【まとめ】友達・友人はどれだけ大事なのか?孤独・孤立はどれだけヤバいのか?
当ブログでは、人間は社会的な生き物だから帰属意識が大事…!社会的欲求を満たすのが大事…!ってことを何度か書いております。
要は学校や職場、部活やサークルなど、なんでもいいから人間の輪のグループに入っているって感覚が超大事…!ってことですね。
そもそも太古の昔、人間は皆で協力して狩りや採集を行い生活していたのもあって、社会の輪に入らない=食糧にありつけず餓死してしまう、という感じでした。この図式が遺伝子に刻み込まれているせいで、現在も社会的欲求・所属欲求があり、また孤独・孤立に不安を感じるといったようになっております。
更に詳しくは、
ということで今回は、友達・友人はどれだけ大事なのか…?孤独・孤立はどれだけヤバいのか…?対策はあるのか…?について考えていきたいと思います。
自分は他人より友達が少ない…!と思ってしまうのはなぜか…?
まずは自分は他人より友達が少ない…!とついつい思っちゃうけどアレってなんで起こるのか…?って話から見ていきます。
どういうことかというと、
- 友達の数を調べたり考えようとしたとき、普通、数学を使い論理的に調べるor考える
- この時、当然たくさんの友だちがいる人もいれば、そうでない人もいる
- 統計は平均値を割り出す
- 故に大多数の人が友達が少ない事に…!
みたいな感じです。
もうちょい分かりやすく言うと、例えば、Aさんは1000人の友達がいる、Bさんは100人の友達がいる、Cさんは10人の友だちがいるとします。三人の友だちの合計は1110人です。つまり、友だちの平均人数を出そうとすると、1110÷3=370となり、370人より多ければその人は他人より友達が多いことになりますし、370人より少なければその人は他人より友達が少ないことになります。
なのでAさんは友達が多い人で、BさんCさんは友達が少ない人となります。
良く考えれば当たり前の話なんですが、一人でたくさんの友だちがいる人が混ざるだけで平均人数はグッと上がってしまうんですよね。
この友情のパラドックスが視覚化されており、かなり分かりやすいのがSNSです。例えばツイッターやインスタグラムなどですね。SNSのフォロー数とフォロワー数をみてみると、この友情のパラドックスが一発で分かります。例えば、有名人や有名企業のアカウントは一人(一企業)でフォロワー数(友達の数)が数万人、数十万人おり、中には数百万人、一千万人という人もいます。そしてフォロー数は非常に少ないです。それに対して、有名人・有名企業にフォローしている人は多いので、どうしてもフォロー数の方が多くなります。
となると、当然自分は友達が少ないことになりますし、多少フォロワー数が多い人も、平均すれば、結局ほとんどの人はフォロワー数(友達の数)が少ないことになります。また2014年のUSC Information Sciences Instituteの研究や2016年のマギル大学の研究によると、Twitterを使っている人の90%が友情のパラドックス状態ということです。
更にフォロワー数が多い人をみると、自分もフォローをしたくなるってことが起きがちなんで、もっと差は広がるし、自分はフォロワー数が高い人たちに囲まれるんで、友だちが少ないと孤独・孤立感を味わうっていう嫌な図式が出来てしまいます。こう考えるとデジタルデバイスを良く使う人とうつ病や社会不安に相関関係があったというのも納得できますよね…。
以上を踏まえると、友情のパラドックスがあるので自分は他人より友達が少ないのは当たり前と納得できるんですが大多数の人は知らないのでさー大変。
例えば、2001年のスタンフォード大学の研究によると、シカゴ大学の学生に自分は他人と比較してどれぐらい人気があるか…?を調べてみたそうです。すると、見知らぬ人よりも友人の人気(友達の多さ)の方が脅威を感じたそうな。
つまり、友情のパラドックスがあるにもかかわらず、他人は友達が多いのに自分は少なくて不幸だと誤解が起きてしまうみたいです。本当、嫌ですね~。
友情のパラドックスが起きやすい人はどのような人か…?
