申しますと、食事報酬を気にするのが最も良い選択肢となります。
どういうことかというと、

  1. 食事報酬が減る
  2. 空腹感がなくなる
  3. 自然とカロリー摂取量が減る
  4. 痩せる…!

って感じで進んでいくので、これが皆が思う楽して痩せる…!に一番近い状況ではないかと思う次第です。
この話は個人的な意見ではなく、数多の研究により支持されている現象で、その数は3,000以上あるとも言われております。つまり、それほど数多くの研究で、食事報酬を減らせば空腹感が減り、暴飲暴食もなくなって楽して痩せられると分かっているんですよねー。
では、食事報酬とはなんなのか…?を見ていきたいと思います。



食事報酬ってなに…?

カロリーの質のところで書きましたが、例えば、野菜100kcalとお菓子100kcalを食べようとすると同じ100kcalですが、簡単に食べられる、もっと食べたいと思うのは、おそらく皆さんお菓子の方だと思います。
このように食事によって脳の報酬系が刺激されることを食事報酬と言い、野菜のようなものを食事報酬の低い食品、お菓子のようなものを食事報酬の高い食品と言います。食事報酬の高い物を食べると脳の報酬系が刺激され、快楽物質であるドーパミンが出てしまうので、結果もっと食べたくなってしまうのです。以前に脳のセットポイントが上がる原因を一つ一つ掘り下げましたが、まとめて一番の原因を挙げると、食事報酬が高い食品を食べるのがセットポイントが上がる最大の原因だと言えます。

この脳への報酬系の刺激が強い食品が暴飲暴食と肥満の原因ってのはほぼ間違いない感じでして、例えば2012年のペニントン生物医学研究センターの研究によると、味覚の感受性や味覚に対する快楽反応(嗜好性)などは、肥満要因との関係が相互的にあり、高い嗜好性が過食症や肥満を促し、肥満状態が味覚感受性や快楽処理を促しているとしています。そしてこれらは意志力で抑えることは困難とも指摘されております。
そのため、如何にうまく食事報酬の低い食事にシフトできるかがダイエット成功の必須要件と言えるでしょう。

例えば、1965年の研究によると、肥満の方に協力をお願いし、食事報酬の低い飲料を飲み続けてもらったそうです。すると、みるみる空腹感が減少、255日後には100kgも減量したそうな。平均で1ヶ月約12kg弱の減量はすさまじい成果ですね。
他にも、

など、かなりの研究で同様の結果が見られており、ダイエットをする場合は是非、意識したい内容です。



食事報酬の高い食べ物の共通点

まず食事報酬の高い食べ物とはざっくりとどのような食べ物なのでしょうか…?
これについては2014年のユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究が参考になりまして、ポイントを並べて行くと、

  • 西洋の食事環境の特徴は、非常に口当たりが良く、いつでも色々な物を食べられる
  • 西洋の食事を用いた人間と動物の両方の摂食行動の研究では、食欲を刺激し、満腹感を遅らせ、過剰なカロリー摂取を促すことが確立されている。これは食べ物の嗜好性と多様性が重要な役割となっている
  • 食べ物の嗜好性と多様性は、短期間に強い食欲を及ぼし、体重増加を引き起こす

となっております。
つまり、食事報酬の高い食べ物は、西洋の食事(加工食品)とバラエティーに富んだ食事(食事の多様性)が重要なポイントってことになりますね。

因みに糖尿病研究で有名なミシガン大学のマーティン・G・マイヤーズ博士の2010年の研究によると、先進国と発展途上国における肥満の急増の根底にあるのは、遺伝的な問題ではなく、環境の変化とのことです。特に過去50年間で2つの大きな変化がカロリーバランスの方程式を変えたそうで、その2つとは、

  1. 物理的なカロリー消費の減少=運動量の低下
  2. 口当たりの良いカロリー密度の高い食品の入手のしやすさと豊富さの増加

とのこと。
カロリー密度の高い食品の筆頭が西洋の食事(加工食品)であり、豊富さ(食事の多様性)の増加とともに上記と被っておりますね。
運動量の低下は、言わずもがな、でしょう…。デスクワークが中心で座り過ぎの方はもちろん、運動しないと様々なメリットを受けられませんからね。せめてNEAT(ニート)は意識しておきたいところです。
ブライアン・ワンシンク博士もダイエットには環境整備が大事だ…!っとおっしゃっておりますし、やはり、現代の食事報酬の高い食品にあふれた環境がかなり問題なように感じますね。

では続いて、先程挙げた研究や加工食品の歴史を参考に、具体的な食事報酬の高い食べ物の共通点について考えていきたいと思います。
まず、食事報酬を高める物は、


などになります。これらを多く含むのが加工レベルの高い食品、つまり、加工食品であり、脳が暴走しやすい食品といえます。ファストフードのような近代の食品(加工食品)を食べると一気に脳が許容できる食事報酬の量を超えてしまうので、この当たりは注意しておきたいですね~。



なぜ食事報酬の高い食品を人間は求めるのか…?