では、友情のパラドックスが起きやすい人はどのような人なのでしょうか…?2015年のダートマス大学の研究によると、大学生284名を対象に全員に性格テスト(ビッグファイブ)と社会的関係のアンケートを実施してみたそうです。
んで、早速結果を見てみると、
- 外向性が高い人(外向的な人)ほど、友情のパラドックスが起きやすかった…!(=友達が多い人程、他人の方が友達が多いと思っていた)
そうです。
なんでも、外向性が高い人は社交的なんで、同じ外向性が高い社交的な人とつながりやすい。だからそのコミュニティでの平均友達数は高めに出てしまうってことみたい。確かに友達が多い人同士が集まれば、そりゃあ友達の平均人数は上がるんで、その中での友達が多い人、少ない人は出来ますわな。
この結果に研究者は以下のポイントを述べられております。
- 外向性が高い人は、友情のパラドックスに陥りやすい。そのため、他人の外向性の考え方がズレている可能性が高い
- 内向性が高い人は、友情のパラドックスに陥りにくい。おそらく、正確に現実を把握しているからだろう
- 大多数の人は、友達で社会的な基準を考えるが、そこには、統計的なバイアスが潜んでいることに注意しなければならない
- 友達が少ないと、自分は変なのか?と考えてしまいがちだが、この研究はあなたが自分で思うよりもあなたが普通であることを示している
ということで、友達が多いと友情のパラドックスの罠にハマるし、少ないと罠にかかりづらいとかあるけど、そもそもほとんどの人が自分は友達が少ないと思っているし、それは普通のことだよ…!って話でした。
いや~内向型な私としては非常に勇気の出るお話でした(笑)
ということで皆さんも、もし、自分って友達が周囲より少ないかも…って思ったら、これは普通…!と思ってOKですよー。
- 肥満になる確率が減る
- 睡眠の質が上がる
- タバコを吸わない人が多い
- 大病になりづらい
という結果が出たそうです。とにかく友達・友人がいて上手くいっている人は健康的みたいですね~。更に友達・友人が多い人は幸福度が高かったんだとか。逆に、友達・友人が少ない人は不健康なことが多く(1日15本のタバコを吸うのと同じぐらい)、友達・友人が多い人は少ない人に比べ50%も死亡率が低かったんだそうな。
つまりまとめると、
- 友達・友人が多く良好関係だと、健康で幸福度が高く、長生きだった
- 友達・友人が多いと、幸福度が高く、長生きだった
- 友達・友人が少ないと、不健康で、長生きではなかった
って感じみたい。友達・友人が少ない私としてはまことに耳の痛い内容ですが(笑)少ない状態でこの結果だったということは友達がいないというのはもっと大変な結果になるんでしょうね…。
孤独・孤立はヤバい…!ではどのぐらいヤバいのか30万人以上チェックしてみた…!
2010年のブリガムヤング大学のメタ分析では、孤独・孤立のヤバさについて調べております。なんでも、イギリスのメンタルヘルス財団が行った調査によると、調査に参加した人のうち10%の人が孤独を感じることが多いそうで、更に3分の1の人は非常に孤独だと思っていたそうです。同様に、過去20年間で、親しい友達がいないと思っているアメリカ人の数は3倍に増えているそうな。つまり、世界中の人々が社会的に孤立している、孤独を感じるということが多くなっているみたい。この社会的な孤立・孤独が人間の健康に悪いんじゃないかと考えたってことですね。まぁ、いかにも悪そうですよね…。
んで、実際に孤独の悪影響を調べるために過去の研究148件をピックアップしたそうです。因みに全体のサンプル数は308,849人で平均年齢は63.9歳、男性51%、女性49%と参加者の性別は全体でバランスよくしたそうな。平均追跡期間は7.5年ということでかなり大規模な調査となっております。
このデータをメタ分析して孤独・孤立が与える死亡リスクへの影響を判断したそうです。
では、結果を見てみましょう…!
- 強い社会的関係がもたらす効果量は1.50だった…!
- これは、強い社会的関係を持つ人の寿命が孤独・孤立を感じる人に比べ50%も高い事を示している…!