では次に、なぜ食事報酬の高い食品を人間は求めるようになったのか…?について考えていきます。早速結論から書いてしまうと食事報酬は人間の進化の過程で作られたメカニズムだからということです。
2013年のクレムソン大学の研究によると、人間の胃や腸、感覚(味覚および嗅覚)、脳の食中枢のメカニズムは、200万年前に発達したそうです。当時、カロリー密度の高い食事は限られており、また、食物が手に入らないこともある環境でした。つまり、その時代に住む古代の狩猟採集民には、食事報酬のメカニズムは非常に適応していたと言えます。
しかし、現代の先進国に住む人間は肥満環境(食事が豊富にある環境)に住んでいます。例えばアメリカでは成人のうちの3分の2以上が肥満または太りすぎとのことです。これは肥満と分類される人が1980年以来2倍になっていると言えます。そして肥満や太りすぎになる人の増加は、遺伝子の変化が原因であるというにはあまりにも急速過ぎです。つまり、200万年前の環境に合わせて進化した食事報酬のメカニズムがうまく機能しなくなってしまった感じです。
この結果、現代に蔓延る食事報酬が高い食事を続けてしまうと、脳の報酬系が刺激されまくり、どんどんセットポイントがずれ、総摂取カロリーが増えてしまうという感じです。

更に先程挙げた食事報酬を高める物で考えてみると、

  • →すばやく栄養を吸収できる
  • 砂糖→毒性がなさそう
  • 脂肪→エネルギー量が多い
  • グルタミン酸→毒性がなさそう
  • でんぷん→すばやく栄養を吸収できる
  • カロリー密度が高い食品→エネルギー量が多い

となり、いずれも厳しい環境の中で生存や繁殖をしていくのに有利になる必要な要素だったみたいです。そのため、食事報酬の高い物程、脳が喜ぶように進化していったということです。このことから舌が喜ばなくても脳さえ喜べば食事報酬が高いとも言えます。しかし、先程書いた通り、加工食品を筆頭とする現代の食事には脳はついてこれていません。人工甘味料や添加物を摂り過ぎると脳の食欲コントロール機能が狂い、生命維持の為の栄養摂取という目的ではなくただただ食事による快楽だけを求めて食べるようになってしまうのです(ゾンビ化する)これがいわゆる、セットポイントが大きく上がってしまい、異常な食欲に苦しめられる原因となります。絶対避けたいところですね…。



35種類の食品を調べて食事報酬のランキングを作った…!

2015年のミシガン大学の研究によると、イェール大学食品依存症尺度(YFAS)を用いて2つの実験を行い、脳の報酬系を刺激しやすい食品(=中毒性の高い食品)を調べてみたそうです。1つ目の実験では120人が参加し、35種類の食品から中毒度をチェックしたそうな。2つ目の実験では398人が参加し、食品に含まれるどの成分や量が食べ過ぎにつながるのか、個人差の影響はどうなのかを調べたとのこと。
つまり、これを見ることによって、ダイエットや体型維持をしたい方が避けるべき食品と積極的に食べていきたい食品が分かるってことですね。では早速見ていきましょう…!

  1. ピザ
  2. チョコレート
  3. ポテトチップス
  4. クッキー
  5. アイスクリーム
  6. フライドポテト
  7. チーズバーガー
  8. 炭酸飲料
  9. コーラ
  10. チーズ
  11. ベーコン
  12. フライドチキン
  13. ロールパン(プレーン)
  14. ポップコーン(バター味)
  15. シリアル
  16. グミキャンディー
  17. ステーキ
  18. マフィン
  19. ナッツ
  20. 鶏の胸肉
  21. プレッツェル
  22. クラッカー
  23. グラノーラバー
  24. イチゴ
  25. トウモロコシ(塩とバターは使わない)
  26. サーモン
  27. バナナ
  28. ブロッコリー
  29. 玄米
  30. リンゴ
  31. 豆類
  32. ニンジン
  33. キュウリ

上位であるほど脳の報酬系を刺激しやすい食品となっております。この結果に研究者も、リストの一番上にある10の食品のうち、9つはかなり加工されていて、脂肪と精製された炭水化物の両方が豊富だったとおっしゃっております。つまり、かなり加工された食品か、脂肪や精製された炭水化物が大量に使われている食品は中毒性が高く避けた方が良い…!ってことですね。また、肥満体な人(BMIが高い人)程、上位の食品を食べる傾向があったそうで、これは、ですよね~って感じでした。
ということで、皆さんカッパさんを見習ってキュウリばっか食べましょう…!とはさすがに言えないので(笑)、なるべく、加工食品を避けてみてはいかがでしょうか…?



個人的考察

食事報酬を減らそう…!って話でした。
これを具体的に実践するならまずは加工食品を食べないのがベストでしょうね~。
因みにバラエティーに富んだ食事が脳のセットポイントを上げる原因なのも上記で納得がいくかと思います。だって生き抜くのに必須で貴重な要素が目の前に大量にあるんですから脳がヒャッハー…!ってハイになるのも無理からぬ話かと…。
またこの現象は、バイキングやデザートは別腹…♪って時に経験できるので皆さん一度は通った道でございます。ぜひとも、意識して気を付けていきたいもんですね~。
とはいえ、200万年前に生存の為に作られた原始の脳のパワーに勝つのは、そりゃ難しいに決まっていますわなー。ともなれば、やはり君子危うきに近寄らずということで環境整備が大事になるよな~と思います。



参考文献