- この影響の大きさは禁煙に匹敵する…!(つまり、孤独・孤立は喫煙と同等の影響がある)
- 孤独・孤立は肥満や運動不足など良く知られた死亡率をアップさせる危険因子を超えている…!
- この結果は年齢や性別、初期の健康状態、死因など関係なく、追跡期間にわたって一貫していた…!
- 孤独=即悪影響…!ではない…!徐々に体を蝕んでいくみたい…!
う~ん…。想像以上に孤独はヤバいですね…。
寿命に50%も差がでて、それはタバコと同等レベル、肥満や運動不足を上回ると…。そして、孤独は少~しずつ体を蝕んでいくんだ…。嫌だな~。
友達・友人は何人いればいいのか…?
じゃあ、具体的に友達・友人って何人いればいいの…?って疑問を持つのは私だけではないはず…。ブリガムヤング大学の試算によると、学校や職場に仲の良い仲間・友達・友人が3人いるだけで96%も人生への満足度が高くなったそう。つまり、親友は3人いればいいみたい…!これは思っていた以上にハードルが低くて助かる…!
因みに友達・友人の幸福度が高いと自分に伝染するらしく自分の幸福度も15%ほどアップするそうで、相乗効果が期待できそう。幸せそうな人には幸せな人が集まってもっと幸せになるってなんだか分かる話ですね…!
更にポジティブな友達・友人を作ると人生が約2倍も良くなるそうで、この数字は結婚や子どもを上回るんだそうな。つまり友人最強。家族関係がどんなに良くても友達・友人の幸福度にはかなわないみたい。友達ってやっぱ必要ですね~。
それと、自分のことは自分ではよく分からないのが人間なんですが、逆に自分を一番よくわかっているのは友達・友人ということ。自分を理解し一番客観的にみてアドバイスをくれるのは友達みたいです。ソロモンのパラドックスにも他人視点が有効…!ってことですしね。
そのため、友人に相談するのは正解ということで、友達ってありがたいですねー。
友達・友人はどうすれば作れるのか…?
最後に科学的な友達・友人の作り方をご紹介します。
と言っても当たり前な内容が多いです。
- 友だちと多くの時間を費やす
- 友だちとイベントをこなす
- 友だちの近くに住む
この3つが重要みたい。つまり一緒に長い時間を過ごせば仲良くなれるってことで当たり前な結論なんですが、何事も基本は大事なんで一応書いておきます。
あと、忘れちゃいけないのが協調性。要は周囲に合わせるってことが大事でして、自分は退屈でも周りが楽しんでくれればOKくらいの心の余裕がないと友達・友人を作るのは難しいと思われます。
孤独は孤独に目がいく…!自分だけが孤独のように感じてしまう…!
2000年のノースウェスタン大学などの研究によると、社会への所属は、認知機能やメンタル安定、行動力など幅広い影響を与えるみたいだけど、社会に交わっている人の記憶と交わっていない人の記憶にはどのような違いがあるのか…?について調べてみたそうです。実験は全部で2つ行われたそうで、まず参加者にはパソコンでチャットをしてもらい、承認される(認められる)又は拒否(認められない)という経験をしてもらったとのこと。つまり、社会の輪に入っている感覚又は社会の輪に入っていない感覚(孤独)になってもらったってことですね。
その後、参加者には社交的な出来事と個人的な出来事の両方が書かれた日記を読んでもらったそうで、これでどちらに目が行きがちになって、どちらの記憶が残ったかを調べたみたい。
んで分かったことが、
んで分かったことが、
- 社会的欲求・所属欲求が満たされていないと、社交的な出来事と個人的な出来事のどちらをみても、個人的な出来事に目が行く…!個人的な出来事として捉える…!個人的な出来事として記憶に残る…!と言った現象が起こった…!
とのこと。
つまり、孤独だと孤独な情報ばかりが目につくし、社会的な情報をみても、孤独な情報として処理してしまうと…。これは辛い…。
更にこの結果、
- 社会的欲求・所属欲求がずっと満たされないままでいると、不適切なコミュニケーションが多くなってしまう…!
- 孤独・孤立した人は、他の人達が皆、社会的欲求・所属欲求を満たしているように見えてしまい、ますます孤独感が高まるような情報に目がいってしまう…!
らしい…。
孤独から更なる孤独を生むような行動、考えが多くなってしまい、その上周囲は皆、孤独ではなく自分だけが孤独だと感じてしまうと…。この孤独のスパイラルにハマってしまい抜け出せなくなる感覚は確かに起こりそうですね。
上記を見ると孤独な人が別段コミュニケーションが低いという感じはないと言えます。むしろ因果関係でいえば逆ですね。
つまり、
- ×:コミュニケーション能力が低いから、孤独になった
- ○:孤独になったから、コミュニケーション能力が上手く発揮できなくなった
って感じです。
となると、上手く社会に交わっていき、如何に孤独・孤立を回避し、友達・仲間といった人達を得られるか、感じられるかがポイントとなりましょう。
では具体的に社会の輪に入るにはどう対策すれば良いのでしょうか…?
まずおすすめなのがコミュニケーション能力のことを良く知り、自分自身の誤解を解くことです。以前ご紹介した通り、コミュニケーション能力は技術面の割合が意外と多く、また誤解が多いという部分もあります。
典型的な誤解は、内向型(内向的)=コミュニケーション能力が低い…!という誤解です。
これについても以下の記事に詳しく書いたのでお読みいただきたいのですが、兎に角、意外と一般的な解釈と違ったりするんですよね。
そのため、まずはコミュニケーションとは何かを知り、その上で嫌われたらどうしようという不安・緊張について対策していくとよろしいかと思います。
孤独によって実際の苦痛(痛み)を感じるようになってしまう…!
2003年のカリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究によると、孤独によって身体的苦痛が本当に感じるようになるのか調べてみたそうです。
この研究は、参加者にボール投げゲームをしてもらいつつ、孤独を感じてもらったそうな。その際合わせてfMRIで脳内をスキャンしてみたとのこと。
結果、
- 孤独によって前帯状皮質が反応し、実際の苦痛と正の相関が生まれていた…!
- 右腹側前頭前野は孤独によって活発化し、実際の苦痛と負の相関が生まれていた…!
そうです。
つまり、右腹側前頭前野の活動が前帯状皮質の活動を邪魔して孤独の苦痛を調節しているかもしれないってことですね。
上記をみると、孤独によって実際の苦痛(痛み)を感じるようになってしまう可能性がありそうですねー。怖い…。
主観的に慢性的な孤独によって、炎症遺伝子が増加&抗体遺伝子が減少する…!但し、客観的な孤独は関係ない…!
2011年のカリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究によると、孤独と白血球の遺伝子発現の関係について調べてみたそうです。この研究は、55〜72歳の健康な高齢者14名を対象に行ったそうで、
- 主観的に慢性的な孤独を感じている6名:3年間にわたって孤独度が上位15%の方たち
- 常に高いレベルの社会的接触や支援を得ている8名:3年間にわたって孤独度が下位15%の方たち
が参加したとのこと。
この参加者たちの白血球の遺伝子発現をチェックしたそうな。
結果、
- 主観的に慢性的な孤独を感じている方とそうでない方で、白血球の遺伝子発現が209も違いが出ていた…!
- また孤独によって、炎症関係の遺伝子発現が増加していた…!
- つまり、慢性的な孤独によって免疫系疾患や慢性炎症を引き起こす可能性があった…!
- 更に孤独によって、抗体の遺伝子発現が減少していた…!
とのこと。うあああー。
主観的に慢性的な孤独によって、炎症遺伝子が増加&抗体遺伝子が減少なんて最悪ですね…。
更に研究者たちは、主観的な孤独が問題なのか、客観的な孤独が問題なのかも調べてみたそうです。
こちらは93名の方に協力をお願いしたそうで、早速結論を見てみますと、
- 主観的な孤独は、客観的な孤独よりも大幅に多くの遺伝子発現と関係していた…!
- それに対して、客観的な孤独は関係なかった…!
とのこと。
周りから見れば友達や友人がたくさんいて、孤独じゃなさそうに見えても、自分自身が孤独だと思っていたらダメージはあるし、逆に孤独に見える人でも自分自身が孤独じゃないと思っていたらダメージはないってことですね。う~ん。イメージの力はここでもすごいですね~。
孤独感で認知症の発症リスクがアップする…!但し、社会的孤立(一人暮らしや未婚、社会的支援がない人)は関係ない…!
この研究は、認知症ではない高齢者2,173人を対象に行ったそうで、認知症の診断を受けてから3年間追跡調査を行ってみたらしい。集められたデータは統計処理をして、社会的孤立と孤独感および認知症のリスクとの関係を検証してみたそうな。
結果、
- 孤独感がある高齢者は、孤独感がない高齢者よりも認知症を発症する可能性が高かった…!
- 社会的孤立(一人暮らしや未婚、社会的支援がない人)は、認知症の発症リスクと関係がなかった…!
だったそうです。
一人でいることは問題なくて孤独を感じることが問題である、ヤバいのは社会的孤立ではなく孤独感だ…!ってことですね。
孤独感で食事が変わる…!その影響は男性の方が受けやすい…!
2013年のCEDARの研究によると、社会的なつながりと食事の関係について調べてみたそうです。
まず研究者たちは、EPIC-Norfolk(1993年からノーフォークに住む25,000人を超える人々を追跡し、慢性疾患と食事やその他の要因を研究しているデータ)を用いて、50歳以上の男女約10,000人のデータを分析してみたそうな。
具体的には、毎日食べている野菜の種類と社会的な結びつきの関係についてみてみたとのこと。
結果、以下のことが分かったらしい。
- 独身又は死別した人は、結婚している場合や夫婦で暮らしている人と比較して、毎日食べている野菜の種類が少なかった…!
- 具体的には、独身の人は1日当たりの野菜製品の摂取量が2.3種類も少なくなっていた…!死別した人は、1日当たりの野菜製品の摂取量が1.1種類も少なくなっていた…!
- 死別などで一人暮らしをしている人は、単身赴任など既婚で一人暮らしをしている人に比べて、1日当たりの野菜製品の摂取量が1.3種類も少なくなっていた…!
- 同居人がいる人は、夫婦で暮らしている人と同じぐらいの野菜を毎日食べていた…!
- 男性は女性よりも、結婚により、多くの野菜を食べていた…!
- 男性は女性よりも、独身や別居、死別や離婚で一人になった時、摂取する野菜の種類が少なくなっていた…!
- 友達に会うことが少ないと、摂取する野菜の種類が減っていた…!
- 一人暮らし+友達に会うことが少ないと、更に摂取する野菜の種類が減っていた…!
これらを見ると、野菜の種類の摂取量が少なくなる原因は、
ってことになりましょうか。更にその影響は良くも悪くも男性の方が受けやすいと…。
- 独身
- 死別
- 一人暮らし
- 友達に会うことが少ない
ってことになりましょうか。更にその影響は良くも悪くも男性の方が受けやすいと…。
しかし一方で、
- 同じ一人暮らしでも死別と既婚でしている場合では違う
- 同居人でも夫婦で暮らしている人と同じ影響がある
ってのを踏まえると、どうやらポイントは、
- 単純に孤独・社会的孤立があるからではなく、孤独感があるかどうか
って感じみたいですね。
約340万人を7年程追いかけて孤独・社会的孤立と死亡率の関係をみてみた…!
2015年のブリガムヤング大学の研究によると、孤独・社会的孤立と死亡率の関係を前向きコホート研究のメタ分析してみたそうです。
まず、研究者たちは、MEDLINEやCINAHL、PsycINFO、Social Work Abstracts、Google Scholarを使って、1980年1月~2014年2月24日までに発表された孤独研究を2回検索してみたそうな。更にデータベースで検索できなかった研究を手作業で調べたらしい。
そして集められたデータは孤独と社会的孤立を区別したそうです。理由はそれぞれが独立した要素である可能性があり、片方だけ発生する場合があるからとのこと。
どういうことかというと、
- 社会的に孤立していても満足している人がいる:人との接触が最小限でも満足した生活を送っている場合
- そもそも社会的孤立が好きな人もいる:一人でいることが好きな場合
- 社会的接触が多いが孤独を感じている人もいる:他人との接触は多いが孤独感を感じている場合
が考えられるんですよね。
つまり、
- 孤独感アリ・社会的孤立アリ
- 孤独感アリ・社会的孤立なし
- 孤独感なし・社会的孤立アリ
- 孤独感なし・社会的孤立なし
の4パターンが考えられるんですな。
そしてこの研究では、客観的な場合(社会的孤立・一人暮らし)と、主観的な場合(孤独)を以下のように定義したとのことです。
- 社会的孤立(客観的な孤立):社会的な接触が少ない、人とのコミュニケーションが少ない、社会活動への参加が少ない、友達が少ない。
- 一人暮らし(客観的な孤立):他人と暮らさず一人で暮らしている。
- 孤独(主観的な孤立):孤独感がある、孤立感がある、帰属意識が満たされていない。
この定義を用いて研究開始当初に仕分けて測定し、その後追跡調査して死亡率を見て判断した研究をピックアップしたみたい。
んで、集められた研究を精査した結果、基準を満たしたのは70件でこれらをメタ分析にかけたそうです。因みに総サンプル数は3,407,134人で、データ収集当時の平均年齢は66.0歳、平均追跡期間が7.1年とのことでした。
気になる結果は、
- 社会的孤立で死亡率が29%アップしていた…!
- 一人暮らしで死亡率が32%アップしていた…!
- 孤独(孤独感)で死亡率が26%アップしていた…!
とのこと。
つまり、客観的な孤立でも主観的な孤立でも死亡率はアップしてしまった…!ってことですね。因みに因果関係は不明ながら、性別の違いや国の違いなどを効力しても結果は同じらしいです。
この結果だけだと、孤独と孤立に違いはなさそうですが、研究者曰く、
- 孤独と孤立の両方が低い人はおそらく死亡リスクが最も低く、両方が高い人は死亡リスクが最も高く、片方だけ高い人は中間の死亡リスクにあると考えられるだろう
ということです。
つまり上記で挙げた4パターンだと死亡リスクが高いのは、
ってことになりますね。
つまり上記で挙げた4パターンだと死亡リスクが高いのは、
- 1位:孤独感アリ・社会的孤立アリ
- 2位:孤独感アリ・社会的孤立なし、孤独感なし・社会的孤立アリ
- 3位:孤独感なし・社会的孤立なし
孤独感によって睡眠不足になる…!
まず2つの研究の概要はこんな感じ。
- テストを行い孤独感が特に高かったグループと特に低かったグループの大学生89名を対象にして、自律神経やコルチゾールレベル、睡眠の質、健康行動をチェックした。
- 普段から孤独感を感じている高齢者25名を対象にして、血圧や心拍数、コルチゾールレベル、睡眠の質、健康行動をチェックした。
結果、孤独感がある人はそうでない人に比べ、
- 睡眠の質が低かった…!
- 血圧の上昇が大きかった…!
- コルチゾールレベルに違いはなかった…!
- 健康行動に違いはなかった…!
とのこと。
因果関係は不明ながら、どうやら孤独感によって睡眠と心臓・血管に問題が起きそうな感じですね。
まぁ以前から何度もお伝えしている通り、眠れない主な原因の一つは不安感からきているんで、孤独感という不安感から睡眠不足に陥るのは容易に想像できますな。
ともなれば、やはり孤独感対策=不安対策が睡眠対策になりましょう。
社会的孤立が高いと、血圧の上昇・コレステロール反応の増加・コルチゾールの増加が起こり、心血管疾患(CVD)のリスクがアップする…!
2009年のユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究によると、社会的孤立とストレスによる心血管、脂肪、コルチゾールの関係について調べてみたそうです。
今回実験に参加したのは健康な238人(男性128人女性110人)の公務員でして、年齢が45~59歳、ロンドン地域に住んでおり、且つ、フルタイム勤務の方たちだったとのこと。
まず最初に参加者たちの社会的孤立度をアンケートによりチェックしたそうな。
今回実験に参加したのは健康な238人(男性128人女性110人)の公務員でして、年齢が45~59歳、ロンドン地域に住んでおり、且つ、フルタイム勤務の方たちだったとのこと。
まず最初に参加者たちの社会的孤立度をアンケートによりチェックしたそうな。
社会的孤立度アンケートとは、
- 一人暮らしか…?
- 親戚と会ったことがあるか…?
- 親戚と月1回未満しか会っていないか…?
- 友人と会っているか…?
- 友人と月1回未満しか会っていないか…?
といった質問に対して、はいorいいえで答えてもらったらしい。
その後、回答の結果に応じて、
- 社会的孤立なし
- 社会的孤立少しあり
- 社会的孤立あり・超あり(人数が少なかったので合わせた)
の3グループに分けたそうです。
次に参加者には、ラボ内にて難しいタスクを色々やってもらった(=ストレスを与えてみた)そうです。合わせて血圧や脂肪、コルチゾールもチェックしたそうな。
最後にデータを統計処理した結果、社会的孤立が高いと、
- 男女の両方で血圧が上昇し、回復まで時間がかかった…!
- 男性のみコレステロール反応が増加した…!
- 男女の両方でコルチゾールが大幅に分泌されていた…!
とのこと。
つまり、
- 社会的孤立のある人にストレスがかかる
- ストレスに弱いので過剰に反応してしまう
- 結果、心血管疾患(CVD)のリスクがアップする…!
という嫌~なステップを踏むわけですな。
これは気を付けていきたいですねー。
孤独で運動量が65%減少、2年以内に運動量が61%減少・運動しなくなる可能性が158%増加する…!
2009年のシカゴ大学の研究によると、孤独と普段の運動量について横断研究・縦断研究を行ってみたそうです。
この研究は、スタート時の年齢が50~68歳であり、且つイリノイ州クック郡に住んでいる方を対象に行われたそうで、サンプル数は229人だったとのこと。
調査は3年連続で行われたそうで内容は、
- 過去14日間で、14種類のエクササイズ又はスポーツ、体を動かす趣味のどれかを行ったか…?
- 過去14日間で、上記のそれぞれをどれぐらいの頻度で行ったか…?
- 過去14日間で、上記のそれぞれをどれぐらいの時間(分単位)行ったか…?
といった運動量についてから、
- 孤独感:R-UCLAと言われる孤独感スケールを用いてチェック。例えば、友人が少ない、周囲の人たちと仲良くできている、といった全20項目の項目を1(全くない)、2(めったにない)、3(たまにある)、4(良くある)の4段階から評価するもの。合計スコアが高い程孤独感も高いとなる。
- 社会的なつながり:結婚しているやパートナーと同居と別居、離婚、死別、未婚と比較。他にも最低2週間ごとに話をする親しい友人や親戚の数、市民グループやご近所さんグループ(町内会とか)、スポーツクラブなどに所属しているかなどをチェックした。
- 感情コントロール:気分が良い時を想像してもらいつつその際の感情コントロールについて答えてもらう、気分が悪い時を想像してもらいつつその際の感情コントロールについて答えてもらう、みたいな感じのアンケート34項目を行った。
- うつ病スケール:過去1週間に体験した憂鬱な感情と行動に関する20項目のアンケートに答えてもらった。
- ストレススケール:過去1週間のストレスに関する感情や思考についてチェック。例えば、どれくらいの頻度で予期せぬことが起こったためにパニックになりましたか…?のような質問に対して4段階から評価する全10項目のアンケートに答えてもらった。
- クック・メドレーの敵意スケール:相手をどれぐらい敵だ…!と思うかチェックした。
- 社会資源利用可能性チェックリスト:社会的つながり支援をどれぐらい利用する可能性があるかチェックする。4段階から評価する全12項目のアンケートに答えてもらった。
- 自己評価による健康チェック:健康状態は、孤独と運動量の両方に影響を与える可能性があるので、自己評価アンケートに答えてもらった。
といった様々な要因まで幅広くチェックしたみたい。
最後に集まったデータを統計処理した結果がこちら。
- 横断研究により、年齢や性別、人種、教育、年収、抑うつ症状、ストレス、敵意、社会的支援、自己評価による健康状態といった変数を調整しても、孤独で運動量が65%も減少することが分かった…!
- 縦断研究により、孤独な場合、2年以内に運動量が61%減少、運動しなくなる可能性が158%も増加することが分かった…!
とのこと。
この結果に研究者も中高年の孤独は、運動不足になる危険な要素だから注意してね…!とおっしゃっておりました。
孤独感で、自分の健康状態を把握できない・持病が多い・学歴が低い・年収が低い・運動量が少ない・喫煙が多い・うつ傾向が高いらしい…。
2010年のウェストバージニア大学の研究によると、孤独と健康リスクの関係について調べてみたそうです。
この研究は、アメリカの高齢者13,812人を対象に行われたもので、孤独と健康状態の関係性を調べるために記述式アンケートに答えてもらったそうな。
最後に統計処理をした結果、
- 孤独感による病気の発症率は16.9%だった…!
とのこと。
やはり孤独感によるダメージは確実に不健康への道を歩むことになりそうですねー。
また、孤独な人は、
- 未婚であることが多かった…。
- 自分の健康状態を把握できていないことが多かった…。
- 学歴が低かった…。
- 機能障害を持っていることが多かった…。
- 慢性疾患を持っていることが多かった…。
- 若い人に多かった…。
- 年収が低かった…。
- 一緒に住んでいる人が少なかった(一人暮らしが多かった)
そうです。
自分の健康状態を把握していないこともあり持病を持っていることが多く、また学歴・年収も低い傾向にあったみたいですね…。
更にポイントなのが慢性的に孤独感を持っていると判断された人たち。
この方々は上記の他にも、
- 運動量が少なかった…。
- タバコを吸う量が多かった…。
- お酒を飲む量が少なかった…。
- 抱えている慢性疾患の数が多かった…。
- うつ病の傾向が高かった…。
とのこと。
お酒の量が減るのが謎なんですが、それ以外は大いに有り得る話ですね。
個人的考察
孤独・社会的孤立の両方がないことに越したことはありませんが、
などをみていると、どうやら問題の多くは不安や寂しさといった孤独感の方みたいなんで、これだと就労支援事業所でも対策・支援が出来そうですよね。
- 主観的に慢性的な孤独では炎症遺伝子が増加&抗体遺伝子が減少するけど、客観的な孤独は関係ない…!
- 孤独感で認知症の発症リスクがアップするけど、社会的孤立は関係ない…!
などをみていると、どうやら問題の多くは不安や寂しさといった孤独感の方みたいなんで、これだと就労支援事業所でも対策・支援が出来そうですよね。
だって、独身や死別はどうにもならんですし、一人暮らしってのは、アットホームなグループホームを進めるぐらいで、これは相談支援専門員(相談支援事業所)がメインですからね(実際の友達がいない&少ないってのは就労支援事業所でもどうにかできそうですが)
となれば、孤独感を感じないように声掛け等できるかが支援のポイントとなりましょう。特に最近はコロナによって在宅支援もあったりするんで、ここは押さえておきたいっすね。
じゃあ、具体的にどうしていけばいいのかですが、まずは事業所に通ってもらったり、電話や対面で支援者と話をするのが良いと思います。その際に支援者は雑談・承認・声掛けを積極的にしていくのがよろしいかと思います。
それによって利用者さんに、
と孤独感は減るのではないでしょうか。
合わせて、事業所に来れば同じく利用している仕事仲間もいますんで、(客観的な)社会的孤立も減るかと思います。
これを日々行っていくことを基本としつつ、更に長期的な支援・対策としては、
を行っていくと良いのではないかと思います。
またその他にも、以下を行うのもおすすめですね。
ということで、今現在、友達・友人がいる方はその友達・友人を大事にしつつ、感謝してみて、友達・友人がいない方はまずは周りに合わせて一緒に長い時間を過ごしてみるのがよろしいかと思います。
どうぞ、ご参考にしてください。
参考文献
https://journals.plos.org/plosmedicine/article?id=10.1371/journal.pmed.1000316
リンク